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58.共犯者
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殿下は宰相との事を中心に何気ない会話をし確信を引き出そうとしている様に感じる。
「先日来国なさったジャン王太子の為に、事前調査にお見えになった側近の方のお手伝いさせていただき光栄でしたわ!」
「イブリン嬢はヴェルディアとレイシャルの友好に尽力したのだね。素晴らしい女性だ。側近の方のお手伝いとはどのような事を?」
殿下は私から少し離れて前屈みになり、興味深そうにイブリン様に話しを続けています。イブリン様は殿下の視線が自分に向いて恍惚とした表情を浮かべ、聞いてもない話しも自発的に話していきます。流石だ次期王だけあり違和感なくイブリン様の会話を誘導し言質をとっていく。
「どのようなお手伝いをされたのですか?貴女なら私の手伝いを出来るやもしれません」
「まぁ!殿下の為ならどんな事でも致しますわ。例えテッド様と婚約解消しお傍にと仰っても…」
『うわぁ…婚約者の前で他の男性に言い寄ってる』
テッド様はとうとう顔色が無くなり真っ白な顔をされている。相反して男爵様は真っ赤な顔をして怒り心頭だ。
「失礼いたします」
男爵家の執事さんが男爵様に何かを渡し男爵に耳打ちする。さっきまで真っ赤だった男爵様は今度は真っ青な顔をして立上り、ふらふらになりながら殿下に何かを渡した。受け取った殿下は大きな封筒から手紙を取り出し読み不敵な笑みを浮かべる。不穏な雰囲気に変わり恐くなって後ろに控えるアレックスを見上げたら微笑みながら頷いてくれた。まるで”心配するな”と言っている様だ。
「イブリン嬢。今までの話を総括すると貴女はライナーの共犯者になりますね。男爵が証拠も見つけたので言い逃れはできませんよ」
「えっ⁈私が共犯者?殿下何を仰っているか分かりません。お義父様どうゆう事ですか!」
怒りに肩を震わせイブリン様を睨みつけ怒鳴る男爵様。
「殿下からお話をお聞きした時に間違いなくお前ならやるだろうと思ったよ。容姿ばかり気にしてテッドの事は後回しにし高位貴族で容姿のいい男性にいい寄っていたのを知らないと思っていたのか!
お前が連れて来た侍女がヴェルディアの宰相からの密書を預かっていたと自供した。今殿下が読まれた手紙がそうだ!テッド!これで婚約解消できるぞ!お前もいい加減目を覚ませ!」
状況を理解できない私は殿下の袖を引っ張り
『殿下…意味が分かりません』
「大丈夫だよ春香。悪の芽は全部摘み取っておかないとまた悪事を生んでしまうからね。アレク!ここからの話は春香には辛いだろうから別室で春香と待っていなさい。男爵、春香に別室を」
執事さんが慌てて退室しアレックスさんが私の手を引いて退室する。応接室を出る時にイブリン様と目が合った。すさまじい視線が突き刺さる。あんな悪意のある視線を送られたのは生まれて初めてだ。怖くて震えるとアレックスさんが気付いて抱き寄せて振り返り
「イブリン嬢。貴女は容姿は確かに美しいが心が伴っていない。心の醜さがお顔に出ていますよ。女性には失礼だが大変醜い…」
「なっ!」
イブリン様は顔を真っ赤にして何か言っているが、アレックスさんが私の耳を塞いでいてよく聞こえない。そのまま執事さんの案内で別室で待つことになった。部屋にはアレックスさんと私だけで扉外に侯爵家の騎士さんが2名いる。
時折大きな物音がしている。あちらの部屋で何が起こっているのか気になるが、目が合うたびにアレックスさんが『大人しくしていろ』っと目で語る。
半時間程経った頃に執事さんが入室してきて先ほどの応接室に私達を案内した。どうやら解決?決着?したようだ。
応接室に入るとイブリン様とテッド様は居なかった。この時点で不安が襲う。
殿下はいつも通りロイヤルスマイルで私をエスコートし隣に座らせた。目の前には男爵様が座っていて、心なしか男爵様は憑きものが取れたかの様にすっきしたお顔をされている。
「春香。すまないね。用事は終わったよ。次の目的地に行こう」
『何があったか教えてくれないんですか?』
「それは馬車で話すよ。男爵、テッド殿は優しすぎる様だ。後継ぎならば奥方もそれ相当の令嬢を見極めなければ家は没落するぞ。本来なら一家から謀反者を出した場合は相当の罪に問われるが、今回は進んで解明に協力したことを考慮し不問とする。陛下にも私から陳情してある故安心するがいい。欲を出さす堅実に領地を治めよ」
