おはなしの倉庫 児童向け短編集

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めくって!ドン・ブック

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『めくって!ドン・ブック』

小学校の図書室のすみっこに、ほこりをかぶった一冊の本がありました。
その名も──ドン・ブック。

「パラパラ、バタバタ!ほらほら、このページ、見て見て!オーレ!見よ、この華麗なる文字の舞!」

でも、誰も手にとりません。

まわりの本たちは小学校の図書室で大人気です。

『パンケーキのひみつ』
「ふわっふわのパンケーキができるんだよ~!シュワシュワ~、じゅわ~!」

『ねこの大ぼうけん』
「にゃーん、森を駆け抜けろ~!ピョンピョン、クルクル~!」

『うちゅう探検日記』
「わあ、宇宙船がバビューン!星がキラキラ、きらきら~!」

ドン・ブックは、ちょっとムッとしてつぶやきました。
「ページをめくれば、ぼくだって踊れるのに……ピョンピョン、クルクル!」

放課後の小学校の図書室は、しずまりかえります。
ドン・ブックはページをひらき、文字を揺らしながら――

「オーレ! 今夜はドン・ブック・フェスタだ!カタカタ、カチカチ!」

ページの端までステップを踏み、文字がリズムに合わせて踊ります。

ほかの読まれない本たちもやってきました。
古い料理本や辞書、図鑑まで。

料理本
「えーっと…これは昔のレシピ…まあ、いいか…」

辞書
「んー…意味を確かめたい人は…いないのかな…」

図鑑
「ふむ…恐竜はここに…ああ、誰も見てくれない…」

ドン・ブックはちょっとため息。
「パラリラ、ピョコピョコ、見てくれよ、この文字たち!」

文字やページが跳ね、棚の上からもカタカタと拍子が聞こえます。

ドン・ブックはサンバのステップで回転。
「ほらほら、ここも見て!オーレ!ワクワク、ドキドキ!」

ページの中のイラストや文字がまるで生きているように踊りだします。
本棚のねずみまで小さくジャンプ!

でも、踊りながらもドン・ブックは小さくため息。
「……やっぱり、誰かに読まれたいなぁ……」

夜の小学校の図書室に、文字たちの笑い声と紙のささやきが響きます。
「シュルシュル、ペラペラ……ねぇ、めくってみてよ!」

ある日の放課後、一人の子が図書室に入りました。

「まぼろしのドン・ブック?なんか楽しそう!」

ページをめくると、文字とイラストが踊って歓迎。
「ピョンピョン、クルクル!ほらほら、見て見て!オーレ!」

ドン・ブックはにっこり笑いました。

夜の小学校の図書室。
ドン・ブックは満足そうに光ります。

「読んでくれたら、やっぱり最高だな!」

文字たちは小さなステップで揺れ、また次の夜も踊る準備をしています。
(ページの端にチラリ、小さな“オーレ!”の文字が光る)

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