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本編
主人公の悪あがき1
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「おはようございます千晴様、ご用心下さい」
次の日の朝、雅と一緒に登校した僕は昇降口で待っていた大林君に引き留められた。
「おはよう大林君、ええと用心って?」
「何かあったのか?」
「はい、木村春が机の中に入れて忘れて帰ってしまった万年筆がないと」
「それで?」
苛々と雅が先を促す。
何となく予想がつく気がするのは、僕の気のせいかな?
「千晴様の机に入っていました」
「ハルの机を勝手に見たのか?」
「僕が教室に入った時には既に机の中を探していたと聞いております」
なんか目眩がしそうだ。
「ハル、他に何か入れていたか?」
「体育の後僕は教室に戻ってないけど、机の中に入れていた荷物は全部持ってきてくれたよね?」
後ろに立っているメイドさん達に確認すると、三人揃って「すべてお持ちしましたので、机の中は何も入っておりません」と答えてくれた。
「昨日は私がご主人様と千晴様の鞄を持って教室を出た後は警備の物が立っていた筈ですが」
なんで警備の人が立ってたんだろ?
そういえば昨日ってなんで授業が無くなったんだっけ?
「言い掛かりを付けられても問題はないが、鬱陶しいな」
「そうですね」
鬱陶しいというより、もう嫌だ。
「教室にいた者は?川島もいるのか?」
「川島様は本日は病欠の様です」
「正気になったんだな」
「その様ですね」
正気になって病欠? 首を傾げていたら、舞が僕に声を掛けてきた。
「おはようございます。何かございましたか?千晴様」
「あったというか、これからあると言うか」
「これから、ですか?」
舞が首を傾げて僕を見るけど、僕にもよく分かってないから「木村君がね」とだけ告げた。
「まあ良い、理事長室に伝えて来い」
「畏まりました」
理事長室に? メイドさんの一人が足早に去っていくのを見送って、僕達は教室に向かった。
「昨日もあったんだよ」
「え?」
雅と佐々木様が話をしているので、その後ろを僕と舞と大林君が歩くことになる。
昨日、寮の入り口であった事を話すと舞が呆れ、大林君が怒りだした。
「昨日の今日でこれですか」
「そうなんだよねぇ。まあ、僕は教室に行ってないし。登校も今だから証明しやすいけど、でも何か嫌だね」
「本当ですね。あの方は今朝は登校が早かったのですね」
「ええ、どうも今日は一人で登校したようですから」
いつもは時間ギリギリに滑り込む感じだから、僕達より先に来てるのは珍しい。
「ああ、川島様達がいらっしゃらないからですね」
「というよりは、騒ぐために早く来たのでしょうね」
話しながらコートを預けて教室に向かう。
ガヤガヤと騒がしい様子が廊下からも分かるんだけど、一体何を騒いでいるんだろ。
「どうしたんだろ?」
「万年筆の件にしては騒がしすぎますね」
中に入るのが嫌だけど、雅と佐々木様は躊躇せずに入っていくから仕方なく後に続くしかない。
「山城様。聞いてください、僕の大事な万年筆をその人が盗んだんです。僕達の関係を嫉妬したんです」
教室に入った途端、木村君は泣きながら雅に駆け寄ってきた。
まさかずっと泣きわめいていたのかな?それであんなに騒がしかったの?
「朝から何を言っているのか分からないが、俺とお前には何の関係もない。ハルが嫉妬する理由などないが」
「そんな酷い、あんなに優しくしてくださったのに」
あんなに優しく?
雅が木村君に、何をしたの?
「妄想も大概にしろ、冗談ですむ内にな」
「そうですよ。千晴様一筋の方があなたの様な尻軽に手を出す筈がありません」
大林君が雅に加勢する。
「尻軽なんて酷いです!」
「そう?川島様と森村様、お二人に小姓届けを出させて平然としているなんて、貞淑な人間のすることとは思えませんが?両方の小姓届けに署名しているのですよね?」
「それは、お二人に言われて平民の僕は逆らえなくて」
「他にも小姓届けを出そうとしている方がいると聞いていますよ。あなたの署名入りの届けを持っているものの、家からの承諾が得られていないとか」
二人の他にも小姓届けを出そうとしてる人がいるの?
「お仕えできる旦那様はお一人だけですよ。それを複数の方の届けに署名するなどあってはならない事ではありませんか?」
舞がさらに加勢する。
「こういうのを尻軽というのですよ。舞様」
「酷い、僕は何も」
「何も、なんですか?」
「僕がこの人達に苛められているのを相談していたら、皆さんが親身になって下さっただけなんです。僕から小姓にして欲しいなんて望んだことありません。山城様僕を信じてください。そんな嘘つきに騙されないで下さいっ」
泣きながら雅に訴える木村君をの味方は、教室の中にはいなかった。
次の日の朝、雅と一緒に登校した僕は昇降口で待っていた大林君に引き留められた。
「おはよう大林君、ええと用心って?」
「何かあったのか?」
「はい、木村春が机の中に入れて忘れて帰ってしまった万年筆がないと」
「それで?」
苛々と雅が先を促す。
何となく予想がつく気がするのは、僕の気のせいかな?
