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110.突撃
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「…そんな発想は無かったなぁ」
「斬新だ」
2人に温室栽培を説明した。実際ヴェルディアに行って分かった事だが、極寒の地でも日中は陽はあるから植物は育つ。寒い地だけあり寒さ対策は進んでいて特にサンルームは立派だった。ガラス張りだけど暖石で温度調整されており三重ガラスで結露も無かった。あの技術があれば温室で栽培が出来るはずだ。ただ温室栽培が向いている食物が何かまでかは私には分からない。そこは手探りしてもらわないといけない。けどマルスの様に輸入しても痛みが早い物や輸入困難なものは栽培してみる価値はあるかもしれない。するとローランドが
「その知識をヴェルディアに与えて我が国への対価を考えてみたが正直無いんだ。マルスと他数品以外の農作物は圧倒的にゴラスが輸出している。光石の輸入以外に交渉の手札無い」
利が無く情報は与えられないのは分かる。でもマルスが自国で栽培出来きればヴェルディアの人々の健康に繋がるから何とかしてあげたい。それにヴェルディアはほぼ農作物が作れない。だって外気で土が凍るから作れる農作物が無いのだ。自国で作れればコストも抑えられ一般市民にも行き渡る。
マルスの味はバニラアイスに似ていて食感はメロンだ。栄養価が高く病気の時や疲れた時はマルスをすり潰しミルクと蜂蜜と混ぜてシェイクの様な飲み物を作り飲む。食感は瑞々しくマルスだけでも十分美味しい。
「瑞々しい…ローランド!マルスの栽培方法を教えて」
不思議な顔をしながらローランドは教えてくれた。マルスは水を沢山与えないと作れないそうだ。たっぷり水と暖かくないと育たたない。栄養価が高いだけあり一度収穫すると土を入れ替えないと育たない。
「それ!ローランドは対価ありますよ」
そう対価は“水”と“土”だ。他国でもそうだが水石は何処の国でも採掘され自給自足出来ている。レイシャルは水石の採掘量が多いが輸出先が無い。ヴェルディアも自国で採掘出来ていて輸入はしていなかった。しかし農作物の栽培をして行くとなると水石が必要になる筈だ。情報の提供の対価として水石の輸出を約束すればいい。それに冷地の土では農作物は育たないから土と肥料が必要になる筈だ。そうすると土の輸出と技術者の派遣等で利を得れると思う。ローランドに提案したら…
「室内で農作物をつくる発想も驚いたが水石と土の輸出まで考え付くなんて、春香の世界の知識は凄いな。一般人の春香でこれだ!学者の知識は神レベルだろうな」
褒めちぎられ恥ずかしくなって来て、説明で誤魔化そうとして自ずと早口になり
「やはり農作物は自生する環境が一番いいのに、人口的に育てると栄養価は自生したモノに比べて落ちるかもしれません。その辺までの知識は無いんです。すみません」
「いや!我々からしたら凄いよ。やはり春香は女神だ」
「大袈裟ですよ!私の世界では普通です」
ローランドは陛下に報告へ行くらしく部屋を後にした。残ったアレックスは引っ付いたままだ。
「アレク仕事はいいの?」
「もう終わっている。春香…今日の疲れを癒してくれ…」
「お疲れ様です?ん?」
立ち上がったアレックスは私を抱き上げ、隅に控える侍女に下がる様に伝えて寝室に向かう。
「アレク…私眠いんだけど」
「約束は守るし春香が嫌な事はしない。添い寝をし春香が眠ったら屋敷へ帰るよ」
「・・・」
こうして添い寝でアレクの疲れを癒す?事になったのだが、なかなか眠れなかったのは言うまでもない!
