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本編
主人公の悪あがき2
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「酷いです。本当は僕を小姓にしたいと言ってくださったのに」
「ありえないな。ハル、信じるなよ。あいつは嘘ばかりだと知ってるだろ?」
雅は僕の腕を引き寄せ、木村君に見せつける様に抱き締める。
「うん、僕は雅を信じてるよ」
何故木村君はあんなに強気なんだろ。
あ、前世の記憶があって自分が主人公だと知ってるからかな?
「ハル、愛してるよ」
「……僕も」
こんなの恥ずかしいんだけど。
雅、木村君に見せつけるにしてもやりすぎだよ。
恥ずかし過ぎるから、僕は雅に顔を押し付けてしがみつく。皆の顔なんか見れないよ。
「酷い、酷いです。あんなに僕を」
僕を? 木村君は何がしたいの?
「そんな泥棒を愛してるだなんて。騙されないで、僕の万年筆はその人の机から出てきたんですよ」
「万年筆はいつハルの机から出てきた?」
「さっきです。きっと昨日の放課後に」
「それは無理だな。俺達は昨日体育の後教室に戻っていない」
「え?」
あれ、本気で驚いてる?
僕達が戻ってこなかったって知らないのかな?
「説明をしてやれ」
「畏まりました。昨日千晴様が体育の時間に少し体調を崩されましたので、体育の後はご主人様のサロンに移動しました。その際千晴様を心配し佐々木様の小姓様と大林様も同行下さいました。その後、ご主人様と佐々木様がサロンにいらっしゃり、千晴様の体調が回復するまで二時間程サロンで皆様過ごされました」
「そ、それが何?一人で後から戻ったんでしょ」
「鞄やコートは私が教室に取りに参りました。その際警備の方にご主人様と千晴様の机の中が空である旨確認頂いておりますので、お疑いでしたら警備にご確認下さい」
警備の人に確認してもらった? なんで?
「その後一度も校舎には戻られていません」
「証拠があるの?」
「教室の入り口には防犯カメラが作動していますので、そちらの映像を確認頂けばよろしいのでは?」
「ぼ、防犯カメラなんて、どこに。そんなのあるなんて知らないよっ」
「入学時に防犯カメラの撮影を許可する旨の誓約書に署名をしているだろうが。それに疚しいことをしていなければ焦る事もないだろ」
そう言えば署名してた。父様が、僕は隣で説明を聞いていただけ。
あれ、個別に説明されて署名したんだよね。
「そんな。防犯カメラは全部の教室に?」
「当たり前だ」
なんで焦ってるの?
万年筆の話だけで、全部の教室にあるか確認する必要ある?
僕は雅の胸に顔を押し付けたまま考える。
こんなイベントはどのルートにもなかったよね?
逆ハーレム攻略失敗でも、こんな展開は無かったと思う。
だからこれは前世の記憶を持っている木村君の行動故の事なんだと思うけど、何がしたいの。
「そんな」
「何を焦っている?防犯カメラが作動していて何か困ることでも?」
「意地悪なことを仰らないでください。どうして意地悪するんですか?僕達はこんな写真を撮る関係だというのに。僕を捨てるんですか?」
ざわざわと教室の中が一気に騒がしくなった。
写真、写真て何?
動こうとすると、雅が僕の動きを封じた。
抱き締めている様で、頭を動かすことも出来ない。
「雅、離して」
「へえ、山城がねえ」
僕の抗議を、佐々木様の声が遮った。
「あ、返してくださいっ!」
「へええ。随分艶っぽい記念写真だな。山城」
「馬鹿馬鹿しい、どう見ても合成だろ。不愉快だ」
「お前の顔だけど?」
「俺の右肩には、二つの黒子がある。それにあるか?」
右肩の黒子? それって、裸の写真っていうこと?
「黒子ねえ、そんなのここで脱いで証明しろとは言えないだろ」
「証明なんて、ハルがするさ。な、ハル」
「え」
黒子、確かにゲームの設定では右肩に黒子があるとなってた気がするけど、ゲームで雅の裸のシーンなんて無かったし無駄設定て評判だった。
それに僕そんなの、雅の裸なんて見たことないよっ。
「ハル、実際に見たのはハルだけ、だろ」
「そんな恥ずかしいこと言えるわけないよ!」
顔が真っ赤になる。
見たことないとは言えない状況だけど、雅の裸なんて想像するのも恥ずかしいのに、見たことあるなんてっ!
「分かりやすい証明だったな。でもこれにはないが?」
「俺じゃないからだろ?」
「そ、そんなの、光の加減で」
「これだけはっきり写っていてそれはないな、まあ合成ならデータを分析すればすぐに分かる」
雅が言い切ると、ガタンと机か何かの音がした。
「雅」
「この騒ぎはなんですかっ!」
雅の手がやっと緩んだとホッとしたら、ドアが開いて理事長先生が入ってきたんだ。
「ありえないな。ハル、信じるなよ。あいつは嘘ばかりだと知ってるだろ?」
雅は僕の腕を引き寄せ、木村君に見せつける様に抱き締める。
「うん、僕は雅を信じてるよ」
何故木村君はあんなに強気なんだろ。
あ、前世の記憶があって自分が主人公だと知ってるからかな?
「ハル、愛してるよ」
「……僕も」
こんなの恥ずかしいんだけど。
雅、木村君に見せつけるにしてもやりすぎだよ。
恥ずかし過ぎるから、僕は雅に顔を押し付けてしがみつく。皆の顔なんか見れないよ。
「酷い、酷いです。あんなに僕を」
僕を? 木村君は何がしたいの?
「そんな泥棒を愛してるだなんて。騙されないで、僕の万年筆はその人の机から出てきたんですよ」
「万年筆はいつハルの机から出てきた?」
「さっきです。きっと昨日の放課後に」
「それは無理だな。俺達は昨日体育の後教室に戻っていない」
「え?」
あれ、本気で驚いてる?
僕達が戻ってこなかったって知らないのかな?
「説明をしてやれ」
「畏まりました。昨日千晴様が体育の時間に少し体調を崩されましたので、体育の後はご主人様のサロンに移動しました。その際千晴様を心配し佐々木様の小姓様と大林様も同行下さいました。その後、ご主人様と佐々木様がサロンにいらっしゃり、千晴様の体調が回復するまで二時間程サロンで皆様過ごされました」
「そ、それが何?一人で後から戻ったんでしょ」
「鞄やコートは私が教室に取りに参りました。その際警備の方にご主人様と千晴様の机の中が空である旨確認頂いておりますので、お疑いでしたら警備にご確認下さい」
警備の人に確認してもらった? なんで?
「その後一度も校舎には戻られていません」
「証拠があるの?」
「教室の入り口には防犯カメラが作動していますので、そちらの映像を確認頂けばよろしいのでは?」
「ぼ、防犯カメラなんて、どこに。そんなのあるなんて知らないよっ」
「入学時に防犯カメラの撮影を許可する旨の誓約書に署名をしているだろうが。それに疚しいことをしていなければ焦る事もないだろ」
そう言えば署名してた。父様が、僕は隣で説明を聞いていただけ。
あれ、個別に説明されて署名したんだよね。
「そんな。防犯カメラは全部の教室に?」
「当たり前だ」
なんで焦ってるの?
万年筆の話だけで、全部の教室にあるか確認する必要ある?
僕は雅の胸に顔を押し付けたまま考える。
こんなイベントはどのルートにもなかったよね?
逆ハーレム攻略失敗でも、こんな展開は無かったと思う。
だからこれは前世の記憶を持っている木村君の行動故の事なんだと思うけど、何がしたいの。
「そんな」
「何を焦っている?防犯カメラが作動していて何か困ることでも?」
「意地悪なことを仰らないでください。どうして意地悪するんですか?僕達はこんな写真を撮る関係だというのに。僕を捨てるんですか?」
ざわざわと教室の中が一気に騒がしくなった。
写真、写真て何?
動こうとすると、雅が僕の動きを封じた。
抱き締めている様で、頭を動かすことも出来ない。
「雅、離して」
「へえ、山城がねえ」
僕の抗議を、佐々木様の声が遮った。
「あ、返してくださいっ!」
「へええ。随分艶っぽい記念写真だな。山城」
「馬鹿馬鹿しい、どう見ても合成だろ。不愉快だ」
「お前の顔だけど?」
「俺の右肩には、二つの黒子がある。それにあるか?」
右肩の黒子? それって、裸の写真っていうこと?
「黒子ねえ、そんなのここで脱いで証明しろとは言えないだろ」
「証明なんて、ハルがするさ。な、ハル」
「え」
黒子、確かにゲームの設定では右肩に黒子があるとなってた気がするけど、ゲームで雅の裸のシーンなんて無かったし無駄設定て評判だった。
それに僕そんなの、雅の裸なんて見たことないよっ。
「ハル、実際に見たのはハルだけ、だろ」
「そんな恥ずかしいこと言えるわけないよ!」
顔が真っ赤になる。
見たことないとは言えない状況だけど、雅の裸なんて想像するのも恥ずかしいのに、見たことあるなんてっ!
「分かりやすい証明だったな。でもこれにはないが?」
「俺じゃないからだろ?」
「そ、そんなの、光の加減で」
「これだけはっきり写っていてそれはないな、まあ合成ならデータを分析すればすぐに分かる」
雅が言い切ると、ガタンと机か何かの音がした。
「雅」
「この騒ぎはなんですかっ!」
雅の手がやっと緩んだとホッとしたら、ドアが開いて理事長先生が入ってきたんだ。
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