時空の迷い子〜異世界恋愛はラノベだけで十分です〜

いろは

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112.王命

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「・・・」

のっけからブッ込まれて口を開けて唖然としてしまう。ジル妃殿下は鼻息荒く凄い意気込みだ。咳払いをして座り直す。

「えっと…私は元の世界でも未婚で既婚者や経産婦に聞いただけで、どこまで正確な情報かは分かりませんがそれでもいいですか⁈」
「はい!可能性のあることは何でも試します!」
「ではデリケートな部分も伺いますが、お答えになりたく無い時は無理なさらないで下さい」
「ありませんわ!何でも仰って!!」

圧が強く腰が引けてきた。

「あ…はぃ…では月のものは乱れず正確に来ていますか?」

するとメモを取っていた女医さんが

「妃殿下はずれる事なく29日です」
「そっそうですか…では仲良くするタイミングは?」
「”仲良く”?…あっ愛し合う事かしら?だったら殿下の気分で」

やっぱりタイミングかなぁ…
そして思い出しながら先輩に聞いたタイミングの話をし、妊娠しやすい日を狙って仲良くする事を勧めた。後仲良くする前は男性は禁欲する事も。
女医さんは興奮気味にメモを取り、時折質問をしてくる。それを横で聞いている妃殿下は真剣過ぎて引くレベルだ。

「それより妃殿下はレイトン殿下が側室を増やすの嫌じゃないんですか?」
「・・・」

部屋の空気が凍る!

『余計な事言った!』

ヤバい覆水盆に返らずだ!すると妃殿下は女医に退室を命じ、出来ればメリージェーンさんも退室して欲しいと願って来た。メリージェーンさんは拒んだが、何故か私はジル妃殿下に悪意を感じず、メリージェーンさんを説得し退室してもらう。
ジル妃殿下は残った侍女のマリーナさんに守秘を誓わせ静かに話し出した。

「レイトン殿下はオルフ殿下との継承争いを避ける為に道化を演じられています。本当は聡明で頴悟なお方です。側室は4人いますが誰一人殿下が望んだ訳ではありません。全て王命なのです」
「では…男の子を授かる為に⁈」
「はい。私が授かればよかったのですが、2人とも姫でした。危惧した陛下が男兄弟が多い家の令嬢を王命で側室に…」

驚きの事実に絶句する。本人の意思無視だなんて…

「身籠った側室達はまだいません。殿下は家畜の様に子を儲ける為だけに、愛の無い女性を抱かなければならないのです。殿下は徐々に側室を抱けなくなっていき、今や媚薬を強要され心身共に疲弊されているのです」
「・・・」

私が以前盛られそうになったカブトルの媚薬の経緯を思い出した。子を欲しい気持ちや愛する人と仲良くしたい気持ちは、誰かにコントロールされるものではない。
なんか腹が立ってきた!するとジル妃殿下が席を立ち深々と頭を下げて

「謝辞が遅れ申し訳ございません。以前アドバイスいただき、高温期に対策したお陰で死者が大幅に減り大切な民を守れました。春香妃殿下の助言のお陰にございます」
「お役に立てれば嬉しいです」

どうやら冷石と経口補水液で熱中症を防げた様だ。誰かの為になれたのはとっても嬉しい!

「レイトン殿下から春香妃殿下の話をお聞きして尊敬していたのです。そして妃殿下ならレイトン殿下を救う術をお持ちだと思ったら、私居ても立っても居られなくて伺いもなく押し掛けてしまって…」
「ちょっとビックリしました。でもドア越しですが、妃殿下の切羽詰まったお声が気になって面会をお受けしたんです。あれが無かったら断っていました」
「私は殿下のお役に立てたのでしょうか…」
「はい!バッチリです!」

すると妃殿下の綺麗な瞳から雫が…

「愛する殿下に何もしてあげれなく…王子を産んで差し上げれないのに、殿下はいっぱい愛して下さり…もどかしさと己が腹立たしく思っておりました」

ハンカチをジル妃殿下に渡し、本当レイトン殿下を妃殿下を通して初めて知った気がした。少ししたら落ち着いた妃殿下にふと湧いた疑問を聞いてみる。

「第1王子殿下にはお子はいらっしゃらないのですか?」
「はい。妃を迎えられ10年経ちますが全く…噂では大病をされた7年前から妃様とも目合う事も無いと聞きます」

この後聞いた話では7年前に高熱が5日続き生死を彷徨う病を患ったそうだ。確か男性が高熱が続くと不妊になると聞いた事がある。で余計にレイトン殿下に期待が集まった訳か…

『男の子かぁ…レイシャルなら”男”しか生まれないからそんな心配…』
「あっ!」

思ったより大きい声で自分でビックリする。

「妃殿下!一番近い月のものが始まってから何日めですか⁈」
「春香妃殿下何かあるのですか⁈アナ何日目かしら⁈」
「ジル様。15日目です」
「タイミング的にバッチリですし、ここはレイシャルです。レイシャルでは男の子しか生まれません。他国の女性もレイシャルにくると男の子を身籠もります」
「つまり今日仲良くすれば…」
「可能性は高いかもしれません」

表情を明るくした妃殿下は私に抱き着き、何度もお礼を述べる。

「でも期待しないで下さい。医学が進んでいる私の世界でも産み分けは完璧では無いし、授かる確率は30%で高くありませんから」
「ダメだからと貴女を責めたりしませんわ!」

どうやら今日がチャンスみたいだ。ソワソワしているジル妃殿下。一刻も早くレイトン殿下に話し仲良くしたいのかなぁ?

『きゃっ!恥ずかしい!』

妃殿下の心情を汲んで面会を終わらせた。
そして…この1年後にアフルガンに王子が誕生する事になるなんて、この時は思ってもいなかったのだ。私の教えたタイミング方が良かったのかレイラの制約が効いたのかは分からないが、王子誕生後にアフルガンから大量のお礼の品が届く事となった。


面会を終えマリーナさんがメリージェーンさんとアレックスを呼んで来てくれた。メリージェーンさんも退室した事で機嫌が悪いアレックス。無言だ!メリージェーンさんを旦那様が待つ控え室に送りお礼を言うと、旦那様とらぶらぶで退城された。アレックスと騎士さんと部屋に戻るとマリーナさんを下がらせ、抱きかかえソファーに座るアレックス。ちゅーをし見つめて来て少しレベルを下げる。女性同士で心配する事無いと思っていたけど彼は心配性だった。でも愛されていると実感できる。

「心配かけてごめんね。アレク好きだよ」
「春香…お前が思っている以上にお前を愛してる」

ちゅーをし耳を甘噛みしたアレックスが耳元で囁く。

「早くお前と一つになりたい…」
「!」

忘れてた!明日披露宴でそれが終わったら…初夜だ!人の妊活応援している場合では無かった!
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