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後日談と言う名のおまけ
その後の俺たちは10(蛍視点)
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「うん、やわやわ」
パタンとドアが閉まる音、拓は器用に後ろ手で鍵を掛けながら片手で俺の頬をつまんでる。
「……蛍?」
あまりの衝撃に、漫画だったらカチンコチンって文字が背後に浮かんでそうなほどに固まった俺を、拓は戸惑った様な顔で見ながら頬をつまんでいた手でトンと頬を突いてから離れていく。
「……蛍」
拓が俺を呼ぶ声が、なんだか困っている様に聞こえてきて、責めてるわけじゃないって分かってるのに視線が下を向いてしまう。
拓に顔触られるのは勿論初めてじゃないけれど、なんていうかこういうスキンシップに慣れなくて上手く反応出来なくなってしまうのが情けない。
こんな情けない反応しか出来なくなるなら、学生の頃もっと遊んでおけば良かった。
男女どちらでもいい、軽い触れ合いとか平気になれる程度にでもいいから俺に経験があれば、拓の視線とか些細な触れ合いにすら恥ずかしさから尻込みしちゃうようなこと、きっと無かったのに。
ずっと拓だけが好きで、勇気が無かったから告白なんて出来なくて、でも諦めることも出来なくて、誰か他の人をなんて例え気軽な遊び程度でも考えることも出来なかった。
俺もういい大人なのに、こんな中学生よりも子供みたいな反応してたら、拓に面倒だって思われる。
「……買ってきたもの溶けちゃうから、簡単に言うけどさ」
「うん」
お前、面倒だよ。
そう言われる覚悟で、ぎゅっと目を瞑る。
「俺は蛍と、ちょこっとずつ甘々になってきたい」
「え?」
予想外の言葉に目を開き顔を上げると拓は、ポリポリと爪先で自分の鼻の頭を掻きながら「ガキっぽい?」と呟く。
「そんなことないけど」
「俺はね、後悔してる。なんで高校の頃に勇気出さなかったんだろって」
「え、高校?」
急に甘々とか、高校とか言い出すから、身構えてた気持ちが混乱する。
「蛍に好きってあの頃言ってたら良かったなあって」
「え、あの、えっ?」
そういえば拓は高校の頃から俺が好きだったって、言ってた。
「高校の時はさ、いつも遊んでる奴とか違ってただろ」
「うん、そうだね。拓は部活の人達とも出掛けること多かったよね」
拓と一緒にいる人達って、クラスの中でもちょっと派手な人が多い印象だ。
所謂一軍って奴、俺はどっちか言ったら地味目なグループの中にいた。
「一緒に帰るとか、出掛けるとか、お祭りとかさ」
「たまにあったよね、拓が誘ってくれたの覚えてるよ」
学校帰る途中で、自転車に乗った拓に声かけられて、後ろに乗せて貰った事が何度かある。
田舎の学校だったから、車通りの少ない道路を緊張しながら自転車を漕ぐ拓の背中を見てた。
「でもデートみたいなのは勇気無くて誘えなかった。本当は花火大会とか海とか一緒に行きたかったし、文化祭も一緒に回りたかった」
「……」
拓はその頃、多分付き合ってた女の子とお祭りに行ってたのは知ってる。
浴衣着た女の子達が拓の友達数人と一緒にいるのを、俺は偶然見たんだ。
たこ焼きを皆で食べてて、楽しそうに笑う拓に一人の子が寄り添ってて他の人にからかわれてた。
俺が絶対に出来ない距離で、その子は拓に近づけるんだって凄く悲しかった。
「でも、もう俺達大人だし」
「うん、でもなんでもかんでも大人仕様にならなくていいと思わないか?」
「大人仕様?」
「うん、まあ具体的に言えばエロいこととか?」
急に話題が変わって、ついでに内容に焦ってしまう。
そ、そんなの玄関で立ち話することじゃなくない?
「俺達もう大人だし、両想いなわけだしさ、誰にも遠慮いらないって言ったらそうなんだけどさ」
「う、うん」
遠慮いらないって、そりゃ拓は最後までしたいってそりゃ思ってたよね。
でもまだそんな勇気俺、自信ない。
性欲はあるけど、だけどそれとこれは別問題っていうか、だって怖いんだよ。
「でも、それって急がなくてもいいかなって思ってるんだ」
「え? なんで?」
したい。
そう言われると思ったのに、あんまりにも予想外過ぎて思わず聞き返してしまう。
「なんで? え、あの……なんかドキドキしたいから?」
わけが分からない。
ドキドキって、そういう意味のドキドキならエロい行為は外せないんじゃないのかな。
「上手く言えないけど、手を繋ぐとかハグするとか、そういうののドキドキというか嬉しくない?」
「嬉しい……です」
正直な気持ちを言えば、一緒に買い出しいくだけで気分はデートだし、さっいかき氷食べさせただけで、滅茶苦茶ドキドキした。
ドキドキし過ぎて、物凄く早食いでかき氷完食しちゃったくらいだ。
「俺は蛍に行ってらっしゃいとかお帰りって言ってもらうのだけで、毎日嬉しいんだけど、帰ってきた時ハグしても良いって蛍が思ってくれたらもっと嬉しい」
「ハ、ハグッ!」
い、いきなりハードルが上がって焦るけど、そんなの考えただけで心拍数最大値いきそうだ。
「ほら、こういうの」
ぽすんと拓の胸に引き寄せられて、俺は一瞬で硬直したんだ。
パタンとドアが閉まる音、拓は器用に後ろ手で鍵を掛けながら片手で俺の頬をつまんでる。
「……蛍?」
あまりの衝撃に、漫画だったらカチンコチンって文字が背後に浮かんでそうなほどに固まった俺を、拓は戸惑った様な顔で見ながら頬をつまんでいた手でトンと頬を突いてから離れていく。
「……蛍」
拓が俺を呼ぶ声が、なんだか困っている様に聞こえてきて、責めてるわけじゃないって分かってるのに視線が下を向いてしまう。
拓に顔触られるのは勿論初めてじゃないけれど、なんていうかこういうスキンシップに慣れなくて上手く反応出来なくなってしまうのが情けない。
こんな情けない反応しか出来なくなるなら、学生の頃もっと遊んでおけば良かった。
男女どちらでもいい、軽い触れ合いとか平気になれる程度にでもいいから俺に経験があれば、拓の視線とか些細な触れ合いにすら恥ずかしさから尻込みしちゃうようなこと、きっと無かったのに。
ずっと拓だけが好きで、勇気が無かったから告白なんて出来なくて、でも諦めることも出来なくて、誰か他の人をなんて例え気軽な遊び程度でも考えることも出来なかった。
俺もういい大人なのに、こんな中学生よりも子供みたいな反応してたら、拓に面倒だって思われる。
「……買ってきたもの溶けちゃうから、簡単に言うけどさ」
「うん」
お前、面倒だよ。
そう言われる覚悟で、ぎゅっと目を瞑る。
「俺は蛍と、ちょこっとずつ甘々になってきたい」
「え?」
予想外の言葉に目を開き顔を上げると拓は、ポリポリと爪先で自分の鼻の頭を掻きながら「ガキっぽい?」と呟く。
「そんなことないけど」
「俺はね、後悔してる。なんで高校の頃に勇気出さなかったんだろって」
「え、高校?」
急に甘々とか、高校とか言い出すから、身構えてた気持ちが混乱する。
「蛍に好きってあの頃言ってたら良かったなあって」
「え、あの、えっ?」
そういえば拓は高校の頃から俺が好きだったって、言ってた。
「高校の時はさ、いつも遊んでる奴とか違ってただろ」
「うん、そうだね。拓は部活の人達とも出掛けること多かったよね」
拓と一緒にいる人達って、クラスの中でもちょっと派手な人が多い印象だ。
所謂一軍って奴、俺はどっちか言ったら地味目なグループの中にいた。
「一緒に帰るとか、出掛けるとか、お祭りとかさ」
「たまにあったよね、拓が誘ってくれたの覚えてるよ」
学校帰る途中で、自転車に乗った拓に声かけられて、後ろに乗せて貰った事が何度かある。
田舎の学校だったから、車通りの少ない道路を緊張しながら自転車を漕ぐ拓の背中を見てた。
「でもデートみたいなのは勇気無くて誘えなかった。本当は花火大会とか海とか一緒に行きたかったし、文化祭も一緒に回りたかった」
「……」
拓はその頃、多分付き合ってた女の子とお祭りに行ってたのは知ってる。
浴衣着た女の子達が拓の友達数人と一緒にいるのを、俺は偶然見たんだ。
たこ焼きを皆で食べてて、楽しそうに笑う拓に一人の子が寄り添ってて他の人にからかわれてた。
俺が絶対に出来ない距離で、その子は拓に近づけるんだって凄く悲しかった。
「でも、もう俺達大人だし」
「うん、でもなんでもかんでも大人仕様にならなくていいと思わないか?」
「大人仕様?」
「うん、まあ具体的に言えばエロいこととか?」
急に話題が変わって、ついでに内容に焦ってしまう。
そ、そんなの玄関で立ち話することじゃなくない?
「俺達もう大人だし、両想いなわけだしさ、誰にも遠慮いらないって言ったらそうなんだけどさ」
「う、うん」
遠慮いらないって、そりゃ拓は最後までしたいってそりゃ思ってたよね。
でもまだそんな勇気俺、自信ない。
性欲はあるけど、だけどそれとこれは別問題っていうか、だって怖いんだよ。
「でも、それって急がなくてもいいかなって思ってるんだ」
「え? なんで?」
したい。
そう言われると思ったのに、あんまりにも予想外過ぎて思わず聞き返してしまう。
「なんで? え、あの……なんかドキドキしたいから?」
わけが分からない。
ドキドキって、そういう意味のドキドキならエロい行為は外せないんじゃないのかな。
「上手く言えないけど、手を繋ぐとかハグするとか、そういうののドキドキというか嬉しくない?」
「嬉しい……です」
正直な気持ちを言えば、一緒に買い出しいくだけで気分はデートだし、さっいかき氷食べさせただけで、滅茶苦茶ドキドキした。
ドキドキし過ぎて、物凄く早食いでかき氷完食しちゃったくらいだ。
「俺は蛍に行ってらっしゃいとかお帰りって言ってもらうのだけで、毎日嬉しいんだけど、帰ってきた時ハグしても良いって蛍が思ってくれたらもっと嬉しい」
「ハ、ハグッ!」
い、いきなりハードルが上がって焦るけど、そんなの考えただけで心拍数最大値いきそうだ。
「ほら、こういうの」
ぽすんと拓の胸に引き寄せられて、俺は一瞬で硬直したんだ。
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