26 / 33
26.公女、してます。
しおりを挟む
貴賓室の奥の方、大半を占めていたのはコルベール伯爵家からの贈物だった。
「……えらく、かさばるな?」
と、首をひねったザザと荷解きする。
大きな木箱の中に入っていたのは、さらに包み。それも数が多い。
包みを開けると、粗羊毛の布地。さらに少量の白い麻布。それに、針と糸、はさみ、石けん……。
「おしろいに、口紅まで入ってるじゃねぇか!?」
と、ザザが愉快そうな声をあげた。
「そうねぇ……」
「これは、アレだ」
「え? ……なに?」
「村の娘たちに下賜してやれってセットだな。なかなか気が利いてるじゃねぇか」
「あ……、ああ!!」
見れば、包みには一つひとつ布地の切れ端が貼ってあって、開封しなくても中に入ってる布の色柄が分かるようになっていた。
「かぁ~っ! やるねぇ。コルベール伯爵家っていえば、第二王女侍女マノンの実家だろ!? あの黒縁眼鏡の!」
「え、ええ……」
「頭が小さくて、律儀そうな」
「……そうね」
「農作業にも丈夫な粗羊毛の布地に、下着に使える麻布。決して華美じゃなくて、高価でもないけど、手触りはいい」
「本当ね」
「女がオシャレに気を配り始めたら、なんていうんだ? 心の復興……、ってヤツが早まるんじゃねぇか?」
大きな木箱は全部で5つ。包みは無数にあって、領民の大人から子どもまで女性全員に配っても、まだ余りそうな数がある。
「おいおい、小さいけど手鏡まで入ってるぞ!? ……領民の身の丈にあわせた、それでも細やかな気遣いが嬉しいねぇ」
「……本当ね」
「手鏡も、一つひとつ、ちょっとずつデザインが違うな」
「ええ。可愛らしいわ」
「私だけの……、ってのが嬉しいもんだからな」
ソランジュ殿下の滞在中、決して長い期間ではなかったのに、マノンは、ガルニエ辺境伯領の状況をよく見てくれたのだろう。
実情を探る密偵の役を果たしていたのかもしれないけれど、その結果、父伯爵に進言してくれた贈物には、心躍らされた。
「……みんな、喜ぶだろうなぁ」
と、目を細めたザザと、ただひたすら数を数える。
そして、いちばん奥の木箱から、丁寧な文字で詳細に書かれた一覧表が出てきて、
「やってられっかぁ!!」
と、ザザと笑い合った。
~ガルニエ家 家規、第○○条~
先方からの送り状が入っている箱は、手前に置くこと。
太字で書いた。
Ψ
マノンが贈ってくれた〈女子の復興セット〉を配り歩く許可をカトランに求めた。
「……化粧?」
と、カトランが眉間にシワを寄せた。
「女子にとっては大切です。こう……、気持ちが華やぎますから」
と、口紅の見本をひとつ見せる。
「ほら。決して派手な色でもなくて、風紀を乱すようなものではありませんわ」
「ふむ……」
「ダ、ダメでしょうか……? みんな、喜ぶと思うのですが……」
「……しかし」
「はい……」
「当主夫人であるアデールでさえ、化粧などしていないというのに……」
「してます」
「……え?」
「してます」
真っ赤な瞳で、ジーッとわたしの顔を見詰めるカトラン。あまり、嬉しくない。
「……華美になり過ぎないよう、控え目にしておりますが……」
「そ、そうか……」
「毎朝、ザザにやってもらっています」
「あ……、うん」
ええ。わたし、〈おぼこい〉んですよね?
家風に合わせる努力だったのだけど……。
「……まあ、わたしは派手なお化粧が似合うタイプでもないので」
「あ、ああ。……す、すまなかった?」
そうです。ひと言、謝ってもおかしくない場面なのですよ?
