田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一

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第八章 スローライフな学校を作る

EP 8

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建材は世界樹、ガラスはダイヤモンド
「よし、今日から校舎の建設だ! 気合い入れていこう!」
カイトの号令が、晴れ渡る青空に響いた。
農場の北側、小高い丘の上が建設予定地だ。そこに集まったのは、カイト、ドワーフ王ガンテツ、そして石垣職人のサルバロスである。
「うむ! 任せておけカイト殿! ワシの腕が鳴るわい!」
ガンテツは愛用のハンマーを担ぎ、鼻息も荒い。
そして、サルバロスもまた、静かな闘志を燃やしていた。
「カイト様、基礎の石積みは俺にお任せください。この『サルバロス・ウォール』の技術を応用し、蟻一匹通さぬ完璧な土台を……」
「あ、サルバロスさん。基礎はもう『杭』を打っちゃったから、外壁の装飾をお願いしていい?」
「え? 杭……ですか?」
サルバロスが足元を見る。
そこには、地面に深々と突き刺さった、鈍い銀色の輝きを放つ柱があった。
「これ……まさか……」
ガンテツが目を剥いて鑑定する。
「……『深緋(こきあけ)のオリハルコン』じゃな。しかも純度100%。これを地下岩盤までブチ込んだのか?」
「うん。地震で揺れたら危ないからね」
カイトは笑顔で答えた。
サルバロスは膝から崩れ落ちそうになった。オリハルコンといえば、伝説の剣一本を作るのに国家予算が吹き飛ぶ神の金属だ。それを建物の「基礎杭」として何十本も地面に埋めている。
(俺の石垣……いや、俺がかつて展開していた『絶対防御結界』すら、この杭一本の硬度に劣るぞ……!?)
だが、カイトの暴走はここからが本番だった。
「じゃあ、柱を立てていこうか。ガンテツ、この木材を使って」
カイトが「亜空間収納(ポケット)」から取り出したのは、白銀の光を放つ巨大な丸太だった。
その木肌からは、神々しいまでの魔力が立ち昇っている。
「なっ……!?」
ガンテツが丸太に抱きつき、頬ずりをした。
「こ、これは『世界樹(ユグドラシル)』の枝ではないか!! しかも樹齢数万年クラスの!」
「うん、ルナが『髪(枝)が伸びて重いから切って』って言うから、剪定したやつをとっておいたんだ。腐らないし、頑丈だし、建材にはちょうどいいでしょ?」
「バカ者ぉぉぉ!! 国宝じゃ! いや、御神体じゃ!! これ一本で城が建つわい!!」
ガンテツは歓喜のあまり泣き出した。
サルバロスは口をパクパクさせている。
世界樹。エルフの里の奥地にあり、決して人が触れてはならない聖域の象徴。それを「手頃な木材」扱い。
「さあサルバロスさん、ガンテツと一緒に組み立てて!」
「は、はいぃッ!!(こんな畏れ多い現場、心臓が持たねぇ!)」
作業が始まった。
ガンテツが狂喜乱舞しながら世界樹を加工し、サルバロスが震える手でそれを支える。
カイトは釘(ミスリル製)を打ち込みながら、鼻歌混じりに壁を作っていく。
そして、窓枠を取り付ける段階になった時だ。
「学校といえば窓ガラスだけど……子供たちがボールをぶつけたりして、割れたら危ないよね」
カイトは腕を組んで悩ましげに言う。
「普通のガラスじゃ強度が心配だなぁ。アレンくん、石投げとかしそうだし」
「そうですね。強化ガラス魔法を付与しましょうか?」
サルバロスが常識的な提案をするが、カイトは首を振った。
「ううん、素材から強くしないと。……よし、これを使おう」
カイトが取り出したのは、透明度抜群の、一畳ほどある巨大な「板」だった。
太陽光を浴びて、虹色のスペクトルを反射している。
「……カイト殿。まさかとは思いますが」
サルバロスが乾いた声で尋ねる。
「それは、何でしょうか」
「ん? ダイヤモンドだよ。裏の炭鉱で大きめのが掘れたから、板状にスライスしておいたんだ」
「ダイヤモンドォォッ!!?」
「炭素をギュッとしただけだからね。これなら硬いし、透明だし、ボールが当たっても割れないよ!」
「ボールが割れますよ!!」
サルバロスのツッコミは無視された。
カイトはダイヤモンドの板を窓枠にはめ込んでいく。
世界樹の柱、オリハルコンの基礎、そしてダイヤモンドの窓ガラス。
夕方になり、校舎の外観が完成した。
「……できた」
カイトは満足げに腰に手を当てた。
「うん! 木のぬくもりが感じられる、いい校舎だね!」
目の前にそびえ立つのは、神々しい光を放つ要塞だった。
物理防御力は魔王城の百倍。
魔法防御力は神界の神殿クラス。
もしドラゴンがブレスを吐いても、窓ガラス(ダイヤ)で反射されて自爆するだろう。
「……カイト様」
サルバロスは、自分が血と汗を流して積み上げている「石垣」の方を振り返った。
かつては「最強の防壁」だと自負していた。
だが、この校舎の前では、自分の石垣など「豆腐」に見える。
「俺の石垣……いるんでしょうか、これ」
サルバロスの悲痛な問いに、カイトは満面の笑みで答えた。
「もちろん! この校舎を守るための『最初の門』なんだから、サルバロスさんの石垣が一番重要だよ!」
「校舎を守る……? むしろ、この校舎が俺の石垣を守っているのでは……?」
サルバロスは哲学的な迷宮に迷い込みそうになった。
だが、ガンテツが肩を叩いた。
「気にするな若造。あの御方の『DIY』は、神の天地創造と同じなんじゃ。考えるな、釘を打て」
「……うす。勉強になります、親方」
サルバロスは涙を拭った。
常識など捨てよう。
ここでは、カイトが「学校」と言えば、これが学校なのだ。
こうして、世界で最も安全かつ、資産価値が測定不能(国家予算数百年分)な学び舎が完成した。
だが、この頑丈すぎる校舎ですら、後にアレンや魔族の子供たちが暴れた際には「半壊」することになるのだが……それはまだ先の話である。
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