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番外編
IF テスター千春は恋をする3
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「アンケートありがとうございます。こちらで今回のテスターは終了です。ご協力ありがとうございました」
アンケートを書き終わり部屋に戻ると、さっきとは別の人が椅子に座って待っていてくれた。
僕が向かいの椅子に座ると、ペットボトル入りのお茶を渡された。
「はい」
「こちらが今回のバイト代の一部です。ご確認下さい。残りは月曜日の午後一時頃にお越し頂ければご用意出来ますので。ご足労頂き申し訳御座いません」
社名入りの封筒を手渡され、中身を確認する。
こんなお金、持ったことないから緊張するよぉ。
冷静を装って確認を終えて「大丈夫です」と答えると、にっこりと笑顔で返された。
「じゃあ、失礼します」
「もし、またテスターをお願いしたいゲームがあればお願い出来ますか?」
「え」
「これからうちの会社はこの関係のゲームが増える予定なんです。十八禁も色々出るんですよ」
それは華乙男以外ののBLゲームってこと?
そしたら相手は雅以外?
「あの、なんか僕には向いてないっぽいかなって」
だって雅以外と恋愛するなんて、そんなの今考えられないよ。
「そうですか、もし気が変わったらご連絡下さいね。あ、月曜日は一階入口受付でバイト代受け取りと言って頂ければ担当に繋がりますので」
にこにこと笑う顔がなんだか、ちょっと嫌な感じがする。
「はい、ありがとうございます」
「あ、お茶をどうぞお持ち帰り下さい」
そそくさとお礼を言って立ち上がると、部屋を出てエレベーターまで案内される。
「下までお見送り致しますね」
「え、だ、大丈夫です。あの、ここで」
何となくエレベーターの密室にこの人と一緒に乗るのは抵抗があって断ると、少し目付きが変わってビクリと震えてしまった。
「エレベーターは下か?」
「え、あっ。社長。はい、下です」
「社長、さん?」
振り替えると、見るからに高そうなスーツを着た背の高い男性が立っていた。
「わ、私は仕事に戻ります。では鈴森様月曜日お待ちしています。失礼します」
挙動不審に挨拶をして去っていった。
そう言えば名前を聞いていなかった。
どうしよう。バイト代受け取りで本当に分かるのかな。
「エレベーター来ましたが」
「え、す、すみません。ちょっとボンヤリしちゃって」
なんだろう、社長さん?凄く落ち着く声なんだけど。
それに、なんだかちょっと雅といるみたいな気持ちになっちゃうよ?
「失礼ですが、テスターの方でしょうか」
「え、あの。はい」
エレベーターに乗り込みながら返事をして、社長ってことは僕のデータ見たりするのかなと考えたら、顔が熱くなって来てしまった。
お金の為とはいえ、僕物凄く大胆なバイトしちゃったよね。
「鈴森さん、本名でテスター頂いたんですね」
「え、あの。駄目でしたか?」
「いいえ、今回は支障ありませんが、本当はあのゲームはオンラインでやるものなので、実際にゲームされる場合本名はちょっと」
そりゃそうだ。
ネットに繋がずに主人公になって相手がNPCなら本名でも大丈夫だろうけれど、主人公も攻略対象者も中身が生身の人間だとしたら個人情報自分からばらしてるようなものだもん。
「そうですね。気を付けます」
多分オンラインであのゲームをやることはないだろうけれど、こういう事ってゲームに限らず気にしないといけないことだよね。
「あ、着きましたよ一階でいいんですね」
「はい」
社長さんは地下に行くみたい。
残念、ここでお別れか。もう会うことないんだろうな。
残念? え、なんで僕そんなこと思ってるんだろ。
「手を離して貰えないと、ドア閉められないな」
「うわっ、スミマセン」
なんで僕、この人のスーツの裾なんて触ってるんだよ。
僕、まだゲームの中にいる気持ちになってるんじゃないの?
「ゲームに長時間入っていたから疲れているのかな。良かったら家まで送らせてくれないか」
「送らせて?」
え、それってもう少し一緒にいられるってこと?
ちょっと雅っぽいとか思ってる人が、僕を送ってくれるの?
「でも、そんなの」
悪いと言いたいのに、まだ僕の手は離れない。
「帰りに事故にでも合ったら大変だから」
「じゃあ、お言葉に甘えて」
頷いたら、肩を抱かれてエレベーターの中に戻された。
どうしよう、ドキドキするよ。
こんなの、どうしたらいいのか分からないよ。
肩を抱かれたまま俯く僕は、彼がどんな顔をして僕を見ているか気付いていなかった。
そして、現実で恋なんて無理だと諦めていた僕の、初めての恋になるなんて、この時は気が付いていなかったんだ。
おわり
ここまで読んで頂きましてありがとうございます。
IFはこれでおしまいです。
社長さんは、雅の中の人。
エレベーターまで送ってくれた社員は、保険医の中の人でした。
千晴はゲームとは顔が違うものの、可愛い系美人顔なので社長&社員に一目惚れされています。
千晴には知らされていませんが、千晴がゲームの中で絡んだ人達は、ゲーム会社の社員です。
千晴と同じ様に皆も現実世界の記憶がなく、ゲームのキャラ設定で考え動いています。
本来は、ちょっと未来な日本に住む千晴が、ゲームのテスターとしてバイトを始め、千晴がゲームの世界と現実世界それぞれで恋愛をしていく話にしたかったのですが、私の筆力が無さすぎて書ききれませんでした。
なので、素直にゲームの世界に転生した話として本編を書きました。
もう少し上手に描写が出来るようになったら、この設定を使って違う作品を書きたいと思います。
本編の雅サイドのお話(千晴に一目惚れして、千晴を小姓にしたくて頑張る話)を五月が六月位から連載始めたいと思います。
本編であまり役に立ってない雅のヘタレなりの頑張りを読んでいただけたらいいなと思っています。
一旦この作品は完結としますが、雅サイドもこの作品に続けて載せていく予定ですので、お気に入り登録を残して頂けると幸いです。
アンケートを書き終わり部屋に戻ると、さっきとは別の人が椅子に座って待っていてくれた。
僕が向かいの椅子に座ると、ペットボトル入りのお茶を渡された。
「はい」
「こちらが今回のバイト代の一部です。ご確認下さい。残りは月曜日の午後一時頃にお越し頂ければご用意出来ますので。ご足労頂き申し訳御座いません」
社名入りの封筒を手渡され、中身を確認する。
こんなお金、持ったことないから緊張するよぉ。
冷静を装って確認を終えて「大丈夫です」と答えると、にっこりと笑顔で返された。
「じゃあ、失礼します」
「もし、またテスターをお願いしたいゲームがあればお願い出来ますか?」
「え」
「これからうちの会社はこの関係のゲームが増える予定なんです。十八禁も色々出るんですよ」
それは華乙男以外ののBLゲームってこと?
そしたら相手は雅以外?
「あの、なんか僕には向いてないっぽいかなって」
だって雅以外と恋愛するなんて、そんなの今考えられないよ。
「そうですか、もし気が変わったらご連絡下さいね。あ、月曜日は一階入口受付でバイト代受け取りと言って頂ければ担当に繋がりますので」
にこにこと笑う顔がなんだか、ちょっと嫌な感じがする。
「はい、ありがとうございます」
「あ、お茶をどうぞお持ち帰り下さい」
そそくさとお礼を言って立ち上がると、部屋を出てエレベーターまで案内される。
「下までお見送り致しますね」
「え、だ、大丈夫です。あの、ここで」
何となくエレベーターの密室にこの人と一緒に乗るのは抵抗があって断ると、少し目付きが変わってビクリと震えてしまった。
「エレベーターは下か?」
「え、あっ。社長。はい、下です」
「社長、さん?」
振り替えると、見るからに高そうなスーツを着た背の高い男性が立っていた。
「わ、私は仕事に戻ります。では鈴森様月曜日お待ちしています。失礼します」
挙動不審に挨拶をして去っていった。
そう言えば名前を聞いていなかった。
どうしよう。バイト代受け取りで本当に分かるのかな。
「エレベーター来ましたが」
「え、す、すみません。ちょっとボンヤリしちゃって」
なんだろう、社長さん?凄く落ち着く声なんだけど。
それに、なんだかちょっと雅といるみたいな気持ちになっちゃうよ?
「失礼ですが、テスターの方でしょうか」
「え、あの。はい」
エレベーターに乗り込みながら返事をして、社長ってことは僕のデータ見たりするのかなと考えたら、顔が熱くなって来てしまった。
お金の為とはいえ、僕物凄く大胆なバイトしちゃったよね。
「鈴森さん、本名でテスター頂いたんですね」
「え、あの。駄目でしたか?」
「いいえ、今回は支障ありませんが、本当はあのゲームはオンラインでやるものなので、実際にゲームされる場合本名はちょっと」
そりゃそうだ。
ネットに繋がずに主人公になって相手がNPCなら本名でも大丈夫だろうけれど、主人公も攻略対象者も中身が生身の人間だとしたら個人情報自分からばらしてるようなものだもん。
「そうですね。気を付けます」
多分オンラインであのゲームをやることはないだろうけれど、こういう事ってゲームに限らず気にしないといけないことだよね。
「あ、着きましたよ一階でいいんですね」
「はい」
社長さんは地下に行くみたい。
残念、ここでお別れか。もう会うことないんだろうな。
残念? え、なんで僕そんなこと思ってるんだろ。
「手を離して貰えないと、ドア閉められないな」
「うわっ、スミマセン」
なんで僕、この人のスーツの裾なんて触ってるんだよ。
僕、まだゲームの中にいる気持ちになってるんじゃないの?
「ゲームに長時間入っていたから疲れているのかな。良かったら家まで送らせてくれないか」
「送らせて?」
え、それってもう少し一緒にいられるってこと?
ちょっと雅っぽいとか思ってる人が、僕を送ってくれるの?
「でも、そんなの」
悪いと言いたいのに、まだ僕の手は離れない。
「帰りに事故にでも合ったら大変だから」
「じゃあ、お言葉に甘えて」
頷いたら、肩を抱かれてエレベーターの中に戻された。
どうしよう、ドキドキするよ。
こんなの、どうしたらいいのか分からないよ。
肩を抱かれたまま俯く僕は、彼がどんな顔をして僕を見ているか気付いていなかった。
そして、現実で恋なんて無理だと諦めていた僕の、初めての恋になるなんて、この時は気が付いていなかったんだ。
おわり
ここまで読んで頂きましてありがとうございます。
IFはこれでおしまいです。
社長さんは、雅の中の人。
エレベーターまで送ってくれた社員は、保険医の中の人でした。
千晴はゲームとは顔が違うものの、可愛い系美人顔なので社長&社員に一目惚れされています。
千晴には知らされていませんが、千晴がゲームの中で絡んだ人達は、ゲーム会社の社員です。
千晴と同じ様に皆も現実世界の記憶がなく、ゲームのキャラ設定で考え動いています。
本来は、ちょっと未来な日本に住む千晴が、ゲームのテスターとしてバイトを始め、千晴がゲームの世界と現実世界それぞれで恋愛をしていく話にしたかったのですが、私の筆力が無さすぎて書ききれませんでした。
なので、素直にゲームの世界に転生した話として本編を書きました。
もう少し上手に描写が出来るようになったら、この設定を使って違う作品を書きたいと思います。
本編の雅サイドのお話(千晴に一目惚れして、千晴を小姓にしたくて頑張る話)を五月が六月位から連載始めたいと思います。
本編であまり役に立ってない雅のヘタレなりの頑張りを読んでいただけたらいいなと思っています。
一旦この作品は完結としますが、雅サイドもこの作品に続けて載せていく予定ですので、お気に入り登録を残して頂けると幸いです。
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