「いえ。謝っていただくほどのことでは」
「……そ、そうか」
「みんなに、配ってもよろしいですわよね?」
「ああ……。アデールに任せる」
わたしとザザで、領内各地を巡ることにした。
なにせ、城に女性はわたしとザザだけ。領内を治める政庁に仕える、たった二人の女役人だとも言える。
それに、下着用の布も入ってるのだ。やはり、女性が配った方がいいだろう。
あとは、すべての集落に足を運んでそれぞれの実情を知った上で、家憲と家規を起草したいと考えていたところだったし、好都合だ。
「うわぁ~っ!! いただいていいんですかぁ!?」
と、ガビーが溌剌とした喜声をあげ、目をキラキラと輝かせてくれる。
包みの外から布地の色柄が分かるので、女子がみんなで、キャッキャと選ぶ。
マノンの律儀な一覧表をもとにして集落への配分を決めたので、配布の後先で不公平にならないように工夫できた。
ザザが、わたしの耳元に口を寄せた。
『……見ろよ。みんなの笑顔』
『ええ……、ほんとに嬉しそう』
『オシャレしたら、次は色恋にも目が向いていくかもしれねぇなぁ……』
手鏡を大切そうに握り締める小さな女の子を、母親が優しい眼差しで見守る。
お婆さんが試しに紅をさしてみて、みながキャアと騒いで、
「はやく爺さんに見せてあげなよ!」
と、背中を押す。
怒ったように照れながらも、乙女の表情に若返ったお婆さんがオズオズと家に帰る。
老いも若きも幼きも。女子の瞳をキラキラと輝かせる素敵な贈物だった。
風紀の乱れきった王都にも、このような贈物を選べる家が残っているのだと、温かい気持ちにもなれた。
ふと、みなの騒ぎに紛れて、ガビーが黙り込んでいるのに気が付いた。
難しい顔をして、黄色とオレンジ、ふたつの包みを交互に見比べている。
「ふふっ。迷ってるの?」
「あ、ええ……。う~ん……」
「じっくり選んでくれて大丈夫よ。わたし、みんなの話も聞きたいし」
「……マルク様は、どっちが好みなんですかねぇ……」
「ほっ、ほぉ~ん!?」
と、ザザが腕組みして、ガビーの顔を眺めた。
「あ、いや……、違いますよ? 違いますからね? そういうアレじゃなくてですね……」
と、ここまで慌てるガビーを見て、わたしもようやく気が付いた。
「ほっ、ほぉ~ん!?」
「なんですか、アデール様までぇ!? そういうのじゃなくてですね……」
これ以上からかうと、かえって逆効果になりそうだったので、ザザと微笑み合って、そっとしておくことにした。
「……アデールも口紅。もう少し、派手にする?」
「ううん、いいわ。わたし、おぼこいし」
こうして、領内各地の集落を巡る。
戦争の傷跡は一様ではなく、恐る恐る受け取る集落もあった。
けれど、耳を澄ますと、家屋の中から笑い声が聞こえる。
いまは、わたしに笑顔を見せてくれなくてもいい。少しずつ傷を癒して、前を向いてほしいと祈った。
貴賓室を塞いでいた贈物は、すべて荷解きできた。
実用的なものは活用し、無駄に華美なものはリュリュに買い取ってもらい財政の足しにした。
そして、伝票で知っていたのだけど、やはり母女大公からの贈物はなかった。
――わたしを無視しているのか……、単に大物ぶっているのか……。
母の心の内を考えることは、虚しさを募らせるだけだと、嫌というほど知っている。
行き先の決まらない贈物の中に、結構な量の麻布があった。
「どうするかね、これ?」
と、貯蔵庫に収めた麻布を、ザザと見上げた。
買い取ってもらっても知れているし、今すぐ使うところもない。
「あ……」
「なんだ、アデール?」
「……いいこと思い付いた」
