時空の迷い子〜異世界恋愛はラノベだけで十分です〜

いろは

文字の大きさ
69 / 137

69.謎の女性

しおりを挟む
ぼんやり辺りが見えて来た。真っ白な空間?誰も居ないし何もない。ここは何処だろう⁈もしかして夢の中かなぁ…
取りあえずウロウロしてみるが歩けど歩けど誰にも会わない。呆然としているといきなり背後に気配を感じ振り返ると前に夢で出て来た桜色の髪の美女が現れた。

「えっと…ここは何処で貴女は?」
「・・・」
『無反応ですか⁈感じ悪い』
「なぜ?」
「はぃ?」
「何故、何にも優れたところのない貴女が選ばれるの⁈」
『失礼だなぁ!』

初対面なのに第一声でディスってきた。少し嫌な顔をしでもここは冷静に

「初対面ですよね。いきなり非難される謂れは無いと思うし名乗るのが常識でしょ!」
「貴女にはローランド殿下やアレックスが居るじゃない。なぜミハイルにまで色目を使うの⁈」
「はぃ?色目なんて使っていません」

ふと気づく。この女性は今まで会った女性の中で一番綺麗だ。背は高くパッチ二重に鼻筋は通り魅力的なぽってりとした唇。出るとこは強烈に出て締まところは給料日前の財布の様に引き締まっている。
謎の美女は値踏みするかの様に私の周りを歩き“ふん!”っと鼻で笑いやがった!
平和主義者の私もいい加減腹が立ってきてその場から立ち去ろうとしたら…

「貴女にはミハイルは渡さない。私が先に彼に会い彼を愛したの!後から来た貴女は邪魔なのよ!」

腕を掴まれた!痛い!か弱そうに見えて凄い力。腕はミシミシいっている。
「やだ!」思いっきり腕は振り払った

「ハル!大丈夫か⁈」

目の前にミハイルさんのドアップ!少し動くとキスしちゃいそうな程近い。どうやらミハイルさんに抱きしめられているようだ。

「あれ?夢?」
「よほど怖い夢を見ていたんだな…大丈夫か?魘されていたぞ。そんなに怖い夢だったのか⁈」
「あのね、ゴラスでは桜色の女性って多いの?」
「・・・なぜそんな事を聞くんだ?」

焦り出すミハイルさんに嫌な予感がしてきた。

「今回2回目だけど桜色の髪の女性が夢に出てくるから。それもめっちゃ感じ悪くて、ミハイルさんに色目使うなった絡まれ…ってあれ?」

アレックスさんばりの眉間の皺だ。師範のアレックスさんに負けるけどレベル4くらい?

「ミハイルさん?」
「ハルに嫌な思いをしてほしく無くて黙っていたが、その女性は口元の右に黒子は無かったか?」

ミハイルさんに指摘されて思い出すと確かにあったセクシー黒子。

「うん!あった!セクシー黒子」
「セクシーの意味は知らんがそれはゴラス第1王女のアンリ殿下だ」
「あのミハイルさんにずっと求婚している?」
「あぁ…」

話には聞いているが会った事もないし向こうも知らないはずだけど。

「気にするな俺にはハルだけた。他は何も欲しくない。アンリ王女は俺が加護を受けているのを知らず、求婚を断る俺が腑に落ちないだろう」
「夢でご本人を知らないけど凄い美人だったよ。スタイルも抜群で魅力的だったし…優良物件⁈…あっ…ごめんなさい今のは冗談です」

一瞬ミハイルさんが殺気立った。怖い…余計な事は言わない様にしよう。この話はここでミハイルさんが強制終了した。
この後、機嫌悪いミハイルさんに少し媚びておこうと、ミハイルさんの手を握り微笑んだらとろけるような微笑みを返してくれる。
「へへ…」嫌な夢も忘れて胸の奥がポカポカしてきた。

そうしているうちに見慣れた景色が広がって来た。

「ん?」犬の遠吠え?
「ミハイルさんワンダ?」
「ワンダだなぁ」

2人で窓から外を見ると遠くから黒い塊が向かって来る。やっぱりワンダだ!少し見ない間に一回り大きくなっている。

「ばぁう!ばぁう~ん!」

お迎えが来たと言う事は屋敷が近いという事だ。
ワンダは馬車に並走しついて来る。着いたらいっぱいもふもふしてあげよう!
大きな門をくぐり屋敷前に着いた。扉が開きミハイルさんのエスコートで降りるとクロードさんと屋敷の皆さんが迎えてくれた。

「お帰りなさいませ。春香様」
「皆さんご無沙汰してます。会えて嬉しいです」
「お疲れでございましょう。お茶をご用意してございます」
「ありがとうございます。お世話になります」

