闘破蒼穹(とうはそうきゅう)

きりしま つかさ

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第1133話 丹会開幕!

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静寂に包まれた部屋で、蕭炎が目を開いた瞬間、突如として一種の不思議な無形の波動が広がり始めた。

その波動はゆっくりと拡散し、蕭炎が深く息を吸い込むと同時に、彼の手が突然動き出した。

すると、次々と奇妙な印が浮かび上がり、舞うようにして残影まで生み出す。

その手印が変化するにつれ、掌の上で無形の霊魂エネルギーが稲妻のように凝縮され、瞬時に掌印へと結晶化した。

掌印完成すると、蕭炎は指を弾くだけでそれを消し去り、新たな手印を作り始めた。

次々と複雑な無形の印が現れ、三種類の異なる掌印が彼の手中で完璧に受け継がれた。

その接続はほとんど痕跡もなく、曹颖が当時使った時の熟練度にも遜色ないほどだった。

三つの霊魂掌印が消えると同時に、彼は胸から浊気を吐き出し、顔面にほのかな光輝が浮かんだ。

それは白玉のような肌に映え、すぐに薄れていった。

その後、蕭炎は床から立ち上がり、槍のように直立した姿勢で目を開けた。

その瞳孔には喜びの色がわずかに滲み、彼は自身の霊魂の中に充満する気を以前よりも濃厚だと感じていたことに気づいた。

さらに、どこか遠くから小さな抵抗感を感じ取った。

「これが『霊境の壁』なのか?」

彼は考えた。

直覚的に、その障壁を超えた時こそが、真に『煉薬宗師』となる瞬間だと確信した。

そして、その日も近いと確信し、笑みを浮かべた。

「もうすぐだ……」

整髪して部屋から出ると、小医仙が座っていた。

彼女は前回の出来事以来、蕭炎から遠くならないようにしていた。

現在は丹塔内とはいえ、彼が修練に入った瞬間からここに待機していたのだ。

ドアを開けると同時に小医仙が目を覚ました。

顔を向けた瞬間に蕭炎だと判別し、安堵の息を吐いた。

「終わったんですか?」

「うん、お疲れ様」と彼は笑みを返した。

小医仙がここにいることを知っていたのは明らかだった。

「本当に感謝するなら、一言では足りないわよ……」と小医仙は微笑んだが、話の矛盾を感じたのか頬を染めながら話を変えた。

「この間、曹颖さんが一度来たわ。

でも私が追い返したの。

あなたに邪魔になるのは嫌だったでしょう?」

「あーあ……」蕭炎は苦々しく笑った。

「あの女とは面識もないし、そんな関係にはならないよ。

それにあの子も手を焼くような性格だからね……」

「炎上がそのように申すなら」小医仙は満足そうに頷いた。

その美しい目は月の弧のように微かに曲がり、どこか妖艶な光を放っている。

「丹会はいつ始まる?」

蕭炎は大広間に視線を走らせながら口を開いた。

「明山」

「もうこんな時間か……」蕭炎は驚きの表情を見せた。

時間が過ぎるのが早すぎると気付くと、瞬間で丹会が近づいていることに気づいてしまった。

「よし、今日中に目覚めなかったら、あと少ししたら起こすぞ……」小医仙は笑みを浮かべて言った。

蕭炎は小さく頷き、眉根を寄せた。

「まだ一品の薬材が足りない。

今日はどうしても手に入れる必要がある」

当日の煉薬師交換会で二種類の薬材を得た後も、最後の一品である万年青霊藤は全く消息不明だった。

丹会が迫る中、蕭炎は少し慌てていた。

この主な薬材が欠けていると、薬を煉成することは不可能なのだ。

「ふふ、薬のことはお任せあれ」その時、大広間の扉が突然開き、葉重・欣藍・天火尊者という三人組がゆっくりと入ってきた。

葉重は笑みを浮かべて蕭炎の隣に近づき、手を振ると、寒気が漂う玉盒がテーブルの上に現れた。

「ご覧あれ。

ここには万年青霊藤二株と血精妖果一粒がある。

あなたが持っている薬材と合わせればちょうど二セット分だ。

失敗しても再挑戦できる」

その言葉を聞いた蕭炎はまず驚き、急いで玉盒を開けた。

中には碧緑の翡翠のような枝が横たわっていて、その上から溢れるような生命力を感じさせる。

それを匂い立てるだけで心地よい気分になる。

「やはり万年青霊藤だ……これらをどうやって手に入れたのか?これらの品は通常では入手不可能なものだが、葉家の財力でも出せないはずなのに、突然二株も一粒も持ってきたというのは奇妙な話だ」

