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新しい婚約
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「ソール、ちょっと話があるんだけど」
学園中を探し回って、ようやく目当ての人物を見つけたカナは野原に座っている青年に声をかけた。
「何?」
青年は空を眺めて上向けていた顔をカナへと向ける。
「ほら、私この間婚約破棄されたじゃない? それで新しい婚約者を決めることになったんだけど、それが貴方に決まったらから──」
「あ、何て?」
きゅっぽんとソールが耳から何かを引っこ抜き、首を傾げて聞き返した。
どうやらそれが耳に詰まっていたせいで話が聞こえなかったようである。
「ワイヤレスイヤホン!?」
◆
「途中まで返事してたじゃない」
「間奏の時だったから」
どうやらボーカル曲を聞いているらしい。
ソールは歌詞に集中するタイプだとカナも知っていたため納得がいった。
「何の曲を聞いてたの?」
「聞く?」
ソールがイヤホンの片方をカナへと差し出してきたので、それを耳に当ててみる。
すると、人々を煽るような熱狂的で猛々しい曲調の音楽が耳に流れ込んでくる。それと一緒に地獄の底を這っているようなデスボイスも──
「で、デスメタル・・・・・・」
「今のマイブーム」
乏しい表情でダブルピースをするソールの意外な趣味に、カナはおののいた。
カナとソールは物心ついた時から一緒であり、もう十年以上の付き合いになるが、知らない一面はまだ全然あるんだと思った。
◆
「それで? 何の用だったの?」
イヤホンをしまったソールが聞き逃した話を聞き直す。
「だから、私の新しい婚約者が貴方に決まったって話だよ」
「・・・・・・? カナ、婚約者いなかったっけ? 重婚?」
「だから婚約破棄したってば!」
◆
「婚約破棄? なんでまた」
「相手に浮気されました・・・・・・」
カナが言いたくなさそうに答える。婚約者の不貞が原因。相手が悪いのは言わずもがなだが、された側もされた側で衆目に曝される。
ここ最近は学内での他の生徒の視線が痛かった。
興味本位に何かを聞きたそうに近くでそわそわしている生徒たちを思い出し、カナはげんなりとする。
「そうなんだ。知らなかった」
「ちょっとは幼なじみの現状に興味持とーよ」
他人から好奇の目で見られるのは嫌だが、親しい人間から無関心に等しい扱いを受けるのも嫌だった。
◆
「浮気かぁ。まぁ、相手有責に出来ただけいいんじゃない? 新しい婚約者選びに支障は出るだろうけれど──」
「え?」
「ん?」
「・・・・・・あ。新しい婚約者、俺か」
「遅っ!」
◆
「けど、なんで俺」
ソールは純粋な疑問を口にする。
家格的には確かに釣り合いがとれているが、ソールとカナが出会ったのはカナが婚約する前だ。つまり、二人の実家は二人を婚約させるつもりはなかったということになる。それがカナが婚約破棄されたとしても、どうして今になって?
「それは私も不思議でお母様に訊いてみた」
「ほうほう、何て?」
「何でも、最初は純粋にお友達作り目的で引き合わせたから婚約云々は考えてなかったみたいだけれど、ソールはこの歳になっても女の影ひとつ見当たらないし、私も他に親しい男の子がいないからこの二人をくっつけちゃえばいいかーって言ってた」
「・・・・・・」
あまりにも単純明快すぎる理由と、両親が自分のことをどう思っているかを知って微妙な顔をした。
学園中を探し回って、ようやく目当ての人物を見つけたカナは野原に座っている青年に声をかけた。
「何?」
青年は空を眺めて上向けていた顔をカナへと向ける。
「ほら、私この間婚約破棄されたじゃない? それで新しい婚約者を決めることになったんだけど、それが貴方に決まったらから──」
「あ、何て?」
きゅっぽんとソールが耳から何かを引っこ抜き、首を傾げて聞き返した。
どうやらそれが耳に詰まっていたせいで話が聞こえなかったようである。
「ワイヤレスイヤホン!?」
◆
「途中まで返事してたじゃない」
「間奏の時だったから」
どうやらボーカル曲を聞いているらしい。
ソールは歌詞に集中するタイプだとカナも知っていたため納得がいった。
「何の曲を聞いてたの?」
「聞く?」
ソールがイヤホンの片方をカナへと差し出してきたので、それを耳に当ててみる。
すると、人々を煽るような熱狂的で猛々しい曲調の音楽が耳に流れ込んでくる。それと一緒に地獄の底を這っているようなデスボイスも──
「で、デスメタル・・・・・・」
「今のマイブーム」
乏しい表情でダブルピースをするソールの意外な趣味に、カナはおののいた。
カナとソールは物心ついた時から一緒であり、もう十年以上の付き合いになるが、知らない一面はまだ全然あるんだと思った。
◆
「それで? 何の用だったの?」
イヤホンをしまったソールが聞き逃した話を聞き直す。
「だから、私の新しい婚約者が貴方に決まったって話だよ」
「・・・・・・? カナ、婚約者いなかったっけ? 重婚?」
「だから婚約破棄したってば!」
◆
「婚約破棄? なんでまた」
「相手に浮気されました・・・・・・」
カナが言いたくなさそうに答える。婚約者の不貞が原因。相手が悪いのは言わずもがなだが、された側もされた側で衆目に曝される。
ここ最近は学内での他の生徒の視線が痛かった。
興味本位に何かを聞きたそうに近くでそわそわしている生徒たちを思い出し、カナはげんなりとする。
「そうなんだ。知らなかった」
「ちょっとは幼なじみの現状に興味持とーよ」
他人から好奇の目で見られるのは嫌だが、親しい人間から無関心に等しい扱いを受けるのも嫌だった。
◆
「浮気かぁ。まぁ、相手有責に出来ただけいいんじゃない? 新しい婚約者選びに支障は出るだろうけれど──」
「え?」
「ん?」
「・・・・・・あ。新しい婚約者、俺か」
「遅っ!」
◆
「けど、なんで俺」
ソールは純粋な疑問を口にする。
家格的には確かに釣り合いがとれているが、ソールとカナが出会ったのはカナが婚約する前だ。つまり、二人の実家は二人を婚約させるつもりはなかったということになる。それがカナが婚約破棄されたとしても、どうして今になって?
「それは私も不思議でお母様に訊いてみた」
「ほうほう、何て?」
「何でも、最初は純粋にお友達作り目的で引き合わせたから婚約云々は考えてなかったみたいだけれど、ソールはこの歳になっても女の影ひとつ見当たらないし、私も他に親しい男の子がいないからこの二人をくっつけちゃえばいいかーって言ってた」
「・・・・・・」
あまりにも単純明快すぎる理由と、両親が自分のことをどう思っているかを知って微妙な顔をした。
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