時空の迷い子〜異世界恋愛はラノベだけで十分です〜

いろは

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78.懇願

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ジョシュさんとメリージェーンさんに先導されバルカンさんは早足で控室に向かう。
私は凹んでバルサンさんの腕の中で自己嫌悪中だ。

「春香様。貴女はご立派です。大丈夫ですよ陛下やローランド殿下が治めてくれますから」
「慰めてくれてありがとうございます。でも…やはり殿下を待つべきでした」

やっと控室に着きソファーに下ろしてもらう。バルカンさんが前に跪き私の手を両手で包み込み優しく微笑む。

「まだ震えてらっしゃる。レイトン殿下に啖呵を切り気丈な女性かと思えば、この様に怯えられて庇護欲を駆り立てられる。素敵だ」
「後先考えず浅はかでした。バルカンさんはいいように解釈し過ぎです」
「バルカン殿。春香嬢に近い過ぎる」

眉間の皺を深めジョシュさんがバルカンさんに注意すると、小声で謝罪されバルカンさんは手を離し部屋の入口に控える。
不安で居ても立っても居られない私はメリージェーンさんに

「メリージェーンさん。あんな時はどう対応したらいいの?」
「正直私も判断に困りますね。殿下が遠くにいらっしゃり、相手がパートナーのアレックス様より身分が上では対応できなし、レイトン殿下の感じではローランド殿下を待つ余裕も無かったようですし…」
「春香ちゃんは悪くないよ。そもそもレイトン殿下がマナーを守っていない。初めての女性をお誘いする時は必ず、女性の同伴者(後見人や保護者)に名乗りの許可を得てまずは挨拶が先だ。それからダンスを申し込むのがマナーで全て成されていない」

すると端に控えていたバルカンさんが

「あのお方は昔から社交マナーを気にされないので有名で、婚約者や妻を口説かれた方は多いと聞きおよんでおります」

どうやらレイトン殿下は危険人物のようだ。でも…やっぱり自分のせいでローランド殿下に迷惑をかけている事実は変わらない。また落ち込んで来たら…
ローランド殿下とアレックスさんが控室に来た。立ち上りドレスの裾を持ち上げ殿下とアレックスさんの元へ駆け出すが…スミマセン私まだ小鹿でした。
ふらふらして殿下に受け止められる。

「春香。何も心配はいらないよ。場は治まり春香が会場に戻っても大丈夫だ」

どうやらレイトン殿の今までの素行の悪さから会場の人々は私に同情する方が多く、反対にはっきり断る私に好感を抱いていたそうだ。ジャン陛下も異世界から来た私を優しく見守って欲しいと言って下さったらしい。

「会場の皆に後ほど挨拶をすると話しをしてきた。大丈夫だから会場にもどろう」
「本当に?」
「私が春香に嘘を言ったことあるかぃ?」
「ない…と思います」

それでもまだ不安でアレックスさんの顔を見るとレベル0で微笑んでくれた。こうして会場に戻る事になり会場へ向かい廊下を歩いていると、廊下に男性が立っているのが見えた。殿下が私を背に庇う。誰だろ…

「レイトン殿。この様な場所に王子である貴方が騎士も付けずに何をされている?」
「春香嬢に詫びたくてね…すっかり悪者の私は会場では春香嬢に声を掛けさせてもらえないのでね」

レイトン殿下はローランド殿下の後ろにいる私に話しかけてくる。皆が苛立っているのが分かる。レイトン殿下は全く気にしていない様でローランド殿下に正式に挨拶を申込んでいる。
正攻法で来られたらローランド殿下も断れず挨拶だけこの場で受ける事になった。
ローランド殿下が私を前に誘導し後ろで見守ってくれる。レイトン殿下は右手を胸あて左手は後ろ手にお辞儀をされ

「お初に…ではないがお目にかかれて光栄でございます。アフルガン帝国第2王子レイトンと申します。お見知りおきを…また貴女の魅力に自制が効かず突然のダンスの申込お許しいただきたい」
「ハルカ・オリタと申します。ご挨拶ありがとうございます。お見知りおき下さいませ」

すると苦笑いしたレイトン殿下は

「恐らくダンスを申し込んでもローランド殿下が受けて下さらないでしょう。そこで一つお願いがございます。これはローランド殿下にもお聞きいただきい。春香嬢の異世界の知識をお貸しいただきたい。我が国に来てくれとは言いません。もし知識をお持ちなら解決する糸口をご教授いただきたい」

レイトン殿下は急に態度を変えて低姿勢で懇願してきた。困っているのだろう真剣な面持ちだ

「申し訳ないがお受けできない」
「そう言われるのも分かるが内容だけでも春香嬢に聞いてもらいたい!我が国民の命がかかっているのだ!」

ローランド殿下は面倒な事は聞くなの姿勢だが、人の命がかかっているなら聞かない訳に行かない気がする…

「ローランド殿下…話だけ聞いては駄目ですか?人の命がかかっているなら無視したくない」
「…はぁ~春香は優しすぎる。レイトン殿!ここで手短になら聞こう。勿論私も聞かせてもらうがいいね」
「お2人の恩情に感謝する!」

人の命にかかわると言われたので伝染病の類かと思った。病気に関しては知っている程度で治療法や原因とかの知識は無い。少し身構えて話を聞いたらそれはある時期に起こるそうだ。アフルガンは平均して気温が高く1年で2か月だけ高温期がありその時に暑さで亡くなる人がいるそうだ。
アフルガンの医師と国が策を講じるが毎年沢山の人が亡くなる。全く原因や対処法が分からない上に、ヴェルディアから冷石の輸入を増やせず死者は増えるいっぽう。
今回ヴェルディア王が代わり冷石の取引拡張を望んでいるそうだ。症状は初めは立ちくらみや頭痛から始まり、痙攣や吐き気がきて最後は意識を失い死に至る。熱い時にその症状…考えれるのは…

「熱中症かなぁ?」
「春香!」
「春香嬢!何か思い当たる事があるのですか⁈」
「えっと…」

話していいのかなぁ…そんな大した事ではなく日本人ならみんな知っている知識だ。一応殿下にお伺いを立てた方がいいかなぁ…

「ローランド殿下…私が住んでいた国では誰もが知っている知識で、医学的な治療法とかまでは分かりませんが、予防法なら知っています」

ローランド殿下は腕組みをして考え出した。レイトン殿下は目を輝かせてローランド殿下と私を見ている

「春香は純粋にアフルガンの人を助けたいのだろう⁇」
「はい。私の知識で人が助かるなら…流石にアフルガンに行くのは無理ですが…」
「レイトン殿。後日場を設けよう。その時に春香に話を聞けばいい。今この場では無理だ」
「お2人に感謝する」
「それ相応の見返りをレイシャルにしていただく事になるよ」
「勿論だ。最大考慮させてもらおう」

どうやら後日面会する事で話がまとまった。溜息を吐いている殿下を見てまた余計な事をしたのかもと不安になると誰かが肩に手を置いた。
振返るとアレックスさんが微笑んで頭を撫でてくれる。少し安心したら殿下がいつもと同じ微笑みをうかべ再度会場へ戻る事となった。

会場に着くと何故か拍手が起こり私の前に列が出来る。異様な雰囲気に怖くなり殿下に半泣きになりながら

「殿下…意味が分かりません。この列は何なんですか⁈」
「春香に挨拶したい人だよ。さぁ!挨拶を受けよう」
「ひぇ!!」

こうして何人もの人から挨拶を受け只管名前と“お見知りおきを”を繰り返しすっかり挨拶ロボだ。
初めは真面目に名前と顔を覚えようとしたが、10人目辺りから頭に入らなくなった。次会ったら分からない自信あり‼︎
どの位経っただろう…やっとご挨拶が終わり子鹿再来アゲーン。ドレスの下の脚はブルブル震えている。ローランド殿下は流石王族だ。こんな挨拶攻撃に微笑みを絶やさず応対されている。殿下と目が合うと苦笑いをし手を取り何処かに向かう。
向かった先は控えのテーブルでやっと座る事が出来た。

「あれだけ沢山の挨拶に最後までよく頑張ったよ。暫くゆっくりするといい。私は後ひと頑張りしてくるよ。春香が口付けてくれたら頑張れるんだがなぁ…だめだろうか⁈」

殿下を手招きし殿下の頬を両手で包み、額にキスをした。口元を緩ませ顔色が良くなった殿下。すると背後から咳払いが聞こえて振り向くとレベル2のアレックスさん。そっか彼も殿下の護衛でまだ仕事があるんだ。アレックスさんにも手招きし同じ様に額にキスをする。レベル0になったアレックスさんはハグをして殿下と外交に行った。
私は果実水を飲み暫く休憩だ。
ジョシュさんもメリージェーンさんも一息ついたらしく表情は柔らかい。ふとジョシュさんが目に入る。何処かをずっと見ている⁈気になって視線の先を辿ると…ハンナ王女殿下だ。
あぁ…恋の予感⁉︎ラノベ好きの私は王道の恋愛ものが好物だ。今は自分の事よりジョシュさんの恋の行方が気になっている。私の視線に気付いたジョシュさんさ焦りながら

「春香ちゃん⁈」
「いい感じだね♪」
「何が⁈」
「ラブストーリーは突然にだよ♪」
「?」

ほっこりしていたらキラキラオーラを纏ったハンナ王女殿下が向かってくる。ジョシュさんが緊張した面持ちで姿勢を整えた。どうやら私の元に来る様で数メートル前にいらっしゃったので、立ち上がりお迎えする。

「春香様。今よろしくて⁈ローランド殿下からお許しはいただいて参りましたわ。貴女とお話したいのです」
「光栄です。どうぞおかけ下さい」

ハンナ王女は明らかにジョシュさんを意識しながら席に着いた。ジョシュさんとハンナ王女の恋の始まりに胸を踊らせワクワクしていたのに、この後ハンナ王女の話にテンションが急降下するなんて、この時は思いもしなかった。
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