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111.念書
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「メリージェーンさん!」
「春香さん!相変らず可愛いですね。どうされましたこんなところで⁈」
「いきなりでごめんなさい!お願いがあります」
「?」
偶々登城していたメリージェーンさんを捕まえてローランドの執務室に急ぐ。メリージェーンさんは半年前に婚姻し伯爵夫人になっている。今日は旦那様について登城していた。ヴェルディアで護衛してもらってから仲良くしてもらっている。年が近いので気心知れた友達だ。メリージェーンさんは今妊娠中。だからジル妃殿下との面会には強い味方になるだろう。説明を後にして取りあえずローランドの執務室に着いた。入室するとローランド、アレックスとモーリス様がいて難しい顔をしている。何この話にくい雰囲気は…
「ローランド!お願い!」「春香に頼みがある!」
「「へっ⁈」」
顔を見合わせフリーズするとモーリス様が
「恐らく同じ案件の様ですね。流石ご夫婦だ」
するとアレックスが途端に機嫌が悪くなる。今日も添い寝決定だろうか…
とりあえず妊婦のメリージェーンさんに座って貰い膝掛けを掛けてから席に着くとローランドが眉尻を下げて話出す。
「春香。別の方面から圧力がかかり、レイトン殿下の相談は回避出来そうにない」
「はい。お受けします」
「「「はっ⁈」」」
男性陣は口を開けて間抜けな顔をしてフリーズし、メリージェーンさんは意味が分からず困惑中だ。
「ありがたいが、春香どうしたんだ!あんな嫌がっていたのに…」
「但し!レイトン殿下に話すのは嫌なのは変わりません!ジル妃殿下にならお話しします」
気不味そうに手を上げたメリージェーンさんが
「お話の腰を折り申し訳ございません。私話が読めなくて…何故呼ばれたのか説明いただきたい」
「ごめんなさい!メリージェーンさんにジル妃殿下との面会に同席してもらいたいんです!」
直ぐにわちゃわちゃになった話をモーリス様が纏めてくれた。
実はジル妃殿下はゴラスの宰相の姪にあたり、レイシャルと友好関係にあるゴラスの宰相の叔父さんにジル殿下が泣き付き、アフルガンと経済的に友好関係のゴラスが動いた。ゴラスとしてもアフルガンがチュナン国の属国となると色々まずいらしい。
「先程ジル妃殿下が突撃して来た時の様子が気になり、その後にギラン皇太子殿下からアフルガンの内情を聞いたんです。でもレイトン殿下にこんなデリケートな話はしたくなくてジル妃殿下にならと…」
「少し話が見えて来ましたわ。つまりジル妃殿下との面会に同伴かつ護衛にと言う事ですね」
頷くとメリージェーンさんは座り直し、胸に手を当てて
「妊娠中ではございますが、春香さんを護る事は出来ますわ!お任せ下さい」
「危ない事なんてないから!面会の部屋は女性しか入れないし、部屋の外には騎士さんに待機してもらうからね」
するとレベル4のアレクが同席すると言い出した。拒否するといくらメリージェーンさんが元騎士とはいえ身ごもだからと難色を示す。大丈夫だと言うメリージェーンさんと睨み合いになり…
「春香はジル妃殿下になら話をすると言うのだなぁ⁈」
「はい」
「分かった…その条件でなら受けるとレイトン殿下に伝えよう」
「後追加で条件を出して下さい」
「今回は春香には無理をさせるんだ、出来うる限り要望は聞こう」
追加条件はレイトン殿下いやアフルガンに念書を書いてもらう事だ。困るたびに頼られるのは嫌だ。これで最後にしてほしい。
「流石春香だ。念書を貰い次第調整しよう。モーリス直ぐ取り掛かってくれ。後陛下にも報告を」
「畏まりました」
恐らくローランドもアレックスも付き添いたい筈だ。でも私が絶対嫌!まだ初夜もまだなのに妊活の話なんて聞かせたく無いもん!
こうしてアフルガンの面会はなんとかなりそうだ。この後メリージェーンさんをご主人が迎えに来られ、メリージェーンさんは仲良く退城して行った。
騎士さんに付き添われ部屋に戻るとミハイルが来た。どうやらローランドからジル妃殿下の話を聞いた様だ。
「ミハイルも反対?」
「いや。メリージェーンが付き添い、先方も侍女が付き添うなら大丈夫だろう。春香は間違った事をしていないなら俺は信頼し援助するだけだ」
「ミハイル!」
思わずミハイルに抱きつくと抱きしめてくれる。ミハイルは2人と違い危険がない限り私の意志を尊重してくれる。悋気も2人ほど激しくなく、どちらかと言うと内に秘めているタイプだ。だからキャパオーバーした時は大変!私が瀕死になる。
「ハルは優しいからジル妃殿下を放っておけないのだろう⁈それに父上に聞くとレイトン殿下の世間の評判は意図的にしているようだ。軟派な行動は兄上との継承者争いを起こさなさい為だとも言われている。意外に悪いお方では無いのかもな」
「そうなんだ…」
するとちゅーしながら触れてくるミハイル。
「ハルは小さく柔らかくて幸せが詰まっている。俺の癒しだ…ハルとの間に子は欲しいが、俺はハルがいてくれるだけでいい」
「でも公爵家の跡取は必要でしょ?」
「別にいいさ」
「駄目じゃん!それに私子供好きだからミハイルの子が欲しいよ」
「ハル…」
『あっ!しくった!』
ミハイルの瞳に熱が籠り更に強く抱きしめられる。ミハイルは他の2人に比べて少し体温が高い。だからミハイルに抱っこされると眠くなる。一緒にベッドで寝ると温そうだ。そんな事を考えていたらミハイルが徐に私を抱き上げ寝室に向かい歩き出した!
「ミハイル!まだ寝る時間じゃ…」
「ハルの嫌がる事と約束通り手は出さないよ。ただ添い寝したいだけだ。嫌か?」
「…いやじゃ…ないけど…恥ずかしい」
「俺のハルは可愛すぎる!」
ミハイルはベッドの中には入らず、掛け布団の上からミハイルに抱きしめられる。あまりにも心地よくてうたた寝していたら…
“ばん!”
寝室の扉が開いた。びっくりして入口を見ると仁王立ちしレベル3のアレックスが…
「アレク?お仕事は終わったの?」
「あぁ…ミハイル…代わってくれ。疲れた心を春香には癒やしてもらうんだ」
「…嫌だと言いたいがお互い様だ。分かっていると思が…」
「皆まで言うな。誓いは守る」
「誓いって?」
2人共質問には答えてくれず、ミハイルはちゅーをしベッドから起きて寝室を出て行った。代わりにアレックスがベッドに来て、ちゅーをして添い寝する。
どうやら初夜について夫達は何かしら約束をしている様だ。何度聞いても教えてくれない。この日から3人は疲れると私を抱き枕にするのが日課となった。
夕食時間になりアレックスは町屋敷に戻って行き、ローランドが公務を終え部屋に帰って来た。ゆっくり話しながら食事を頂いていると、モーリス様が手紙を持ってきた。食事中に来るなんて急ぎの案件かなぁ⁈
手紙を読みモーリス様に返事をしたローランドは
「春香。アフルガンから念書をもらい、明日5時からジル妃殿下との面会が決まった。勿論メリージェーン嬢の了解も得ている。頼めるかぃ⁈」
「はい。それにしても早く決まりましたね」
「うちとしても披露宴前に厄介ごとは終わらせたいし、アフルガンはこちらの気が変わらない内に話したいのだろう」
こうして明日の面談が決まった。明日疲れるは必至だから早く寝もうと考えていたらローランドが
「春香は夫を癒やすために添い寝してくれる様だ。私も今日はとても疲れた。さぁ!春香のベッドで私を癒やしてくれ」
「へ?」
こうして癒やしを理由にローランドにベッドで濃厚な口付け&スキンシップを受け、休むどころかへろへろにされ1日を終えたのでした。
翌朝、早めに起こされ支度をする。
レイシャル側はメリージェーンさんと最近仕えてくれる様になった侍女のマリーナさん。アフルガンは侍女と女医さんが同席するらしい。女医さんが同席すると聞き緊張して来た。プチ情報程度しか知らない私が医師に話して大丈夫なのか猛烈に心配になって来た。
時間になりメリージェーンさんが旦那様に付き添われ来た。旦那様は穏やかな”the良い人”だ。
「ハニー妃殿下の為にがんばっておいで、私は控室で待っているよ」
「ダーリン…」
ゔ…ん激甘だなぁ!新婚な上に赤ちゃんがいるんだもんなぁ…ってウチも新婚さんだった。同じ新婚でもこうも違うのかと苦笑する。
そうしている内にアレックスが来て抱き寄せちゅーする。ローランドは別の用事で来れないから、替わりにアレックスが着いてくれる。まだ慣れないマリーナさんは驚いた顔をして見ている。後で聞いた話だけど貴族令嬢は皆んなアレックスが男色だと認識していたそうだ。微笑めば睨まれ話しかければ無視をされて来たから仕方ない。私を溺愛するアレックスがまだ信じられそうだ。確かに私も初めの対応は激辛だったもんなぁ…
今は蜂蜜漬けのアレックスで辛味なんて皆無だもんなぁ!
「春香妃殿下。お時間がございません。貴賓室へのご移動を…」
「あっごめんなさい」
マリーナさんに促され面会場所の貴賓室に向かう。部屋に着くとレイトン殿下とジル妃殿下が既にいらっしゃりご挨拶を受ける。
「春香妃殿下。この度は我々の申し出を受けていただきありがとうございます。妃殿下の慈悲に感謝を」
「いえ…正式に申し込みいただきましたので…それにローランド殿下がお許しになったので、お礼なら陛下とローランド殿下に」
「相変わらず。奥ゆかしくそして聡い。アレックス殿。この度はご成婚おめでとうございます。心配なさらなくても妃殿下に邪な想いはありませんので…」
初めてお会いするけどジル妃殿下はスレンダービューティーだ。ゴラスの女性は高身長でダイナマイトボディーの人が多いが、妃殿下はスリムなモデル体型だ。淡いアッシュグレーの髪にサーモンピンクの瞳が印象的なクールビューティだ。
「殿下。忙しい中春香妃殿下に時間を頂いているのです。始めたいので殿方はご退室を…」
『おぉ…』
大人しそうに見えたがはっきりものを言うタイプかも…
ジル妃殿下に促されレイトン殿下とアレックス双方の騎士は隣の部屋に移動して行った。
着席し給仕をした従僕さんが退室したら開口一番にジル妃殿下が
「ズバリお聞きしますわ。春香妃殿下!どうすれば男の子を授かりますか⁈私何でもやります。食べ物や運動…恥ずかしいのですが、つながり方までなんでも!」
「つっつながり方⁉︎」
つまり俗に言う”体位”って事!一気に顔が赤くなる。未経験にそれ聞く⁈
のっけからすごい話にこの面会が無事に終わるか心配になって来た。
「春香さん!相変らず可愛いですね。どうされましたこんなところで⁈」
「いきなりでごめんなさい!お願いがあります」
「?」
偶々登城していたメリージェーンさんを捕まえてローランドの執務室に急ぐ。メリージェーンさんは半年前に婚姻し伯爵夫人になっている。今日は旦那様について登城していた。ヴェルディアで護衛してもらってから仲良くしてもらっている。年が近いので気心知れた友達だ。メリージェーンさんは今妊娠中。だからジル妃殿下との面会には強い味方になるだろう。説明を後にして取りあえずローランドの執務室に着いた。入室するとローランド、アレックスとモーリス様がいて難しい顔をしている。何この話にくい雰囲気は…
「ローランド!お願い!」「春香に頼みがある!」
「「へっ⁈」」
顔を見合わせフリーズするとモーリス様が
「恐らく同じ案件の様ですね。流石ご夫婦だ」
するとアレックスが途端に機嫌が悪くなる。今日も添い寝決定だろうか…
とりあえず妊婦のメリージェーンさんに座って貰い膝掛けを掛けてから席に着くとローランドが眉尻を下げて話出す。
「春香。別の方面から圧力がかかり、レイトン殿下の相談は回避出来そうにない」
「はい。お受けします」
「「「はっ⁈」」」
男性陣は口を開けて間抜けな顔をしてフリーズし、メリージェーンさんは意味が分からず困惑中だ。
「ありがたいが、春香どうしたんだ!あんな嫌がっていたのに…」
「但し!レイトン殿下に話すのは嫌なのは変わりません!ジル妃殿下にならお話しします」
気不味そうに手を上げたメリージェーンさんが
「お話の腰を折り申し訳ございません。私話が読めなくて…何故呼ばれたのか説明いただきたい」
「ごめんなさい!メリージェーンさんにジル妃殿下との面会に同席してもらいたいんです!」
直ぐにわちゃわちゃになった話をモーリス様が纏めてくれた。
実はジル妃殿下はゴラスの宰相の姪にあたり、レイシャルと友好関係にあるゴラスの宰相の叔父さんにジル殿下が泣き付き、アフルガンと経済的に友好関係のゴラスが動いた。ゴラスとしてもアフルガンがチュナン国の属国となると色々まずいらしい。
「先程ジル妃殿下が突撃して来た時の様子が気になり、その後にギラン皇太子殿下からアフルガンの内情を聞いたんです。でもレイトン殿下にこんなデリケートな話はしたくなくてジル妃殿下にならと…」
「少し話が見えて来ましたわ。つまりジル妃殿下との面会に同伴かつ護衛にと言う事ですね」
頷くとメリージェーンさんは座り直し、胸に手を当てて
「妊娠中ではございますが、春香さんを護る事は出来ますわ!お任せ下さい」
「危ない事なんてないから!面会の部屋は女性しか入れないし、部屋の外には騎士さんに待機してもらうからね」
するとレベル4のアレクが同席すると言い出した。拒否するといくらメリージェーンさんが元騎士とはいえ身ごもだからと難色を示す。大丈夫だと言うメリージェーンさんと睨み合いになり…
「春香はジル妃殿下になら話をすると言うのだなぁ⁈」
「はい」
「分かった…その条件でなら受けるとレイトン殿下に伝えよう」
「後追加で条件を出して下さい」
「今回は春香には無理をさせるんだ、出来うる限り要望は聞こう」
追加条件はレイトン殿下いやアフルガンに念書を書いてもらう事だ。困るたびに頼られるのは嫌だ。これで最後にしてほしい。
「流石春香だ。念書を貰い次第調整しよう。モーリス直ぐ取り掛かってくれ。後陛下にも報告を」
「畏まりました」
恐らくローランドもアレックスも付き添いたい筈だ。でも私が絶対嫌!まだ初夜もまだなのに妊活の話なんて聞かせたく無いもん!
こうしてアフルガンの面会はなんとかなりそうだ。この後メリージェーンさんをご主人が迎えに来られ、メリージェーンさんは仲良く退城して行った。
騎士さんに付き添われ部屋に戻るとミハイルが来た。どうやらローランドからジル妃殿下の話を聞いた様だ。
「ミハイルも反対?」
「いや。メリージェーンが付き添い、先方も侍女が付き添うなら大丈夫だろう。春香は間違った事をしていないなら俺は信頼し援助するだけだ」
「ミハイル!」
思わずミハイルに抱きつくと抱きしめてくれる。ミハイルは2人と違い危険がない限り私の意志を尊重してくれる。悋気も2人ほど激しくなく、どちらかと言うと内に秘めているタイプだ。だからキャパオーバーした時は大変!私が瀕死になる。
「ハルは優しいからジル妃殿下を放っておけないのだろう⁈それに父上に聞くとレイトン殿下の世間の評判は意図的にしているようだ。軟派な行動は兄上との継承者争いを起こさなさい為だとも言われている。意外に悪いお方では無いのかもな」
「そうなんだ…」
するとちゅーしながら触れてくるミハイル。
「ハルは小さく柔らかくて幸せが詰まっている。俺の癒しだ…ハルとの間に子は欲しいが、俺はハルがいてくれるだけでいい」
「でも公爵家の跡取は必要でしょ?」
「別にいいさ」
「駄目じゃん!それに私子供好きだからミハイルの子が欲しいよ」
「ハル…」
『あっ!しくった!』
ミハイルの瞳に熱が籠り更に強く抱きしめられる。ミハイルは他の2人に比べて少し体温が高い。だからミハイルに抱っこされると眠くなる。一緒にベッドで寝ると温そうだ。そんな事を考えていたらミハイルが徐に私を抱き上げ寝室に向かい歩き出した!
「ミハイル!まだ寝る時間じゃ…」
「ハルの嫌がる事と約束通り手は出さないよ。ただ添い寝したいだけだ。嫌か?」
「…いやじゃ…ないけど…恥ずかしい」
「俺のハルは可愛すぎる!」
ミハイルはベッドの中には入らず、掛け布団の上からミハイルに抱きしめられる。あまりにも心地よくてうたた寝していたら…
“ばん!”
