27 / 33
27.公女、ホッとする。
しおりを挟む
完成した家憲と家規の草案を、カトランに目を通してもらう。
執務室のソファで向かい合って座る。
「少し、細かすぎはしないか……?」
と、カトランが資料をめくりながら呟いた。
これでも村の娘たちと触れ合い、城の兵士たちと語らい、実際の生活を知った上で、かなり簡素化したのだ。
乱れきった状態を知るわたしの書く、ガルニエ家に相応しい規範と規則は、
――怨念かな……?
と、自分で苦笑するほどに細かかった。
八割方、簡素化しても、謹厳なカトランから見てさえ、まだ細かいらしい。
「もちろん、最後は当主であるカトランの判断に従います」
「……うむ」
「ただ……」
「いいぞ。言いたいことを、言ってくれ」
視線を手元に落とし言いよどむわたしに、カトランは優しい声音をかけてくれた。
軍隊の上官のような優しさ。
いまは、それが居心地良く感じてしまう。
「……乱れたものを正すのは、相当に骨が折れます」
「なるほど……」
「実情に合わせて緩めていく方が、今のガルニエ家には、むしろ受け入れられやすいかと……、思いました」
カトランが再び資料に視線を落とし、ちいさく何度か頷いた。
「……その考えで読み直せば、よく出来ている」
「あ……、ありがとうございます」
「俺も二、三、手を入れさせてもらい、それからマルクたちに諮ろう」
「は、はいっ!」
そして、手元に残しておいた資料を、恐る恐るカトランに差し出した。
「……も、もうひとつ、あります」
「ふむ……」
と、カトランが資料をめくる。
キュッと脇が締まる。唇が乾く。
「ん? ……グループ交際……、とは?」
「あ、あの……、間もなく、農地の再耕作業も終わり、兵たちにも村の娘たちにも、すこし時間に余裕が出来ます」
「ああ」
「なので……、交代にはなりますけど、すこし休暇を取らせてあげたい、な、と」
「……ふむ。休暇自体は……、分かるのだが……、一緒にか?」
「はい。……少しずつなのですが、兵と娘たちの間にあった垣根が低くなってきています」
「……そうなのか?」
「はい。……け、けれど、いま接点が減ると、また元に戻ることもあるかな……、と」
「ふむ……、それで?」
「み、みんなで温泉に行って、のんびりしてもらっては、と」
麻布がたくさん余っている。
交代で温泉地に行ってもらい、共用で着てもらう入浴衣ならサイズ違いを用意しても充分に足りる量だ。
山荘は三棟建っていて、男性用宿舎、女性用宿舎、そして管理棟に出来る。
「わ、わたし! ……管理に行きます。決して、ふ、ふしだらなことにはさせません。ピシッとさせます。清く正しく、リラックスした交流の機会になれば……」
「ふふっ。……まあ、落ち着け」
「は……、はい」
すごく早口になっていた。
カトランとパトリスと行った温泉旅行。
とても楽しくて、湯はとても気持ち良かった。肩の傷もすっかり治った。疲れもとれて体調が良くなった気もする。
なのに、今は誰も使っていないのが、すごくもったいない気もするのだ。
「……アデールも浸かるのか?」
「いいえ。わたしが一緒だと緊張させることもあるでしょうし……」
「そうか」
と、カトランが資料に目を落とす。
ふんふんと、何度か頷いた。
「……俺にだけ、アデールがいることが気にはなっていた」
「え?」
「皆にも、家庭を持ってほしいと、俺も考えている」
「は、はい!」
道の雪はすっかり融けて、今なら城から馬車で半日もかからない。
「……たしかに、あの湯を、辺境伯家だけで独占するのは少し申し訳ないな」
「そ、そうなんです!」
「まあ、試しに一度やってみたらいい」
「あ、ありがとうございます!」
「ふふっ。……領民のため、兵士のため、色々と考えてくれて、礼を言うのは俺の方だ。……ありがとう、アデール」
廊下に出て、ギュッと両拳を握った。
カトランに認めてもらった喜びより、緊張の方が大きい。
すこし急ぎ過ぎかなと、思わなくもない。
けど、これから春の訪れと一緒に、新しい生活への希望を抱いても欲しい。
集落の一つひとつは小さい。
閉じた環境で、将来の見通しも立たない状況が続くのは良くない気がする。
あの冷え切った大公家で、呼吸を浅く喘いでいた自分に重ねて考えるのは、行き過ぎだとは思うのだけど……。
小さくてもいい。なにか変化があれば、気の持ちようも変わるのではないか?
