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お茶会編 Re:start
22.挨拶回りは恙無く
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「──それにしても、話が二転三転しまったね。今日は軽くジゼルと顔合わせをして貰うだけの予定だったんだけど。結構話し込んじゃった。そろそろフリージア夫人の所へ戻って、他の挨拶回りに行かないと」
「あー、そっか。悪かったな、結構色んなこと訊いたし時間取らせちまった」
「マーカスは初対面の相手でもかなり深く切り込むもんね。だから長話になりやすい」
「そういう貴方は変なところに興味を持って脱線させる癖があるけどね」
「あんたも悪かったな。この茶会はあんたにとって大事なものだろ?」
「いえ、沢山お話し出来た分、皆様のお人柄を知ることが出来たのでとても有意義な時間でした」
ご挨拶をして、私のことをリーファと切り離して見て下さっていることに安心しました。
それに大切なことにも気づかされましたし、オウル様のことを知る機会も得ることが出来ました。
オウル様がご友人方の間に立って私との繋がりを作ってくれたように、皆様のおかげでオウル様との関係を一歩前へ進められたと思います。
「そう言って貰えて嬉しいわ。オウル、近いうちにこの五人で集まりましょう。お土産も渡したいし、私ジゼルさんともっとお話ししたいわ。時間作れる?」
「僕は構わないよ。ジゼルはいいかな?」
「はい。問題ありません」
「次に僕とジゼルの予定が合うのは再来週の頭だけど、どう?」
「私とルドルフも空いてるわ」
「一仕事終わらせてきたばかりだからな。エイミーとイチャイチャするためにも暫く休暇をぶん取った!」
「あ、俺ダメだ。再来週は従弟の誕生会に呼ばれてるんだよ」
「そうなの?」
「まぁ、別にマーカスは不参加でもいいわよ。マーカスにはもうお土産渡せてるし」
「ふざけんな。いつものこの面子で俺だけ不参加とか寂しいだろが」
「マーカスって割かし素直だよなー」
「マーカスは昔から素直だよ。喋り方はぶっきらぼうだけど」
「うっせ」
マーカス様が面白くなさそうなお顔で肘でオウル様を小突きました。全然力は込められてなかったので、オウル様はその反応を楽しむように笑ってらっしゃいます。
幼なじみと言ってましたものね。恐らく、お三方の中で一番お付き合いが長いのでしょう。
「けど、再来週が無理なら、次は来月になるかな」
「予定は後で合わせよっか」
「仕方ないわね。それならとりあえずお土産は家の物に送るわ。腐るものでもないけど、早めに渡さないと忘れそうだし」
「ありがとう。お茶とお菓子だっけ?」
「ええ、ドライフルーツのクッキーよ。ジゼルさんと一緒に食べて。ジゼルさん、甘いものは平気かしら」
「はい。ありがとうございます」
「じゃあじゃあ、羊頭の獅子とシックスパックのうさぎの人形もその時送るね!」
「うん、それは大丈夫かな。本当にいいから」
「珍しく必死だな」
「ルドルフ、マーカスがその土人形欲しいって」
「おい!」
「わかった! じゃあマーカスんちに送る! ついでにゴリラの被り物もあげるぞ。おまけ~」
「いらんいらん!」
「あら、いいじゃない。ゴリラの被り物したマーカス見てみたいわ」
「余興か何かで披露したら意外性であって受けると思うよ」
「お前ら……面白がりやがって。エイミー止めとけよ。もし送ってきたら着払いで送り返すからな」
「マーカス、余興するの? じゃあ、俺がロバの被り物するからコントやろ」
「やらないっつの」
そんな会話が繰り広げられ、ルドルフ様にコントに誘われて断るマーカス様を見て、オウル様とエイミー様がひとしきり笑われた後、私とオウル様はご挨拶をしてフリージア夫人の元へ戻りました。
その後はフリージア夫人に同行して頂き、他の方々へご挨拶をしました。
私に対して好奇の目を向けてくる方々もいらっしゃいましたが、オウル様とフリージア夫人の手前、滅多なことは言えなかったのでしょう。恙無く回ることが出来ました。
私一人であれば、婚約の件やリーファとロウ様のことを根掘り葉掘り訊かれたでしょうから、とても助かりました。けれど、常にオウル様と予定が合う訳ではありませんし、頼りすぎはやはり良くありません。
一人の時の受け答えも想定しておく必要がありますね。
「あー、そっか。悪かったな、結構色んなこと訊いたし時間取らせちまった」
「マーカスは初対面の相手でもかなり深く切り込むもんね。だから長話になりやすい」
「そういう貴方は変なところに興味を持って脱線させる癖があるけどね」
「あんたも悪かったな。この茶会はあんたにとって大事なものだろ?」
「いえ、沢山お話し出来た分、皆様のお人柄を知ることが出来たのでとても有意義な時間でした」
ご挨拶をして、私のことをリーファと切り離して見て下さっていることに安心しました。
それに大切なことにも気づかされましたし、オウル様のことを知る機会も得ることが出来ました。
オウル様がご友人方の間に立って私との繋がりを作ってくれたように、皆様のおかげでオウル様との関係を一歩前へ進められたと思います。
「そう言って貰えて嬉しいわ。オウル、近いうちにこの五人で集まりましょう。お土産も渡したいし、私ジゼルさんともっとお話ししたいわ。時間作れる?」
「僕は構わないよ。ジゼルはいいかな?」
「はい。問題ありません」
「次に僕とジゼルの予定が合うのは再来週の頭だけど、どう?」
「私とルドルフも空いてるわ」
「一仕事終わらせてきたばかりだからな。エイミーとイチャイチャするためにも暫く休暇をぶん取った!」
「あ、俺ダメだ。再来週は従弟の誕生会に呼ばれてるんだよ」
「そうなの?」
「まぁ、別にマーカスは不参加でもいいわよ。マーカスにはもうお土産渡せてるし」
「ふざけんな。いつものこの面子で俺だけ不参加とか寂しいだろが」
「マーカスって割かし素直だよなー」
「マーカスは昔から素直だよ。喋り方はぶっきらぼうだけど」
「うっせ」
マーカス様が面白くなさそうなお顔で肘でオウル様を小突きました。全然力は込められてなかったので、オウル様はその反応を楽しむように笑ってらっしゃいます。
幼なじみと言ってましたものね。恐らく、お三方の中で一番お付き合いが長いのでしょう。
「けど、再来週が無理なら、次は来月になるかな」
「予定は後で合わせよっか」
「仕方ないわね。それならとりあえずお土産は家の物に送るわ。腐るものでもないけど、早めに渡さないと忘れそうだし」
「ありがとう。お茶とお菓子だっけ?」
「ええ、ドライフルーツのクッキーよ。ジゼルさんと一緒に食べて。ジゼルさん、甘いものは平気かしら」
「はい。ありがとうございます」
「じゃあじゃあ、羊頭の獅子とシックスパックのうさぎの人形もその時送るね!」
「うん、それは大丈夫かな。本当にいいから」
「珍しく必死だな」
「ルドルフ、マーカスがその土人形欲しいって」
「おい!」
「わかった! じゃあマーカスんちに送る! ついでにゴリラの被り物もあげるぞ。おまけ~」
「いらんいらん!」
「あら、いいじゃない。ゴリラの被り物したマーカス見てみたいわ」
「余興か何かで披露したら意外性であって受けると思うよ」
「お前ら……面白がりやがって。エイミー止めとけよ。もし送ってきたら着払いで送り返すからな」
「マーカス、余興するの? じゃあ、俺がロバの被り物するからコントやろ」
「やらないっつの」
そんな会話が繰り広げられ、ルドルフ様にコントに誘われて断るマーカス様を見て、オウル様とエイミー様がひとしきり笑われた後、私とオウル様はご挨拶をしてフリージア夫人の元へ戻りました。
その後はフリージア夫人に同行して頂き、他の方々へご挨拶をしました。
私に対して好奇の目を向けてくる方々もいらっしゃいましたが、オウル様とフリージア夫人の手前、滅多なことは言えなかったのでしょう。恙無く回ることが出来ました。
私一人であれば、婚約の件やリーファとロウ様のことを根掘り葉掘り訊かれたでしょうから、とても助かりました。けれど、常にオウル様と予定が合う訳ではありませんし、頼りすぎはやはり良くありません。
一人の時の受け答えも想定しておく必要がありますね。
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