翌朝、陛下とローランドはジャン陛下と面談・交渉し温室栽培の情報をヴェルディアに教える代わりに、水石に土と肥料の取引を決め、近い内に技術者を派遣し温室栽培を進める契約をした。
私の予測通りヴェルディアの水石は自給自足出来ていたが、農作物にまわせるほどは採掘出来ない。ジャン陛下は鉱物の輸出が増え採掘作業が忙しくなり、負担を掛けている鉱夫の為にマルスを作りたいそうだ。鉱夫達に気を配る陛下はいい国王だ。
そしてまたジャン陛下の信頼を得た私はその後知らない間に、ヴェルディアで爵位が与えられていた。そして驚く事に王都に屋敷まで建てられ、その事実を知るのは半年後になる。
大方の来賓が来城され今日からは披露宴の準備が始まる。って言ってもお仕えの方々が忙しく私は王妃様と他国の王妃や王女様のお茶の相手が仕事。合間に衣装の最終調整をしている。本来は今日到着予定のハンナ王女が遅れていて披露宴当日に来城される事をジョシュさんから聞いた。ジョシュさんからハンナ王女との惚気話をずっと聞かされている。ミハイルなんてもう聞きもせず無視状態だ。
親しくしている方々が幸せなのはとっても嬉しい。
今日は夫達が忙しく王妃様の執務室で王妃の公務についてレクチャーを受けていたら王妃様付の女官さんが慌てて執務室に来た。なんだろう…
「妃殿下にお伝えいたします」
「何?」
「こちらにアフルガン第2王子妃のジル様がお見えになり、妃殿下に面会を求められております!」
「はぁ⁈」
するといつもはおっとりしている王妃…違ったお義母様がすごい剣幕で
「まぁ!なんて事なの!親しくも無いのに事前に伺いもたてず押しかけるなんて礼儀知らずな!ローランドかモーリスを呼び対処させなさい」
「それが今お二方とも他国の王族と会談中でございまして…」
すると!!
“ドンドン”
「失礼承知でお願いでございます!春香妃殿下にお目通りを!!」
「ジル様おやめ下さい!!」
凄い勢いで扉をノックされ驚き体がビクつく!
『何怖い!』
扉の外で騎士さんが止めてくれてはいるが、アフルガンの騎士と一触即発状態で大変な事になって来た。ローランドに確認もせず会う訳にもいかないし、どうしたら…すると急に外が静かになる。王妃様と手を取り合い外の様子を伺っていたらレイモンド父様が入って来た。何で?
「安心しなさい。ジル妃殿下はレイトン殿下が連れて戻ったよ」
「レイトン殿下がですか⁈」
「そうだ。困っていた女官が私に助けを求めて来てね。道中レイトン殿下に会い同行してもらい対応してもらったよ」
父様が来てくれやっと体から力が抜けた。王妃様はご立腹で険しい顔をしている。そして少ししたらローランドが慌てた様子で駆け込んで来た。
「春香!大丈夫か⁈」
「うん。びっくりしたけど皆さんが護ってくれたから大丈夫」
「会談を終えたらレイトン殿下がお見えになり、事情を聞き謝罪を受けたよ」
「・・・」
「何かするとは予測はしていたが、まさか奥方が事を起こすとはね…」
口元は笑っているが目が怖いローランド。それにしてもジル妃殿下の声が切羽詰まっていて、唯ならぬ雰囲気が気になった。でも皆んな静かに怒っていて、ジル妃殿下やレイトン殿下の名前を出すだけで大変な事になりそうで言えなかった。
気まずい雰囲気の中、文官さんがギラン皇太子とアンリ王女とのお茶の時間だと知らせてきた。まだご立腹の王妃様とローランドに一言断りアンリ殿下の元に急ぐ。
「遅くなりすみ…ぶっ!」
「春香!ジル殿下に何されたの!」
「ダーリン!落ち着いて!春香妃殿下が潰れてしまうよ!」