「なんだ、なんだ?」
「グループ交際をやってみよう」
「グループ交際?」
「この麻布で」
と、スキップしながら部屋に戻り、カトランに提案する資料をまとめ始めた。
「……えらく、かさばるな?」
と、首をひねったザザと荷解きする。
大きな木箱の中に入っていたのは、さらに包み。それも数が多い。
包みを開けると、粗羊毛の布地。さらに少量の白い麻布。それに、針と糸、はさみ、石けん……。
「おしろいに、口紅まで入ってるじゃねぇか!?」
と、ザザが愉快そうな声をあげた。
「そうねぇ……」
「これは、アレだ」
「え? ……なに?」
「村の娘たちに下賜してやれってセットだな。なかなか気が利いてるじゃねぇか」
「あ……、ああ!!」
見れば、包みには一つひとつ布地の切れ端が貼ってあって、開封しなくても中に入ってる布の色柄が分かるようになっていた。
「かぁ~っ! やるねぇ。コルベール伯爵家っていえば、第二王女侍女マノンの実家だろ!? あの黒縁眼鏡の!」
「え、ええ……」
「頭が小さくて、律儀そうな」
「……そうね」
「農作業にも丈夫な粗羊毛の布地に、下着に使える麻布。決して華美じゃなくて、高価でもないけど、手触りはいい」
「本当ね」
「女がオシャレに気を配り始めたら、なんていうんだ? 心の復興……、ってヤツが早まるんじゃねぇか?」
大きな木箱は全部で5つ。包みは無数にあって、領民の大人から子どもまで女性全員に配っても、まだ余りそうな数がある。
「おいおい、小さいけど手鏡まで入ってるぞ!? ……領民の身の丈にあわせた、それでも細やかな気遣いが嬉しいねぇ」
「……本当ね」
「手鏡も、一つひとつ、ちょっとずつデザインが違うな」
「ええ。可愛らしいわ」
「私だけの……、ってのが嬉しいもんだからな」
ソランジュ殿下の滞在中、決して長い期間ではなかったのに、マノンは、ガルニエ辺境伯領の状況をよく見てくれたのだろう。
実情を探る密偵の役を果たしていたのかもしれないけれど、その結果、父伯爵に進言してくれた贈物には、心躍らされた。
「……みんな、喜ぶだろうなぁ」
と、目を細めたザザと、ただひたすら数を数える。
そして、いちばん奥の木箱から、丁寧な文字で詳細に書かれた一覧表が出てきて、
「やってられっかぁ!!」
と、ザザと笑い合った。
~ガルニエ家 家規、第○○条~
先方からの送り状が入っている箱は、手前に置くこと。
太字で書いた。
Ψ
マノンが贈ってくれた〈女子の復興セット〉を配り歩く許可をカトランに求めた。
「……化粧?」
と、カトランが眉間にシワを寄せた。
「女子にとっては大切です。こう……、気持ちが華やぎますから」
と、口紅の見本をひとつ見せる。
「ほら。決して派手な色でもなくて、風紀を乱すようなものではありませんわ」
「ふむ……」
「ダ、ダメでしょうか……? みんな、喜ぶと思うのですが……」
「……しかし」
「はい……」
「当主夫人であるアデールでさえ、化粧などしていないというのに……」
「してます」
「……え?」
「してます」
真っ赤な瞳で、ジーッとわたしの顔を見詰めるカトラン。あまり、嬉しくない。
「……華美になり過ぎないよう、控え目にしておりますが……」
「そ、そうか……」
「毎朝、ザザにやってもらっています」
「あ……、うん」
ええ。わたし、〈おぼこい〉んですよね?
家風に合わせる努力だったのだけど……。
「……まあ、わたしは派手なお化粧が似合うタイプでもないので」
「あ、ああ。……す、すまなかった?」
そうです。ひと言、謝ってもおかしくない場面なのですよ?
