【完結済み】乙男な僕はモブらしく生きる

木嶋うめ香

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本編

旦那様達の策略

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「舞、おはよう」
「千晴様おはようございます。お怪我は大事ございませんか?それよりも、大事な事がございましたね。おめでとうございます」

 次の日の朝雅と一緒に登校すると、舞が教室で出迎えてくれた。

「あ、ありがとう。頬は少し腫れてるけど大丈夫だよ」

 照れながらお礼を言う。
 舞は昨日僕が小姓手続きをしたと知っている。
 他の人達には、今月の頭にすでに手続きをしていたけれど公にしていなかった。昨日の一件で雅が心配して公表時期を早めることになった。みたいな感じにするらしい。
 だけどそれだとメールの件があるから、佐々木様と話して舞にも僕にもお供がつく。そして。

「おめでとう?何かあったのか?うわっ、それ昨日のか、腫れたのか?」
「倒れる程強い力で打たれたと聞いたよ、医者には診て貰ったのか?」

 舞のおめでとうございますの言葉を聞きつけ話しかけてきたのは、雅の家と同じ派閥に属するクラスメイト達だった。

「家の主治医を呼んで治療させたから問題ない」

 雅が僕の肩を抱きながら、二人に答える。
 打ち合わせしていた事だけど、顔が赤くなってしまう。
 打たれた頬の方は、大袈裟に湿布を貼って覆っているから見えないけど反対側はその分目立ちそうな気がする。

「それなら良かった。あぁ、おめでとうってそういうことか」
「おめでとうなら、お前達もだろうが」
「昨日の件があるからな、さっさと昨日小姓手続きしたよ」

 声を掛けてきた二人は、少し離れた席に座っていた子をそれぞれ手招きして呼び寄せると、雅に挨拶をさせた。
 今まで別のクラスだった子だから、僕は初対面だ。

「鈴森様、これから同じクラスになりますよろしくお願い申し上げます」

 雅に挨拶した後僕に頭を下げるから、僕は静かに頷いた。
 なんかややこしいけれど、雅の家が派閥内で上の方に位置しているから二人はクラスメイトとしては対等に話すけれど立場は雅より低い。
 ついでに小姓は、仮で嫁いだ扱いになるらしく。僕の立場も雅と同じになるらしい。
 雅と同じとは言うものの、僕にはその自覚があまりないのでいきなり態度を変えようとしても難しいんだけど。

「千晴様、こちら昨日の授業のノートです。良かったらお使いくださいませ」
「舞、ありがとう。助かるよ」
「いいえ、これくらいしかお役に立てず申し訳ございません。では失礼致します」

 ぺこりと頭を下げて舞は佐々木様のところに戻っていく。

「ふうん、気が利くな」
「舞は優しいから。それにしても、急に顔ぶれが変わったね」

 教室の数ヶ所に見慣れない人が座っているし、居なくなった人もいる。

「あぁ、手続きをした奴が多いからだろう」
「そう、なんだ」

 昨日、雅の部屋への引っ越しが終わった後話を聞かされはしていたけれど、実際目の当たりにするとなんだか戸惑ってしまう。

「良かったのかな、こんなことして」

 予定外のことをさせてしまった人が多いんじゃないかと、不安になって雅を見れば問題ないと笑われた。

 僕の手続きの日を実際より早めた以外に、雅と佐々木様の指示で、それぞれ派閥の繋がりがある人達に指示して小姓手続きの予定があるなら即行うようにしたのだ。
 二年に上がる時期にその手続きを終える人が多いとはいえ、急に手続きを早められて混乱している人もいるんじゃないだろうかと思うと申し訳なくなる。

「昨日の様なことがあっても、今までだと抗議も何も出来ないからな。予防は大切だよ」
「そうそう。それに時期を早められて俺的には棚ぼただよ。父が渋ってたのを解決できたし」

 雅の笑顔に困っている僕に、二人はそれぞれの小姓に抱きつきながらにこにこ笑っている。

 雅は谷崎さまの件と木村君が不穏な動きをしているから小姓の相手を決めているならすぐに動いた方がいい。
 家で決められていないなら、山城家からの指示だとしていいと話したらしく、同じ様に佐々木様も指示した為のこの騒ぎだった。
 舞にお供をつける話をしに行った筈が、そんな展開になって驚いたけれど、佐々木様が木村君が川島君達以外にも親しくなろうとしている動きがあるのを調べていたのが、発端だった。
 驚くことに、攻略対象者以外の時期当主の可能性のある人達は一年生に限らず声を掛けられていて、先生達もターゲットになっている人がいたのだ。
 佐々木様曰く、家を継ぐある程度顔がいい奴は殆んど声を掛けられているらしく、木村君の外見と話術に引っ掛かり名前呼びを許している人も少なくないのだと聞いた時は目眩がした。
 すでに川島君達が小姓手続きでやらかしていて、家から問題視されているのに、派閥の人間まで同じ様になったら時期当主見直しの可能性も出てきてしまう。木村君にこれ以上引っ掻き回される前に相手を決めてしまえとばかりに雅と佐々木様が動いたのだ。

『うっかりあれを部屋に入れでもしたら、あることないこと証拠を作られて終わるぞ』

 雅のその一言で、手続きを決意した人も多そうなきがする。
 それにしても、木村君やり手過ぎる。
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