侍女マノンが領民たちのために贈ってくれた〈女子の復興セット〉のような、小さな変化でもいいと思うのだ。
お試し初回は、兵士側でマルク、村娘側でガビーに段取りをお願いした。
「ちょっと、露骨じゃない?」
と、ザザには笑われたけど、性格的にも明るく開放的なふたりが適任だと思うのだ。
慎重に人選してもらい、興味を持ってくれたら誘いをかける。
マルクとガビーが、わたしの部屋で額を突き合わせ、うんうんと悩んでくれ、準備を進めていく。
ただ、ふたりとも照れ隠しなのかなんなのか、
「がはははっ!」
「あはははっ!」
と、いつにも増して騒々しい。
ザザが、そっと、
『かぁ~。もどかしくて、たまらないねぇ~』
と、囁いた。
山荘にも足を運んで、万が一にも〈間違い〉が起きることのないよう設えを入念に確認して、不具合を補修してもらう。
お試し初回は、男女12人ずつ。
村娘で参加してくれる中には子連れの娘もいる。
ザザとふたり、入浴衣をチミチミ縫ったり、忙しく過ごす。
そんな中、パトリスがついに、カトランにチェスで初勝利をあげたのだ!
「すご~い! パトリス、すごいねぇ!」
カトランが、ナイト、ルーク、クイーンの駒を落した特別ルールのハンデ戦だけど、勝ちは勝ちだ!!
わーい!
照れ臭そうにするパトリスを、思わず抱き上げて喜んでしまった。
――あっ……。
と、思ったのだけど、杞憂だった。
とてもとても控え目な、とてもとても上品なドヤ顔で、パトリスは勝利を噛み締めていた。
「あれ? ……パトリス、すこし重たくなった?」
「……そう?」
と、これまた控え目に嬉しそうな笑顔を見せてくれた。
「……大人に近付いてるんだねぇ」
それから、駒を並べ直して、いまの対戦をカトランが解説してくれた。
「パトリスの、この一手が素晴らしかったな」
「……はい」
「ポーンの使い方が、上手くなった」
「は、はいっ!」
嬉しそうなパトリスを見るのは、わたしも嬉しいし、カトランも優しげな眼差しで見詰める。
城を囲む背の高い樹々から、ちいさな緑が見え始めた頃、突然、王都から先触れが届いた。
「お母様の……」
「ああ。……辺境伯叙爵への祝賀使を寄越すのだそうだ」
と、カトランから書簡を渡される。
贈物などでお茶を濁すのではなく、正式な使者を立て、王家に対抗しようということか……。
――使者は……、兄か、父か……、あるいは追放されたはずの姉ファネットか……。
と、緊張しながら書簡を確認した。
〈女大公侍女、ポワチエ男爵夫人〉
聞いたことのない名前だった。
わたしが王都を出てから、母の侍女になったのか。
知らない者である方が、ホッとする。
王都の政館で、母の城で、わたしを嘲笑っていた者の中には、いなかった者なのだ。
お試し初回の準備は一時中断して、祝賀使の受け入れ準備を始める。
マルクにも、騎士団長としてやるべきことが沢山ある。
まだ、ガルニエ辺境伯家に先例と呼べるほどのものはないけれど、ソランジュ殿下を接遇した際と見劣りしないよう準備しないといけない。
男爵夫人という身分より、母女大公の侍女で、正式な使者だという地位の方が優先される。
――姉のように追い返されては、母の面目は丸潰れ。さすがに、まともな者を選んでいると思うのだけど……。
