田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一

文字の大きさ
133 / 180
第十三章 絶対無敵の銀河アイドル

EP 3

しおりを挟む
【作詞】「愛も金も欲しい!」 本音全開の新曲作り
​「……書けない」
​カイト農場の女子寮、リーザの部屋。
机の上には、クシャクシャに丸められた失敗作の歌詞ノートが山積みになっていた。
​「う~ん……『夢見る乙女の虹色ハート』……『魔法のステッキで世界を平和に』……」
​リーザがペンを走らせるが、すぐに手を止める。
​「……違う。何かが違う」
​部屋の隅では、プロデューサー陣(ルチアナ、ラスティア、リベラ、カイト)が腕組みをして見守っていた。
​「つまらないわね」
創造神ルチアナがバッサリ切り捨てた。
​「ありきたりな言葉ばかり。そこに『魂(ソウル)』がないわ。……そんな歌で、全銀河の視聴者から100億を巻き上げられると思って?」
​「うぐっ……!」
​「そうですわ」
風紀委員長兼マネージャーのリベラが、眼鏡をくいっと上げた。
​「今のリーザさんの歌詞は、どこかで聞いたような綺麗事ばかり。……それでは、AIアイドルや天使には勝てません」
​「じゃ、じゃあどうすればいいのよぉ!」
​リーザが頭を抱えて叫ぶ。
​「私だって書きたいわよ! でも、アイドルっぽい歌詞って言ったら、夢とか希望とか愛とか……そういうフワッとしたものじゃないの!?」
​「フワッとしているから響かないのです」
​リベラが冷徹に告げた。彼女は電卓を叩きながら、リーザに問いかけた。
​「リーザさん。……貴女が、今、心の底から欲しいものは何ですの?」
​「え?」
​「飾らない言葉で、本音を吐き出してください。……さあ、何が欲しいのです?」
​「欲しいもの……」
​リーザはペンを置いた。
脳裏に浮かぶのは、キラキラした夢……ではない。もっと切実で、生々しくて、ギラギラしたものだ。
​「……ダイヤ」
​「はい?」
​「ダイヤが欲しい。あと、土地も欲しい。値上がり確実な株券も欲しい」
​リーザの口から、アイドルの口から出てはいけない単語が次々と溢れ出した。
​「お城みたいな家に住みたい! 働かずに暮らしたい! スーパーで値段を見ずに買い物したい! ……あと、みんなからの『愛』も欲しい!」
​「……強欲ですわね」
​リベラがニヤリと笑った。
​「ですが……それこそが『真実』です」
​「えっ?」
​「その『愛』も『金』も、両方欲しいという浅ましいまでの強欲さ……それこそが貴女の魅力(武器)ですわ! そのまま歌詞にしなさい!」
​「そ、そのまま!?」
​「ええ! 『愛か金か』ではありません。『愛も金も』です! どっちも手に入れる、それが新時代のアイドルですわ!」
​リベラのアドバイス(煽り)に、リーザの脳内で何かが弾けた。
そうだ。なんで遠慮していたんだろう。
私は強欲アイドル。清純派なんてガラじゃない。
​「……書いてやるわよ!」
​リーザが新しいノートを広げた。
ペンが走る。迷いはない。魂の叫びをそのまま文字にする。
​『朝に目覚ましがなったわ(ジリリリ!)』
『私はまだ眠いわ(おはよー!)』
​「いい滑り出しだね!」
カイトが覗き込んで拍手する。
​「そして……ここよ!」
​リーザが震える手で、自身の最も辛い現実を歌詞にした。
​『夕方の鐘が鳴ったわ(キンコンカン!)』
『スーパーのシール見なきゃ(半額!)』
『家賃のために 節約しなきゃ(ガマン!)』
​「うっ……!」
​その歌詞を見た瞬間、後ろで見ていた魔王ラスティアが口元を押さえた。
​「なんて……なんて悲痛な叫びなの……」
​「『スーパーのシール』……この一行に込められた哀愁とリアリティ……。全米が泣くわ」
​ルチアナも目頭を拭っている。
神や魔王ですら心を揺さぶられる、圧倒的な生活感。
​「そしてサビは……こうよ!」
​リーザが立ち上がり、書き殴った歌詞を叫んだ。
​『愛も富も一つの物(どっちもちょーだい!)』
『ダイヤが欲しい♪ 土地も欲しい♪ (Want You! Want You!)』
『貴方の愛(とキャッシュ)で生きていける(Fuuu~!)』
​「素晴らしい……!!」
​リベラがスタンディングオベーションをした。
​「それですわ! その清々しいまでのクズっぷり! それこそが視聴者が求めている『人間味』です!」
​「タイトルは……『Love & Money』」
​リーザが書き終え、ペンを置いた。
ノートには、彼女の欲望と苦悩、そして覚悟が刻まれていた。
​「……できた。これが、私の本音(すべて)よ」
​「最高だよリーザちゃん!」
​カイトが目を輝かせた。
​「この曲なら、きっとみんな応援してくれるよ! だって、みんなお金も愛も大好きだもん!」
​「ふふ……そうね」
​リーザは吹っ切れた顔で笑った。
もう迷いはない。
私は歌う。欲望のままに。
そして、その歌声で銀河のすべて(特に金)を手に入れてみせる。
​「さあ、曲はできたわ! ……次はステージよ!」
​リーザがカイトを指差した。
​「カイト! あんたのSランク農業スキルで、私の欲望を受け止める最高のステージを作りなさい!」
​「任せてよ! 農場の野菜を総動員して、伝説のステージを作るから!」
​楽曲は完成した。
次は、その歌を響かせるための「器」を作る番だ。
カイト農場が誇る、非常識な農業技術が火を吹く時が来た。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍
ファンタジー
 "私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。  動けない、何もできない、そもそも身体がない。  自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。 ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。  それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!

追放されたけど気づいたら最強になってました~無自覚チートで成り上がる異世界自由旅~

eringi
ファンタジー
勇者パーティーから「役立たず」と追放された青年アルト。 行くあてもなく森で倒れていた彼は、実は“失われし最古の加護”を持つ唯一の存在だった。 無自覚のまま魔王を倒し、国を救い、人々を惹きつけていくアルト。 彼が気づかないうちに、世界は彼中心に回り始める——。 ざまぁ、勘違い、最強無自覚、チート成り上がり要素満載の異世界ファンタジー!

異世界スローライフ希望なのに、女神の過保護が止まらない

葉泪秋
ファンタジー
HOTランキング1位感謝です!(2/3) 「小説家になろう」日間ランキング最高11位!(ハイファンタジー) ブラック企業で過労死した俺、佐久間遼。 神様に願ったのは、ただ「異世界で、畑でも耕しながらのんびり暮らしたい」ということだけ。 そうして手に入れた、辺境の村での穏やかな日々。現状に満足し、今度こそは平穏なスローライフを……と思っていたのだが、俺の妙なスキルと前世の社畜根性が、そうはさせない。 ふとした善意で枯れた井戸を直したことから、堅物の騎士団長やら、過保護な女神やらに目をつけられることになる。 早く穏やかに暮らしたい。 俺は今日も、規格外に育った野菜を手に、皆の姿を眺めている。 【毎日18:00更新】 ※表紙画像はAIを使用しています

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

最弱職〈祈祷士〉だった俺、実は神々の加護持ちでした~追放されたけど無自覚チートで世界最強~

eringi
ファンタジー
パーティから「役立たず」と言われ追放された祈祷士ルーク。だが彼の祈りは神々に届いており、あらゆる奇跡を現実にする「神の権能」だった。本人は気づかぬまま無双し、救った相手や元パーティの女性たちから次々想いを寄せられる。裏切った者たちへの“ざまぁ”も、神の御業のうちに。無自覚チート祈祷士が、神々さえも動かす伝説を紡ぐ──!

転生辺境の雑用兵、知らぬ間に世界最強になっていた件 〜追放されたけど美女たちに囲まれて安寧生活〜

eringi
ファンタジー
辺境軍の雑用兵として転生した青年・レオン。異世界に転生したのに、剣も魔法も地味でパッとしない日々。ところが彼の“地味な努力”が、実は世界の理をゆるがすほどの能力だと気づく者が次々と現れる。貴族令嬢、魔族の姫、神官少女──気づけばハーレム状態に。追放された元仲間が破滅していく流れの中、本人だけは「俺、そんな強いかな?」と首をかしげる。無自覚最強×ざまぁ×追放後スローライフ×英雄伝説が交錯する、異世界逆転ストーリー。

処理中です...