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本編
第十八話 偶然の痕跡
しおりを挟む休日の午後、部屋を片付けていた翔太は、ふとクローゼットの奥に手を伸ばした。
取り出したコートのポケットから、小さな紙片が落ちる。
『風邪ひかないでね』――見慣れた字だった。
「……遥……」
翔太はその場に崩れ落ち、震える手でメモを握りしめた。視界が涙で滲んでいく。
さらに台所の棚を整理していると、古びたノートが見つかった。ページを開けば、料理のレシピが丁寧に書き込まれている。
その隅には、小さな走り書きでこう記されていた。
『翔太が好き』
「……馬鹿……なんで、こんなこと……」
嗚咽を漏らしながら、翔太はノートを胸に抱きしめた。
背後で様子を見ていた陽が、黙って翔太の肩に手を置く。翔太はその温もりに縋るように泣き続けた。
――俺はまだ前に進めない。でも……お前の想いだけは、ちゃんと受け取ったよ。
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