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後日談と言う名のおまけ
その後の俺たちは8(拓視点)
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どうしたらいいんだ、蛍が可愛すぎるんだが。
俺が呆然としている間に、蛍は冷食のコーナーに逃げてしまった。
いかん、俺どれだけ呆けてたんだ?
慌てて蛍の後ろを追いかけて、顔が熱いと冷ケースに平積みされてたカップのかき氷を一つ取る。
ガチガチに凍ったかき氷のカップの冷たさよ、頼む。
両手でカップを持って、冷たさで気持ちを落ち着けてから「蛍これ買って」と声をかけると、振り向いた蛍の顔はどうしようもなく眉毛が下がってた。
あー、泣きそうな顔すら可愛い。
駄目だ、俺思考が馬鹿になってる。
「拓……」
「これ、一口だけ食べたい。残り食えるかな」
「レモン味? 拓が一口?」
俺が甘い系統口にするなんて、殆ど無いに等しい。
レモン味だって、甘いものは甘い。かき氷ってそういうもんだし。
「一口だけ食べたい。今ので滅茶苦茶暑くなったから、クールダウンしたい」
「え? 暑い?」
さっさと海老とブロッコリーを籠に入れて、買い物終わったとばかりにレジに向かう。
人が少なそうなルートを選ぶのは、勿論わざとだ。
「蛍に嬉しいこと言われて、舞い上がっちゃったんだよ。耳まで熱持ったぞ、本当照れるよ。嬉しすぎる」
蛍は考え込みやすい。
自分の尻尾を追いかける子犬みたいにどうしようも無いこと考えて、グルグルしちゃうのが蛍だ。
だから言葉は惜しんじゃ駄目だ。
嬉しいのも、好きって気持ちも、言葉にしないと伝わんない。
「え、あの、え」
今度は蛍が赤くなる番らしい、狼狽えまくってるのは可愛いけど、かき氷が溶けるし冷凍物も危ないから、早々にセルフレジで商品をレジに通していく。
「蛍、カードさんきゅ」
スーパーの会員カードは、俺も持ってるけど週末の買い出しは蛍の持ってる方に食費を入れているから、精算はそっちで済ます。
無言で差し出して来たカードを蛍に返して、精算済みの商品を詰めた籠を持ち上げると、目ざとく小走りで近付いてきた店員さんが、買い物済を示す紙テープを取手につけてくれる。
「ありがとうございます」
「お買い上げありがとうございます」
「あ、すみません。アイスのスプーン一つもらえますか」
「畏まりました。こちらどうぞ」
ここのスーパーの店員さんは皆いつも笑顔で、しごできだと思う。
俺だとごっちゃごっちゃに籠に入れるけど、有人レジだと凄い綺麗に籠に入れてくれるもんなあ。
素早い動きで手渡してくれたプラスチックスプーンを一つ受け取りながら、やっぱりしこできだと感心しながらスーパーを出て駐車場に向かう。
「わ、拓待って」
「あ、ごめん、歩くの早かったか?」
「違くて、籠持つよ」
「それはいいから、後ろ開けて」
ジーンズの後ろポケットに突っ込んでた車の鍵を渡すと、蛍はうんうんと頷いて走っていく。
後ろ姿でも分かるくらい、蛍の首とか耳とか赤い。え、レジやってる間もしかしてずっとあんなだったのか?
