神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです

珂里

文字の大きさ
71 / 73

嫉妬されました

しおりを挟む
「取り敢えず、皆で俺達の泊まっている宿に行こうぜ?」

龍斗さんの声にハッとして周りを見れば、店の人や通りすがりの人にジロジロと見られていた。


……そりゃそうだよね。

超絶イケメンが、今は男の子にしか見えない私を抱き締めたり、キスしたりしてるんだから。

これではリスターがヤバイ人になってしまう。

私は慌ててリスターの手を引っ張り、宿に案内する。

「リスター、こっちだよ!」

リスターと手を繋ぐのも久しぶりだから、ちょっとドキドキしちゃう。

さっきからリスターに抱き締められたりして、私の顔はずっと真っ赤なままだと思う。

そんな私を、嬉しそうに目を細めて見ていたリスターが、部屋の前まで来て途端に眉を顰めた。

「……ねえ、まさかとは思うけど、リュートさんと一緒の部屋じゃないよね?」

「え?一緒に決まってるじゃん。親子の設定なんだし、別々の部屋の方がおかしいでしょ?」

「……そうだね。」

私が扉を開けて中に招き入れると、リスターの眉間の皺がいっそう酷くなる。

「ねえ、ベッドの距離が近過ぎない?」

「え?部屋が狭いんだからしょうがないじゃん。身を隠してるんだし、贅沢して広い部屋になんて泊まれないでしょ?」

「…………そうだね。」

リスターが後から部屋に入って来た龍斗さんをギロリと睨んだ。

「なあ……、俺、リスターにヤラレそうな勢いじゃねえ?」

「あの目はかなり怒っているね。」

「ハハッ。骨は拾ってやるから安心しろ。」

思わず後ずさる龍斗さんの肩を、カールさんとダナンさんがポンと叩いて苦笑している。

リスターが龍斗さんを睨んだまま、扉の方を指差した。

「今すぐ部屋をもう1つ取ってきてください。今日は僕がこの部屋でアヤナと寝ます。」

「はいはい。暫く2人にしてあげるから。やきもちを妬き過ぎて喧嘩しないようにね?」

3人が部屋を出て行った後。
チラリとリスターを見上げると、なんだか拗ねたような表情で私を見つめるリスターと目が合った。


か、か、可愛い!!!

その表情、ヤバ過ぎですよ!!

心臓がドキドキ煩くてジタバタと悶えている私を、リスターがそっと抱き寄せる。

「リスター、龍斗さんにまでやきもち妬いてるの?」

「……誰にだって妬くよ。アヤナは、僕だけのなんだから。」

リスターが耳まで真っ赤にして少し膨れている。

そんなリスターが可愛くて、リスターの膨れている頬をツンツンしていたら、その手を掴まれて激しくキスをされた。


「明日の朝一番に出る船で家に帰ろう。もう絶対に離さないから、覚悟しておいてね?」

「は、はい……。」





翌日。

別の部屋を取っていた3人が部屋まで迎えに来てくれた。

扉を開けて部屋から出て来た私を見て、3人はリスターに白い目を向ける。


何故って?

それはきっと、リスターに腰を抱かれて出て来た私が、真っ赤な顔でトロンと蕩けたような表情をしていたからだと思う。


「……リスター、お前……。」

「何ですか?してませんよ。結婚するまではしないって約束しましたからね。」

「そ、そうだよ!してないよっ!!確かにちょっと……いや、かなり?キスやスキンシップは多かったけど!!」

「そう?これでも我慢したつもりなんだけどね?」

真っ赤になって動揺している私と、その私の腰をガッシリと抱いて頭にキスをしまくるリスター。


3人は私とリスターを呆れ顔で見ながら、揃って深い溜め息を吐いた。

「……誰だよ、リスター連れて来たの……。こうなるのは分かっていただろう?」

「だって、リスターが団長の承諾を得たって言うから……ん?待てよ……団長が認めたって事は、こうなる事も認めて……」

「認めてねえよ!おい、団長に顔向けできなくなる前に、早いとこ帰るぞ!リスターも本当に我慢してくれよな!」


ブーブー文句を言う3人と、3人を全く気にする事なく、隙あれば私とくっついてイチャイチャしようとするリスター。

昨夜はリスターに一晩中愛を囁かれていたおかげ?で、すっかり寝不足な私は、船に乗り込む頃にはグッタリと疲れてしまっていた。

そして、そんな私を嬉々として世話をするリスターに、またトロトロに蕩けさせられてしまう私なのだった……。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい

珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。 本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。 …………私も消えることができるかな。 私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。 私は、邪魔な子だから。 私は、いらない子だから。 だからきっと、誰も悲しまない。 どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。 そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。 異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。 ☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。 彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。

婚約破棄のその場で転生前の記憶が戻り、悪役令嬢として反撃開始いたします

タマ マコト
ファンタジー
革命前夜の王国で、公爵令嬢レティシアは盛大な舞踏会の場で王太子アルマンから一方的に婚約を破棄され、社交界の嘲笑の的になる。その瞬間、彼女は“日本の歴史オタク女子大生”だった前世の記憶を思い出し、この国が数年後に血塗れの革命で滅びる未来を知ってしまう。 悪役令嬢として嫌われ、切り捨てられた自分の立場と、公爵家の権力・財力を「運命改変の武器」にすると決めたレティシアは、貧民街への支援や貴族の不正調査をひそかに始める。その過程で、冷静で改革派の第二王子シャルルと出会い、互いに利害と興味を抱きながら、“歴史に逆らう悪役令嬢”として静かな反撃をスタートさせていく。

【完結】断罪された悪役令嬢は、本気で生きることにした

きゅちゃん
ファンタジー
帝国随一の名門、ロゼンクロイツ家の令嬢ベルティア・フォン・ロゼンクロイツは、突如として公の場で婚約者であるクレイン王太子から一方的に婚約破棄を宣告される。その理由は、彼女が平民出身の少女エリーゼをいじめていたという濡れ衣。真実はエリーゼこそが王太子の心を奪うために画策した罠だったにも関わらず、ベルティアは悪役令嬢として断罪され、社交界からの追放と学院退学の処分を受ける。 全てを失ったベルティアだが、彼女は諦めない。これまで家の期待に応えるため「完璧な令嬢」として生きてきた彼女だが、今度は自分自身のために生きると決意する。軍事貴族の嫡男ヴァルター・フォン・クリムゾンをはじめとする協力者たちと共に、彼女は自らの名誉回復と真実の解明に挑む。 その過程で、ベルティアは王太子の裏の顔や、エリーゼの正体、そして帝国に忍び寄る陰謀に気づいていく。かつては社交界のスキルだけを磨いてきた彼女だが、今度は魔法や剣術など実戦的な力も身につけながら、自らの道を切り開いていく。 失われた名誉、隠された真実、そして予期せぬ恋。断罪された「悪役令嬢」が、自分の物語を自らの手で紡いでいく、爽快復讐ファンタジー。

契約結婚のはずが、気づけば王族すら跪いていました

言諮 アイ
ファンタジー
――名ばかりの妻のはずだった。 貧乏貴族の娘であるリリアは、家の借金を返すため、冷酷と名高い辺境伯アレクシスと契約結婚を結ぶことに。 「ただの形式だけの結婚だ。お互い干渉せず、適当にやってくれ」 それが彼の第一声だった。愛の欠片もない契約。そう、リリアはただの「飾り」のはずだった。 だが、彼女には誰もが知らぬ “ある力” があった。 それは、神代より伝わる失われた魔法【王威の審判】。 それは“本来、王にのみ宿る力”であり、王族すら彼女の前に跪く絶対的な力――。 気づけばリリアは貴族社会を塗り替え、辺境伯すら翻弄し、王すら頭を垂れる存在へ。 「これは……一体どういうことだ?」 「さあ? ただの契約結婚のはずでしたけど?」 いつしか契約は意味を失い、冷酷な辺境伯は彼女を「真の妻」として求め始める。 ――これは、一人の少女が世界を変え、気づけばすべてを手に入れていた物語。

悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。 それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない! しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。 ……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。 魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。 木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

【コミカライズ決定】愛されない皇妃~最強の母になります!~

椿蛍
ファンタジー
【コミカライズ決定の情報が解禁されました】 ※レーベル名、漫画家様はのちほどお知らせいたします。 ※配信後は引き下げとなりますので、ご注意くださいませ。 愛されない皇妃『ユリアナ』 やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。 夫も子どもも――そして、皇妃の地位。 最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。 けれど、そこからが問題だ。 皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。 そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど…… 皇帝一家を倒した大魔女。 大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!? ※表紙は作成者様からお借りしてます。 ※他サイト様に掲載しております。

勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~

楠ノ木雫
ファンタジー
 IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき…… ※他の投稿サイトにも掲載しています。

モブで可哀相? いえ、幸せです!

みけの
ファンタジー
私のお姉さんは“恋愛ゲームのヒロイン”で、私はゲームの中で“モブ”だそうだ。 “あんたはモブで可哀相”。 お姉さんはそう、思ってくれているけど……私、可哀相なの?

処理中です...