屋敷入る前に横でお座りをして高速で尻尾を振るワンダをもふってあげないと!
ワンダの前に屈むと我慢の限界とばかりにワンダが飛びついて来てベロベロ攻撃を受け、化粧はとれ聞い事はあったが本当なんだとビックリ!
なんとワンダは嬉ションして抱きついて来たから服もビチョビチョになってしまった。でも嫌ではなくこんなに喜んでくれたのが嬉しい。ワンダは犬語?ずっと何か喋っている。まるで子供が親に今日あった出来事を話してる様だ。中々興奮治らないワンダにミハイルさんが

「ワンダ!ステイ!」
「ばぁう!」

訓練されているワンダはミハイルさんの指示従い私から離れて伏せをした。ミハイルさんは苦笑しながら

「ワンダの歓迎は熱烈たなぁ。ハルお茶の前にまずは部屋で湯浴みしておいで」
「うん。そうする…先に行ってて下さい。ワンダ!明日の朝散歩しようね!」
「ばぁう!」

立ち上がり屋敷入口に向かうとモリーさんがいて

「春香様。お帰りなさいませ。またお会い出来て嬉しいですわ。さぁ!まずは湯浴みなさって下さい」

ミハイルさんと別れてモリーさんと部屋に行ったら町屋敷に移る前と変わりなく綺麗にされている。浴槽に浸かると長時間座って凝り固まった体が解れて行くのを感じリラックスしさっぱりした。
モリーさんが用意してくれた臙脂色のワンピースに着替え応接室に向かうとミハイルさんとクロードさんが話をしていた。ミハイルさんはすぐ立ち上がり手を取り隣に座らせくれた。するとロックさんがケーキとお茶を用意してくれる。

「ロックさん。お久しぶりです。今日はよろしくお願いしますね」
「また春香様の給仕が出来て幸せでございます。ごゆっくりなさって下さい」

出されたケーキは私が好きな濃厚ショコラのケーキで思わず顔が綻ぶ。美味しくいただいている。
クロードさんの視線に気付き顔を向けると慈愛に満ちた微笑みを向けられた。相変わらず男前だ。
それに対してミハイルさんは書類を見て険しい顔をしている。

「クロード。引き続き調査をしてくれ。お前に権限を与える。処理してくれ」
「畏まりました」

何か物騒な話をしている。ミハイルさんを見ていたら微笑まれた。その微笑みに私が聞いてはいけない話なんだと察してまたケーキを頬張る。
この後屋敷の皆さんと雑談したり屋敷の庭が変わっていたのでミハイルさんとワンダと散歩しゆったりと過ごして1日を終えた。

翌朝早く起きて港町に行く準備をする。歩きまわる為、丈が少し短めのクリームに小花柄のワンピースをモリーさんが選んでくれた。
用意が済むと部屋にクロードさんが迎えに来てくれた。エントランスまで久しぶりにクロードさんと話ながら向かう。他愛もない世間話をしていたら、急にクロードさんが

「なにがあってもミハイル様を信じて下さい。あの方は貴女を裏切らない」
「クロードさん!何かのフラグですか?怖いんですが!」

理由を聞くと付き合わせが近く貴族が良縁を求めて動いだすらしい。どうやら私とミハイルさんの婚約はかりそめなのがバレてるし、ミハイルさんは言うまでもなく超優良物件だ。そして私は多重婚が許されていてその上ローランド殿下が求婚中。
つまり2人とも狙われているらしい。クロードさん曰く付き合いが近づくと毎年こうらしい。

「街では必ずミハイル様と一緒にいて下さい」
「はい」

せっかくミハイルさんと街ぶらデートを楽しみにしていたのに気持ちが半減した。
エントランスに着くと平民の装いのミハイルさんがいた。美丈夫は何を着てもカッコいい!
ミハイルさんに見惚れているとクロードさんが苦笑して

「ミハイル様は変装しても公爵家特有の赤髪で意味ないんですがね…まぁご本人の自己満足でしょう」
「そうなんですか…」

意外に毒づくクロードさんにドキドキしながらミハイルさんの元に。
ミハイルさんは微笑み頬に口付けエスコートしてくれ馬車まで移動する。馬車前で屋敷の皆さんにお礼をして馬車に乗り込んだ。窓から手を振り屋敷を後にする。1泊だけだったけど久しぶりの屋敷の皆さんと話せて楽しかった!

