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第九章 異議あり!学校法廷
EP 5
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【開廷】被告人・創造神。罪状『職務怠慢』および『公金横領』
食堂での騒動を終えたリベラは、その足で本丸である「校長室」へと向かった。
学校の責任者(カイト)があの様子だ。トップである校長も推して知るべしだが、まずは挨拶と現状確認が必要だ。
「失礼しますわ。ゴルド商会のリベラです」
ノックをし、重厚な世界樹の扉を開ける。
そこは神聖な学び舎の頂点。
さぞかし威厳ある空間が広がっている……はずだった。
「うぃ~……ヒック。いけるわね、この芋焼酎……」
「……は?」
リベラの思考がフリーズした。
執務机の上には書類の山……ではなく、空になった一升瓶と、大量のスナック菓子の袋。
そして、校長の椅子でだらしなく足を投げ出し、ジャージ姿でスルメを齧っている創造神ルチアナの姿があった。
「あれぇ~? 誰ぇ~? 飲みなら参加費払ってよねぇ~」
「……これは?」
リベラの後ろからついてきたカイトとルーベンスも、部屋に入ってくる。
「何よぉ、私の勝手でしょ。校長室は私の城よぉ」
ルチアナは悪びれもせず、スルメを「クチャクチャ」と噛み千切った。
その瞬間。
リベラのこめかみに、青筋が「ピキピキ」と音を立てて浮かび上がった。
「職務中に……飲酒、ですか……」
リベラの周囲の空気が凍りつく。
教育者としてあるまじき行為。いや、社会人として終わっている。
「ルチアナ! 貴様!!」
たまらず事務長ルーベンスが怒鳴り込んだ。
「その酒と大量の菓子はどこから持ってきた! 天界からの配給は先週止めたはずだぞ!」
「え、えっとぉ……これはその……私のポケットマネーで、地球から通販を……」
ルチアナの目が泳ぐ。冷や汗がダラダラと流れ始める。
「嘘ですね」
冷徹な声と共に、天使長ヴァルキュリアが部屋の隅から現れた。彼女の手には一冊の帳簿が握られている。
「監査の結果、帳簿に不審な出金記録があります。『教材費:300万ゴールド』。……すべて、地球の商社への送金記録と一致しました。つまり、学校の運営費です」
「ま、まさか!? ば、バレた!?」
ルチアナは顔面蒼白になり、焼酎の瓶を取り落とした。
ガシャン! と瓶が割れる音が、彼女の社会的地位の崩壊音のように響く。
「……ルチアナ」
カイトが悲しげに眉を下げた。
「酷いよ。子供たちのための教科書代を、お酒に変えちゃうなんて……信じていたのに」
「あ、ああっ! 違うのカイト! これは、その、私の脳細胞を活性化させるためのガソリンで……!」
「言い訳無用ですわ!!」
リベラが叫んだ。
その瞳には、かつてないほどの正義の炎が燃え盛っている。
「カイト様の……そしてこの学校の未来のために! 貴女の罪、法の下に裁かせていただきます!」
リベラは右手を高く掲げた。
女神ルチアナから(面白半分で)与えられた、最強にして最悪のユニークスキル。
まさか、その最初の犠牲者が授与者本人になろうとは。
「スキル発動――【天上天下唯我独尊(ザ・コート)】ッ!!」
キィィィィィィンッ!!
世界が反転する。
校長室の壁が消え、空間が歪み、そこは無機質で神聖な「法廷」へと作り変えられた。
「な、何これ!? 魔力が……使えない!?」
ルチアナが慌てて魔法を使おうとするが、指先から火花一つ出ない。
物理法則も、神の権能も、カイトの概念干渉すらも無効化される、絶対公平なる法の結界。
ダンッ!!
高い壇上で、巨大な木槌(の代わりに聖槍グラニ)が叩きつけられた。
「これより、被告人ルチアナの『業務上横領』および『職務怠慢』に関する裁判を開廷します」
裁判官席に座っているのは、黒い法服をまとったヴァルキュリア。
検察席には、鋭い眼光のルーベンス。
弁護人席には、リベラ。
そして被告人席には、檻に閉じ込められたジャージ姿のルチアナ。
陪審員席には、ポカンとしているカイト、ポチ、そしてアレン(5歳)がランダム選出されて座らされていた。
「さて、被告人」
検察官ルーベンスが眼鏡を光らせ、領収書の束を突きつけた。
「この大量の『お菓子代』および『酒代』。これらは全て学校運営費から流用されたものですね? 証拠は全て揃っています。……さあ、罪を認めなさい!」
「ひぃぃッ! だ、だってぇ! ストレスが溜まってたんだもん!」
ルチアナが檻の格子を掴んで泣き叫ぶ。
圧倒的に不利な状況。
だが、リベラは静かに立ち上がった。
「異議あり(オブジェクション)。検察官、被告人を追い詰めすぎですわ」
「なっ……リベラ殿!? 貴女がスキルを発動したのでしょう!?」
「ええ。ですが、私は弁護士。どんな罪人にも弁護を受ける権利(ライツ)はあります」
リベラはニッコリと笑い、被告人席のルチアナに向き直った。
その目は「罪を憎んで人を憎まず」の慈愛に満ちている。
「安心なさい、ルチアナさん。貴女が『ダメな神様』であることは事実ですが、法は貴女を見捨てません。……さあ、戦いましょう。私たちの正義のために!」
「リ、リベラちゃぁぁん!!」