大丈夫か、蛍。動揺しすぎだろ。
「可愛すぎるんだが」
一日に何度言ってるか分からないし、考えてるか分からない。
蛍が可愛すぎる。
これは俺、頭馬鹿になってるのかもしれない。
「呆れてないか? まあ、大丈夫か」
あまりに俺が馬鹿すぎて、蛍に呆れられてないか不安になるけど。
付き合い始めなんて、きっとこんなもんだと思い直す。
「サンキュー」
「それは俺が言うんだろ。運んでくれてありがとう」
籠を車に乗せて、かき氷とスプーンだけ取り出して蛍に持たせ、代わりに鍵を受け取ると運転席のドアを開いて乗り込む。
「え、今食べるの?」
「うん、一口頂戴」
「えー、ちょっと待って」
エンジンを掛けると、FMラジオが流れてくる。
俺も蛍も、車で流すのはラジオなんだよな。週末って呑気な感じで番組やってるのが多くて、結構昔から好きなんだ。
「はい」
カップをそのまま渡してくるのかと思ったら、差し出して来たのはスプーンでこんもりとすくったレモン色の氷。
「あーん、うん甘い」
「甘いって甘いに決まってるよ。だいたいかき氷が甘くなくてどうするんだよ。うん、レモン味だ」
口の中に広がる冷たさと甘さに眉をひそめつつ車を発車させると、蛍は嬉しそうにシャクシャクと氷をスプーンで崩して山盛りを口にした。
驚くくらい大量の一口、スプーンですくえる限界に挑戦してるかもしれない量だ。
「え、そんな一度に頭痛くなんない?」
「結構平気かも、俺アイスとか食べるの早いと思う」
「へえ、氷食べててキーンてならないんだな。なんだっけあれ、名前」
運転しながらくだらない会話する。
でも、内心動揺してる。
蛍、気が付いてるのか? 今の間接キスって奴なんだけど。
あんまり自然に蛍が食べるから、俺の方が動揺してるんだけど。
「アイスクリーム頭痛だったと思う」
「あ、まんまだ」
「うん、まんまだね」
蛍は本当に冷たいの平気なんだろう、普通の食事はゆっくりなのに、滅茶苦茶早く食べ終えてしまう。
「あー、美味しかった。レモン味のこれ初めて食べたかも。オレンジのとかイチゴと違ってこれはサッパリするね」
「そうかぁ、俺はかき氷がそもそも久し振りだ」
今蛍とキスしたらレモン味がするんだろうか、なんて。
こんな意識の仕方はかなり中坊っぽ過ぎるよな。
駄目だ俺、やっぱりちょっと舞い上がりすぎかもしんない。
俺が呆然としている間に、蛍は冷食のコーナーに逃げてしまった。
いかん、俺どれだけ呆けてたんだ?
慌てて蛍の後ろを追いかけて、顔が熱いと冷ケースに平積みされてたカップのかき氷を一つ取る。
ガチガチに凍ったかき氷のカップの冷たさよ、頼む。
両手でカップを持って、冷たさで気持ちを落ち着けてから「蛍これ買って」と声をかけると、振り向いた蛍の顔はどうしようもなく眉毛が下がってた。
あー、泣きそうな顔すら可愛い。
駄目だ、俺思考が馬鹿になってる。
「拓……」
「これ、一口だけ食べたい。残り食えるかな」
「レモン味? 拓が一口?」
俺が甘い系統口にするなんて、殆ど無いに等しい。
レモン味だって、甘いものは甘い。かき氷ってそういうもんだし。
「一口だけ食べたい。今ので滅茶苦茶暑くなったから、クールダウンしたい」
「え? 暑い?」
さっさと海老とブロッコリーを籠に入れて、買い物終わったとばかりにレジに向かう。
人が少なそうなルートを選ぶのは、勿論わざとだ。
「蛍に嬉しいこと言われて、舞い上がっちゃったんだよ。耳まで熱持ったぞ、本当照れるよ。嬉しすぎる」
蛍は考え込みやすい。
自分の尻尾を追いかける子犬みたいにどうしようも無いこと考えて、グルグルしちゃうのが蛍だ。
だから言葉は惜しんじゃ駄目だ。
嬉しいのも、好きって気持ちも、言葉にしないと伝わんない。
「え、あの、え」
今度は蛍が赤くなる番らしい、狼狽えまくってるのは可愛いけど、かき氷が溶けるし冷凍物も危ないから、早々にセルフレジで商品をレジに通していく。
「蛍、カードさんきゅ」
スーパーの会員カードは、俺も持ってるけど週末の買い出しは蛍の持ってる方に食費を入れているから、精算はそっちで済ます。
無言で差し出して来たカードを蛍に返して、精算済みの商品を詰めた籠を持ち上げると、目ざとく小走りで近付いてきた店員さんが、買い物済を示す紙テープを取手につけてくれる。
「ありがとうございます」
「お買い上げありがとうございます」
「あ、すみません。アイスのスプーン一つもらえますか」
「畏まりました。こちらどうぞ」
ここのスーパーの店員さんは皆いつも笑顔で、しごできだと思う。
俺だとごっちゃごっちゃに籠に入れるけど、有人レジだと凄い綺麗に籠に入れてくれるもんなあ。
素早い動きで手渡してくれたプラスチックスプーンを一つ受け取りながら、やっぱりしこできだと感心しながらスーパーを出て駐車場に向かう。
「わ、拓待って」
「あ、ごめん、歩くの早かったか?」
「違くて、籠持つよ」
「それはいいから、後ろ開けて」
ジーンズの後ろポケットに突っ込んでた車の鍵を渡すと、蛍はうんうんと頷いて走っていく。
後ろ姿でも分かるくらい、蛍の首とか耳とか赤い。え、レジやってる間もしかしてずっとあんなだったのか?
大丈夫か、蛍。動揺しすぎだろ。
「可愛すぎるんだが」
一日に何度言ってるか分からないし、考えてるか分からない。
蛍が可愛すぎる。
これは俺、頭馬鹿になってるのかもしれない。
「呆れてないか? まあ、大丈夫か」
あまりに俺が馬鹿すぎて、蛍に呆れられてないか不安になるけど。
付き合い始めなんて、きっとこんなもんだと思い直す。
「サンキュー」
「それは俺が言うんだろ。運んでくれてありがとう」
籠を車に乗せて、かき氷とスプーンだけ取り出して蛍に持たせ、代わりに鍵を受け取ると運転席のドアを開いて乗り込む。
「え、今食べるの?」
「うん、一口頂戴」
「えー、ちょっと待って」
エンジンを掛けると、FMラジオが流れてくる。
俺も蛍も、車で流すのはラジオなんだよな。週末って呑気な感じで番組やってるのが多くて、結構昔から好きなんだ。
「はい」
カップをそのまま渡してくるのかと思ったら、差し出して来たのはスプーンでこんもりとすくったレモン色の氷。
「あーん、うん甘い」
「甘いって甘いに決まってるよ。だいたいかき氷が甘くなくてどうするんだよ。うん、レモン味だ」
口の中に広がる冷たさと甘さに眉をひそめつつ車を発車させると、蛍は嬉しそうにシャクシャクと氷をスプーンで崩して山盛りを口にした。
驚くくらい大量の一口、スプーンですくえる限界に挑戦してるかもしれない量だ。
「え、そんな一度に頭痛くなんない?」
「結構平気かも、俺アイスとか食べるの早いと思う」
「へえ、氷食べててキーンてならないんだな。なんだっけあれ、名前」
運転しながらくだらない会話する。
でも、内心動揺してる。
蛍、気が付いてるのか? 今の間接キスって奴なんだけど。
あんまり自然に蛍が食べるから、俺の方が動揺してるんだけど。
「アイスクリーム頭痛だったと思う」
「あ、まんまだ」
「うん、まんまだね」
蛍は本当に冷たいの平気なんだろう、普通の食事はゆっくりなのに、滅茶苦茶早く食べ終えてしまう。
「あー、美味しかった。レモン味のこれ初めて食べたかも。オレンジのとかイチゴと違ってこれはサッパリするね」
「そうかぁ、俺はかき氷がそもそも久し振りだ」
今蛍とキスしたらレモン味がするんだろうか、なんて。
こんな意識の仕方はかなり中坊っぽ過ぎるよな。
駄目だ俺、やっぱりちょっと舞い上がりすぎかもしんない。
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