「殿下のご恩情感謝いたします。愚息は暫く王都で騎士団に入れ鍛え直したいと思っております。一人息子で甘やかした結果だと反省しております」
「では、私は春香とのデートがあるので帰るぞ。春香。待たせたね。さぁデートの続きをしよう」
殿下只の挨拶じゃないじゃん!事件の域だし…でもやっとお出かけだ。やっと気分よくなって来た。
「男爵。見送りはいい。後始末が忙しいであろう」
男爵様にお辞儀をして男爵邸をあとにした。
『さぁ!出発しましたよ!何があったか教えてください』
ヴェルディアの私の拉致未遂事件はまだ終わっていなかったようだ。ライナーがコールマン領のグリフの森に潜入した際に、怪我を負ったライナーを匿い治療がしたのがイブリン様だった。イブリン様は伯父のアントンから手紙を受けコールマン領に潜入するライナーの手助けをする様に指示を受けていた。見返りはヴェルディアでの高位貴族の縁談だった。イブリン様はヴェルディアでは侯爵家の令嬢。付き合わせでテッド様の猛アタックで婚約したが思いのほか位が低く、婚約期間中に他の貴族男性との縁を探していた。そこに高位貴族との縁組に喜んで協力した。
『殿下は何故イブリン様を怪しいと思ったのですか?』
殿下が報告を受け引っかかったのはライナーがグリフの森から逃げて何処に潜伏していたのかだ。
かなりの傷を負っていたはず。しかしコールマン領近辺で目撃談がなかった。
最後の足取りはデストロン男爵領。しかしこの日
男爵とテッド様は商談の為王都に滞在していた。
留守を守る夫人は体調を崩して伏せており、コールマン家から問い合わせにはイブリン様が対応したらしい。殿下は男爵家に疑惑を持ち調べる。するとイブリン様がヴェルディア出身でアントンの姪だと判明。更に調べると事件の10日前にヴェルディアからイブリン様宛に手紙が届いていた事が分かった。
「状況証拠はある。後は自白と物証が出ればイブリン嬢が関与した事が判明する。失礼だが彼女は賢くない。手紙も手元にあるだろうし、誘導してやればすぐ自白する。それにライナーの証言だけでは弱いのだ。ジャン王太子は切れ者だが優しすぎるところがある。曲者の現王と側近を全て下すとなると一筋縄ではいかないだろう。だから決定打になる証拠を提供してあげるのさ。一刻も早くジャン王太子には王位を継いでもらい春香に謝罪してもらわないといけいし、光石の取引を早急に進めたいしね」
『イブリン様はどうなるのですか?』
婚約は基本女性が破棄を望まない限り解消は出来ないが、例外があり女性が犯罪を犯したり不貞を犯した時は男性から破棄を申請できる。今回は拉致未遂の共犯になった為、テッド様から破棄を教会に申しですれば破棄となる。破棄となればレイシャルに身分が無くなるので事実上の国外退去になる。
テッド様はイブリン様護送に付き添い王都の教会へ婚約破棄の手続きに行き、イブリン様は王都に護送され王都にて手続き後に直ちに送還となる。
「ここで春香の交渉術が役に立った。イブリン嬢に司法取引を持ち掛けレイシャルでは罪を課さない代わりに、ヴェルディアに帰国後にジャン王太子に有利な証言をする様に約束させ誓約書にサインを書かせた。これが決定打になり確実にアントンは落とせるだろう。後はジャン王太子がアントンに司法取引を持ち掛け王を引きずりおろせばいい。一切血は流れず解決する」
淡々と経緯を話す殿下はいつもと違う人に見える。いずれ国を治めるだけあり冷静かつ的確に情報を分析し一手、二手も先を見据えている。
少し見直した。チヤホヤされて我儘な王子だと思っていた。意外な一面を見て少し意識してしまう。
「春香?」
『なんでもないです』
「顔が赤いよ⁈無理させたかぃ?このまま屋敷に戻ろうか?」
『大丈夫です。帰りたくない…殿下とお出かけしたい!』
「嬉しいよ。私も春香とのデートは楽しい!ただ無理はいけない。疲れたら早目に言ってくれ」
頷くと優しく抱きしめくれる殿下。今までに無い感情に戸惑っていたら目的地についたようだ。
アレックスさんが扉を開けてくれ殿下のエスコートで馬車を降りたら…
『図書館⁈』
「ここでは無いが春香と初めて合った場所だね。あの日から私の人生がやっと始まったんだよ」
殿下は感慨深そうに図書館を見ている。“そうだ!”