寝室の扉が開いた。びっくりして入口を見ると仁王立ちしレベル3のアレックスが…
「アレク?お仕事は終わったの?」
「あぁ…ミハイル…代わってくれ。疲れた心を春香には癒やしてもらうんだ」
「…嫌だと言いたいがお互い様だ。分かっていると思が…」
「皆まで言うな。誓いは守る」
「誓いって?」
2人共質問には答えてくれず、ミハイルはちゅーをしベッドから起きて寝室を出て行った。代わりにアレックスがベッドに来て、ちゅーをして添い寝する。
どうやら初夜について夫達は何かしら約束をしている様だ。何度聞いても教えてくれない。この日から3人は疲れると私を抱き枕にするのが日課となった。
夕食時間になりアレックスは町屋敷に戻って行き、ローランドが公務を終え部屋に帰って来た。ゆっくり話しながら食事を頂いていると、モーリス様が手紙を持ってきた。食事中に来るなんて急ぎの案件かなぁ⁈
手紙を読みモーリス様に返事をしたローランドは
「春香。アフルガンから念書をもらい、明日5時からジル妃殿下との面会が決まった。勿論メリージェーン嬢の了解も得ている。頼めるかぃ⁈」
「はい。それにしても早く決まりましたね」
「うちとしても披露宴前に厄介ごとは終わらせたいし、アフルガンはこちらの気が変わらない内に話したいのだろう」
こうして明日の面談が決まった。明日疲れるは必至だから早く寝もうと考えていたらローランドが
「春香は夫を癒やすために添い寝してくれる様だ。私も今日はとても疲れた。さぁ!春香のベッドで私を癒やしてくれ」
「へ?」
こうして癒やしを理由にローランドにベッドで濃厚な口付け&スキンシップを受け、休むどころかへろへろにされ1日を終えたのでした。
翌朝、早めに起こされ支度をする。
レイシャル側はメリージェーンさんと最近仕えてくれる様になった侍女のマリーナさん。アフルガンは侍女と女医さんが同席するらしい。女医さんが同席すると聞き緊張して来た。プチ情報程度しか知らない私が医師に話して大丈夫なのか猛烈に心配になって来た。
時間になりメリージェーンさんが旦那様に付き添われ来た。旦那様は穏やかな”the良い人”だ。
「ハニー妃殿下の為にがんばっておいで、私は控室で待っているよ」
「ダーリン…」
ゔ…ん激甘だなぁ!新婚な上に赤ちゃんがいるんだもんなぁ…ってウチも新婚さんだった。同じ新婚でもこうも違うのかと苦笑する。
そうしている内にアレックスが来て抱き寄せちゅーする。ローランドは別の用事で来れないから、替わりにアレックスが着いてくれる。まだ慣れないマリーナさんは驚いた顔をして見ている。後で聞いた話だけど貴族令嬢は皆んなアレックスが男色だと認識していたそうだ。微笑めば睨まれ話しかければ無視をされて来たから仕方ない。私を溺愛するアレックスがまだ信じられそうだ。確かに私も初めの対応は激辛だったもんなぁ…
今は蜂蜜漬けのアレックスで辛味なんて皆無だもんなぁ!
「春香妃殿下。お時間がございません。貴賓室へのご移動を…」
「あっごめんなさい」
マリーナさんに促され面会場所の貴賓室に向かう。部屋に着くとレイトン殿下とジル妃殿下が既にいらっしゃりご挨拶を受ける。
「春香妃殿下。この度は我々の申し出を受けていただきありがとうございます。妃殿下の慈悲に感謝を」
「いえ…正式に申し込みいただきましたので…それにローランド殿下がお許しになったので、お礼なら陛下とローランド殿下に」
「相変わらず。奥ゆかしくそして聡い。アレックス殿。この度はご成婚おめでとうございます。心配なさらなくても妃殿下に邪な想いはありませんので…」
初めてお会いするけどジル妃殿下はスレンダービューティーだ。ゴラスの女性は高身長でダイナマイトボディーの人が多いが、妃殿下はスリムなモデル体型だ。淡いアッシュグレーの髪にサーモンピンクの瞳が印象的なクールビューティだ。
「殿下。忙しい中春香妃殿下に時間を頂いているのです。始めたいので殿方はご退室を…」
『おぉ…』
大人しそうに見えたがはっきりものを言うタイプかも…
ジル妃殿下に促されレイトン殿下とアレックス双方の騎士は隣の部屋に移動して行った。
着席し給仕をした従僕さんが退室したら開口一番にジル妃殿下が
「ズバリお聞きしますわ。春香妃殿下!どうすれば男の子を授かりますか⁈私何でもやります。食べ物や運動…恥ずかしいのですが、つながり方までなんでも!」
「つっつながり方⁉︎」
つまり俗に言う”体位”って事!一気に顔が赤くなる。未経験にそれ聞く⁈
のっけからすごい話にこの面会が無事に終わるか心配になって来た。
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