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お茶会編 Re:start
21.知りたいこと
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期せずしてオウル様からお出掛けのお誘いをされました。
私の方から断る理由もありませんので、お受けするとオウル様は嬉しそうににこにことされてらっしゃいます。
「どこに行こうか? ジゼルは何か希望はある?」
「私は──オウル様を知れる場所がいいです」
「僕を?」
大分変な言い方になってしまいました。きょとんとしたオウル様のお顔を見て、すぐに言葉を付け足します。
「えっと、マーカス様のお言葉で私、甘えてしまっていることに気づいたのです。オウル様は婚約してから私に親切にして下さって、公爵家への引っ越すことも受け入れて下さって──そのお優しさに甘えて、オウル様のことを知ることを後回しにして体面ばかり気にしていました。なので、遅ればせながらですがオウル様のことを知りたいです」
この数週間だけでもオウル様が優しくて安心出来るお人だということはわかりました。
一面しか持たない人はいないでしょう。どんな人にも様々な側面があります。今日だって、ご友人の前では少し気さくになられるオウル様を初めて見ました。
どんなことがお好きなのか、どんなことがお嫌いなのか、何をされて喜ばれて、何をされて悲しまれるのか。されて嬉しいことをしてさしあげて、されて嫌なことは避ける。相手を理解して、実行することが信頼を積み重ねることに繋がります。
「僕を知れる場所──うーん、どこだろう? 好きな場所とか、特別な思い出のある場所とかかな──マーカス、エイミー、何か案はない? 僕っぽい場所」
「それだと少し趣旨変わるぞ。お前っぽいってイメージじゃなくて、お前に纏わる場所だろ」
「オウル、なんで俺には訊かないの? 初デートの場所教えてあげるのに」
「だから、あそこはないって言ってるでしょ。オウルも。そういうのは人にじゃなくて自分で決めるべきよ」
「ぱっと思いつかないんだよ。客観的な意見を貰った方がリクエストに答えられかなって思って」
「だとしても初めてって特別なものよ。私なら本人に決めて欲しいって思うけど。自分のことを思って考えてくれるって嬉しいことだから」
「そっか。確かにその方が僕も嬉しいって思うよ。じゃあ、ジゼル。悪いけれど、行き先はじっくり考えさせて貰っていいかな?」
「勿論です。むしろ、抽象的な言い方をしてしまい申し訳ありません」
「ううん。僕を知ろうとしてくれて、ありがとう。ジゼルは甘えてるって言ったけど、僕としてはもっと頼ってくれていいからね。他にも知りたいことがあるなら、何でも訊いて」
「ありがとうございます。知りたいこと──いっぱいある気がしますので、纏めてから質問させていただきます」
「うん、待ってるよ」
帰ったら質問リストを作りましょう。好きな食べ物はなんですか? 好きな動物はなんですか? 嫌いな食べ物はありますか? どんな音楽を聴きますか? 朝型ですか? 夜型ですか?
好き嫌いや趣味や、生活スタイル、物事の判断基準や優先順位。
挙げればキリがありません。普通に百個くらい余裕で越えられそうです。
とりあえず、訊きたいことを書き出して優先したいものに番号を振りましょう。それで一日に一個や二個くらい教えて貰えれば。一日に一回はお話しする時間を作れますし、二、三お答え頂くだけならお時間もあまり取りません。
なかなか悪くない案です。
これも小さな一歩ですが、一歩でも距離が縮まることに変わりありません。
間違いなく良い方向へ向かっています。
そんな風に思っていると、背後からまたあの声がしました。
「お姉様ー、そうそう言い忘れていたことがありました。あまりお父様を困らせちゃダメですよ!」
離れた場所から大きな声でリーファが言ってますが、何の話でしょう? お父様を困らせたつもりはありませんが。
聞き返そうか悩みましたが、またさっきのような流れになっても困るので聞こえなかったフリをしました。
相変わらず、ロウ様には睨まれております。
「何なの、あれ」
「さぁ?」
マーカス様がリーファの言動に対して理解不能と言いたそうな顔をされてらっしゃいますけど、むしろ私の方が知りたいです。
私の方から断る理由もありませんので、お受けするとオウル様は嬉しそうににこにことされてらっしゃいます。
「どこに行こうか? ジゼルは何か希望はある?」
「私は──オウル様を知れる場所がいいです」
「僕を?」
大分変な言い方になってしまいました。きょとんとしたオウル様のお顔を見て、すぐに言葉を付け足します。
「えっと、マーカス様のお言葉で私、甘えてしまっていることに気づいたのです。オウル様は婚約してから私に親切にして下さって、公爵家への引っ越すことも受け入れて下さって──そのお優しさに甘えて、オウル様のことを知ることを後回しにして体面ばかり気にしていました。なので、遅ればせながらですがオウル様のことを知りたいです」
この数週間だけでもオウル様が優しくて安心出来るお人だということはわかりました。
一面しか持たない人はいないでしょう。どんな人にも様々な側面があります。今日だって、ご友人の前では少し気さくになられるオウル様を初めて見ました。
どんなことがお好きなのか、どんなことがお嫌いなのか、何をされて喜ばれて、何をされて悲しまれるのか。されて嬉しいことをしてさしあげて、されて嫌なことは避ける。相手を理解して、実行することが信頼を積み重ねることに繋がります。
「僕を知れる場所──うーん、どこだろう? 好きな場所とか、特別な思い出のある場所とかかな──マーカス、エイミー、何か案はない? 僕っぽい場所」
「それだと少し趣旨変わるぞ。お前っぽいってイメージじゃなくて、お前に纏わる場所だろ」
「オウル、なんで俺には訊かないの? 初デートの場所教えてあげるのに」
「だから、あそこはないって言ってるでしょ。オウルも。そういうのは人にじゃなくて自分で決めるべきよ」
「ぱっと思いつかないんだよ。客観的な意見を貰った方がリクエストに答えられかなって思って」
「だとしても初めてって特別なものよ。私なら本人に決めて欲しいって思うけど。自分のことを思って考えてくれるって嬉しいことだから」
「そっか。確かにその方が僕も嬉しいって思うよ。じゃあ、ジゼル。悪いけれど、行き先はじっくり考えさせて貰っていいかな?」
「勿論です。むしろ、抽象的な言い方をしてしまい申し訳ありません」
「ううん。僕を知ろうとしてくれて、ありがとう。ジゼルは甘えてるって言ったけど、僕としてはもっと頼ってくれていいからね。他にも知りたいことがあるなら、何でも訊いて」
「ありがとうございます。知りたいこと──いっぱいある気がしますので、纏めてから質問させていただきます」
「うん、待ってるよ」
帰ったら質問リストを作りましょう。好きな食べ物はなんですか? 好きな動物はなんですか? 嫌いな食べ物はありますか? どんな音楽を聴きますか? 朝型ですか? 夜型ですか?
好き嫌いや趣味や、生活スタイル、物事の判断基準や優先順位。
挙げればキリがありません。普通に百個くらい余裕で越えられそうです。
とりあえず、訊きたいことを書き出して優先したいものに番号を振りましょう。それで一日に一個や二個くらい教えて貰えれば。一日に一回はお話しする時間を作れますし、二、三お答え頂くだけならお時間もあまり取りません。
なかなか悪くない案です。
これも小さな一歩ですが、一歩でも距離が縮まることに変わりありません。
間違いなく良い方向へ向かっています。
そんな風に思っていると、背後からまたあの声がしました。
「お姉様ー、そうそう言い忘れていたことがありました。あまりお父様を困らせちゃダメですよ!」
離れた場所から大きな声でリーファが言ってますが、何の話でしょう? お父様を困らせたつもりはありませんが。
聞き返そうか悩みましたが、またさっきのような流れになっても困るので聞こえなかったフリをしました。
相変わらず、ロウ様には睨まれております。
「何なの、あれ」
「さぁ?」
マーカス様がリーファの言動に対して理解不能と言いたそうな顔をされてらっしゃいますけど、むしろ私の方が知りたいです。
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