ルチアナが縋るように叫ぶ。
こうして、カイト農場史上初となる、神をも裁く「法廷バトル」の幕が切って落とされた。
食堂での騒動を終えたリベラは、その足で本丸である「校長室」へと向かった。
学校の責任者(カイト)があの様子だ。トップである校長も推して知るべしだが、まずは挨拶と現状確認が必要だ。
「失礼しますわ。ゴルド商会のリベラです」
ノックをし、重厚な世界樹の扉を開ける。
そこは神聖な学び舎の頂点。
さぞかし威厳ある空間が広がっている……はずだった。
「うぃ~……ヒック。いけるわね、この芋焼酎……」
「……は?」
リベラの思考がフリーズした。
執務机の上には書類の山……ではなく、空になった一升瓶と、大量のスナック菓子の袋。
そして、校長の椅子でだらしなく足を投げ出し、ジャージ姿でスルメを齧っている創造神ルチアナの姿があった。
「あれぇ~? 誰ぇ~? 飲みなら参加費払ってよねぇ~」
「……これは?」
リベラの後ろからついてきたカイトとルーベンスも、部屋に入ってくる。
「何よぉ、私の勝手でしょ。校長室は私の城よぉ」
ルチアナは悪びれもせず、スルメを「クチャクチャ」と噛み千切った。
その瞬間。
リベラのこめかみに、青筋が「ピキピキ」と音を立てて浮かび上がった。
「職務中に……飲酒、ですか……」
リベラの周囲の空気が凍りつく。
教育者としてあるまじき行為。いや、社会人として終わっている。
「ルチアナ! 貴様!!」
たまらず事務長ルーベンスが怒鳴り込んだ。
「その酒と大量の菓子はどこから持ってきた! 天界からの配給は先週止めたはずだぞ!」
「え、えっとぉ……これはその……私のポケットマネーで、地球から通販を……」
ルチアナの目が泳ぐ。冷や汗がダラダラと流れ始める。
「嘘ですね」
冷徹な声と共に、天使長ヴァルキュリアが部屋の隅から現れた。彼女の手には一冊の帳簿が握られている。
「監査の結果、帳簿に不審な出金記録があります。『教材費:300万ゴールド』。……すべて、地球の商社への送金記録と一致しました。つまり、学校の運営費です」
「ま、まさか!? ば、バレた!?」
ルチアナは顔面蒼白になり、焼酎の瓶を取り落とした。
ガシャン! と瓶が割れる音が、彼女の社会的地位の崩壊音のように響く。
「……ルチアナ」
カイトが悲しげに眉を下げた。
「酷いよ。子供たちのための教科書代を、お酒に変えちゃうなんて……信じていたのに」
「あ、ああっ! 違うのカイト! これは、その、私の脳細胞を活性化させるためのガソリンで……!」
「言い訳無用ですわ!!」
リベラが叫んだ。
その瞳には、かつてないほどの正義の炎が燃え盛っている。
「カイト様の……そしてこの学校の未来のために! 貴女の罪、法の下に裁かせていただきます!」
リベラは右手を高く掲げた。
女神ルチアナから(面白半分で)与えられた、最強にして最悪のユニークスキル。
まさか、その最初の犠牲者が授与者本人になろうとは。
「スキル発動――【天上天下唯我独尊(ザ・コート)】ッ!!」
キィィィィィィンッ!!
世界が反転する。
校長室の壁が消え、空間が歪み、そこは無機質で神聖な「法廷」へと作り変えられた。
「な、何これ!? 魔力が……使えない!?」
ルチアナが慌てて魔法を使おうとするが、指先から火花一つ出ない。
物理法則も、神の権能も、カイトの概念干渉すらも無効化される、絶対公平なる法の結界。
ダンッ!!
高い壇上で、巨大な木槌(の代わりに聖槍グラニ)が叩きつけられた。
「これより、被告人ルチアナの『業務上横領』および『職務怠慢』に関する裁判を開廷します」
裁判官席に座っているのは、黒い法服をまとったヴァルキュリア。
検察席には、鋭い眼光のルーベンス。
弁護人席には、リベラ。
そして被告人席には、檻に閉じ込められたジャージ姿のルチアナ。
陪審員席には、ポカンとしているカイト、ポチ、そしてアレン(5歳)がランダム選出されて座らされていた。
「さて、被告人」
検察官ルーベンスが眼鏡を光らせ、領収書の束を突きつけた。
「この大量の『お菓子代』および『酒代』。これらは全て学校運営費から流用されたものですね? 証拠は全て揃っています。……さあ、罪を認めなさい!」
「ひぃぃッ! だ、だってぇ! ストレスが溜まってたんだもん!」
ルチアナが檻の格子を掴んで泣き叫ぶ。
圧倒的に不利な状況。
だが、リベラは静かに立ち上がった。
「異議あり(オブジェクション)。検察官、被告人を追い詰めすぎですわ」
「なっ……リベラ殿!? 貴女がスキルを発動したのでしょう!?」
「ええ。ですが、私は弁護士。どんな罪人にも弁護を受ける権利(ライツ)はあります」
リベラはニッコリと笑い、被告人席のルチアナに向き直った。
その目は「罪を憎んで人を憎まず」の慈愛に満ちている。
「安心なさい、ルチアナさん。貴女が『ダメな神様』であることは事実ですが、法は貴女を見捨てません。……さあ、戦いましょう。私たちの正義のために!」
「リ、リベラちゃぁぁん!!」
ルチアナが縋るように叫ぶ。
こうして、カイト農場史上初となる、神をも裁く「法廷バトル」の幕が切って落とされた。
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