「これは我々が得たものではない。

ただ丹塔の一位長老にあなたの必要性を伝えただけだ。

翌日すぐに送られてきたのだよ」葉重は笑って言った。

蕭炎は驚きの表情を見せ、やがて悟ったように頷いた。

「やはり空子さんの命令だろう。

彼の名前があれば、丹塔もここまで対応するわけだ」

心の中で空子に感謝を述べた後、蕭炎は玉盒を受け取り納戒に収めた。

これは自分が最も必要としているものだったから、断る理由はない。

借り物だからこそ、いずれ返済の機会があればいい。

「今回の丹会参加者は過去最大規模になるだろう」

「さて、最近の内部領域…は既に無数の参加者が埋め尽くしているらしい。

その中には名を知られた老練な魔物も混ざっているようだ。

三千炎炎火を得るため、彼らも厚顔無恥にもこの場に来ようとしているのか。



蕭炎が微かに頷いた。

彼は既に承知していた。

今度の丹会は決して容易なものではないし、彼自身も優勝を狙うつもりはない。

その難易度はあまりにも高いからだ。

すべては全力を尽くすのみだ…

「だが機会があれば」天下の群雄と争ってみるのも悪くない。

師匠がかつて一回優勝したんだ。

弟子として、少なくとも師匠の名に恥じないようにするべきだろう。



蕭炎の口角が軽く上げられた。

漆黒の瞳孔には抑えきれない熱情がちらりと映る。

しかし彼はいかに冷静でも、やはり若者である。

その血気や執着心も蕭炎の血管を流れているのだ。

葉重らが互いを見合った時、皆笑みを浮かべた。

この回の丹会には見所があるだろう。

彼らは非常に興味を持って、蕭炎という猛虎が、今度の大会で本当に彼の足を止める相手に出会えるかどうか気になっているのだ。

今回の丹会は真の龍虎争いとなる!

翌日、初陽が地平線から昇り始めた時、聖丹城全体が一瞬で沸き立った。

今日こそ、中州全土の注目を集めるこの場所に集まった人々は、最後まで残る者を待ち望んでいる。

そして、大陸各地から集まる薬煉術の天才たちの中から勝ち上がってきた人物は、明らかに天の寵児となるだろう。

各代の丹会優勝者は、いずれも大陸の歴史に輝かしい名を刻んできた。

例外なく。

そのためこそ、この大会の価値が何倍にもなっているのだ。

誰かが最後まで残れば、その人物は未来の大陸の歴史に華々しい一ページを加えることになるだろう。

「よし…」

丹塔の一室のドアがゆっくりと開き、痩せた影が出てきた。

そこには小医仙らが待っていた。

今日の蕭炎は紫の薬煉師袍に身を包み、胸元には七つの紫金星が輝く丹塔から発行された等級章をつけている。

この服装は、これまで最も格式ばったものだ。

これこそが、丹会が薬煉術者にとってどれほど重要な大会であることを示している。

小医仙の鋭い目が蕭炎を見やると、その表情に笑みが浮かんだ。

彼女も初めて蕭炎がこんなに格式ばった格好をしているのを目にしたが、不得不说今の彼は見事だ。

「行こう…」

萧炎が衣装を整え、小医仙らに向かい微かな笑みを浮かべた。

すると彼は先に歩き出した。

その後、皆が顔を見合わせて笑いながら追いかけていった。

薬煉術者にとって最も崇敬すべき大会である丹会は、ついにその幕を開けた。

そしてこの日まで三年間を待った蕭炎の時が来たのだ。

東風は吹き、只今や嵐が迫る!

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