時空の迷い子〜異世界恋愛はラノベだけで十分です〜

いろは

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135.男の意地

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アレックスと領地に帰る気満々だった私。ローランドとの生活も楽しかったけど、正式に領主となったアレックスと領地で過ごすのが楽しみで、アレックスが迎えに来てくれるのをずっと待っていた。
それなのにもう暫く待てと言われ落胆ガッカリしてしまう。
気分はただ下がりで気持ちのコントロールできず、アレックスに背を向け俯くと涙がこぼれだす。
すると慌てたアレックスが私の肩を抱こうとしたらローランドがアレックスの手を払い

「最愛の女性ひとを得てもまだ不器用は治らないのか。ずっとお前を待っていた春香の気持を考えろ。そして説明を端折るな」
「…」

そう言いローランドが抱きしめてくれる。ローランドの腕の中が温かく少し気持ちが落ち着て来た。険悪な雰囲気の中モーリス様に促され私の部屋に移動し話し合う事に。
結果から言えばまだ落ち着いていない領地は人手不足で、領主の屋敷も人が揃っていないそうだ。以前働いていた子爵邸の使用人達は解雇となり、ヘルマンさんが近隣の貴族に掛け合ってくれ再就職している。アレックスはいくら命令とは言え領主を騙していた使用人には信頼を置けず、使用人も一層したそうだ。ここで問題が

「元男爵領もオリタ領も圧倒的未婚男性が多く屋敷の侍女をまだ雇えていない。だから春香が来ても世話のできる者が…」
「自分の事は自分で出来るから侍女さんは必要ないよ。アレクもシュナイダー家の町屋敷で身の回りの事を自分でしていたのを知っているでしょ」
「だが伯爵夫人に侍女が居ないなんて!」

そうアレクは私が今領地に来ても不便だから環境が整うまで、王城が王都の町屋敷で過して欲しい様だ。でも私は…

「夫婦はいい事も悪い事も分かち合い助け合うものでしょう⁉︎ 私は不便でもアレクの傍で一緒に苦労したい」
「春香…」

そう言うとアレックスは押し黙ってしまった。暫くの沈黙の後ローランドが

「夫として妻を想っての事なのは分かった」
 
ローランドはそう言いアレックの肩を持つ。やっぱり2人に私の気持をわかってもらえず更に落ち込むと、ローランドは私の目の前に跪いて手を握った。そしてアレックスを見て
 
「私やミハイルも同じ立場になればアレクと同じ選択をするよ。しかし春香の今の発言でそれは【男の意地】なのだと分かったよ。私達は本当に至高の女性を娶れて幸せ者だ。他の女性と違い春香は辛く苦しい事も共にしてくれる最高の伴侶パートナーだ。アレク我々はそれに甘えてもいいのではないか?」

ローランドが私の気持を汲んでくれた。それが嬉しくてローランドに抱きつき頬にキスをする。こういう事はローランドが一番疎いかと思っていたから意外だった。アレックスは少し考えて…

「俺と領地にいけば使用人もおらず毎日雑務に追われる。それでもいいのか? 楽は出来ないし俺も構ってやれない」
「いいよ。日本に居た時は一人暮らしで何でも自分でしたし、昼間は働いていたんだよ。こっちに来てお世話してもらっているけど、私は働くのは当たり前の事なんだから問題ないよ」

アレックスは眉尻を下げ私の前に跪いて手を取り

「ミハイルの所に行くまでの2週間俺を助けてくれるか?」
「喜んで!料理も出来るからね。毎日美味しいもの作るから」
「春香!」

アレックスに抱き付かれ久しぶりのアレックスの香りと体温に不安だった気持ちが消えていくのを感じていた。すると気を利かせたローランドが立ち上がり

「ズルいな春香。手料理はアレクだけか?私も春香の手料理が食べたいよ」
「分かった。じゃぁ明日のランチは私が作るね」

こうして予定通りローランドの所で3週間過ごし、オリタ領に向かう事になった。まだ3週間まで2日ありローランドが離してくれず、アレックスだけ先に領地に向かい私は3日後にオリタ領に向かい王都を出発した。

道中はアレックスに何を作ってあげるか考えたり、屋敷の管理を考えていたら長い移動も苦にならなかった。あ…でも一つ困った事があったなぁ。
バーミリオン領に入ると、どこで聞きつけて来るのか分からないが、バーミリオン侯爵が待ち構えていた。そして夫が居ない私は断る事が出来ず侯爵邸に強引に招かれた。

そうなる事を予知していたのか、ローランドが王宮騎士団から第2分隊をコールマン領まで護衛に付けてくれ、侯爵が過剰な接触をした時は分隊長のマシューさんが間に入ってくれた。こうして難関を無事通過しコールマン領に着き、ここからはコールマン侯爵家の騎士団がオリタ領まで送ってくれる。
そしてコールマン家でまったりと1泊しやっとオリタ領に帰って来た。
林道を通り街中に出たので窓のカーテンを開けると、街は以前来た時より活気がある様に見える。
ふと窓の外を眺めていると、小さい子供と母親が手を振っている。気のせいかと思ったが沢山の人が手を振り何か言っている。気になり窓を開けると

「奥様~お帰りなさい!」「春香様!」

皆さん私を知っている様で手を振り声をかけてくれる。領民に受け入れてもらえた様に感じ嬉しくて窓から乗り出し皆に手を振り「ただいま~」と返事を返した。
 
気分よく街を抜け屋敷を目指し進んで行くと、御者さんが間もなく着くと知らせてくれる。直ぐにカーテンを開けると遠くに屋敷が見えて来た。目を凝らすと玄関先にアレックスとヘルマンさんが見えた。嬉しくて思わず頬が緩む私。気持ちが逸り馬車が止まると扉を自分で開けて扉前のアレックスに飛び付いた。しっかり受け止めてくれたアレックスから甘い口付けを貰い泣きそうになる。
すると前から大きな咳払いをヘルマンさんから貰い、我に返り恥ずかしくなってくる。アレックスの腕からでて姿勢を正し

「皆さんお久しぶりです…あれ?」

アレックスから侍女が雇えていないと聞いていたのに目の前に女性が3人もいる。頭上に疑問を付けていたらアレックスが
 
「父上が春香に不便の無いようにとコールマン邸から侍女を3人派遣してくれた。彼女達は自分からここに来るのを希望してくれ、春香の助けをしたいと言ってくれている。侍女は居るが春香は自分のしたい様に過ごしてくれたらいい。屋敷の事も侍女達と相談し好きにしてくれ」
「コールマン邸に寄って来たけど父様はそんな事一言も…」
 
父様は事前に私に言うと遠慮すると思ったのだろう。さすが細やかな気遣いができるさケイン父様だ。心の中で感謝した。

こうして侍女さん達に助けてもらいながら屋敷を整え、夜は料理長と屋敷の皆さんの夕食を作り充実した2週間を過ごし明日王都へ帰る。
本当はアレックスと一緒に帰りたかったが、アレックスはまだ領地での仕事がありここに残る。また一人で帰る事になりバーミリオン領と通るのかと思うと気が重い。すると私の気持を察したアレックスが
 
「明日、領地の港にミハイルが迎えにくるから心配は要らない」
「へ?」
 
どうやらミハイルも私がバーミリオン侯爵が苦手なのを知っていて船を手配してくれたようだ。バーミリオン領を通らなくていいと思うと気分が浮上。するとミハイルと会えるのを喜んでいると勘違いしたアレックスが盛大にやきもちを妬く。

「暫く妻に会えない夫に何かしてくれないのか?」
「えっと…ちゅう?」

そう言うとベッドに押し倒された。鈍い私でも流石に分かるけど…

「激しく長いのは嫌だよ」

釘を刺すが若い夫は自制が効く訳も無く、長く疲れる大変な夜になったのは言うまでもない。
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