100 / 119
本編
主人公の悪あがき3
しおりを挟む
「理事長先生、おはようございます。朝からご足労頂き恐縮です」
佐々木様が理事長先生に挨拶してるのに気を取られたのか、雅の腕の力が緩んだ隙に僕はするりと拘束から抜け出して手櫛で髪を整える。
「おはよう、佐々木君。これは一体何の騒ぎなんだ」
「こんな合成の写真を出して、自分が山城の小姓だと騒ぎ立て、山城の小姓に盗みの罪まで着せようとしていた為、真偽を確かめていたところです」
「なんて写真を」
「返して下さいっ!僕のスマホっ!」
入り口のところにいる理事長先生に、佐々木様がスマホを持って行き説明する。
雅に邪魔されて何も見えなかったけど、写真はスマホに保存されてた物みたいだ。
「返してくださいっ。取り上げるなんて酷すぎますっ」
「おっと、そういうわけにはいかないな。こんな写真が出回ったら山城軍配恥をかくだけでは済まない。合成かどうか判断する為、これは学園で預かる。いいね」
木村君が理事長先生に飛び付かんばかりに抗議するけれど、先生は動じずに背後に立っていたお付きの人にスマホを渡してしまう。
「これが本当に合成だった場合、君は山城侯爵家に詐欺を働いた事になるんだよ。それを君は理解しているのかな」
「詐欺だなんて、酷いです。山城様は本当に僕を小姓にと」
「その話を今聞く気はないんだよ。場所を移して詳しく確認する。君は一緒に来なさい。山城君と、山城君の小姓は誰だったかな、あぁ鈴森君だね。二人にも話を聞きたいから、後で理事長室まで。そうだね昼休みがいいかな」
「分かりました」
「合成なんかじゃありませんっ、僕は何も悪くないのに」
理事長先生に素直に返事をする雅と、大声を上げている木村君の対比が凄い。
「どうかな?」
「解析はすぐできますが、する必要も無いほど稚拙な合成ですね。ほら首の辺りにはっきり色の違いが出来ていますし、画像の解像度も違うようですね。今時素人でももう少しマシな処理するでしょうに、そもそもこの山城君の顔は学生証か何かではありませんか?」
「なんだと?山城君、学生証を見せて貰えるか」
入り口のところで話しているのを、僕は少し離れた位置で見てるしか出来ない。
「合成だと証明されて良かったですね」
「うん。当然だけど」
でもどうして、あんな場所で話してるんだろ。
あれじゃ雅のこと誤解する人が出てきたりしないのかな。
「理事長先生、完全に彼を排除するつもりですね」
「排除?」
「木村君です。学園側は山城家の名誉を守った事にしたいのですよ。だからここで合成とはっきりさせているんです」
「成る程」
「彼も馬鹿ですね。ああいった醜聞を貴族は一番嫌うというのに、本人に嘘の写真を見せるんですから」
大林君は周囲に聞こえない位の小さな声で僕に教えてくれる。
「ですが、山城様の学生証の写真なんてどうやって彼は入手したんでしょう」
「隠し撮りなら兎も角、不思議ですね」
教室内のあちこちでひそひそと話しながら、視線はドアの辺りに立っている雅達に集まっている。
雅が理事長先生に渡した学生証の写真と、木村君のスマホを見比べて話し込んでいるのだから、気にならない方がおかしいよね。
「断言は出来ないが、同じに見えるな」
「そうですね」
「知らないっ。僕は山城様とっ」
「その一言一言が、山城君への名誉棄損となるのだよ。全く自覚がないとは嘆かわしい。こんな合成写真を作るなんて」
理事長先生は不自然な程、名誉毀損とか合成写真という単語を強調して話している気がする。
その度に「合成だって」とか「山城様を計略にかけようとしたのか?」なんて声が聞こえてくる。
成る程、大林君の話しは正しいのかもしれない。
「理事長」
「どうした」
騒ぎ続ける木村君は、理事長先生に手首を捕まれている。
不思議と木村君は大声を上げるだけで、暴れたりはしていなかったのだけど。
「これ、不味いことになりそうですよ」
「なんだと」
「ほら、これとこれ、凄いな」
「あっ!それは駄目っ!見ないで、関係ないでしょっ!」
「えっ」
教室中が一気に騒がしくなった。
スマホを見ている理事長先生とお付きの人に慌てたように、突然木村君が掴まれていない方の腕を振り回し始めたのだ。
「大人しくしなさいっ」
「スマホの中を勝手に見るなんて、酷いですっ!個人情報ですよっ!人権の侵害ですっ!」
「人権の侵害と言うなら、君が山城君にしたことは何なんだ。こんな合成写真を作ってありもしない事をさも本当の様に言って、名誉毀損だけじゃ済まないのだぞ。おい、警備。この生徒を拘束して理事長室へ連れていきなさい」
「畏まりました」
「嫌ぁっ!僕は悪くないっ。悪くないってばぁ!」
暴れる木村君の腕を、突然教室に入ってきた警備の人が拘束して出ていく。
「君達は授業をしっかり受ける様に。山城君と鈴森君はは後で理事長室に来て話を聞かせてもらうから」
「はい」
しっかり授業を受けるなんて、とても出来そうに無かった。
佐々木様が理事長先生に挨拶してるのに気を取られたのか、雅の腕の力が緩んだ隙に僕はするりと拘束から抜け出して手櫛で髪を整える。
「おはよう、佐々木君。これは一体何の騒ぎなんだ」
「こんな合成の写真を出して、自分が山城の小姓だと騒ぎ立て、山城の小姓に盗みの罪まで着せようとしていた為、真偽を確かめていたところです」
「なんて写真を」
「返して下さいっ!僕のスマホっ!」
入り口のところにいる理事長先生に、佐々木様がスマホを持って行き説明する。
雅に邪魔されて何も見えなかったけど、写真はスマホに保存されてた物みたいだ。
「返してくださいっ。取り上げるなんて酷すぎますっ」
「おっと、そういうわけにはいかないな。こんな写真が出回ったら山城軍配恥をかくだけでは済まない。合成かどうか判断する為、これは学園で預かる。いいね」
木村君が理事長先生に飛び付かんばかりに抗議するけれど、先生は動じずに背後に立っていたお付きの人にスマホを渡してしまう。
「これが本当に合成だった場合、君は山城侯爵家に詐欺を働いた事になるんだよ。それを君は理解しているのかな」
「詐欺だなんて、酷いです。山城様は本当に僕を小姓にと」
「その話を今聞く気はないんだよ。場所を移して詳しく確認する。君は一緒に来なさい。山城君と、山城君の小姓は誰だったかな、あぁ鈴森君だね。二人にも話を聞きたいから、後で理事長室まで。そうだね昼休みがいいかな」
「分かりました」
「合成なんかじゃありませんっ、僕は何も悪くないのに」
理事長先生に素直に返事をする雅と、大声を上げている木村君の対比が凄い。
「どうかな?」
「解析はすぐできますが、する必要も無いほど稚拙な合成ですね。ほら首の辺りにはっきり色の違いが出来ていますし、画像の解像度も違うようですね。今時素人でももう少しマシな処理するでしょうに、そもそもこの山城君の顔は学生証か何かではありませんか?」
「なんだと?山城君、学生証を見せて貰えるか」
入り口のところで話しているのを、僕は少し離れた位置で見てるしか出来ない。
「合成だと証明されて良かったですね」
「うん。当然だけど」
でもどうして、あんな場所で話してるんだろ。
あれじゃ雅のこと誤解する人が出てきたりしないのかな。
「理事長先生、完全に彼を排除するつもりですね」
「排除?」
「木村君です。学園側は山城家の名誉を守った事にしたいのですよ。だからここで合成とはっきりさせているんです」
「成る程」
「彼も馬鹿ですね。ああいった醜聞を貴族は一番嫌うというのに、本人に嘘の写真を見せるんですから」
大林君は周囲に聞こえない位の小さな声で僕に教えてくれる。
「ですが、山城様の学生証の写真なんてどうやって彼は入手したんでしょう」
「隠し撮りなら兎も角、不思議ですね」
教室内のあちこちでひそひそと話しながら、視線はドアの辺りに立っている雅達に集まっている。
雅が理事長先生に渡した学生証の写真と、木村君のスマホを見比べて話し込んでいるのだから、気にならない方がおかしいよね。
「断言は出来ないが、同じに見えるな」
「そうですね」
「知らないっ。僕は山城様とっ」
「その一言一言が、山城君への名誉棄損となるのだよ。全く自覚がないとは嘆かわしい。こんな合成写真を作るなんて」
理事長先生は不自然な程、名誉毀損とか合成写真という単語を強調して話している気がする。
その度に「合成だって」とか「山城様を計略にかけようとしたのか?」なんて声が聞こえてくる。
成る程、大林君の話しは正しいのかもしれない。
「理事長」
「どうした」
騒ぎ続ける木村君は、理事長先生に手首を捕まれている。
不思議と木村君は大声を上げるだけで、暴れたりはしていなかったのだけど。
「これ、不味いことになりそうですよ」
「なんだと」
「ほら、これとこれ、凄いな」
「あっ!それは駄目っ!見ないで、関係ないでしょっ!」
「えっ」
教室中が一気に騒がしくなった。
スマホを見ている理事長先生とお付きの人に慌てたように、突然木村君が掴まれていない方の腕を振り回し始めたのだ。
「大人しくしなさいっ」
「スマホの中を勝手に見るなんて、酷いですっ!個人情報ですよっ!人権の侵害ですっ!」
「人権の侵害と言うなら、君が山城君にしたことは何なんだ。こんな合成写真を作ってありもしない事をさも本当の様に言って、名誉毀損だけじゃ済まないのだぞ。おい、警備。この生徒を拘束して理事長室へ連れていきなさい」
「畏まりました」
「嫌ぁっ!僕は悪くないっ。悪くないってばぁ!」
暴れる木村君の腕を、突然教室に入ってきた警備の人が拘束して出ていく。
「君達は授業をしっかり受ける様に。山城君と鈴森君はは後で理事長室に来て話を聞かせてもらうから」
「はい」
しっかり授業を受けるなんて、とても出来そうに無かった。
186
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語
お決まりの悪役令息は物語から消えることにします?
麻山おもと
BL
愛読していたblファンタジーものの漫画に転生した主人公は、最推しの悪役令息に転生する。今までとは打って変わって、誰にも興味を示さない主人公に周りが関心を向け始め、執着していく話を書くつもりです。
無能の騎士~退職させられたいので典型的な無能で最低最悪な騎士を演じます~
紫鶴
BL
早く退職させられたい!!
俺は労働が嫌いだ。玉の輿で稼ぎの良い婚約者をゲットできたのに、家族に俺には勿体なさ過ぎる!というので騎士団に入団させられて働いている。くそう、ヴィがいるから楽できると思ったのになんでだよ!!でも家族の圧力が怖いから自主退職できない!
はっ!そうだ!退職させた方が良いと思わせればいいんだ!!
なので俺は無能で最悪最低な悪徳貴族(騎士)を演じることにした。
「ベルちゃん、大好き」
「まっ!準備してないから!!ちょっとヴィ!服脱がせないでよ!!」
でろでろに主人公を溺愛している婚約者と早く退職させられたい主人公のらぶあまな話。
ーーー
ムーンライトノベルズでも連載中。
身代わりになって推しの思い出の中で永遠になりたいんです!
冨士原のもち
BL
桜舞う王立学院の入学式、ヤマトはカイユー王子を見てここが前世でやったゲームの世界だと気付く。ヤマトが一番好きなキャラであるカイユー王子は、ゲーム内では非業の死を遂げる。
「そうだ!カイユーを助けて死んだら、忘れられない恩人として永遠になれるんじゃないか?」
前世の死に際のせいで人間不信と恋愛不信を拗らせていたヤマトは、推しの心の中で永遠になるために身代わりになろうと決意した。しかし、カイユー王子はゲームの時の印象と違っていて……
演技チャラ男攻め×美人人間不信受け
※最終的にはハッピーエンドです
※何かしら地雷のある方にはお勧めしません
※ムーンライトノベルズにも投稿しています
異世界で孵化したので全力で推しを守ります
のぶしげ
BL
ある日、聞いていたシチュエーションCDの世界に転生してしまった主人公。推しの幼少期に出会い、魔王化へのルートを回避して健やかな成長をサポートしよう!と奮闘していく異世界転生BL 執着最強×人外美人BL
陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。
陽七 葵
BL
主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。
しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。
蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。
だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。
そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。
そこから物語は始まるのだが——。
実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。
素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪
【完結】我が兄は生徒会長である!
tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。
名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。
そんな彼には「推し」がいる。
それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。
実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。
終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。
本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。
(番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)
龍は精霊の愛し子を愛でる
林 業
BL
竜人族の騎士団団長サンムーンは人の子を嫁にしている。
その子は精霊に愛されているが、人族からは嫌われた子供だった。
王族の養子として、騎士団長の嫁として今日も楽しく自由に生きていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる