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婚約破棄編
2.背負う名が変わるということ
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私とロウ様、リーファとオウル様の婚約破棄。
そして、私とオウル様、リーファとロウ様の婚約を公表してから早一ヶ月が経ちました。
当初は伯爵家の姉妹の婚約者交換は多くの注目を集めましたが、最近はその話題も下火になってきたと耳にします。
当事者である私たちが社交界に姿を見せなかったのも一因でしょう。
婚約をしたらまず、家同士の結束を周知させるために婚約発表のパーティーを開きますが、今回は経緯が経緯なので、パーティーは延期しております。
リーファとロウ様はすぐにでもお客様をお呼びしたいと言っていましたが、それは私が止めました。
ただでさえ自分のことを話すのが好きな上に、婚約で受かれている二人を人前に出せば何を口にするかわからないと判断したからです。
他家の方々にわざわざ新たな話題を提供をする必要もありませんからね。
「これはフリージア夫人から頂いたものだから持っていきましょう。あっちは──ああ、確か去年の誕生日にロウ様から贈られたドレスですわね。手違いかわざとなのか知りませんが、サイズがどう見てもリーファに合ったものなので袖を通せませんでしたが──これは置いていっていいですね。
あとは家財一式も不要ですね。とりあえず、あの人達以外から頂いたものと自分で買ったものだけ持っていければいいでしょう」
室内にあるもの全てを確認しながら、トランクや衣装櫃に詰めるものとそうでないものに振り分けます。とはいえ、そこまで物を持つ性格でもないので、荷造りは早めに終わりそうですね。
寝具──ベッド本体はともかく、布団は自分で新調したものですけれど、嵩張りますよね。枕だけ持っていきましょう。枕が変わるとよく眠れなくなってしまいますから。
寝衣を入れた衣装櫃に枕も入れて蓋をすると、パタパタという足音が近づいてきて、部屋の扉が勢いよく開かれました。
「お姉様!」
わかってはいましたが、闖入者はリーファです。
いつものように流行りのデザインの真新しいドレスに身を包んだリーファは、丸い目を少しつり上げてずんずんとこちらへ向かってきました。
「リーファ、いくら身内でも相手の部屋に入る時はノックしなさいと何度も言っているでしょう。自宅だからと油断してそういう振る舞いをしているといずれ、余所様で失態を──」
「姉妹なんだから別にいいでしょう? もうっ! お父様もお母様も優しいのに、どうしてお姉様だけそんなに意地悪なの? もしかして、本当は橋の下で拾われてきたの?」
「血統を重んじる貴族が拾い子を養子にするわけないでしょう。私は正真正銘お母様が産院で出産したアーモンド家の娘ですよ……疑うなら貴女を取り上げた産婆に確認しますか? 私と一緒ですから。そもそも、私が養子なら最初から貴女の婚約者はロウ様になっていましたよ」
想像力が豊かというか、発想が斜めに飛ぶというのでしょうか。まさかの血縁関係を疑われ、嘆息しそうになりましたが、リーファのことですから深く考えずに口にしただけでしょう。
素直といえば聞こえはいいですが、考えなしに思ったことを話すのは止めた方がいいと思うのですけれど……。
「そんなことはどうでもいいのです! それよりも、お姉様、いい加減意地悪を止めてください!」
「何の話ですか?」
「パーティーに出ちゃダメっていうあれですよ! せっかくロウ様と婚約出来て、新しいドレスやアクセサリーもたっくさん作ったのに、お披露目出来ないなんてあんまりです!」
リーファが辛そうに瞳を潤ませて言い募ってきますが、私としましては別に意地悪で社交場への出入りを禁止しているわけではないのですが。
着飾ってパーティーに出るのが好きなリーファにとっては、確かに難しいことかもしれませんが、それでもこの時期に社交場へ顔を出すのは望ましいことではないとわからないのでしょうか。
「その件ですか。何度も説明したでしょう? 今回の婚約の件は色々と特殊ですので、他家の耳目を集めてしまいます。いらぬ風評が立つのを防ぐため、暫くは目立たないようにする必要があるのです」
「どうしてですか? わたしとロウ様が婚約したんですよ! 皆様もお父様やお母様みたいにお祝いしてくれるはずです。早く教えて差し上げなくては!」
「…………」
リーファのキラキラした顔に返す言葉を見失ってしまいます。
本当に他の皆様方が純粋にリーファたちを祝福して下さると思っているのでしょうか?