「いえ。謝っていただくほどのことでは」
「……そ、そうか」
「みんなに、配ってもよろしいですわよね?」
「ああ……。アデールに任せる」
わたしとザザで、領内各地を巡ることにした。
なにせ、城に女性はわたしとザザだけ。領内を治める政庁に仕える、たった二人の女役人だとも言える。
それに、下着用の布も入ってるのだ。やはり、女性が配った方がいいだろう。
あとは、すべての集落に足を運んでそれぞれの実情を知った上で、家憲と家規を起草したいと考えていたところだったし、好都合だ。
「うわぁ~っ!! いただいていいんですかぁ!?」
と、ガビーが溌剌とした喜声をあげ、目をキラキラと輝かせてくれる。
包みの外から布地の色柄が分かるので、女子がみんなで、キャッキャと選ぶ。
マノンの律儀な一覧表をもとにして集落への配分を決めたので、配布の後先で不公平にならないように工夫できた。
ザザが、わたしの耳元に口を寄せた。
『……見ろよ。みんなの笑顔』
『ええ……、ほんとに嬉しそう』
『オシャレしたら、次は色恋にも目が向いていくかもしれねぇなぁ……』
手鏡を大切そうに握り締める小さな女の子を、母親が優しい眼差しで見守る。
お婆さんが試しに紅をさしてみて、みながキャアと騒いで、
「はやく爺さんに見せてあげなよ!」
と、背中を押す。
怒ったように照れながらも、乙女の表情に若返ったお婆さんがオズオズと家に帰る。
老いも若きも幼きも。女子の瞳をキラキラと輝かせる素敵な贈物だった。
風紀の乱れきった王都にも、このような贈物を選べる家が残っているのだと、温かい気持ちにもなれた。
ふと、みなの騒ぎに紛れて、ガビーが黙り込んでいるのに気が付いた。
難しい顔をして、黄色とオレンジ、ふたつの包みを交互に見比べている。
「ふふっ。迷ってるの?」
「あ、ええ……。う~ん……」
「じっくり選んでくれて大丈夫よ。わたし、みんなの話も聞きたいし」
「……マルク様は、どっちが好みなんですかねぇ……」
「ほっ、ほぉ~ん!?」
と、ザザが腕組みして、ガビーの顔を眺めた。
「あ、いや……、違いますよ? 違いますからね? そういうアレじゃなくてですね……」
と、ここまで慌てるガビーを見て、わたしもようやく気が付いた。
「ほっ、ほぉ~ん!?」
「なんですか、アデール様までぇ!? そういうのじゃなくてですね……」
これ以上からかうと、かえって逆効果になりそうだったので、ザザと微笑み合って、そっとしておくことにした。
「……アデールも口紅。もう少し、派手にする?」
「ううん、いいわ。わたし、おぼこいし」
こうして、領内各地の集落を巡る。
戦争の傷跡は一様ではなく、恐る恐る受け取る集落もあった。
けれど、耳を澄ますと、家屋の中から笑い声が聞こえる。
いまは、わたしに笑顔を見せてくれなくてもいい。少しずつ傷を癒して、前を向いてほしいと祈った。
貴賓室を塞いでいた贈物は、すべて荷解きできた。
実用的なものは活用し、無駄に華美なものはリュリュに買い取ってもらい財政の足しにした。
そして、伝票で知っていたのだけど、やはり母女大公からの贈物はなかった。
――わたしを無視しているのか……、単に大物ぶっているのか……。
母の心の内を考えることは、虚しさを募らせるだけだと、嫌というほど知っている。
行き先の決まらない贈物の中に、結構な量の麻布があった。
「どうするかね、これ?」
と、貯蔵庫に収めた麻布を、ザザと見上げた。
買い取ってもらっても知れているし、今すぐ使うところもない。
「あ……」
「なんだ、アデール?」
「……いいこと思い付いた」
「なんだ、なんだ?」
「グループ交際をやってみよう」
「グループ交際?」
「この麻布で」
と、スキップしながら部屋に戻り、カトランに提案する資料をまとめ始めた。
525
あなたにおすすめの小説
継子いじめで糾弾されたけれど、義娘本人は離婚したら私についてくると言っています〜出戻り夫人の商売繁盛記〜
野生のイエネコ
恋愛
後妻として男爵家に嫁いだヴィオラは、継子いじめで糾弾され離婚を申し立てられた。
しかし当の義娘であるシャーロットは、親としてどうしようもない父よりも必要な教育を与えたヴィオラの味方。
義娘を連れて実家の商会に出戻ったヴィオラは、貴族での生活を通じて身につけた知恵で新しい服の開発をし、美形の義娘と息子は服飾モデルとして王都に流行の大旋風を引き起こす。
度々襲来してくる元夫の、借金の申込みやヨリを戻そうなどの言葉を躱しながら、事業に成功していくヴィオラ。
そんな中、伯爵家嫡男が、継子いじめの疑惑でヴィオラに近づいてきて?