部屋に入るなりアンリ殿下に抱きつかれ豊満なお胸で窒息しかけた。ギラン殿下に助けてもらい席に着く。なんでギラン皇太子とアンリ王女がジル妃殿下の突撃を知っているんだろう⁈
やっと落ち着きお茶をいただくと、2人は目の前でイチャイチャしだす。微笑ましく見ていたら…ギラン殿下が
「春香妃殿下。アフルガンは今隣国と緊張状態でレイトン殿下は焦っていると聞く。春香妃殿下に知恵を借りたい様だ」
「あの?アフルガンが隣国と緊張状態って⁈」
ギラン殿下はアフルガンの現状を教えてくれた。アフルガンの王子に世継ぎが生まれない事から、隣国のチュナン国の王子を養子に迎える話が出ている。チュナン国王はアフルガンの現王の弟でレイトン殿下の叔父にあたる。
チュナン国王がアフルガンの王弟当時の家臣が、チュナン国王の第3王子を迎える事を進言し、アフルガン家臣が国王派と元王弟派の二極化し国政が不安定らしい。
それを阻止するにはレイトン殿下に男児が必要になる訳だ。
状況はわかったけど…レイトン殿下が焦っているのは分かるけど、何故ジル妃殿下が必死なの?側室を沢山迎えて妃としたら嫌じゃ無いの?
色々と疑問が浮上するとギラン皇太子殿下が笑いながら
「アンリから聞いていたが本当に愛らしいお方だ。思っている事が表情で分かりますね。初めてお会いしたのに親近感を感じます。妃殿下が今思っているのは何故私がアフルガンに詳しいかですね⁈」
どストライクな返答に思わず何度も頷くとアンリ王女が駆け寄り抱きしめて“可愛い”を連発している。
「何故なら私とレイトン殿下の兄上のオルフは親友なのです」
皇太子殿下とアフルガン第1王子のオルフ殿下は幼少期から付き合いで勿論レイトン殿下とも交流があるらしい。って事は今日のお茶会はレイトン殿下の回し者⁈皇太子殿下の発言を聞き一気に警戒すると
「そう警戒しないで下さい。私は友の事とは言え中立の立場です。貴女をレイトン殿下に合わすために今日のお誘いした訳ではありません。色んな思惑がありますが、正しい現状を知っていただきたいだけなのです」
「はぁ…」
「アンリ。貴女の昔話をするけど気を悪くしないでね」
「友の春香にならいいわ」
そう言いアンリ王女に口付けから私を真っ直ぐ見据えて
「アンリがミハイル殿との付き合わせ最後に日に犯した過ちを貴女は許し、アンリに“自分で行動しないと後悔する。行動すれば後悔はしない”と言ったそうですね。アンリはその言葉で変わりました。恐らく妃殿下はジル妃殿下が気になっているのではありませんか⁈」
「はい!そうなんです。レイトン殿下が必死なのは分かるけど正妻のジル様の方が切羽詰まって感じなのが気になって」
「やはり貴女は賢いですね。ものの本質を分かってらっしゃる。気になるなら後悔しない様に行動される事をお勧めします」
別にアフルガンとレイトン殿下が嫌いなわけではない。妊活や夜の事情を話したくないだけ。なら…ジル妃殿下になら…
「ギラン皇太子殿下!ありがとうございます。もやもやが晴れていく気がします」
「お役に立ててよかった。アンリ。貴女の友は素晴らしいね」
アンリ王女は皇太子殿下に抱き付いてちゅーラッシュが始まった。これはお暇した方がよさそうだ。お2人にご挨拶し部屋を後にした。
部屋に戻らずローランドの執務室へ向かう。多分反対されると思うけどジル妃殿下の面談を受けようと思う。女性同士ならまだ猥談はまだ抵抗がない。
護衛騎士さんは遠慮願いたいから…誰に付き添ってもらうか悩む。夫達は嫌だ。何か分からないけど危険な気がする。
ぶつぶつ言いながら廊下を歩いていたら前から知っている人が歩いてくる
「あっ!!」
適任者めっけ!
「斬新だ」
2人に温室栽培を説明した。実際ヴェルディアに行って分かった事だが、極寒の地でも日中は陽はあるから植物は育つ。寒い地だけあり寒さ対策は進んでいて特にサンルームは立派だった。ガラス張りだけど暖石で温度調整されており三重ガラスで結露も無かった。あの技術があれば温室で栽培が出来るはずだ。ただ温室栽培が向いている食物が何かまでかは私には分からない。そこは手探りしてもらわないといけない。けどマルスの様に輸入しても痛みが早い物や輸入困難なものは栽培してみる価値はあるかもしれない。するとローランドが
「その知識をヴェルディアに与えて我が国への対価を考えてみたが正直無いんだ。マルスと他数品以外の農作物は圧倒的にゴラスが輸出している。光石の輸入以外に交渉の手札無い」
利が無く情報は与えられないのは分かる。でもマルスが自国で栽培出来きればヴェルディアの人々の健康に繋がるから何とかしてあげたい。それにヴェルディアはほぼ農作物が作れない。だって外気で土が凍るから作れる農作物が無いのだ。自国で作れればコストも抑えられ一般市民にも行き渡る。
マルスの味はバニラアイスに似ていて食感はメロンだ。栄養価が高く病気の時や疲れた時はマルスをすり潰しミルクと蜂蜜と混ぜてシェイクの様な飲み物を作り飲む。食感は瑞々しくマルスだけでも十分美味しい。
「瑞々しい…ローランド!マルスの栽培方法を教えて」
不思議な顔をしながらローランドは教えてくれた。マルスは水を沢山与えないと作れないそうだ。たっぷり水と暖かくないと育たたない。栄養価が高いだけあり一度収穫すると土を入れ替えないと育たない。
「それ!ローランドは対価ありますよ」
そう対価は“水”と“土”だ。他国でもそうだが水石は何処の国でも採掘され自給自足出来ている。レイシャルは水石の採掘量が多いが輸出先が無い。ヴェルディアも自国で採掘出来ていて輸入はしていなかった。しかし農作物の栽培をして行くとなると水石が必要になる筈だ。情報の提供の対価として水石の輸出を約束すればいい。それに冷地の土では農作物は育たないから土と肥料が必要になる筈だ。そうすると土の輸出と技術者の派遣等で利を得れると思う。ローランドに提案したら…
「室内で農作物をつくる発想も驚いたが水石と土の輸出まで考え付くなんて、春香の世界の知識は凄いな。一般人の春香でこれだ!学者の知識は神レベルだろうな」
褒めちぎられ恥ずかしくなって来て、説明で誤魔化そうとして自ずと早口になり
「やはり農作物は自生する環境が一番いいのに、人口的に育てると栄養価は自生したモノに比べて落ちるかもしれません。その辺までの知識は無いんです。すみません」
「いや!我々からしたら凄いよ。やはり春香は女神だ」
「大袈裟ですよ!私の世界では普通です」
ローランドは陛下に報告へ行くらしく部屋を後にした。残ったアレックスは引っ付いたままだ。
「アレク仕事はいいの?」
「もう終わっている。春香…今日の疲れを癒してくれ…」
「お疲れ様です?ん?」
立ち上がったアレックスは私を抱き上げ、隅に控える侍女に下がる様に伝えて寝室に向かう。
「アレク…私眠いんだけど」
「約束は守るし春香が嫌な事はしない。添い寝をし春香が眠ったら屋敷へ帰るよ」
「・・・」
こうして添い寝でアレクの疲れを癒す?事になったのだが、なかなか眠れなかったのは言うまでもない!
翌朝、陛下とローランドはジャン陛下と面談・交渉し温室栽培の情報をヴェルディアに教える代わりに、水石に土と肥料の取引を決め、近い内に技術者を派遣し温室栽培を進める契約をした。
私の予測通りヴェルディアの水石は自給自足出来ていたが、農作物にまわせるほどは採掘出来ない。ジャン陛下は鉱物の輸出が増え採掘作業が忙しくなり、負担を掛けている鉱夫の為にマルスを作りたいそうだ。鉱夫達に気を配る陛下はいい国王だ。
そしてまたジャン陛下の信頼を得た私はその後知らない間に、ヴェルディアで爵位が与えられていた。そして驚く事に王都に屋敷まで建てられ、その事実を知るのは半年後になる。
大方の来賓が来城され今日からは披露宴の準備が始まる。って言ってもお仕えの方々が忙しく私は王妃様と他国の王妃や王女様のお茶の相手が仕事。合間に衣装の最終調整をしている。本来は今日到着予定のハンナ王女が遅れていて披露宴当日に来城される事をジョシュさんから聞いた。ジョシュさんからハンナ王女との惚気話をずっと聞かされている。ミハイルなんてもう聞きもせず無視状態だ。
親しくしている方々が幸せなのはとっても嬉しい。
今日は夫達が忙しく王妃様の執務室で王妃の公務についてレクチャーを受けていたら王妃様付の女官さんが慌てて執務室に来た。なんだろう…
「妃殿下にお伝えいたします」
「何?」
「こちらにアフルガン第2王子妃のジル様がお見えになり、妃殿下に面会を求められております!」
「はぁ⁈」
するといつもはおっとりしている王妃…違ったお義母様がすごい剣幕で
「まぁ!なんて事なの!親しくも無いのに事前に伺いもたてず押しかけるなんて礼儀知らずな!ローランドかモーリスを呼び対処させなさい」
「それが今お二方とも他国の王族と会談中でございまして…」
すると!!
“ドンドン”
「失礼承知でお願いでございます!春香妃殿下にお目通りを!!」
「ジル様おやめ下さい!!」
凄い勢いで扉をノックされ驚き体がビクつく!
『何怖い!』
扉の外で騎士さんが止めてくれてはいるが、アフルガンの騎士と一触即発状態で大変な事になって来た。ローランドに確認もせず会う訳にもいかないし、どうしたら…すると急に外が静かになる。王妃様と手を取り合い外の様子を伺っていたらレイモンド父様が入って来た。何で?
「安心しなさい。ジル妃殿下はレイトン殿下が連れて戻ったよ」
「レイトン殿下がですか⁈」
「そうだ。困っていた女官が私に助けを求めて来てね。道中レイトン殿下に会い同行してもらい対応してもらったよ」
父様が来てくれやっと体から力が抜けた。王妃様はご立腹で険しい顔をしている。そして少ししたらローランドが慌てた様子で駆け込んで来た。
「春香!大丈夫か⁈」
「うん。びっくりしたけど皆さんが護ってくれたから大丈夫」
「会談を終えたらレイトン殿下がお見えになり、事情を聞き謝罪を受けたよ」
「・・・」
「何かするとは予測はしていたが、まさか奥方が事を起こすとはね…」
口元は笑っているが目が怖いローランド。それにしてもジル妃殿下の声が切羽詰まっていて、唯ならぬ雰囲気が気になった。でも皆んな静かに怒っていて、ジル妃殿下やレイトン殿下の名前を出すだけで大変な事になりそうで言えなかった。
気まずい雰囲気の中、文官さんがギラン皇太子とアンリ王女とのお茶の時間だと知らせてきた。まだご立腹の王妃様とローランドに一言断りアンリ殿下の元に急ぐ。
「遅くなりすみ…ぶっ!」
「春香!ジル殿下に何されたの!」
「ダーリン!落ち着いて!春香妃殿下が潰れてしまうよ!」
部屋に入るなりアンリ殿下に抱きつかれ豊満なお胸で窒息しかけた。ギラン殿下に助けてもらい席に着く。なんでギラン皇太子とアンリ王女がジル妃殿下の突撃を知っているんだろう⁈
やっと落ち着きお茶をいただくと、2人は目の前でイチャイチャしだす。微笑ましく見ていたら…ギラン殿下が
「春香妃殿下。アフルガンは今隣国と緊張状態でレイトン殿下は焦っていると聞く。春香妃殿下に知恵を借りたい様だ」
「あの?アフルガンが隣国と緊張状態って⁈」
ギラン殿下はアフルガンの現状を教えてくれた。アフルガンの王子に世継ぎが生まれない事から、隣国のチュナン国の王子を養子に迎える話が出ている。チュナン国王はアフルガンの現王の弟でレイトン殿下の叔父にあたる。
チュナン国王がアフルガンの王弟当時の家臣が、チュナン国王の第3王子を迎える事を進言し、アフルガン家臣が国王派と元王弟派の二極化し国政が不安定らしい。
それを阻止するにはレイトン殿下に男児が必要になる訳だ。
状況はわかったけど…レイトン殿下が焦っているのは分かるけど、何故ジル妃殿下が必死なの?側室を沢山迎えて妃としたら嫌じゃ無いの?
色々と疑問が浮上するとギラン皇太子殿下が笑いながら
「アンリから聞いていたが本当に愛らしいお方だ。思っている事が表情で分かりますね。初めてお会いしたのに親近感を感じます。妃殿下が今思っているのは何故私がアフルガンに詳しいかですね⁈」
どストライクな返答に思わず何度も頷くとアンリ王女が駆け寄り抱きしめて“可愛い”を連発している。
「何故なら私とレイトン殿下の兄上のオルフは親友なのです」
皇太子殿下とアフルガン第1王子のオルフ殿下は幼少期から付き合いで勿論レイトン殿下とも交流があるらしい。って事は今日のお茶会はレイトン殿下の回し者⁈皇太子殿下の発言を聞き一気に警戒すると
「そう警戒しないで下さい。私は友の事とは言え中立の立場です。貴女をレイトン殿下に合わすために今日のお誘いした訳ではありません。色んな思惑がありますが、正しい現状を知っていただきたいだけなのです」
「はぁ…」
「アンリ。貴女の昔話をするけど気を悪くしないでね」
「友の春香にならいいわ」
そう言いアンリ王女に口付けから私を真っ直ぐ見据えて
「アンリがミハイル殿との付き合わせ最後に日に犯した過ちを貴女は許し、アンリに“自分で行動しないと後悔する。行動すれば後悔はしない”と言ったそうですね。アンリはその言葉で変わりました。恐らく妃殿下はジル妃殿下が気になっているのではありませんか⁈」
「はい!そうなんです。レイトン殿下が必死なのは分かるけど正妻のジル様の方が切羽詰まって感じなのが気になって」
「やはり貴女は賢いですね。ものの本質を分かってらっしゃる。気になるなら後悔しない様に行動される事をお勧めします」
別にアフルガンとレイトン殿下が嫌いなわけではない。妊活や夜の事情を話したくないだけ。なら…ジル妃殿下になら…
「ギラン皇太子殿下!ありがとうございます。もやもやが晴れていく気がします」
「お役に立ててよかった。アンリ。貴女の友は素晴らしいね」
アンリ王女は皇太子殿下に抱き付いてちゅーラッシュが始まった。これはお暇した方がよさそうだ。お2人にご挨拶し部屋を後にした。
部屋に戻らずローランドの執務室へ向かう。多分反対されると思うけどジル妃殿下の面談を受けようと思う。女性同士ならまだ猥談はまだ抵抗がない。
護衛騎士さんは遠慮願いたいから…誰に付き添ってもらうか悩む。夫達は嫌だ。何か分からないけど危険な気がする。
ぶつぶつ言いながら廊下を歩いていたら前から知っている人が歩いてくる
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