社交辞令が常の世界ですから、祝辞は頂けるでしょうが、その裏でどのような会話がされるかはわかりません。
これは明らかにお父様とお母様の育て方のせいですね。お二人ともリーファを褒めるばかりで、少しも叱ったりしませんでしたから。
ティーカップを割っても「いい子」、廊下を走っても「可愛い」、他家のご令嬢のドレスを流行遅れと大勢の前で言っても「自慢の娘」。そんな風に育てられればリーファがこう育つのも仕方ないことですね。
間違いを正されることなく、自己肯定感が悪い方向へ肥大化してしまっています。
一応、リーファがマナーに反することをした時は窘めていましたが、何故か悉くそれを意地悪として捉えられてしまうんですよね。
幼い頃から私が両親に出来が悪い娘と言われているのを見てきたせいでしょうか? 模範的な令嬢になれるよう努めてきたつもりですし、そうあれている自負もあるのですけれど、リーファにはそうは見えていないようです。
「お姉様だっていつも仰っているでしょう? 貴族にとって挨拶はとても大切だって。婚約という人生においてとっても大切な約束をしたんですよ。それをお知らせしないなんてアレです! えーと、そう! タイマン! タイマンです!」
何も言い返さない私に説得が成功していると思ったのか、リーファが更に畳み掛けてきます。
ですから、それは通常の婚約においての話であって、今回は話が違うと何回説明すれば納得してもらえるのでしょうか……。
繰り返しすぎたやり取りに気が遠くなってきましたが、考えればもう必要ないかもしれないという可能性に行き着きました。
「──わかりました。そこまで望むのであれば、リーファの好きにしていいですよ」
「本当に!?」
「ええ。ただし、決してアーモンド伯爵家の家名を汚す真似はしてはいけませんよ。貴女はいずれロウ様と結婚してこの家を守っていかなくてはいけないのですから。これから先は私は何も出来ませんからね」
「お姉様、何の話をしているの?」
「アーモンド伯爵家の未来の話です。この際、意地悪と言われてもいいですけれど、最後に言っておきます。
リーファ、貴女はいずれアーモンド伯爵夫人になります。貴婦人として当主となられるロウ様を支え、伯爵家の家政の一切を取り仕切らねばなりません。人と並び立つのではなく、誰かの後を着いていけばいいことでもありません。貴女自身が自分の力で進んで行かなくてはならない道です。勿論、勉強のために教師を雇ったり、サロンに参加するのもいいでしょう。それはお母様に相談なさい。
いつまでも人に甘えて自分の我儘を通すことだけを考えてはいけませんからね。これからは私も何も手助けは出来なくなりますから、しっかりとやるのですよ」
「難しい話ばっかりでわかんない! お姉様は本当にお喋りが下手ですね。もっと簡単に言ってください!」
リーファは不愉快そうに首をぶんぶんと振ります。最後だと思って冗長になってしまいました。なので、改めて要点を纏めて言い直します。
「これから先、私は貴女が困っても助けてあげられませんし、誰かを怒らせても代わりに謝罪に行くこともしません。だから、何事も自分で乗り越えていける知恵を力を身につけなさい、ということです」
「? 何を言っているの、お姉様。お姉様はわたしのお姉様なんだから、ずっとわたしを助けてくれるでしょう?」
あまりにも純粋な瞳で口にされた言葉に、胸の奥底が底冷えするような気分になりました。
リーファが悪意なく人を貶す言葉を口にしたり、人の物を壊したりした時に一緒に謝罪に行こうと説得して拒まれたことを思い出しました。本人からしてみれば、悪いことをした自覚がないから謝罪する理由がわからないようです。
なので、いつも私が一人で謝罪に行っていました。相手の反応は様々で怒りを露にして罵倒されたり、何故本人が来ないのかと詰問されたり、そういえば水を掛けられたこともありましたね。あの時は冬だったので流石に身に堪えました。