と思いつつ、城の中で離れになっている、兵士たちとの接触が少ないであろう区画で、迎え入れの準備を進めた。
母は、わたし宛ての書簡を付けていなかった。
カトラン宛ての書簡から、読み取れるだけの情報を読み取り、従者に割り当てる宿舎も準備する。
いかんせん、この城にはまだメイドがいない。
兵士たちに手伝ってもらいながら、わたしとザザで準備を進めた。
そして、今年初めて暖かい風の吹いた快晴の日。祝賀使の馬車が到着した。
豪華ではあるけど、伝統的なデザイン。
母女大公が、ガルニエ家の家風を尊重して礼を尽くそうする姿勢が見られ、胸を撫で下ろした。
馬車から赤い絨毯が伸び、扉が開く。
首まで覆う、若草色をした抑制的なデザインのドレスが翻った。清楚な雰囲気。
使者が、カトランとわたしの前まで進み、スカートをつまんで広げ、お辞儀をする。
春風に、使者ポワチエ男爵夫人の緑がかった金髪がふわりと揺れた。
顔をあげると、透んだグリーンの瞳で、にっこりと微笑んだ。
パトリスと瓜二つの顔立ちで。
執務室のソファで向かい合って座る。
「少し、細かすぎはしないか……?」
と、カトランが資料をめくりながら呟いた。
これでも村の娘たちと触れ合い、城の兵士たちと語らい、実際の生活を知った上で、かなり簡素化したのだ。
乱れきった状態を知るわたしの書く、ガルニエ家に相応しい規範と規則は、
――怨念かな……?
と、自分で苦笑するほどに細かかった。
八割方、簡素化しても、謹厳なカトランから見てさえ、まだ細かいらしい。
「もちろん、最後は当主であるカトランの判断に従います」
「……うむ」
「ただ……」
「いいぞ。言いたいことを、言ってくれ」
視線を手元に落とし言いよどむわたしに、カトランは優しい声音をかけてくれた。
軍隊の上官のような優しさ。
いまは、それが居心地良く感じてしまう。
「……乱れたものを正すのは、相当に骨が折れます」
「なるほど……」
「実情に合わせて緩めていく方が、今のガルニエ家には、むしろ受け入れられやすいかと……、思いました」
カトランが再び資料に視線を落とし、ちいさく何度か頷いた。
「……その考えで読み直せば、よく出来ている」
「あ……、ありがとうございます」
「俺も二、三、手を入れさせてもらい、それからマルクたちに諮ろう」
「は、はいっ!」
そして、手元に残しておいた資料を、恐る恐るカトランに差し出した。
「……も、もうひとつ、あります」
「ふむ……」
と、カトランが資料をめくる。
キュッと脇が締まる。唇が乾く。
「ん? ……グループ交際……、とは?」
「あ、あの……、間もなく、農地の再耕作業も終わり、兵たちにも村の娘たちにも、すこし時間に余裕が出来ます」
「ああ」
「なので……、交代にはなりますけど、すこし休暇を取らせてあげたい、な、と」
「……ふむ。休暇自体は……、分かるのだが……、一緒にか?」
「はい。……少しずつなのですが、兵と娘たちの間にあった垣根が低くなってきています」
「……そうなのか?」
「はい。……け、けれど、いま接点が減ると、また元に戻ることもあるかな……、と」
「ふむ……、それで?」
「み、みんなで温泉に行って、のんびりしてもらっては、と」
麻布がたくさん余っている。