※小説家になろうで「離婚したので幸せになります!〜出戻り夫人の商売繁盛記〜」として掲載しています。
【完結】墓守令嬢は黒幕貴公子の溺愛に気付かない
三矢さくら
恋愛
結局のところ、貴族令嬢の運命など後ろ盾次第だ。
幼くしてお母様を亡くし、公爵だったお父様を12歳で亡くして5年。
わたし、公爵令嬢フェリシア・ストゥーレは、よく持ちこたえた方だと思う。
婚約者の第3王子に婚約破棄を突きつけられ、お飾り同然の結婚をしたわたし。
嫁ぎ先から向かったのは、亡き両親の眠る辺境の地。
3年ぶりに眼鏡をかけ、大好きな本に囲まれて過ごすうちに、どうやら、わたしは夫に溺愛されているらしい。
けれど、生憎とわたしはまったく気付かない。
なぜって?
本が面白くて、それどころじゃないから!
これは、亡き両親の墓守をしながら、第2の人生を謳歌しようとした公爵令嬢の物語。
......え? 陰謀? 何か企んでるんじゃないかって?
まさか、まさか。
わたしはただ、静かに暮らしたいだけですのよ?
婚約者を譲れと姉に「お願い」されました。代わりに軍人侯爵との結婚を押し付けられましたが、私は形だけの妻のようです。
ナナカ
恋愛
メリオス伯爵の次女エレナは、幼い頃から姉アルチーナに振り回されてきた。そんな姉に婚約者ロエルを譲れと言われる。さらに自分の代わりに結婚しろとまで言い出した。結婚相手は貴族たちが成り上がりと侮蔑する軍人侯爵。伯爵家との縁組が目的だからか、エレナに入れ替わった結婚も承諾する。
こうして、ほとんど顔を合わせることない別居生活が始まった。冷め切った関係になるかと思われたが、年の離れた侯爵はエレナに丁寧に接してくれるし、意外に優しい人。エレナも数少ない会話の機会が楽しみになっていく。
(本編、番外編、完結しました)
『異世界転生してカフェを開いたら、庭が王宮より人気になってしまいました』
ヤオサカ
恋愛
申し訳ありません、物語の内容を確認しているため、一部非公開にしています
この物語は完結しました。
前世では小さな庭付きカフェを営んでいた主人公。事故により命を落とし、気がつけば異世界の貧しい村に転生していた。
「何もないなら、自分で作ればいいじゃない」
そう言って始めたのは、イングリッシュガーデン風の庭とカフェづくり。花々に囲まれた癒しの空間は次第に評判を呼び、貴族や騎士まで足を運ぶように。
そんな中、無愛想な青年が何度も訪れるようになり――?
家族から冷遇されていた過去を持つ家政ギルドの令嬢は、旦那様に人のぬくもりを教えたい~自分に自信のない旦那様は、とても素敵な男性でした~
チカフジ ユキ
恋愛
叔父から使用人のように扱われ、冷遇されていた子爵令嬢シルヴィアは、十五歳の頃家政ギルドのギルド長オリヴィアに助けられる。
そして家政ギルドで様々な事を教えてもらい、二年半で大きく成長した。
ある日、オリヴィアから破格の料金が提示してある依頼書を渡される。
なにやら裏がありそうな値段設定だったが、半年後の成人を迎えるまでにできるだけお金をためたかったシルヴィアは、その依頼を受けることに。
やってきた屋敷は気持ちが憂鬱になるような雰囲気の、古い建物。
シルヴィアが扉をノックすると、出てきたのは長い前髪で目が隠れた、横にも縦にも大きい貴族男性。
彼は肩や背を丸め全身で自分に自信が無いと語っている、引きこもり男性だった。
その姿をみて、自信がなくいつ叱られるかビクビクしていた過去を思い出したシルヴィアは、自分自身と重ねてしまった。
家政ギルドのギルド員として、余計なことは詮索しない、そう思っても気になってしまう。
そんなある日、ある人物から叱責され、酷く傷ついていた雇い主の旦那様に、シルヴィアは言った。
わたしはあなたの側にいます、と。
このお話はお互いの強さや弱さを知りながら、ちょっとずつ立ち直っていく旦那様と、シルヴィアの恋の話。
