無能と蔑まれ婚約破棄された私の数学は、最強の剣術でした~元婚約者が後悔した頃には、寡黙な辺境伯に世界一溺愛されています~

aozora

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 それは、驚きや恐怖を遥かに超えた、純粋な畏敬の念だった。

 彼らが「無能」と蔑み、王都から追放した華奢な令嬢。その小さな身体の奥底に、王国最強の騎士団ですら歯が立たないであろう、絶対的な理(ことわり)が宿っている。

 アラリック王子が頑なに信奉する「力」など、この静かで揺るぎない真理の前では、まるで子供の癇癪のように無力で、滑稽にさえ思えた。

「見事!」

 隣で、ギデオンが低く、しかし喜びを隠しきれない声で呟いた。

 その灰色の瞳は、科学的探求の歓喜に輝いている。宇宙の奥底に潜む法則を解き明かす、まさにその瞬間に立ち会えたというような、純粋な熱狂が宿っていた。

「最小作用の原理。宇宙で最も美しい法則が、今、あの剣の切っ先で証明されたわい!」

 カシアンは、ただ黙ってエララを見つめていた。

 彼女の知性の美しさ、その存在の尊さに、魂が震えるような感動を覚えていた。王都は、とんでもない宝を自ら捨て去ったのだ。

 いや、違う。

 彼らには、この宝の途方もない価値を測る物差しさえ、持ち合わせていなかったのだ。

 カシアンは、この静かなる輝きを、何があっても守り抜こうと、心に固く誓った。

 それは、辺境伯としての義務感ではなかった。

 ただ一人の男として、愛する女性に捧げる、静かで、しかし絶対的な決意だった。

 * * *

 森を抜け、館へと戻る道すがら、三人の間には心地よい沈黙が流れていた。

 夕暮れの淡い光が木々の間から差し込み、エララの銀色がかった金髪を柔く照らし出す。彼女は鞘に収めた新しい剣を、まるで大切な宝物のように、確かめるようにそっと抱えていた。

 ずしりとした重み。それは決して不快なものではなく、むしろ自分の思考の一部が形を得て、腕の中に収まっているかのような、不思議な充足感があった。

 カシアンはエララの半歩後ろを歩きながら、その横顔を静かに見守っていた。以前の彼女がまとっていた、世界から拒絶された者の儚げな翳りは、今はもうない。

 そこにあるのは、自らの内なる宇宙の法則を発見した者の、凛とした静謐さだった。

 その知的な横顔。真理を探求する灰色の瞳。そして、最小の動きで最大の結果を導き出す、あの息を呑むほど美しい剣の舞。

 そのすべてが、カシアンの心を強く惹きつけてやまなかった。

 館の玄関ホールに着くと、温かい空気が三人を包んだ。

「お二人とも、お疲れでしょう。温かい飲み物を用意させます」

 カシアンがそう言うと、エララは小さく頷いた。

「ありがとうございます、カシアン様」

 その声は以前よりも少しだけ、芯の通った響きを持っていた。

 カシアンの書斎で、三人は暖炉の前に置かれたソファに腰を下ろした。パチパチと薪のはぜる音だけが、部屋の静寂を優しく満たしている。

 ギデオンは侍女が運んできた薬草茶を満足げにすすり、エララは手にした剣の柄を指でそっとなぞっていた。

 それは、自分の思考の延長。自分の身体の一部。フェイランの職人たちの温かい心が宿った、新しい自分自身の証明。

 穏やかな時間が流れる。このまま、こんな日々が続けばいい。エララの心に、そんな淡い願いが浮かんだ、その時だった。

「失礼いたします、カシアン様」

 控えめなノックと共に、カシアンの側近である壮年の執事が部屋に入ってきた。その手には、一通の封蝋された手紙が握られていた。

「王都より、急信でございます」

 その言葉に、部屋の空気が微かに張り詰める。エララの指が、ぴくりと震えた。

 カシアンは表情を変えずにそれを受け取ると、執事に目配せで下がらせた。

 手紙に押された紋章は、紛れもなくエーテルガルド王家のものであった。エララが捨てられた場所からの、過去からの報せ。

 カシアンはペーパーナイフで慎重に封蝋を切り、折り畳まれた羊皮紙を広げた。

 さらさらと紙の上を走る視線。最初は穏やかだった彼の表情が、読み進めるにつれて険しくなっていく。眉間に深い皺が刻まれ、その黒い瞳に冷たい光が宿った。

 エララは息を詰めて、その様子を見つめていた。自分の存在が、この地に、そして自分を温かく受け入れてくれたカシアンに、何か厄介事を持ち込んでしまったのではないか。

 そんな不安が、胸をよぎる。

 やがて、カシアンは手紙から顔を上げ、静かに息を吐いた。

「……王都の友人からの、私的な手紙だ」

 彼はそう前置きし、エララとギデオンに向き直った。

「アラリック殿下のことについて、いくつか書かれている」

 その名が出た瞬間、エララの背筋が凍るように強張った。舞踏会の夜の、あの嘲りと侮蔑に満ちた声が、耳の奥で蘇る。

 だが、彼女はもう、ただ怯えるだけの少女ではなかった。静かにカシアンの次の言葉を待つ。

「どうやら殿下は、かなり性急な政策を進めているらしい。貴族たちへの増税、伝統ある諸侯の領地への介入……。多くの者たちの反感を買っているようだ」

「ふむ。若さゆえの焦りか、あるいはただの傲慢か、ですな」

 ギデオンが腕を組んで呟いた。

「どちらもだろうな」

 カシアンは苦々しく応じると、再びエララに視線を向けた。

「そして……その高まる不満を力で抑えつけ、自らの権威を誇示するために、殿下は一つの布告を出された」

「布告、ですか?」

 エララの声には、わずかな緊張が混じる。

「ああ。来る王政記念祭にて、例年以上に大規模な剣術大会……『証明の場(プルーヴィング・グラウンド)』を開催する、と」

 証明の場。

 王国中の腕利きの騎士や剣士が集い、その頂点を決める闘技場。そこで勝利することは、何よりの名誉とされていた。

 アラリックは、そこで圧倒的な勝利を収めることで、己の正当性を内外に示そうというのだろう。

 エララの脳裏に、力だけを信奉し、それ以外の全てを軽蔑していた元婚約者の姿が浮かんだ。

「……その大会で、殿下はご自身の『力』を、証明なさるおつもりなのですね」

 エララの口から漏れた言葉には、もはや悲しみも怒りもなかった。それはただ、冷徹な分析者の、事実を確認するかのような響きを持っていた。

 その変化に、カシアンは確信を深める。

 彼は身を乗り出し、真っ直ぐにエララの瞳を見つめた。その眼差しは真剣で、しかしどこまでも優しい。

「殿下は信じている。絶対的な武力こそが、王の正しさの根源だと。異を唱える者は、全て剣でねじ伏せられると。……それが、彼の信じる世界の『公理』なのだ」

 カシアンはそこで一度、言葉を切った。暖炉の火が、彼の知的な横顔に影を落とす。

「だが、世界には別の理(ことわり)もある。君が今日、その手で見せてくれたような、静かで、揺るぎなく、そして何よりも美しい真理が」

 彼の声は、まるで祈りのように響いた。

「エララ嬢。これは決して強制ではない。君が望むなら、という話だ」

 カシアンは、彼女に選択を委ねるように、慎重に言葉を選んだ。

「彼が信じる、その傲慢で単純な証明を……君自身の、より高次で完璧な証明によって、覆してみる気はないだろうか」

 それは、復讐の勧めではなかった。

「これは、君を侮辱した者たちを見返せ、と言っているのではない。ただ……君が君のままでいることに、どれほどの価値があるのか。君の見る世界が、どれほど深く美しいのか。それを、君の価値を測ることさえできなかった、愚かな世界全体に知らしめる時が……来たのかもしれない、と私は思う」

 エララは、カシアンの言葉を静かに聞いていた。

 追放された日の絶望。家族にさえ見捨てられた孤独。己の全てを否定された無力感。それらが、走馬灯のように心をよぎる。

 だが、今は違う。

 自分の知性を美しいと言ってくれる人がいる。自分の理論に、最高の技術で応えてくれる仲間がいる。そして手の中には、自分の思考そのものである、この剣がある。

 彼女はゆっくりと立ち上がると、窓辺へと歩み寄った。

 窓の外には、夕闇に染まるフェイランの雄大な山々が広がっていた。厳しくも、ありのままの自分を受け入れてくれた、新しい故郷の景色。

 やがてエララは振り返り、カシアンとギデオンに向き直った。

 その灰色の瞳には、もう迷いの色はなかった。一点の曇りもない、静かな決意の炎が、理性の光となって燃えていた。

「カシアン様」

 凛、と響く声。

「わたくしは、証明したいのです」

「……何をかな?」

 カシアンが、促すように問いかける。

「わたくしの見ていた世界が、決して机上の空論などではなかった、ということを」

 エララは、自分の胸に手を当てた。

「そして……力任せの直線が、いかに非効率で、美しくない『解』であるかということを。最小の力で最大の効果を生む、もっとも美しい『証明』が、この世界には確かに存在するのだと」

 それは、過去の自分との完全なる決別だった。

 そして、己の真理を疑った世界への、静かなる宣戦布告だった。

 傍らで聞いていたギデオンが、満足げに深く頷く。

 カシアンの口元には、愛しい者の成長を目の当たりにした、誇らしげな笑みが浮かんでいた。

 王都へと続く道が、今、再び開かれようとしていた。

 かつてのそれは、全てを奪われた絶望の旅路だった。

 だが、これから始まる旅は違う。自らの尊厳と、信じる真理を証明するための、誇り高き行軍となるだろう。

 『証明の場』まで、あとひと月。

 世界の公理が、覆される時が近づいていた。
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