姉として、同じアーモンドの名を背負う者として、それが当然の行動だと思っていましたけれど、いずれジゼル・アーモンドではなくなると思ったら、今までのリーファの行動を心のどこかで迷惑だと思っていたことに気づいてしまいました。
それと同時に、これからの生活に安堵している自分にも。
「いいえ。私はもう、貴女を助けることは出来ません。オウル様と婚姻を結べば、私はジゼル・アーモンドではなく、ジゼル・ラピスフィールになります。背負う家名に尽くすことが貴族の女の宿命であり、私の矜持でもあります。オウル様と婚約した以上、これからは私はアーモンド伯爵家よりもラピスフィール公爵家を優先します。故に、アーモンドである貴女を助けることは出来なくなります」
私はずっと、次期アーモンド伯爵の妻になるべく育てられてきました。だから、自分がジゼル・アーモンドでなくなる日が来ると考えたこともありませんでした。
ですが、婚約者の交換で、いずれアーモンドの姓を捨てることが決まりました。
それを惜しむ気はありません。私にとって大切だったのは、名そのものではなく、背負う名に尽くすこと。だから、ジゼル・アーモンドはリーファ・アーモンドを助けることは出来ても、ジゼル・ラピスフィールはそうではない。何よりも優先すべきはラピスフィール公爵家ですから。
姉妹であることは変わりませんが、それでも別姓になるということは、ひとつの線引きをすることです。アーモンド伯爵家の内情はこれからは、他家の事情になります。他家の事情に干渉することは出来ません。
──だからこそ、最後の最後に貴女の意識が変わることを願います。リーファ。
そして、私とオウル様、リーファとロウ様の婚約を公表してから早一ヶ月が経ちました。
当初は伯爵家の姉妹の婚約者交換は多くの注目を集めましたが、最近はその話題も下火になってきたと耳にします。
当事者である私たちが社交界に姿を見せなかったのも一因でしょう。
婚約をしたらまず、家同士の結束を周知させるために婚約発表のパーティーを開きますが、今回は経緯が経緯なので、パーティーは延期しております。
リーファとロウ様はすぐにでもお客様をお呼びしたいと言っていましたが、それは私が止めました。
ただでさえ自分のことを話すのが好きな上に、婚約で受かれている二人を人前に出せば何を口にするかわからないと判断したからです。
他家の方々にわざわざ新たな話題を提供をする必要もありませんからね。
「これはフリージア夫人から頂いたものだから持っていきましょう。あっちは──ああ、確か去年の誕生日にロウ様から贈られたドレスですわね。手違いかわざとなのか知りませんが、サイズがどう見てもリーファに合ったものなので袖を通せませんでしたが──これは置いていっていいですね。
あとは家財一式も不要ですね。とりあえず、あの人達以外から頂いたものと自分で買ったものだけ持っていければいいでしょう」
室内にあるもの全てを確認しながら、トランクや衣装櫃に詰めるものとそうでないものに振り分けます。とはいえ、そこまで物を持つ性格でもないので、荷造りは早めに終わりそうですね。
寝具──ベッド本体はともかく、布団は自分で新調したものですけれど、嵩張りますよね。枕だけ持っていきましょう。枕が変わるとよく眠れなくなってしまいますから。
寝衣を入れた衣装櫃に枕も入れて蓋をすると、パタパタという足音が近づいてきて、部屋の扉が勢いよく開かれました。
「お姉様!」
わかってはいましたが、闖入者はリーファです。
いつものように流行りのデザインの真新しいドレスに身を包んだリーファは、丸い目を少しつり上げてずんずんとこちらへ向かってきました。
「リーファ、いくら身内でも相手の部屋に入る時はノックしなさいと何度も言っているでしょう。自宅だからと油断してそういう振る舞いをしているといずれ、余所様で失態を──」