*** ***
※この話には第五章に少しだけ「ざまぁ」展開が入りますが、味付け程度です。
※設定などいろいろとご都合主義です。
※小説家になろう様にも掲載しています。
【完結】私のことを愛さないと仰ったはずなのに 〜家族に虐げれ、妹のワガママで婚約破棄をされた令嬢は、新しい婚約者に溺愛される〜
ゆうき
恋愛
とある子爵家の長女であるエルミーユは、家長の父と使用人の母から生まれたことと、常人離れした記憶力を持っているせいで、幼い頃から家族に嫌われ、酷い暴言を言われたり、酷い扱いをされる生活を送っていた。
エルミーユには、十歳の時に決められた婚約者がおり、十八歳になったら家を出て嫁ぐことが決められていた。
地獄のような家を出るために、なにをされても気丈に振舞う生活を送り続け、無事に十八歳を迎える。
しかし、まだ婚約者がおらず、エルミーユだけ結婚するのが面白くないと思った、ワガママな異母妹の策略で騙されてしまった婚約者に、婚約破棄を突き付けられてしまう。
突然結婚の話が無くなり、落胆するエルミーユは、とあるパーティーで伯爵家の若き家長、ブラハルトと出会う。
社交界では彼の恐ろしい噂が流れており、彼は孤立してしまっていたが、少し話をしたエルミーユは、彼が噂のような恐ろしい人ではないと気づき、一緒にいてとても居心地が良いと感じる。
そんなブラハルトと、互いの結婚事情について話した後、互いに利益があるから、婚約しようと持ち出される。
喜んで婚約を受けるエルミーユに、ブラハルトは思わぬことを口にした。それは、エルミーユのことは愛さないというものだった。
それでも全然構わないと思い、ブラハルトとの生活が始まったが、愛さないという話だったのに、なぜか溺愛されてしまい……?
⭐︎全56話、最終話まで予約投稿済みです。小説家になろう様にも投稿しております。2/16女性HOTランキング1位ありがとうございます!⭐︎
【完結】氷の王太子に嫁いだら、毎晩甘やかされすぎて困っています
22時完結
恋愛
王国一の冷血漢と噂される王太子レオナード殿下。
誰に対しても冷たく、感情を見せることがないことから、「氷の王太子」と恐れられている。
そんな彼との政略結婚が決まったのは、公爵家の地味な令嬢リリア。
(殿下は私に興味なんてないはず……)
結婚前はそう思っていたのに――
「リリア、寒くないか?」
「……え?」
「もっとこっちに寄れ。俺の腕の中なら、温かいだろう?」
冷酷なはずの殿下が、新婚初夜から優しすぎる!?
それどころか、毎晩のように甘やかされ、気づけば離してもらえなくなっていた。
「お前の笑顔は俺だけのものだ。他の男に見せるな」
「こんなに可愛いお前を、冷たく扱うわけがないだろう?」
(ちょ、待ってください! 殿下、本当に氷のように冷たい人なんですよね!?)
結婚してみたら、噂とは真逆で、私にだけ甘すぎる旦那様だったようです――!?
「地味で無能」と捨てられた令嬢は、冷酷な【年上イケオジ公爵】に嫁ぎました〜今更私の価値に気づいた元王太子が後悔で顔面蒼白になっても今更遅い
腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢クラウディアは、婚約者のアルバート王太子と妹リリアンに「地味で無能」と断罪され、公衆の面前で婚約破棄される。
お飾りの厄介払いとして押し付けられた嫁ぎ先は、「氷壁公爵」と恐れられる年上の冷酷な辺境伯アレクシス・グレイヴナー公爵だった。
当初は冷徹だった公爵は、クラウディアの才能と、過去の傷を癒やす温もりに触れ、その愛を「二度と失わない」と固く誓う。
彼の愛は、包容力と同時に、狂気的な独占欲を伴った「大人の愛」へと昇華していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる