時空の迷い子〜異世界恋愛はラノベだけで十分です〜

いろは

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106.フラワーシャワー

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時空ときの狭間でレイシャルに残ると決めて丁度1年が経った。1年はあっという間でその間に周りの環境は色々変わった。
まずヴェルディアではジャン陛下とリリアン様が婚姻し驚く事にリリアン様のお腹にはお世継ぎがいる。そしてジョシュさんは付き合わせをし、ハンナ王女と直ぐに婚約を決め半年後に婚姻予定だ。婚約が決まると同時にジョシュさんはゴラスに移り住んだ。そして問題児のアンリ王女もバーデラン皇国の皇太子と婚約が先日決まったとアンリ王女から手紙をもらった。

『うーん結婚ラッシュ!』


「春香様。今から移動していただきます」
「はぁい。よろしくお願いします」

女官さんに手を引いてもらい廊下を歩いていると、扉前にレイモンド父様が待っている。父様は目を細めて心なしか目が潤んでいる。

「春香…綺麗だよ!こんな美しい娘をエスコートできるなんて幸せだよ」
「ありがとうございます。ちゃんとできますかね…私」
「私の娘だから大丈夫さ」

そう言うと父様が手を差し出してくれ手を重ねる。そして目の前の大きな扉が開いた…
見上げる首が痛くなりそうな位に高い天井と煌びやかな照明が眩しい。前を向くと目の前に真っ赤な絨毯が遠くまで続きその左右に沢山の人がいて注目を浴び逃げたくなってくる。

「行くよ春香」
「はい」

音楽が流れてレイモンド父様と一歩踏み出す。
そう!私は今レイモンド父様とバージンロードを歩いています。今日私結婚します。
厳かな音楽が流れる中ゆっくり父様とバージンロードを進みます。すると父様が呟き

「春香と初めて会った日。こんな可愛いお嬢さんが娘になるのだと思い震えたのを覚えているよ。控えめだけどしっかりしていて可愛らしい自慢の娘だ。困った事があれば頼りなさい。血のつながりは無いが春香は私の娘だ」
「ありがとうございます。父様の娘で幸せです」

父様を見上げると目が合い微笑み合う。すると父様が

「さぁ…もう一人の父がこの先をエスコートしてくれる。甘えておいで」

前を向くとケイン父様が優しく微笑みバージンロードに立っている。前までくるとケイン父様とレイモンド父様が礼をして短く会話して、私の手をケイン父様に差し出しレイモンド父様は端にはけていく。

「春香…本当に綺麗だ。娘のエスコートが出来て感無量だよ」
「父様ありがとう」
「あぁ…自分の息子だが春香を嫁がせたくないな」
「でも娘にはかわりませんよ」
「そうだね。もしアレックスが何かしたら直ぐ私に言いなさい。私とマニュラは春香の味方だからね」
「アレクは優しいからそんな事はおきませんよ」
「私は元々無口で感情表現が下手だが、春香が娘になってくれて感情豊かになった気がするよ。これかも私を笑顔にしておくれ」
「はい!」

暫くケイン父様と話しをしていたら、急に音楽が聞こえにくいくらい騒ついてきた。何?怖いよ!
不安になりケイン父様の手をぎゅっと握るとケイン父様が…

「私も聞かされていないから驚いたよ。しかし陛下の気持も分かる。可愛い娘の晴れの日にエスコートしたい気持が」

ケイン父様の視線の先を辿るとなんと陛下がバージンロードに待ち構えている。ケイン父様に手を引かれ陛下の目に来ると…

「儂も春香の父親ゆえエスコートしたいのだ。春香。儂にもエスコートさせてくれるか⁈」
「ありがとうございます。嬉しいですが恐れ多くて…」
「何を言う。ローランドと婚姻すれば義理の娘だ。いやローランドはどうでもいい。儂は娘だと思っている。其方もそうであろうケインよ⁈」
「陛下と同じ気持ちにございます」
「父様が沢山いて心強いです」
「では息子達の所へエスコートするとしよう」

陛下の手を取り祭壇の前に居る夫となる3人の元へ歩いて行きます。
祭壇近づくにつれ知り合いの顔が沢山あって緊張がほぐれ自然と口元が緩んできます。最前列の席に戻った父様と母様が見守ってくれて泣きそうになる。

『も…マニュラ母様まだ始まって無いのに泣き過ぎです!』

レイシャル王国に残り日本での“織田春香”は失ってしまったけど、こちらで沢山の愛と得た。向かう先に正装し眩しい位かっこいい3人が待ってくれている。
あまりのかっこよさに今になって本当に私でいいのか不安になって来た。すると陛下が

「春香。何か心配事か?」
「今更ですが、あまりにも夫となる3人が素敵過ぎて気後れしてしまいます。正直今猛烈に回れ右をして逃げ出したいです」
「本当に春香は自己評価が低いな。儂は理解できん。こんなに愛らしく可愛いのに…息子らにもっと愛を捧げる様に言っておく」
「やめて下さい!これ以上送られたら過剰摂取キャパオーバーで死んじゃいます」
「はっははは!ちゃんと愛は受けているのならいい。夫となる者達を見なさい。あんなに熱い視線を送るくらい春香を愛しているのだ。直ぐでなくていい自信を持ちなさい」
「頑張ります…」

やっと3人の前に着いた。美丈夫3人の至近距離は眩し過ぎて目に優しくない。陛下は私の手をローランド殿下に渡して席に戻られ、右手をローランド殿下に左手をミハイルさんに、そして背後から腰をアレックスさんが支え司祭の前に着いた。
婚姻の儀式は元の世界の教会で行う式とあまり変わりはなく、司祭がレイラの教えを説き婚姻届けにサインをする簡単なものだ。そして司祭が参列者に婚姻の異を唱えるものがいないか確認し、無かったので女神レイラがこの婚姻を認めたと宣言した。すると…

祭壇に聳え立つ女神レイラの像が光を放った。司祭が

「おぉ!何てことだ!この婚姻を女神レイラが祝福している!レイシャルは安泰だ!」
「おぉ!レイシャルに永遠の繁栄を!」
「幸福をもたらした春香嬢に讃えよ!」

参列者から歓声が上がり耳が痛い。あまりの興奮ぶりに殿下に

「ローランド!像が光ったの演出?」
「いや…それは無い。レイラ像に触れれるのは陛下と司教のみ。2人の様子から仕込んだものでは無いようだ。恐らく建国し以来初めての事だ。正直、私も感動している」

殿下だけでなくミハイルさんもアレックスさんも口元を緩ませレイラの像を見つめている。皆んなは感動しているけど正直私は怖い。だって迷い人と加護持ちの経緯を知っているから、祝福されているけど複雑だ。

「静粛に!式はまだ終わっておりません!」

司祭の声が響きやっと静かになった。式を再開したがどうやらもう終わりのようだ。あれ?あれが無いよ⁈1番緊張していたのに…なんか拍子抜けして、バカな私は殿下に聞いてしまった。

「ねぇ?誓いの口付けは無いの?」
「「「誓いの口付け?」」」
『やば!もしかして余計な事言った⁈』

3人共頬を染め瞳に熱を持ち詰め寄ってくる。言い訳して回避しないと!

「私の世界では神様の前で婚姻する時に、愛を誓い口付けを交わすの。式の内容が似ているから、てっきりするんだと思ったの。でも恥ずかしいから嫌だなぁ…って」

顎に手をやり殿下は司祭に

「レイラの祝福を受けた春香が誓いの口付けをご所望だ。これから婚姻の儀に取り入れよう」
「はぁ?ローランド待って!私したいなんて…」
「ハルが望みなら叶えねば」
「春香。皆の前で愛し合っている証を示すなんていい案だ!流石俺の春香だ!」
「だから違うって!!」

キス魔の3人はちゅー出来る口実が出来てする気満々だ。なんとか阻止したくて司祭に説明をしてこちらでして無かったのなら、しきたりを変える事はないと力説する。しかし…

「女神の祝福を受けた春香様の世界で婚姻の儀式で口付けをされていたなら、我々も習うべきだと思います。陛下如何でしょうか⁈」

少し考えた陛下は

「許可しよう」
「はぁ⁈マジで!」

参列者は余裕で1000人を超えている。そんな人たちの前でちゅーするの⁈あり得ない!

『もぅ逃げちゃえ!』 

順番を話し合い出した3人を後目に逃げようとしたら、アレックスさんの弟のエリックさんに捕まる。

「花嫁が何処行くの?」
「えっと…エリックさん!察して!」

笑顔で3人の元へ連行しようとするエリックさん。最前列のケイン父様と目が合う。味方って言ってくれたから助けを求めると

「夫婦が仲良いのはいい事だよ春香」

と助けてくれない!いや~!


結果…祭壇のど真ん中で3人に順番に濃厚なちゅーをされ、恥ずかしい思いをした。
10分前のバカな自分を殴ってやりたい…
こうして正式にローランド殿下とシュナイダー公爵家ミハイルさん、コールマン侯爵家アレックスさんと婚姻し3人の妻となった。

控室に戻ろうとしたら騎士が慌てて陛下に元に来た。なんだろう?すると報告を受けた陛下はローランド殿下を呼び何か伝えている。そして殿下は私の元に駆け寄り、私をいきなり抱き上げだ。

「へ?」
「説明は後だ!急ぐからしっかり私に捕まって!」
「意味不明~」

式場から出て外に向かう殿下。ミハイルさんとアレックスさんも殿下につづく。先導する騎士が扉を開けた!

沢山の騎士が剣を構え上空を注視している。

「何で?」
「春香なら治めれる筈だ。頼む!」
「ラン!領地に帰るんだ!」

エリックさんが上空に向かい叫ぶ。上空を見ると40頭近いグリフが旋回し飛んでいる!
でもグリフはコールマン領地から出ないんじゃ無かったの⁈
殿下が降ろしてくれ広場で上を見上げたらランが飛んでいるのが見えた。

「ラン!」

私に気付いたランとカイが降りて来た。興奮した様子もなく私に擦り寄って来る。喉元を撫でてやると目を細め嬉しそう。上空のグリフは順次降りて来た。遠巻きに構える騎士に

「大丈夫です。何もしなければと攻撃しないから、じっとしていて下さい!」
「皆、我が妃の命に従え」

ローランド殿下が指示してくれ安心する。よく見るとランとカイの子もいる。撫でながら遠くまで飛べるようになったんだと感動する。まるで親戚の子の成長を喜ぶおばちゃん気分だ。

「グリフ群は壮観だなぁ…」
「あぁ…我が領地でも一度にこれだけの数は見れないぞ」

順番にグリフを撫でていたらランとカイの子が花を咥えて来た。見たことも無い綺麗なピンク色の花だ。するとアレックスさんが

「もしかして春香の婚姻を祝いにきたのか…」
「本当に?だったら嬉しい!ありがとうみんな!」

喉を鳴らしたランが遠吠えしたら一斉にグリフは飛び立ち、また旋回し出した。そして…
グリフが飛びながら花をまいて空から花びらが降って来る。

「綺麗…」

見上げて感動していたらアレックスさんが後ろから抱きしめて

「幸せだなぁ…」
「うん…」

少しするとグリフはコールマン領の方へ飛んでいった。グリフはテクルスの使いだから、テクルスからも祝ってもらったんだと感動した。

今日の式は国内だけで後日他国の王族を招き披露宴がある。当分レイシャルはお祝いが続く。色々不安は有るけど頼りになる夫と両親がいてくれるから大丈夫!だよね⁈
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