「姉妹なんだから別にいいでしょう? もうっ! お父様もお母様も優しいのに、どうしてお姉様だけそんなに意地悪なの? もしかして、本当は橋の下で拾われてきたの?」
「血統を重んじる貴族が拾い子を養子にするわけないでしょう。私は正真正銘お母様が産院で出産したアーモンド家の娘ですよ……疑うなら貴女を取り上げた産婆に確認しますか? 私と一緒ですから。そもそも、私が養子なら最初から貴女の婚約者はロウ様になっていましたよ」
想像力が豊かというか、発想が斜めに飛ぶというのでしょうか。まさかの血縁関係を疑われ、嘆息しそうになりましたが、リーファのことですから深く考えずに口にしただけでしょう。
素直といえば聞こえはいいですが、考えなしに思ったことを話すのは止めた方がいいと思うのですけれど……。
「そんなことはどうでもいいのです! それよりも、お姉様、いい加減意地悪を止めてください!」
「何の話ですか?」
「パーティーに出ちゃダメっていうあれですよ! せっかくロウ様と婚約出来て、新しいドレスやアクセサリーもたっくさん作ったのに、お披露目出来ないなんてあんまりです!」
リーファが辛そうに瞳を潤ませて言い募ってきますが、私としましては別に意地悪で社交場への出入りを禁止しているわけではないのですが。
着飾ってパーティーに出るのが好きなリーファにとっては、確かに難しいことかもしれませんが、それでもこの時期に社交場へ顔を出すのは望ましいことではないとわからないのでしょうか。
「その件ですか。何度も説明したでしょう? 今回の婚約の件は色々と特殊ですので、他家の耳目を集めてしまいます。いらぬ風評が立つのを防ぐため、暫くは目立たないようにする必要があるのです」
「どうしてですか? わたしとロウ様が婚約したんですよ! 皆様もお父様やお母様みたいにお祝いしてくれるはずです。早く教えて差し上げなくては!」
「…………」
リーファのキラキラした顔に返す言葉を見失ってしまいます。
本当に他の皆様方が純粋にリーファたちを祝福して下さると思っているのでしょうか?
社交辞令が常の世界ですから、祝辞は頂けるでしょうが、その裏でどのような会話がされるかはわかりません。
これは明らかにお父様とお母様の育て方のせいですね。お二人ともリーファを褒めるばかりで、少しも叱ったりしませんでしたから。
ティーカップを割っても「いい子」、廊下を走っても「可愛い」、他家のご令嬢のドレスを流行遅れと大勢の前で言っても「自慢の娘」。そんな風に育てられればリーファがこう育つのも仕方ないことですね。
間違いを正されることなく、自己肯定感が悪い方向へ肥大化してしまっています。
一応、リーファがマナーに反することをした時は窘めていましたが、何故か悉くそれを意地悪として捉えられてしまうんですよね。
幼い頃から私が両親に出来が悪い娘と言われているのを見てきたせいでしょうか? 模範的な令嬢になれるよう努めてきたつもりですし、そうあれている自負もあるのですけれど、リーファにはそうは見えていないようです。
「お姉様だっていつも仰っているでしょう? 貴族にとって挨拶はとても大切だって。婚約という人生においてとっても大切な約束をしたんですよ。それをお知らせしないなんてアレです! えーと、そう! タイマン! タイマンです!」
何も言い返さない私に説得が成功していると思ったのか、リーファが更に畳み掛けてきます。
ですから、それは通常の婚約においての話であって、今回は話が違うと何回説明すれば納得してもらえるのでしょうか……。
繰り返しすぎたやり取りに気が遠くなってきましたが、考えればもう必要ないかもしれないという可能性に行き着きました。
「──わかりました。そこまで望むのであれば、リーファの好きにしていいですよ」
「本当に!?」