馬車はゆっくり進み1時間ほど走ると潮の匂いがして来た。ミハイルさんに聞いたらもうすぐらしい。ミハイルさんの許可を得て窓のカーテンを開けると少し先に街が見えてきた。ワクワクして窓にへばり付いていたら背中が温かくなる。ミハイルさんがバックハグをしている。すると耳元であの響く低音イケボで

「春香は魚介類は大丈夫か?」
「うん。大好き!」
「昼食は期待してくれ」
「はい」

ずっと背中にミハイルさんの温もりを感じるが恥ずかしくなって来たが解放してくれる気は無いみたい。もぞもぞ動くと余計に強く抱きしめられる。
今日のミハイルさんは極甘だ。

『デートだからね…』

気を紛らわす為にぼんやり外を見ていたら…

私の髪をかき上げ耳に口付けた!びっくりして振り返ると

「今日ハルの心は俺だけにしてくれ。誰も入れないでくれ」

鼻先がくっつきそうな距離で囁かれた。どうやらミハイルは本日は真剣勝負のようです。
私無事に今日を終える事が出来るのだろうか⁈
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】秀才の男装治療師が女性恐怖症のわんこ弟子に溺愛されるまで

恋愛
「神に祈るだけで曖昧にしか治らない。そんなものは治療とは言わない」  男尊女卑が強い国で、女であることを隠し、独自の魔法を使いトップクラスの治療師となり治療をしていたクリス。  ある日、新人のルドがやってきて教育係を押し付けられる。ルドは魔法騎士団のエースだが治療魔法が一切使えない。しかも、女性恐怖症。  それでも治療魔法が使えるようになりたいと懇願するルドに根負けしたクリスは特別な治療魔法を教える。  クリスを男だと思い込み、純粋に師匠として慕ってくるルド。  そんなルドに振り回されるクリス。  こんな二人が無自覚両片思いになり、両思いになるまでの話。 ※最初の頃はガチ医療系、徐々に恋愛成分多めになっていきます ※主人公は現代に近い医学知識を使いますが、転生者ではありません ※一部変更&数話追加してます(11/24現在) ※※小説家になろうで完結まで掲載 改稿して投稿していきます

有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!! お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。 皆様、お気に入り登録ありがとうございました。 現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。 辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

喪女なのに狼さんたちに溺愛されています

和泉
恋愛
もふもふの狼がイケメンなんて反則です! 聖女召喚の儀で異世界に呼ばれたのはOL・大学生・高校生の3人。 ズボンを履いていた大学生のヒナは男だと勘違いされ、説明もないまま城を追い出された。 森で怪我をした子供の狼と出会ったヒナは狼族の国へ。私は喪女なのに狼族の王太子、No.1ホストのような武官、真面目な文官が近づいてくるのはなぜ? ヒナとつがいになりたい狼達の恋愛の行方は?聖女の力で国同士の争いは無くすことができるのか。

【完結】異世界転移した私、なぜか全員に溺愛されています!?

きゅちゃん
恋愛
残業続きのOL・佐藤美月(22歳)が突然異世界アルカディア王国に転移。彼女が持つ稀少な「癒しの魔力」により「聖女」として迎えられる。優しく知的な宮廷魔術師アルト、粗野だが誠実な護衛騎士カイル、クールな王子レオン、最初は敵視する女騎士エリアらが、美月の純粋さと癒しの力に次々と心を奪われていく。王国の危機を救いながら、美月は想像を絶する溺愛を受けることに。果たして美月は元の世界に帰るのか、それとも新たな愛を見つけるのか――。

異世界で王城生活~陛下の隣で~

恋愛
女子大生の友梨香はキャンピングカーで一人旅の途中にトラックと衝突して、谷底へ転落し死亡した。けれど、気が付けば異世界に車ごと飛ばされ王城に落ちていた。神様の計らいでキャンピングカーの内部は電気も食料も永久に賄えるられる事になった。  グランティア王国の人達は異世界人の友梨香を客人として迎え入れてくれて。なぜか保護者となった国陛下シリウスはやたらと構ってくる。一度死んだ命だもん、これからは楽しく生きさせて頂きます! ※キャンピングカー、魔石効果などなどご都合主義です。 ※のんびり更新。他サイトにも投稿しております。

異世界に落ちて、溺愛されました。

恋愛
満月の月明かりの中、自宅への帰り道に、穴に落ちた私。 落ちた先は異世界。そこで、私を番と話す人に溺愛されました。

ギルド回収人は勇者をも背負う ~ボロ雑巾のようになった冒険者をおんぶしたら惚れられた~

水無月礼人
恋愛
 私は冒険者ギルド職員ロックウィーナ。25歳の女で担当は回収役。冒険者の落し物、遺品、時には冒険者自体をも背負います!  素敵な恋愛に憧れているのに培われるのは筋肉だけ。  しかし無駄に顔が良い先輩と出動した先で、行き倒れた美形剣士を背負ってから私の人生は一変。初のモテ期が到来です!!  ……とか思ってウハウハしていたら何やら不穏な空気。ええ!?  私の選択次第で世界がループして崩壊の危機!? そんな結末は認めない!!!! ※【エブリスタ】でも公開しています。  【エブリスタ小説大賞2023 講談社 女性コミック9誌合同マンガ原作賞】で優秀作品に選ばれました。

子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました

もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!

処理中です...