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101.回想3《ミハイルside》
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「ミハイル様。今日は港の巡回の予定では?」
「そうなのだが…森の方が気になってな。最近狼の個体が増え数日前には荷馬車が襲われている。今日は森に向かう」
「畏まりました。そういえば朝からワンダが落ち着くが無く困っておりました。森を自由に走れば発散するでしょう」
こうして弓矢と松明を追加で準備をし森へと向かう。テリーが言っていたようにワンダの様子がおかしい。まだ幼いワンダはわんぱくな所はあるが躾をされ従順なのだが、今日は指示を無視しどんどん森の奥に走って行く。そして遠吠えをしたワンダが俺の周りを走り顔を見て森の奥に猛ダッシュで走って行ってしまった。まるで『ついて来い』と言っているかの様だ。ワンダを追かけて小高い丘を登りきると少女がワンダに追いかけられている。
「ワンダ!何をしている!」
それより何故こんな森深い所に少女がいるんだ⁈後ろ姿しか見えないが小柄な黒髪の少女がワンダから逃げている。しかしその奥は狼の寝ぐらがある。早く少女に追いつき保護せねば。すると…
少女の行く先に無数の赤い光が。やはり狼の群れが現れて少女に向って来る。ワンダが狼に飛びつき驚いた少女が尻餅をついた。
「レディーこちらへ!」
少女は勇敢に立ち上げりこちらへ走って来る。
『!!』
少女を見て息をのむ。小柄でか細い肢体をし頬を染め息を切らし必死に走って来る。闇夜の様な綺麗な黒髪に黒曜石の様な輝く瞳に目が離せなくなり胸の奥が疼く。
『なんだ!この感覚は…今まで感じたことが無い!』
いや!今はそんな事を考えている暇はない!少女をお助けせねば!
「俺が少女を救い出す。他の者は狼を蹴散らせ。少女を救出し次第退避する」
「「「「 はっ! 」」」」
走って来る少女に腕を伸ばし救い上げる。
『軽い…』少女を馬上に上げ抱きかかえるとあまりの小ささに驚き、そして芳しい香りに頭がくらくらする。
『いかん!まずは少女を安全な場に!』
「保護した!全員退避!」
急ぐため彼女に喋らない様に告げると不安そうな顔をして頷く。俺の腕の中にいて安全だがもっと密着したくなり掴まるように告げると、俺の胸元を小さな手で掴む。彼女の小さな温もりに体の芯に熱を持ち出す。暫く走ると彼女は疲れているのか俺の腕の中でうたた寝をしだした。愛らしい寝顔に思わず顔が綻ぶ。ずっとこうして抱きしめていたい…
半時間程走り屋敷に着くと彼女は起きた様で周りを見渡し困惑した表情をしている。彼女を抱きかかえたまま馬から降り、テリーが用意した椅子に彼女を下ろす。
跪いて彼女と目線を合わすとその綺麗な黒い瞳に吸い込まれそうになる。
どうして森に居たのか聞いたが彼女も分からないと言う。テリーが最近問題になっている闇の花嫁の被害者ではないかと言う。その線が一番近いが…思い当る節がある。
しかし…今まで期待し何度も裏切られているから確信が持てない。しかしもしそうなら…
不安そうな彼女にまずは名乗り
「レディー貴女の名を知る名誉を私にいただけませんか⁈」
「えっと織田春香です。名が春香で家名が織田です」
“春香”いい響きの名だ。心の中で何度も呼んだ。今領主である父上が不在の為、とりあえず今日は屋敷に泊まってもらい明日今後の事を相談する事にした。
靴を履いていない春香を抱き上げると、また芳しい香りに酔いそうになる。彼女は見た感じでは13、14歳ぐらいだ。こんな少女に邪な思いを持ってはいけないと自制する。公爵家の嫡男なのだから紳士でなければ…
それにしても彼女は軽すぎる。食事は足りているのか?もしかして虐げられていたのではないかと心配になるが、その後食事を共にした時に食事の様子を見ていると元々食が細い様だ。
彼女の家の手掛かりを探す為に彼女から色々話を聞く。春香は“日本国”に住んでいると言うが、どんな本や資料を探してもこの世界に日本国などない。とりあえず休んでもらい書斎で手掛かりを探す事にした。
翌朝、朝食を共にした時に春香が成人女性である事が判り心躍る。成人しているなら娶れるではないか! 必死に平静を装い一旦春香を部屋に戻した。もうすぐ父上が戻られる。父上が戻られ直ぐに事情を説明をする。
「もしかして…【迷い人】なのか⁈」
「私もそうではないかと…しかし今までの事もありますし…期待はしたいのですが」
「お前は何か感じたのか⁈」
「彼女は美しい容姿ではありませんが、愛らしく心惹かれます。それは保護した事からくる庇護欲なのか自分でも分からず困惑しています」
「私が話しを聞こう。クロードそのお嬢さんをここへ案内しなさい。後、アビーが来ると話が進まないので、指示するまで部屋で待機させなさい」
「畏まりました」
「彼女が【迷い人】である事を祈ろう…」
そう俺はローランド殿下と同じくレイラの加護を受けている。ローランド殿下は女性に触れる事が出来ないが俺は触れれる。
しかし女性に愛情を持たない。どんな美人も官能的な女性も悪いが俺の愛馬と変わらない。
しかしシュナイダー公爵家は王族の血を引き、王家に何かあった時に代わりとなる役目をもつ。
王子であるローランド殿下は兄弟がおらず、王妃様も身体が弱くお子は望めない。
もし、加護持ちが唯一愛せる【迷い人】が現れなければ、俺が世継ぎを儲けその子が次期王となる。俺は体は普通の男で女性と交われ、最悪媚薬を使い子を儲ける事となるのだ。
両親は家が決めた婚姻だが愛し合い今でも仲睦まじい。故に俺にも愛のある婚姻を望んでいて、王家に内緒で迷い人を捜してくれている。
レイシャルで髪や肌の色が珍しい女性の噂を聞くと会いに行く日々を繰り返し疲弊していた。その上、ゴラスの第1王女に見初められ求婚されている。王女はテクルスの花嫁と言われ女神の様に美しい…が俺には野に咲く名も無い花と大差がない。
そんな俺は女性に愛情を感じない為に欲情しない。つまり性的な欲求も起きない。
そんな俺が世継ぎの為だけに女性と交わると思うだけで不快だし気持ち悪い。
数年前から迷い人に会えない事も想定して、付き合わせに参加して伴侶を捜しているが…苦痛だ。化粧臭くねちっこい媚びた視線を送られ寒気がする。どの令嬢も所詮公爵家嫡男と俺の容姿しか見ていない。
本当に俺は迷い人に逢えたら愛情を持ち欲情するのだろうか⁈
だがそんな考えは杞憂だった。春香に初めて逢った時から春香の全てが欲しい。俺には群がった令嬢の様にガッつくと嫌われると思い、慎重に距離を詰める。
春香に夢中でレイシャルの特殊な事情を説明しておらず父上が春香に説明する。
この国に住むなら婚約し身分を得る必要がある。付き合わせの時期では無い今は相手を選べず、見知らぬ男の元へ嫁がされてしまうと聞き、春香は泣きそうな顔し俯いてしまった。
必死に父上に保護できるように願い、父上も【迷い人】かも知れない春香を留める方法を探しているようだ。すると思わぬところから援軍が!
俺の加護の事を知らないジョシュが次のつき合わせまで俺と仮の婚約をし、身分を得て帰り方を捜せばいいと言う。春香の反応を見ると複雑そうな顔をしている。もしかして俺は好かれていないかもしれないと思い気が滅入ってくる。すると少し前に無理やり執務室に来た母上が名案だと言い春香に俺を薦めるが春香の答えが怖い…
すると眉尻を下げ春香が俺に申し訳ないという。良かった…嫌われていないようで安心して気分が一気に上昇する。
父上にこの(仮)婚約を受け入れる旨伝えると、母上が意味ありげな表情で俺と春香を見ている。察しのいい母上はきっと春香が【迷い人】かも知れないのと、俺が春香に気があるのに気付いているようだ。それ以上に母上は春香自身を気に入っている。母上は俺に求婚している王女をえらく毛嫌いしていて、謙虚で可愛らしい春香が可愛くて仕方無いのだろう。現に父上と母上の間に座れせてずっと撫でている。
こうして春香は仮ではあるが俺の婚約者になった。このまま距離を詰めていつか妻に…
「春香の居所が分からないだと!」
「はい。ジョシュ様から火急の知らせが入りました」
「直ぐ城に向かう馬を用意しろ!」
今日は春香が登城している。いずれ王子に春香の存在が判り登城命令が出るのは分かっていたが、予想以上に早く知れ今日春香は城に向かった。ジョシュが付き添う予定が控室に軟禁状態になり春香に会えず、更に春香の居場所も分からないという連絡が入った。やはり父上が想定していた通り殿下が春香を何処かに囲ったようだ。父上が陛下に繋ぎを取ってくれていたので直ぐに陛下に謁見でき、事情を話すと陛下は同行してくださり殿下と春香の居る部屋に向かう。
やっと応接室に到着し我慢できず入室許可も得ずに扉を開ける。
「!」
春香が殿下に抱きしめられ口付けされそうになっていた。
『俺の春香に何をしている!』
一気に頭に血が上り生まれて初めて激情した。すると春香は殿下を突き飛ばし俺の元に走って来る。春香を抱き留め腕に春香に温もりを感じると、体の中心に熱が籠っていくのが分かった。腕の中の春香は怖かったのだろう震え泣いている。春香の体温と香りに俺の体の熱はどんどん上がり、腕の中の春香を食らいつくしたい衝動に駆られる。首の後ろや腰に熱を感じ俺は初めて欲情を経験する。
俺の胸元をぎゅっと握る春香に我に返り手を差し伸べて来る殿下を拒む。
この後、陛下が仲介して下さり陛下の執務室で話し合いをする事になり移動を始めると、気が抜けた春香は歩けず俺が抱き上げる。殿下が羨望の眼差しを向けている事に優越を感じ、まるで春香が俺を選んだのだと感じていたが…しかし…
春香はレイシャルに来た経緯を陛下に説明し帰り方が分かれば直ぐ帰るといい、もし帰れないなら平民との縁を望むと言い切った。更に王族や貴族は嫌だという。ほんの数分前まで選んでくれたと思い込んでいた俺はショックを受ける。
春香の婚約者になって優越感に浸っていたが、どうやら俺は他の求婚者と同じラインにいる様だ。
困惑していると宰相のモーリス様が出会って間もない男性に求婚され春香が困っていると言い、1人の男として真摯に向き合って行った方がいいと助言された。確かに早急すぎたよつだ。
だが初めて恋おた女性だから仕方ない。
春香諦めてくれ…お前以外愛する事はないのだから
「そうなのだが…森の方が気になってな。最近狼の個体が増え数日前には荷馬車が襲われている。今日は森に向かう」
「畏まりました。そういえば朝からワンダが落ち着くが無く困っておりました。森を自由に走れば発散するでしょう」
こうして弓矢と松明を追加で準備をし森へと向かう。テリーが言っていたようにワンダの様子がおかしい。まだ幼いワンダはわんぱくな所はあるが躾をされ従順なのだが、今日は指示を無視しどんどん森の奥に走って行く。そして遠吠えをしたワンダが俺の周りを走り顔を見て森の奥に猛ダッシュで走って行ってしまった。まるで『ついて来い』と言っているかの様だ。ワンダを追かけて小高い丘を登りきると少女がワンダに追いかけられている。
「ワンダ!何をしている!」
それより何故こんな森深い所に少女がいるんだ⁈後ろ姿しか見えないが小柄な黒髪の少女がワンダから逃げている。しかしその奥は狼の寝ぐらがある。早く少女に追いつき保護せねば。すると…
少女の行く先に無数の赤い光が。やはり狼の群れが現れて少女に向って来る。ワンダが狼に飛びつき驚いた少女が尻餅をついた。
「レディーこちらへ!」
少女は勇敢に立ち上げりこちらへ走って来る。
『!!』
少女を見て息をのむ。小柄でか細い肢体をし頬を染め息を切らし必死に走って来る。闇夜の様な綺麗な黒髪に黒曜石の様な輝く瞳に目が離せなくなり胸の奥が疼く。
『なんだ!この感覚は…今まで感じたことが無い!』
いや!今はそんな事を考えている暇はない!少女をお助けせねば!
「俺が少女を救い出す。他の者は狼を蹴散らせ。少女を救出し次第退避する」
「「「「 はっ! 」」」」
走って来る少女に腕を伸ばし救い上げる。
『軽い…』少女を馬上に上げ抱きかかえるとあまりの小ささに驚き、そして芳しい香りに頭がくらくらする。
『いかん!まずは少女を安全な場に!』
「保護した!全員退避!」
急ぐため彼女に喋らない様に告げると不安そうな顔をして頷く。俺の腕の中にいて安全だがもっと密着したくなり掴まるように告げると、俺の胸元を小さな手で掴む。彼女の小さな温もりに体の芯に熱を持ち出す。暫く走ると彼女は疲れているのか俺の腕の中でうたた寝をしだした。愛らしい寝顔に思わず顔が綻ぶ。ずっとこうして抱きしめていたい…
半時間程走り屋敷に着くと彼女は起きた様で周りを見渡し困惑した表情をしている。彼女を抱きかかえたまま馬から降り、テリーが用意した椅子に彼女を下ろす。
跪いて彼女と目線を合わすとその綺麗な黒い瞳に吸い込まれそうになる。
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しかし…今まで期待し何度も裏切られているから確信が持てない。しかしもしそうなら…
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「レディー貴女の名を知る名誉を私にいただけませんか⁈」
「えっと織田春香です。名が春香で家名が織田です」
“春香”いい響きの名だ。心の中で何度も呼んだ。今領主である父上が不在の為、とりあえず今日は屋敷に泊まってもらい明日今後の事を相談する事にした。
靴を履いていない春香を抱き上げると、また芳しい香りに酔いそうになる。彼女は見た感じでは13、14歳ぐらいだ。こんな少女に邪な思いを持ってはいけないと自制する。公爵家の嫡男なのだから紳士でなければ…
それにしても彼女は軽すぎる。食事は足りているのか?もしかして虐げられていたのではないかと心配になるが、その後食事を共にした時に食事の様子を見ていると元々食が細い様だ。
彼女の家の手掛かりを探す為に彼女から色々話を聞く。春香は“日本国”に住んでいると言うが、どんな本や資料を探してもこの世界に日本国などない。とりあえず休んでもらい書斎で手掛かりを探す事にした。
翌朝、朝食を共にした時に春香が成人女性である事が判り心躍る。成人しているなら娶れるではないか! 必死に平静を装い一旦春香を部屋に戻した。もうすぐ父上が戻られる。父上が戻られ直ぐに事情を説明をする。
「もしかして…【迷い人】なのか⁈」
「私もそうではないかと…しかし今までの事もありますし…期待はしたいのですが」
「お前は何か感じたのか⁈」
「彼女は美しい容姿ではありませんが、愛らしく心惹かれます。それは保護した事からくる庇護欲なのか自分でも分からず困惑しています」
「私が話しを聞こう。クロードそのお嬢さんをここへ案内しなさい。後、アビーが来ると話が進まないので、指示するまで部屋で待機させなさい」
「畏まりました」
「彼女が【迷い人】である事を祈ろう…」
そう俺はローランド殿下と同じくレイラの加護を受けている。ローランド殿下は女性に触れる事が出来ないが俺は触れれる。
しかし女性に愛情を持たない。どんな美人も官能的な女性も悪いが俺の愛馬と変わらない。
しかしシュナイダー公爵家は王族の血を引き、王家に何かあった時に代わりとなる役目をもつ。
王子であるローランド殿下は兄弟がおらず、王妃様も身体が弱くお子は望めない。
もし、加護持ちが唯一愛せる【迷い人】が現れなければ、俺が世継ぎを儲けその子が次期王となる。俺は体は普通の男で女性と交われ、最悪媚薬を使い子を儲ける事となるのだ。
両親は家が決めた婚姻だが愛し合い今でも仲睦まじい。故に俺にも愛のある婚姻を望んでいて、王家に内緒で迷い人を捜してくれている。
レイシャルで髪や肌の色が珍しい女性の噂を聞くと会いに行く日々を繰り返し疲弊していた。その上、ゴラスの第1王女に見初められ求婚されている。王女はテクルスの花嫁と言われ女神の様に美しい…が俺には野に咲く名も無い花と大差がない。
そんな俺は女性に愛情を感じない為に欲情しない。つまり性的な欲求も起きない。
そんな俺が世継ぎの為だけに女性と交わると思うだけで不快だし気持ち悪い。
数年前から迷い人に会えない事も想定して、付き合わせに参加して伴侶を捜しているが…苦痛だ。化粧臭くねちっこい媚びた視線を送られ寒気がする。どの令嬢も所詮公爵家嫡男と俺の容姿しか見ていない。
本当に俺は迷い人に逢えたら愛情を持ち欲情するのだろうか⁈
だがそんな考えは杞憂だった。春香に初めて逢った時から春香の全てが欲しい。俺には群がった令嬢の様にガッつくと嫌われると思い、慎重に距離を詰める。
春香に夢中でレイシャルの特殊な事情を説明しておらず父上が春香に説明する。
この国に住むなら婚約し身分を得る必要がある。付き合わせの時期では無い今は相手を選べず、見知らぬ男の元へ嫁がされてしまうと聞き、春香は泣きそうな顔し俯いてしまった。
必死に父上に保護できるように願い、父上も【迷い人】かも知れない春香を留める方法を探しているようだ。すると思わぬところから援軍が!
俺の加護の事を知らないジョシュが次のつき合わせまで俺と仮の婚約をし、身分を得て帰り方を捜せばいいと言う。春香の反応を見ると複雑そうな顔をしている。もしかして俺は好かれていないかもしれないと思い気が滅入ってくる。すると少し前に無理やり執務室に来た母上が名案だと言い春香に俺を薦めるが春香の答えが怖い…
すると眉尻を下げ春香が俺に申し訳ないという。良かった…嫌われていないようで安心して気分が一気に上昇する。
父上にこの(仮)婚約を受け入れる旨伝えると、母上が意味ありげな表情で俺と春香を見ている。察しのいい母上はきっと春香が【迷い人】かも知れないのと、俺が春香に気があるのに気付いているようだ。それ以上に母上は春香自身を気に入っている。母上は俺に求婚している王女をえらく毛嫌いしていて、謙虚で可愛らしい春香が可愛くて仕方無いのだろう。現に父上と母上の間に座れせてずっと撫でている。
こうして春香は仮ではあるが俺の婚約者になった。このまま距離を詰めていつか妻に…
「春香の居所が分からないだと!」
「はい。ジョシュ様から火急の知らせが入りました」
「直ぐ城に向かう馬を用意しろ!」
今日は春香が登城している。いずれ王子に春香の存在が判り登城命令が出るのは分かっていたが、予想以上に早く知れ今日春香は城に向かった。ジョシュが付き添う予定が控室に軟禁状態になり春香に会えず、更に春香の居場所も分からないという連絡が入った。やはり父上が想定していた通り殿下が春香を何処かに囲ったようだ。父上が陛下に繋ぎを取ってくれていたので直ぐに陛下に謁見でき、事情を話すと陛下は同行してくださり殿下と春香の居る部屋に向かう。
やっと応接室に到着し我慢できず入室許可も得ずに扉を開ける。
「!」
春香が殿下に抱きしめられ口付けされそうになっていた。
『俺の春香に何をしている!』
一気に頭に血が上り生まれて初めて激情した。すると春香は殿下を突き飛ばし俺の元に走って来る。春香を抱き留め腕に春香に温もりを感じると、体の中心に熱が籠っていくのが分かった。腕の中の春香は怖かったのだろう震え泣いている。春香の体温と香りに俺の体の熱はどんどん上がり、腕の中の春香を食らいつくしたい衝動に駆られる。首の後ろや腰に熱を感じ俺は初めて欲情を経験する。
俺の胸元をぎゅっと握る春香に我に返り手を差し伸べて来る殿下を拒む。
この後、陛下が仲介して下さり陛下の執務室で話し合いをする事になり移動を始めると、気が抜けた春香は歩けず俺が抱き上げる。殿下が羨望の眼差しを向けている事に優越を感じ、まるで春香が俺を選んだのだと感じていたが…しかし…
春香はレイシャルに来た経緯を陛下に説明し帰り方が分かれば直ぐ帰るといい、もし帰れないなら平民との縁を望むと言い切った。更に王族や貴族は嫌だという。ほんの数分前まで選んでくれたと思い込んでいた俺はショックを受ける。
春香の婚約者になって優越感に浸っていたが、どうやら俺は他の求婚者と同じラインにいる様だ。
困惑していると宰相のモーリス様が出会って間もない男性に求婚され春香が困っていると言い、1人の男として真摯に向き合って行った方がいいと助言された。確かに早急すぎたよつだ。
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