「ええ。ただし、決してアーモンド伯爵家の家名を汚す真似はしてはいけませんよ。貴女はいずれロウ様と結婚してこの家を守っていかなくてはいけないのですから。これから先は私は何も出来ませんからね」
「お姉様、何の話をしているの?」
「アーモンド伯爵家の未来の話です。この際、意地悪と言われてもいいですけれど、最後に言っておきます。
リーファ、貴女はいずれアーモンド伯爵夫人になります。貴婦人として当主となられるロウ様を支え、伯爵家の家政の一切を取り仕切らねばなりません。人と並び立つのではなく、誰かの後を着いていけばいいことでもありません。貴女自身が自分の力で進んで行かなくてはならない道です。勿論、勉強のために教師を雇ったり、サロンに参加するのもいいでしょう。それはお母様に相談なさい。
いつまでも人に甘えて自分の我儘を通すことだけを考えてはいけませんからね。これからは私も何も手助けは出来なくなりますから、しっかりとやるのですよ」
「難しい話ばっかりでわかんない! お姉様は本当にお喋りが下手ですね。もっと簡単に言ってください!」
リーファは不愉快そうに首をぶんぶんと振ります。最後だと思って冗長になってしまいました。なので、改めて要点を纏めて言い直します。
「これから先、私は貴女が困っても助けてあげられませんし、誰かを怒らせても代わりに謝罪に行くこともしません。だから、何事も自分で乗り越えていける知恵を力を身につけなさい、ということです」
「? 何を言っているの、お姉様。お姉様はわたしのお姉様なんだから、ずっとわたしを助けてくれるでしょう?」
あまりにも純粋な瞳で口にされた言葉に、胸の奥底が底冷えするような気分になりました。
リーファが悪意なく人を貶す言葉を口にしたり、人の物を壊したりした時に一緒に謝罪に行こうと説得して拒まれたことを思い出しました。本人からしてみれば、悪いことをした自覚がないから謝罪する理由がわからないようです。
なので、いつも私が一人で謝罪に行っていました。相手の反応は様々で怒りを露にして罵倒されたり、何故本人が来ないのかと詰問されたり、そういえば水を掛けられたこともありましたね。あの時は冬だったので流石に身に堪えました。
姉として、同じアーモンドの名を背負う者として、それが当然の行動だと思っていましたけれど、いずれジゼル・アーモンドではなくなると思ったら、今までのリーファの行動を心のどこかで迷惑だと思っていたことに気づいてしまいました。
それと同時に、これからの生活に安堵している自分にも。
「いいえ。私はもう、貴女を助けることは出来ません。オウル様と婚姻を結べば、私はジゼル・アーモンドではなく、ジゼル・ラピスフィールになります。背負う家名に尽くすことが貴族の女の宿命であり、私の矜持でもあります。オウル様と婚約した以上、これからは私はアーモンド伯爵家よりもラピスフィール公爵家を優先します。故に、アーモンドである貴女を助けることは出来なくなります」
私はずっと、次期アーモンド伯爵の妻になるべく育てられてきました。だから、自分がジゼル・アーモンドでなくなる日が来ると考えたこともありませんでした。
ですが、婚約者の交換で、いずれアーモンドの姓を捨てることが決まりました。
それを惜しむ気はありません。私にとって大切だったのは、名そのものではなく、背負う名に尽くすこと。だから、ジゼル・アーモンドはリーファ・アーモンドを助けることは出来ても、ジゼル・ラピスフィールはそうではない。何よりも優先すべきはラピスフィール公爵家ですから。
姉妹であることは変わりませんが、それでも別姓になるということは、ひとつの線引きをすることです。アーモンド伯爵家の内情はこれからは、他家の事情になります。他家の事情に干渉することは出来ません。
──だからこそ、最後の最後に貴女の意識が変わることを願います。リーファ。
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