「千晴様の机に入っていました」
「ハルの机を勝手に見たのか?」
「僕が教室に入った時には既に机の中を探していたと聞いております」
なんか目眩がしそうだ。
「ハル、他に何か入れていたか?」
「体育の後僕は教室に戻ってないけど、机の中に入れていた荷物は全部持ってきてくれたよね?」
後ろに立っているメイドさん達に確認すると、三人揃って「すべてお持ちしましたので、机の中は何も入っておりません」と答えてくれた。
「昨日は私がご主人様と千晴様の鞄を持って教室を出た後は警備の物が立っていた筈ですが」
なんで警備の人が立ってたんだろ?
そういえば昨日ってなんで授業が無くなったんだっけ?
「言い掛かりを付けられても問題はないが、鬱陶しいな」
「そうですね」
鬱陶しいというより、もう嫌だ。
「教室にいた者は?川島もいるのか?」
「川島様は本日は病欠の様です」
「正気になったんだな」
「その様ですね」
正気になって病欠? 首を傾げていたら、舞が僕に声を掛けてきた。
「おはようございます。何かございましたか?千晴様」
「あったというか、これからあると言うか」
「これから、ですか?」
舞が首を傾げて僕を見るけど、僕にもよく分かってないから「木村君がね」とだけ告げた。
「まあ良い、理事長室に伝えて来い」
「畏まりました」
理事長室に? メイドさんの一人が足早に去っていくのを見送って、僕達は教室に向かった。
「昨日もあったんだよ」
「え?」
雅と佐々木様が話をしているので、その後ろを僕と舞と大林君が歩くことになる。
昨日、寮の入り口であった事を話すと舞が呆れ、大林君が怒りだした。
「昨日の今日でこれですか」
「そうなんだよねぇ。まあ、僕は教室に行ってないし。登校も今だから証明しやすいけど、でも何か嫌だね」
「本当ですね。あの方は今朝は登校が早かったのですね」
「ええ、どうも今日は一人で登校したようですから」
いつもは時間ギリギリに滑り込む感じだから、僕達より先に来てるのは珍しい。
「ああ、川島様達がいらっしゃらないからですね」
「というよりは、騒ぐために早く来たのでしょうね」
話しながらコートを預けて教室に向かう。
ガヤガヤと騒がしい様子が廊下からも分かるんだけど、一体何を騒いでいるんだろ。
「どうしたんだろ?」
「万年筆の件にしては騒がしすぎますね」
中に入るのが嫌だけど、雅と佐々木様は躊躇せずに入っていくから仕方なく後に続くしかない。
「山城様。聞いてください、僕の大事な万年筆をその人が盗んだんです。僕達の関係を嫉妬したんです」
教室に入った途端、木村君は泣きながら雅に駆け寄ってきた。
まさかずっと泣きわめいていたのかな?それであんなに騒がしかったの?
「朝から何を言っているのか分からないが、俺とお前には何の関係もない。ハルが嫉妬する理由などないが」
「そんな酷い、あんなに優しくしてくださったのに」
あんなに優しく?
雅が木村君に、何をしたの?
「妄想も大概にしろ、冗談ですむ内にな」
「そうですよ。千晴様一筋の方があなたの様な尻軽に手を出す筈がありません」
大林君が雅に加勢する。
「尻軽なんて酷いです!」
「そう?川島様と森村様、お二人に小姓届けを出させて平然としているなんて、貞淑な人間のすることとは思えませんが?両方の小姓届けに署名しているのですよね?」
「それは、お二人に言われて平民の僕は逆らえなくて」
「他にも小姓届けを出そうとしている方がいると聞いていますよ。あなたの署名入りの届けを持っているものの、家からの承諾が得られていないとか」
二人の他にも小姓届けを出そうとしてる人がいるの?
「お仕えできる旦那様はお一人だけですよ。それを複数の方の届けに署名するなどあってはならない事ではありませんか?」
舞がさらに加勢する。
「こういうのを尻軽というのですよ。舞様」
「酷い、僕は何も」
「何も、なんですか?」
「僕がこの人達に苛められているのを相談していたら、皆さんが親身になって下さっただけなんです。僕から小姓にして欲しいなんて望んだことありません。山城様僕を信じてください。そんな嘘つきに騙されないで下さいっ」
泣きながら雅に訴える木村君をの味方は、教室の中にはいなかった。
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