交代で温泉地に行ってもらい、共用で着てもらう入浴衣ならサイズ違いを用意しても充分に足りる量だ。
山荘は三棟建っていて、男性用宿舎、女性用宿舎、そして管理棟に出来る。
「わ、わたし! ……管理に行きます。決して、ふ、ふしだらなことにはさせません。ピシッとさせます。清く正しく、リラックスした交流の機会になれば……」
「ふふっ。……まあ、落ち着け」
「は……、はい」
すごく早口になっていた。
カトランとパトリスと行った温泉旅行。
とても楽しくて、湯はとても気持ち良かった。肩の傷もすっかり治った。疲れもとれて体調が良くなった気もする。
なのに、今は誰も使っていないのが、すごくもったいない気もするのだ。
「……アデールも浸かるのか?」
「いいえ。わたしが一緒だと緊張させることもあるでしょうし……」
「そうか」
と、カトランが資料に目を落とす。
ふんふんと、何度か頷いた。
「……俺にだけ、アデールがいることが気にはなっていた」
「え?」
「皆にも、家庭を持ってほしいと、俺も考えている」
「は、はい!」
道の雪はすっかり融けて、今なら城から馬車で半日もかからない。
「……たしかに、あの湯を、辺境伯家だけで独占するのは少し申し訳ないな」
「そ、そうなんです!」
「まあ、試しに一度やってみたらいい」
「あ、ありがとうございます!」
「ふふっ。……領民のため、兵士のため、色々と考えてくれて、礼を言うのは俺の方だ。……ありがとう、アデール」
廊下に出て、ギュッと両拳を握った。
カトランに認めてもらった喜びより、緊張の方が大きい。
すこし急ぎ過ぎかなと、思わなくもない。
けど、これから春の訪れと一緒に、新しい生活への希望を抱いても欲しい。
集落の一つひとつは小さい。
閉じた環境で、将来の見通しも立たない状況が続くのは良くない気がする。
あの冷え切った大公家で、呼吸を浅く喘いでいた自分に重ねて考えるのは、行き過ぎだとは思うのだけど……。
小さくてもいい。なにか変化があれば、気の持ちようも変わるのではないか?
侍女マノンが領民たちのために贈ってくれた〈女子の復興セット〉のような、小さな変化でもいいと思うのだ。
お試し初回は、兵士側でマルク、村娘側でガビーに段取りをお願いした。
「ちょっと、露骨じゃない?」
と、ザザには笑われたけど、性格的にも明るく開放的なふたりが適任だと思うのだ。
慎重に人選してもらい、興味を持ってくれたら誘いをかける。
マルクとガビーが、わたしの部屋で額を突き合わせ、うんうんと悩んでくれ、準備を進めていく。
ただ、ふたりとも照れ隠しなのかなんなのか、
「がはははっ!」
「あはははっ!」
と、いつにも増して騒々しい。
ザザが、そっと、
『かぁ~。もどかしくて、たまらないねぇ~』
と、囁いた。
山荘にも足を運んで、万が一にも〈間違い〉が起きることのないよう設えを入念に確認して、不具合を補修してもらう。
お試し初回は、男女12人ずつ。
村娘で参加してくれる中には子連れの娘もいる。
ザザとふたり、入浴衣をチミチミ縫ったり、忙しく過ごす。
そんな中、パトリスがついに、カトランにチェスで初勝利をあげたのだ!
「すご~い! パトリス、すごいねぇ!」
カトランが、ナイト、ルーク、クイーンの駒を落した特別ルールのハンデ戦だけど、勝ちは勝ちだ!!
わーい!
照れ臭そうにするパトリスを、思わず抱き上げて喜んでしまった。
――あっ……。
と、思ったのだけど、杞憂だった。
とてもとても控え目な、とてもとても上品なドヤ顔で、パトリスは勝利を噛み締めていた。
「あれ? ……パトリス、すこし重たくなった?」
「……そう?」
と、これまた控え目に嬉しそうな笑顔を見せてくれた。
「……大人に近付いてるんだねぇ」
それから、駒を並べ直して、いまの対戦をカトランが解説してくれた。
「パトリスの、この一手が素晴らしかったな」
「……はい」
「ポーンの使い方が、上手くなった」
「は、はいっ!」
嬉しそうなパトリスを見るのは、わたしも嬉しいし、カトランも優しげな眼差しで見詰める。
城を囲む背の高い樹々から、ちいさな緑が見え始めた頃、突然、王都から先触れが届いた。
「お母様の……」
「ああ。……辺境伯叙爵への祝賀使を寄越すのだそうだ」
と、カトランから書簡を渡される。
贈物などでお茶を濁すのではなく、正式な使者を立て、王家に対抗しようということか……。
――使者は……、兄か、父か……、あるいは追放されたはずの姉ファネットか……。
と、緊張しながら書簡を確認した。
〈女大公侍女、ポワチエ男爵夫人〉
聞いたことのない名前だった。
わたしが王都を出てから、母の侍女になったのか。
知らない者である方が、ホッとする。
王都の政館で、母の城で、わたしを嘲笑っていた者の中には、いなかった者なのだ。
お試し初回の準備は一時中断して、祝賀使の受け入れ準備を始める。
マルクにも、騎士団長としてやるべきことが沢山ある。
まだ、ガルニエ辺境伯家に先例と呼べるほどのものはないけれど、ソランジュ殿下を接遇した際と見劣りしないよう準備しないといけない。
男爵夫人という身分より、母女大公の侍女で、正式な使者だという地位の方が優先される。
――姉のように追い返されては、母の面目は丸潰れ。さすがに、まともな者を選んでいると思うのだけど……。
と思いつつ、城の中で離れになっている、兵士たちとの接触が少ないであろう区画で、迎え入れの準備を進めた。
母は、わたし宛ての書簡を付けていなかった。
カトラン宛ての書簡から、読み取れるだけの情報を読み取り、従者に割り当てる宿舎も準備する。
いかんせん、この城にはまだメイドがいない。
兵士たちに手伝ってもらいながら、わたしとザザで準備を進めた。
そして、今年初めて暖かい風の吹いた快晴の日。祝賀使の馬車が到着した。
豪華ではあるけど、伝統的なデザイン。
母女大公が、ガルニエ家の家風を尊重して礼を尽くそうする姿勢が見られ、胸を撫で下ろした。
馬車から赤い絨毯が伸び、扉が開く。
首まで覆う、若草色をした抑制的なデザインのドレスが翻った。清楚な雰囲気。
使者が、カトランとわたしの前まで進み、スカートをつまんで広げ、お辞儀をする。
春風に、使者ポワチエ男爵夫人の緑がかった金髪がふわりと揺れた。
顔をあげると、透んだグリーンの瞳で、にっこりと微笑んだ。
パトリスと瓜二つの顔立ちで。
500
あなたにおすすめの小説
継子いじめで糾弾されたけれど、義娘本人は離婚したら私についてくると言っています〜出戻り夫人の商売繁盛記〜
野生のイエネコ
恋愛
後妻として男爵家に嫁いだヴィオラは、継子いじめで糾弾され離婚を申し立てられた。
しかし当の義娘であるシャーロットは、親としてどうしようもない父よりも必要な教育を与えたヴィオラの味方。
義娘を連れて実家の商会に出戻ったヴィオラは、貴族での生活を通じて身につけた知恵で新しい服の開発をし、美形の義娘と息子は服飾モデルとして王都に流行の大旋風を引き起こす。
度々襲来してくる元夫の、借金の申込みやヨリを戻そうなどの言葉を躱しながら、事業に成功していくヴィオラ。
そんな中、伯爵家嫡男が、継子いじめの疑惑でヴィオラに近づいてきて?
※小説家になろうで「離婚したので幸せになります!〜出戻り夫人の商売繁盛記〜」として掲載しています。
無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……
タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
婚約者を譲れと姉に「お願い」されました。代わりに軍人侯爵との結婚を押し付けられましたが、私は形だけの妻のようです。
ナナカ
恋愛
メリオス伯爵の次女エレナは、幼い頃から姉アルチーナに振り回されてきた。そんな姉に婚約者ロエルを譲れと言われる。さらに自分の代わりに結婚しろとまで言い出した。結婚相手は貴族たちが成り上がりと侮蔑する軍人侯爵。伯爵家との縁組が目的だからか、エレナに入れ替わった結婚も承諾する。
こうして、ほとんど顔を合わせることない別居生活が始まった。冷め切った関係になるかと思われたが、年の離れた侯爵はエレナに丁寧に接してくれるし、意外に優しい人。エレナも数少ない会話の機会が楽しみになっていく。
(本編、番外編、完結しました)
私をいじめていた女と一緒に異世界召喚されたけど、無能扱いされた私は実は“本物の聖女”でした。
さくら
恋愛
私――ミリアは、クラスで地味で取り柄もない“都合のいい子”だった。
そんな私が、いじめの張本人だった美少女・沙羅と一緒に異世界へ召喚された。
王城で“聖女”として迎えられたのは彼女だけ。
私は「魔力が測定不能の無能」と言われ、冷たく追い出された。
――でも、それは間違いだった。
辺境の村で出会った青年リオネルに助けられ、私は初めて自分の力を信じようと決意する。
やがて傷ついた人々を癒やすうちに、私の“無”と呼ばれた力が、誰にも真似できない“神の光”だと判明して――。
王都での再召喚、偽りの聖女との再会、かつての嘲笑が驚嘆に変わる瞬間。
無能と呼ばれた少女が、“本物の聖女”として世界を救う――優しさと再生のざまぁストーリー。
裏切りから始まる癒しの恋。
厳しくも温かい騎士リオネルとの出会いが、ミリアの運命を優しく変えていく。
【完結】墓守令嬢は黒幕貴公子の溺愛に気付かない
三矢さくら
恋愛
結局のところ、貴族令嬢の運命など後ろ盾次第だ。
幼くしてお母様を亡くし、公爵だったお父様を12歳で亡くして5年。
わたし、公爵令嬢フェリシア・ストゥーレは、よく持ちこたえた方だと思う。
婚約者の第3王子に婚約破棄を突きつけられ、お飾り同然の結婚をしたわたし。
嫁ぎ先から向かったのは、亡き両親の眠る辺境の地。
3年ぶりに眼鏡をかけ、大好きな本に囲まれて過ごすうちに、どうやら、わたしは夫に溺愛されているらしい。
けれど、生憎とわたしはまったく気付かない。
なぜって?
本が面白くて、それどころじゃないから!
これは、亡き両親の墓守をしながら、第2の人生を謳歌しようとした公爵令嬢の物語。
......え? 陰謀? 何か企んでるんじゃないかって?
まさか、まさか。
わたしはただ、静かに暮らしたいだけですのよ?
三年の想いは小瓶の中に
月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。
※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。
悪役令嬢は調理場に左遷されましたが、激ウマご飯で氷の魔公爵様を餌付けしてしまったようです~「もう離さない」って、胃袋の話ですか?~
咲月ねむと
恋愛
「君のような地味な女は、王太子妃にふさわしくない。辺境の『魔公爵』のもとへ嫁げ!」
卒業パーティーで婚約破棄を突きつけられた悪役令嬢レティシア。
しかし、前世で日本人調理師だった彼女にとって、堅苦しい王妃教育から解放されることはご褒美でしかなかった。
「これで好きな料理が作れる!」
ウキウキで辺境へ向かった彼女を待っていたのは、荒れ果てた別邸と「氷の魔公爵」と恐れられるジルベール公爵。
冷酷無慈悲と噂される彼だったが――その正体は、ただの「極度の偏食家で、常に空腹で不機嫌なだけ」だった!?
レティシアが作る『肉汁溢れるハンバーグ』『とろとろオムライス』『伝説のプリン』に公爵の胃袋は即陥落。
「君の料理なしでは生きられない」
「一生そばにいてくれ」
と求愛されるが、色気より食い気のレティシアは「最高の就職先ゲット!」と勘違いして……?
一方、レティシアを追放した王太子たちは、王宮の食事が不味くなりすぎて絶望の淵に。今さら「戻ってきてくれ」と言われても、もう遅いです!
美味しいご飯で幸せを掴む、空腹厳禁の異世界クッキング・ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる