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弓師とエルフ
十六話 迷いと役割
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『ただいまです、ただいまですわ~!』
「おかえりルナリア。どうだった?」
長老たちに報告に行っていたルナリアとミラウッドが帰ってきた。
「やはりルナリア様のおっしゃるように、他所にある聖樹の根が消失したことが一連の原因であるだろうと長老方も結論づけた。問題は、今の状況がいつ解消されるかだが……」
『森のヤツってのはノロマだからなぁ。用事がある時に叩き起こすしかねぇんじゃねーの?』
『まぁー!? 風のお方は無礼極まりないですわ! ええ、極まりない!』
「ケンカは止めてくれな……」
かわいいイタチとウサギがケンカしている姿は一見すると微笑ましいんだが……。
実際はとんでもない力を秘めた精霊同士。
見守る側もハラハラする……!
「ともかく、私は今しばらくセロー様とルナリア様にお仕えするよう言われている。同胞たちに見回りの強化を手配した。もし、何かあれば……ルナリア様」
『ええ、ええ。わたくしにお任せくださいな! しっかりアドバイスしてあげます。ええ、しますとも!』
『コイツの尻拭いだけはゴメンだがな』
『んまーーーー!?』
「はいはい、そこまで」
ふわふわと浮きながら互いにキッと睨み合う二人。
間に入るように俺が制せば、「ふんっ」と鼻を鳴らしてそっぽを向いた。
「コーヤ。どうする?」
「ん?」
「元の場所に一刻も早く帰りたいのであれば、聖樹の精霊におうかがいするのが一番早いとは思う。だが、もし森を抜けて地道に探すならば、手間と根気は要るが……少なくとも『待つ』時間は少ない」
「……元の場所、か」
正直、自分がどうしたいのかまるで分からない。
異世界に対する不安は大いにある。
ただ、それが帰りたいに直結しているかと問われると……よく、分からない。
「……」
『『?』』
「?」
セロー、ルナリア、ミラウッドの顔を順に見る。
多分彼らの存在も大きな要因だ。
この世界で危険な目に遭うどころか、彼らに助けてもらって心地よく過ごせている。
それが無ければ一刻も早く帰りたいと願ったかもしれない。
「分からない」
「……そうか」
純粋な想いをミラウッドに伝えた。
もう四十路のいい大人だ。
他人に何かを伝える時はAなのか、Bなのか。
ハッキリとしていた方がいいとは分かっている。
相手も返事に困るからな。
でも心が本当に迷っている時に、そうであると伝えられるのは……。
ミラウッドのことを、俺が信頼しているからだと思う。
短い間ながら、彼の人柄はなんとなく分かってきた。
「……なら、今しばらく私たちと生活を共にし、ゆっくり考えてみるといい。幸いエルフというのは人間よりも時間があるからな」
「ありがとう」
元の場所に帰りたいかどうか。
それは未だ分からないが、もう一つ俺の中では迷っていることがある。
自分の役割だ。
「……それで、その。なにか手伝えることはないか?」
「手伝う?」
「ただ待っておくだけってのも気が引けるし……。それに、セローとルナリアのおかげでエルフ達からは俺のことも信用してもらってるけど。実際、俺自身は何者でもないんだし……なにか、役に立てたらなって。自分でエルフたちからの信頼を勝ち取りたいというか」
「コーヤ……」
『殊勝なこって』
『コーヤさま。素敵ですね、素敵です!』
そんな大層なものじゃない。
不安なだけだ。
何もできていない自分がここに居ていいのかと、自分で自分を責めたくなるだけだ。
まるで早気で弓を上手く引けない俺が、弓師でいてもいいのか。
それを自問自答する日々に似ている。
人のためと言いながら、全部自分のためだ。
「ふむ。……なら、私の手伝いをしてもらえるか?」
「! いいのか?」
「もちろんだ。私も助かる」
『コーヤがやるなら付き合ってやるかぁ』
『わたくしもですわー!』
「ありがとう、みんな」
いろいろ不安もあるが。
異世界で出会った人や精霊に、俺はずいぶんと助けられている。
「おかえりルナリア。どうだった?」
長老たちに報告に行っていたルナリアとミラウッドが帰ってきた。
「やはりルナリア様のおっしゃるように、他所にある聖樹の根が消失したことが一連の原因であるだろうと長老方も結論づけた。問題は、今の状況がいつ解消されるかだが……」
『森のヤツってのはノロマだからなぁ。用事がある時に叩き起こすしかねぇんじゃねーの?』
『まぁー!? 風のお方は無礼極まりないですわ! ええ、極まりない!』
「ケンカは止めてくれな……」
かわいいイタチとウサギがケンカしている姿は一見すると微笑ましいんだが……。
実際はとんでもない力を秘めた精霊同士。
見守る側もハラハラする……!
「ともかく、私は今しばらくセロー様とルナリア様にお仕えするよう言われている。同胞たちに見回りの強化を手配した。もし、何かあれば……ルナリア様」
『ええ、ええ。わたくしにお任せくださいな! しっかりアドバイスしてあげます。ええ、しますとも!』
『コイツの尻拭いだけはゴメンだがな』
『んまーーーー!?』
「はいはい、そこまで」
ふわふわと浮きながら互いにキッと睨み合う二人。
間に入るように俺が制せば、「ふんっ」と鼻を鳴らしてそっぽを向いた。
「コーヤ。どうする?」
「ん?」
「元の場所に一刻も早く帰りたいのであれば、聖樹の精霊におうかがいするのが一番早いとは思う。だが、もし森を抜けて地道に探すならば、手間と根気は要るが……少なくとも『待つ』時間は少ない」
「……元の場所、か」
正直、自分がどうしたいのかまるで分からない。
異世界に対する不安は大いにある。
ただ、それが帰りたいに直結しているかと問われると……よく、分からない。
「……」
『『?』』
「?」
セロー、ルナリア、ミラウッドの顔を順に見る。
多分彼らの存在も大きな要因だ。
この世界で危険な目に遭うどころか、彼らに助けてもらって心地よく過ごせている。
それが無ければ一刻も早く帰りたいと願ったかもしれない。
「分からない」
「……そうか」
純粋な想いをミラウッドに伝えた。
もう四十路のいい大人だ。
他人に何かを伝える時はAなのか、Bなのか。
ハッキリとしていた方がいいとは分かっている。
相手も返事に困るからな。
でも心が本当に迷っている時に、そうであると伝えられるのは……。
ミラウッドのことを、俺が信頼しているからだと思う。
短い間ながら、彼の人柄はなんとなく分かってきた。
「……なら、今しばらく私たちと生活を共にし、ゆっくり考えてみるといい。幸いエルフというのは人間よりも時間があるからな」
「ありがとう」
元の場所に帰りたいかどうか。
それは未だ分からないが、もう一つ俺の中では迷っていることがある。
自分の役割だ。
「……それで、その。なにか手伝えることはないか?」
「手伝う?」
「ただ待っておくだけってのも気が引けるし……。それに、セローとルナリアのおかげでエルフ達からは俺のことも信用してもらってるけど。実際、俺自身は何者でもないんだし……なにか、役に立てたらなって。自分でエルフたちからの信頼を勝ち取りたいというか」
「コーヤ……」
『殊勝なこって』
『コーヤさま。素敵ですね、素敵です!』
そんな大層なものじゃない。
不安なだけだ。
何もできていない自分がここに居ていいのかと、自分で自分を責めたくなるだけだ。
まるで早気で弓を上手く引けない俺が、弓師でいてもいいのか。
それを自問自答する日々に似ている。
人のためと言いながら、全部自分のためだ。
「ふむ。……なら、私の手伝いをしてもらえるか?」
「! いいのか?」
「もちろんだ。私も助かる」
『コーヤがやるなら付き合ってやるかぁ』
『わたくしもですわー!』
「ありがとう、みんな」
いろいろ不安もあるが。
異世界で出会った人や精霊に、俺はずいぶんと助けられている。
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