29 / 130
ステラ分解す(ステラ視点)
しおりを挟む
ふぅ、ビックリした。ノート見られてないよね? 早くご主人様……いえ、ライオネット先生のところに向かわなきゃ。
「ライオネット先生、持ってきました」
「上出来だステラ、あとで褒美をやろう」
「ありがとうございます先生」
やった。ご褒美がもらえる。
わたしは電次郎から借りてきたスムージーミキサーと美顔スチーマーを先生の机の上に置いた。
すると先生はわたしに分解するよう言った。
電次郎によると、外装はプラスチックという物質らしい。薄くて軽いのになかなか割れない頑丈で不思議な素材だ。金属のネジを外すと、中には見たことのない小さな板と細かい部品、そして細い糸のような紐が何本も張り巡らされている。これに電次郎が放つ“電力”というものを流すと、強力な音と滑らかな軌道を描き先端が勢いよく回転する。こんな構造、見たことも聞いたこともない。
「……この素材、魔鉱でもないし、魔力の流路もないな。これが何故動くんだ……」
先生の声は、いつもより少しだけ弾んで聞こえた。 その横顔を見るだけで、わたしの胸が少し熱くなる。
──ライオネット先生。
学園でもっとも美しく、もっとも知的で、そしてもっとも恐れられている存在。 けれど、今目の前にいる彼女は……まるで少女のように楽しそうだった。
「電流と呼ばれるエネルギーが、導線という細い管を通って動くそうです」
私は嬉しくなって、電次郎から集めた情報を提供した。
「……導線? 魔力媒介でもないのに、力が流れるのか」
「そうです。しかも一度流れ始めたら、魔力みたいに“集中”や“感情”に影響されないようです」
私の説明に、先生は目を輝かせる。
「そう……安定させて誰にでも使えるようにすれば、戦争にも使えそうね」
その案に、私は一瞬だけ手を止めた。
でも先生が望むなら、戦争孤児だった私だけど、全力で協力する。
「いいわよステラ、次を見せて」
「次は美顔スチーマーです」
「顔を美しくする魔道具ね……」
先生の目がより一層輝いて見えた。これ以上綺麗になってどうしようというのだろう。
「分解しますか?」
「ちょっと待って、まずは電力と雷系統の魔法の違いについて確認しましょう。ステラは雷系得意よね?」
「はい」と、自信をもって言えるほどの魔力じゃない、初歩の魔法なら使えるくらいだ。
「雷属性の魔法を当ててみましょう。動くかもしれない」
「わかりました」
私は指先に魔力を集中させ、一番弱い出力で魔法を放った。
──パチンッ。
美顔スチーマーが一瞬光ったかと思うと、焦げ臭い匂いとともに白い煙が立ち上った。
「……あっ」
「…………やっちゃったわね」
分解し、中を確認すると内部の小さな板が焦げていた。
「ど、どうしましょう、先生!? 電次郎さんに返さなきゃいけないのに……!」
「うーん……」
先生は煙を仰ぎながら、さほど気にしていない様子で首を傾げた。
「……あとは任せたわ、ステラ」
「えっ!? 先生!?」
「あの人、きっと許してくれるわよ? あなたが泣けば」
「そんな……!」
──でも、そんな強引なところも。
私は、嫌いじゃない。
「やっぱりあの男じゃないと動かせないようね……」
先生が電次郎のことを考えていると思うと、なんだか悔しくなった。
「次は、ここにあの男を連れてきてくれる?」
「……ここに、ですか?」
私と先生だけの秘密の部屋なのに。
「でも、ここが露見したら、色々とマズいのでは?」
ここには、他の先生方に言えないような実験道具が沢山ある。
いくら解明のためとはいえ、リスクが高すぎる気もするけど──。
「いざとなったら、どうとでもなるわよ。今までだってそうでしょ?」
「はい……そうですね」
ああ、悪いご主人様……。
「ライオネット先生、持ってきました」
「上出来だステラ、あとで褒美をやろう」
「ありがとうございます先生」
やった。ご褒美がもらえる。
わたしは電次郎から借りてきたスムージーミキサーと美顔スチーマーを先生の机の上に置いた。
すると先生はわたしに分解するよう言った。
電次郎によると、外装はプラスチックという物質らしい。薄くて軽いのになかなか割れない頑丈で不思議な素材だ。金属のネジを外すと、中には見たことのない小さな板と細かい部品、そして細い糸のような紐が何本も張り巡らされている。これに電次郎が放つ“電力”というものを流すと、強力な音と滑らかな軌道を描き先端が勢いよく回転する。こんな構造、見たことも聞いたこともない。
「……この素材、魔鉱でもないし、魔力の流路もないな。これが何故動くんだ……」
先生の声は、いつもより少しだけ弾んで聞こえた。 その横顔を見るだけで、わたしの胸が少し熱くなる。
──ライオネット先生。
学園でもっとも美しく、もっとも知的で、そしてもっとも恐れられている存在。 けれど、今目の前にいる彼女は……まるで少女のように楽しそうだった。
「電流と呼ばれるエネルギーが、導線という細い管を通って動くそうです」
私は嬉しくなって、電次郎から集めた情報を提供した。
「……導線? 魔力媒介でもないのに、力が流れるのか」
「そうです。しかも一度流れ始めたら、魔力みたいに“集中”や“感情”に影響されないようです」
私の説明に、先生は目を輝かせる。
「そう……安定させて誰にでも使えるようにすれば、戦争にも使えそうね」
その案に、私は一瞬だけ手を止めた。
でも先生が望むなら、戦争孤児だった私だけど、全力で協力する。
「いいわよステラ、次を見せて」
「次は美顔スチーマーです」
「顔を美しくする魔道具ね……」
先生の目がより一層輝いて見えた。これ以上綺麗になってどうしようというのだろう。
「分解しますか?」
「ちょっと待って、まずは電力と雷系統の魔法の違いについて確認しましょう。ステラは雷系得意よね?」
「はい」と、自信をもって言えるほどの魔力じゃない、初歩の魔法なら使えるくらいだ。
「雷属性の魔法を当ててみましょう。動くかもしれない」
「わかりました」
私は指先に魔力を集中させ、一番弱い出力で魔法を放った。
──パチンッ。
美顔スチーマーが一瞬光ったかと思うと、焦げ臭い匂いとともに白い煙が立ち上った。
「……あっ」
「…………やっちゃったわね」
分解し、中を確認すると内部の小さな板が焦げていた。
「ど、どうしましょう、先生!? 電次郎さんに返さなきゃいけないのに……!」
「うーん……」
先生は煙を仰ぎながら、さほど気にしていない様子で首を傾げた。
「……あとは任せたわ、ステラ」
「えっ!? 先生!?」
「あの人、きっと許してくれるわよ? あなたが泣けば」
「そんな……!」
──でも、そんな強引なところも。
私は、嫌いじゃない。
「やっぱりあの男じゃないと動かせないようね……」
先生が電次郎のことを考えていると思うと、なんだか悔しくなった。
「次は、ここにあの男を連れてきてくれる?」
「……ここに、ですか?」
私と先生だけの秘密の部屋なのに。
「でも、ここが露見したら、色々とマズいのでは?」
ここには、他の先生方に言えないような実験道具が沢山ある。
いくら解明のためとはいえ、リスクが高すぎる気もするけど──。
「いざとなったら、どうとでもなるわよ。今までだってそうでしょ?」
「はい……そうですね」
ああ、悪いご主人様……。
16
あなたにおすすめの小説
神様転生~うどんを食べてスローライフをしつつ、領地を豊かにしようとする話、の筈だったのですけれど~
於田縫紀
ファンタジー
大西彩花(香川県出身、享年29歳、独身)は転生直後、維持神を名乗る存在から、いきなり土地神を命じられた。目の前は砂浜と海。反対側は枯れたような色の草原と、所々にぽつんと高い山、そしてずっと向こうにも山。神の権能『全知』によると、この地を豊かにして人や動物を呼び込まなければ、私という土地神は消えてしまうらしい。
現状は乾燥の為、樹木も生えない状態で、あるのは草原と小動物位。私の土地神としての挑戦が、今始まる!
の前に、まずは衣食住を何とかしないと。衣はどうにでもなるらしいから、まずは食、次に住を。食べ物と言うと、やっぱり元うどん県人としては……
(カクヨムと小説家になろうにも、投稿しています)
(イラストにあるピンクの化物? が何かは、お話が進めば、そのうち……)
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
知識スキルで異世界らいふ
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる