ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい

珂里

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おさらいをしましょう

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「じゃあユーカ、今までのことを整理してみよう。」

「はい、せんせい!」


サイラスと繋いでいない方の手を、ビシッと高く挙げて、元気良く答える。


町に行った翌日、サイラスが色々と調べ直した方がいいと言ったので、私が倒れていた場所まで2人で来ていた。

町で私が見せたジャンプ力が、5歳児では考えられないくらい凄いものだったらしくて(自分でもそう思う)、原因が何なのかしっかり探ろう、ということになったのだ。


「まず、ユーカと初めて出会った時、ユーカはここで倒れていたんだ。これは覚えてる?」

「はい、おぼえてます!」


サイラスに聞かれて、コクコクと大きく頷いた。


「どうやってここに来たのかは覚えてる?」

「はい、おぼえてます!こうえんから、ここまできました!」

「コウエン?コウエンって何?」


サイラスが首を傾げるのを見て、私も、え?と、首を傾げる。

もしや、この国には公園が無いの?


「こうえんは、こうえんだよ。ブランコがあって、すべりだいがあって、ん~と、あっ!あと、てつぼうもあるよね!」

「ブランコ??スベリダイ???」


おおっ!サイラスの頭の上に、ハテナマークがいっぱい見える!!


やっぱり、この国には公園が無いんだ。


「まじか~……。」


公園が無いなんて……。と、カルチャーショックを受けて茫然としている私の目の前で、サイラスがヒラヒラと手を振る。


「ユーカ、大丈夫?」

「う、うん……。」


私が頷くのを確認したサイラスが、仕切り直しというように、コホン、と咳払いを一つした。


「まあ、コウエン?とかいうのはよく分からないけど、とにかく、そこからここへ来たんだな?」

「はい、そうです!」


私を覗き込んで質問するサイラスに、私も気を取り直してハキハキと答える。


「そのコウエン?から、どうやって来たのかは覚えてる?」

「はいっ!こうやって、しげみのなかにはいってすすんでたら、こっちにきてました!」


私は四つん這いになって、茂みの中へ入った時の事をサイラスに再現して見せる。

サイラスは顎に手を当てて、何かを考えていたみたいだけど、四つん這いのまま待機している私を見て、フッと目を細めた。


「もう元に戻っていいよ、ありがとう。でも、ユーカは何でそんな茂みの中に入ろうと思ったの?」


私を立たせて、服についた汚れをパンパンと叩いて落としてくれながら、サイラスが不思議そうに尋ねる。


「んとねぇ、わたしのまえに、はいったこがいたの。そのこが、しげみにはいったまま、いなくなったからね、そこにはいれば、わたしもどこかにいけるとおもったのです!」

「…………ユーカの前にも、いなくなった子がいたの?」

「うん。おともだちだったの。」

「…………そう、……そうか。」


私は、ジッと考え込んで動かなくなったサイラスを見上げ、服の裾をチョンチョンと引っ張った。

それに気付いたサイラスが、我に返って私と目を合わせてくれる。


「……おともだちに……あやなちゃんに、またあえるかな?」

「そうだね……そのお友達も、ここに来ている可能性は高いから、もしかしたらいつか会えるかもしれないね。」

「うん。…………そうだといいなぁ。」



私がここにいるってことは、彩菜ちゃんも、きっと無事なはず。

また、何処かで会えるといいなぁ。

彩菜ちゃんを思い出して、ちょっとしんみりしちゃった私の頭を、サイラスが優しく撫でる。


「いつか会えたら、そのお友達にはお礼を言わないといけないね。その子のお陰で、俺はユーカに会えたんだから。」

「うん!わたしもいっしょに、ありがとうっていうねっ!」


彩菜ちゃんのお陰で、私もサイラスに会えたんだもん!

もし彩菜ちゃんに会えたなら、沢山、たーくさん、ありがとうって伝えなくちゃねっ!!


えへへって笑いながら、サイラスの手をギュッと繋いで、勢いよくブンブンと振る。
と、サイラスも楽しそうに笑って一緒に手をブンブンと振ってくれて、その勢いのまま、辺りを暫く散策した。


「やっぱり、何も手掛かりは無いか~。」

「そうだね~。あ、でも、それはそうか~。だって、しげみからでたばしょは、ここじゃなかったんだもんね。」


うんうんと、一人で納得しながら頷いていたら、サイラスの動きがピタリと止まった。


おや?と、思って見上げると、サイラスが私にジト目を向けているではありませんか。

おや!?サイラスに何やら呆れられている!?


「……茂みから抜け出た場所は、ここじゃなかったの?」

「え?うん。けっこうあるいたから、たぶん、ぜんぜんちがうところだったはずだよ。」

「…………ユーカさん。そういう情報は、もう少し早くにお願いしますよ。もうかなり、ここら辺を無駄に歩き回っちゃったじゃないか。まだまだ調べなきゃいけないことが沢山あるのに、ここで疲れちゃったら後が大変なんだよ?ユーカはまだ小さいんだから……」


と、ブツブツと愚痴っているサイラスを見て、私はピンチを悟った。

サイラスがネチネチ説教モードに入ってる!!

これは精神的にやられるヤツだ。……何とかしなければ。


私はウルウルと目を潤ませて、サイラスを見上げた。


「サイラスは、わたしとあるくの、いやだった?」

「えっ!?あ、ち、違うよっ!そういう意味じゃなくてね……」


サイラスがギョッとしてオロオロ慌てる。


「わたしは、サイラスとおててつないであるいてるの、とってもたのしかったのに……サイラスは、ちがったんだね。」

「た、楽しかった!俺も楽しかったよ!?」

「…………ほんとに?」

「ほ、本当に!!」

「よかったぁ。サイラス、だいすきー!」


オロオロと、必死なサイラスにガバッと抱きついた。

ホッとした様子のサイラスは、私の頭をよしよしと撫でながら、複雑そうな表情を浮かべている。


「……なんか、ユーカにいいようにあしらわれたような気がするんだけど……。」

「えー?」


ニコニコってしてサイラスを見上げれば、サイラスは複雑そうにしていた表情をフッと緩めて微笑み、私を抱き上げた。


「まあ、ユーカが可愛いから、いいか。」



んふふっ。サイラス、大好き~!!


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