殿下の前に行き両手で殿下の頬を持ちぐっと引き寄せた。
「春香!なにを!」
『確か…左の顳顬の…あー良かった!傷は残っていませんね』
そう気になったのは初めて会った時、落ちて来た本から殿下が身を挺して守ってくれ怪我をした。
王族である殿下のお顔に傷が残っては大変だ。
色々あり過ぎて忘れていたよ。
「春香…近いよ我慢の限界…」
『ごめんな…ん!』
“ちゅ!”
一瞬殿下の柔らかい唇が私の唇に触れた!
「ごめん…春香…我慢の限界だった」
『・・・』
思考が停止してなんて答えていいか分からなくて立ち尽くす。
でも…嫌では無かったよ…どうしよう…困った!
「先日来国なさったジャン王太子の為に、事前調査にお見えになった側近の方のお手伝いさせていただき光栄でしたわ!」
「イブリン嬢はヴェルディアとレイシャルの友好に尽力したのだね。素晴らしい女性だ。側近の方のお手伝いとはどのような事を?」
殿下は私から少し離れて前屈みになり、興味深そうにイブリン様に話しを続けています。イブリン様は殿下の視線が自分に向いて恍惚とした表情を浮かべ、聞いてもない話しも自発的に話していきます。流石だ次期王だけあり違和感なくイブリン様の会話を誘導し言質をとっていく。
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「えっ⁈私が共犯者?殿下何を仰っているか分かりません。お義父様どうゆう事ですか!」
怒りに肩を震わせイブリン様を睨みつけ怒鳴る男爵様。
「殿下からお話をお聞きした時に間違いなくお前ならやるだろうと思ったよ。容姿ばかり気にしてテッドの事は後回しにし高位貴族で容姿のいい男性にいい寄っていたのを知らないと思っていたのか!
お前が連れて来た侍女がヴェルディアの宰相からの密書を預かっていたと自供した。今殿下が読まれた手紙がそうだ!テッド!これで婚約解消できるぞ!お前もいい加減目を覚ませ!」
状況を理解できない私は殿下の袖を引っ張り
『殿下…意味が分かりません』
「大丈夫だよ春香。悪の芽は全部摘み取っておかないとまた悪事を生んでしまうからね。アレク!ここからの話は春香には辛いだろうから別室で春香と待っていなさい。男爵、春香に別室を」
執事さんが慌てて退室しアレックスさんが私の手を引いて退室する。応接室を出る時にイブリン様と目が合った。すさまじい視線が突き刺さる。あんな悪意のある視線を送られたのは生まれて初めてだ。怖くて震えるとアレックスさんが気付いて抱き寄せて振り返り
「イブリン嬢。貴女は容姿は確かに美しいが心が伴っていない。心の醜さがお顔に出ていますよ。女性には失礼だが大変醜い…」
「なっ!」
イブリン様は顔を真っ赤にして何か言っているが、アレックスさんが私の耳を塞いでいてよく聞こえない。そのまま執事さんの案内で別室で待つことになった。部屋にはアレックスさんと私だけで扉外に侯爵家の騎士さんが2名いる。
時折大きな物音がしている。あちらの部屋で何が起こっているのか気になるが、目が合うたびにアレックスさんが『大人しくしていろ』っと目で語る。
半時間程経った頃に執事さんが入室してきて先ほどの応接室に私達を案内した。どうやら解決?決着?したようだ。
応接室に入るとイブリン様とテッド様は居なかった。この時点で不安が襲う。
殿下はいつも通りロイヤルスマイルで私をエスコートし隣に座らせた。目の前には男爵様が座っていて、心なしか男爵様は憑きものが取れたかの様にすっきしたお顔をされている。
「春香。すまないね。用事は終わったよ。次の目的地に行こう」
『何があったか教えてくれないんですか?』
「それは馬車で話すよ。男爵、テッド殿は優しすぎる様だ。後継ぎならば奥方もそれ相当の令嬢を見極めなければ家は没落するぞ。本来なら一家から謀反者を出した場合は相当の罪に問われるが、今回は進んで解明に協力したことを考慮し不問とする。陛下にも私から陳情してある故安心するがいい。欲を出さす堅実に領地を治めよ」
「殿下のご恩情感謝いたします。愚息は暫く王都で騎士団に入れ鍛え直したいと思っております。一人息子で甘やかした結果だと反省しております」
「では、私は春香とのデートがあるので帰るぞ。春香。待たせたね。さぁデートの続きをしよう」
殿下只の挨拶じゃないじゃん!事件の域だし…でもやっとお出かけだ。やっと気分よくなって来た。
「男爵。見送りはいい。後始末が忙しいであろう」
男爵様にお辞儀をして男爵邸をあとにした。
『さぁ!出発しましたよ!何があったか教えてください』
ヴェルディアの私の拉致未遂事件はまだ終わっていなかったようだ。ライナーがコールマン領のグリフの森に潜入した際に、怪我を負ったライナーを匿い治療がしたのがイブリン様だった。イブリン様は伯父のアントンから手紙を受けコールマン領に潜入するライナーの手助けをする様に指示を受けていた。見返りはヴェルディアでの高位貴族の縁談だった。イブリン様はヴェルディアでは侯爵家の令嬢。付き合わせでテッド様の猛アタックで婚約したが思いのほか位が低く、婚約期間中に他の貴族男性との縁を探していた。そこに高位貴族との縁組に喜んで協力した。
『殿下は何故イブリン様を怪しいと思ったのですか?』
殿下が報告を受け引っかかったのはライナーがグリフの森から逃げて何処に潜伏していたのかだ。
かなりの傷を負っていたはず。しかしコールマン領近辺で目撃談がなかった。
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男爵とテッド様は商談の為王都に滞在していた。
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「状況証拠はある。後は自白と物証が出ればイブリン嬢が関与した事が判明する。失礼だが彼女は賢くない。手紙も手元にあるだろうし、誘導してやればすぐ自白する。それにライナーの証言だけでは弱いのだ。ジャン王太子は切れ者だが優しすぎるところがある。曲者の現王と側近を全て下すとなると一筋縄ではいかないだろう。だから決定打になる証拠を提供してあげるのさ。一刻も早くジャン王太子には王位を継いでもらい春香に謝罪してもらわないといけいし、光石の取引を早急に進めたいしね」
『イブリン様はどうなるのですか?』
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テッド様はイブリン様護送に付き添い王都の教会へ婚約破棄の手続きに行き、イブリン様は王都に護送され王都にて手続き後に直ちに送還となる。
「ここで春香の交渉術が役に立った。イブリン嬢に司法取引を持ち掛けレイシャルでは罪を課さない代わりに、ヴェルディアに帰国後にジャン王太子に有利な証言をする様に約束させ誓約書にサインを書かせた。これが決定打になり確実にアントンは落とせるだろう。後はジャン王太子がアントンに司法取引を持ち掛け王を引きずりおろせばいい。一切血は流れず解決する」
淡々と経緯を話す殿下はいつもと違う人に見える。いずれ国を治めるだけあり冷静かつ的確に情報を分析し一手、二手も先を見据えている。
少し見直した。チヤホヤされて我儘な王子だと思っていた。意外な一面を見て少し意識してしまう。
「春香?」
『なんでもないです』
「顔が赤いよ⁈無理させたかぃ?このまま屋敷に戻ろうか?」
『大丈夫です。帰りたくない…殿下とお出かけしたい!』
「嬉しいよ。私も春香とのデートは楽しい!ただ無理はいけない。疲れたら早目に言ってくれ」
頷くと優しく抱きしめくれる殿下。今までに無い感情に戸惑っていたら目的地についたようだ。
アレックスさんが扉を開けてくれ殿下のエスコートで馬車を降りたら…
『図書館⁈』
「ここでは無いが春香と初めて合った場所だね。あの日から私の人生がやっと始まったんだよ」
殿下は感慨深そうに図書館を見ている。“そうだ!”
殿下の前に行き両手で殿下の頬を持ちぐっと引き寄せた。
「春香!なにを!」
『確か…左の顳顬の…あー良かった!傷は残っていませんね』
そう気になったのは初めて会った時、落ちて来た本から殿下が身を挺して守ってくれ怪我をした。
王族である殿下のお顔に傷が残っては大変だ。
色々あり過ぎて忘れていたよ。
「春香…近いよ我慢の限界…」
『ごめんな…ん!』
“ちゅ!”
一瞬殿下の柔らかい唇が私の唇に触れた!
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