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「アレン様……朝ですよ。起きられますか?」
聞きなれない声が耳に入ってきた。
…温かい。肌障りのいい布団が気持ちいい。
「アレン様。御父上と皆さまをお待たせするわけには参りません。さあ、早く支度をいたしましょう。」
朝の惰眠を貪っていたが、いつもと様子が違う事に気が付きハッと目を覚まし勢いよく起き上がった。
周囲を見渡してみると、従事服姿の若い女、20歳程度か?
手には子供が来そうな服…部屋はさっきの廃屋とは違い綺麗に整頓された机、本棚、テーブルに小さめのソファーがあり、割れたはずの窓は透き通るほど綺麗に掃除が行き届いていて、窓の向こうからは暖かな陽光が差し込んでくる。
「だ、だれだ!」
聞きなれない声が耳の中に木霊する。声変わり前の子供のような、高い声。
それに慌てて再び周囲へキョロキョロと視線を送るも、ここには俺と目の前の若い女しかいないようだ。
「えっ……?だ、だれだと……申されましても……。ミアです、アレン様の専属の従者……ミア・ルーリエです。
毎日ご一緒しているのに……本当に、覚えておられないのですか……?」
陽光に照らされ、明るい栗色の髪を指先でいじりながら困ったような、少し呆れたような笑みを浮かべている。
ミア…。ミア・ルーリエ。
思い出した。子供のころに俺の世話役をしてくれた従者だ。従者のクセにやたら気が強くて、なんか妙に生意気で、俺を舐めてるみたいで嫌いだった。しかもどこにいてもすぐに俺を見つけて追いかけてくるから嫌気がさして、担当を変えてもらったんだ。
「み…ミア・ルーリエ。ほ、ほんものか?なぜこんなところに…ここはどこだ!?」
ベッドから立ち上がろうとした俺の両肩をつかむと、そのまままたベッドへ無理やり座らせられた。驚いた俺の顔を見ると、間髪容れずミアは俺の頭を軽くポカン、とゲンコツで叩いた。
「こらっ!アレン様っ!年上の方に向かって呼び捨ては許されません!主従の関係があっても、敬意を持つべきです。……アレン様は、そういうお優しい方ですから、きっとわかってくださいますよね?」
叩かれた頭を押さえながら、ミアが言っている意味が理解できなかった。俺が主。ミアは従者。なぜそこに敬意を払う必要がある?従者なのだから黙って従っていればいいのではないか?
戸惑う俺の脳内に、靄に包まれたような記憶が浮かび上がってきた。
「ミア…お姉ちゃん」
脳内に浮かんだ映像の中で、俺はなぜか楽しそうにミアをそう呼んでいた。
「はいっ!よくできました、アレン様!あれあれ、寝ぼけてますか?ここはロザーク家のお屋敷で、アレン様のお部屋です。今日は学校に行く日ですし、昨日も寝る前に『テスト勉強しよう』って私と一緒に頑張ったじゃないですか。それに、アレン様の従者はこの屋敷で私だけです。……本物も何も、アレン様の従者は私一人ですよ!」
ミアは喋りながら俺の隣に座ると、叩いた頭を優しくなでてくれた後、ぎゅう、っと抱きしめてくれた。
女のいい匂いがする…。やわらかい肌。いい匂いがする髪。耳元で聞こえる息遣い…。すべてが心地よくて安心する。こんな感覚、ずっと忘れていた。次の瞬間だったー。
「う”ぅ…」
頭に激痛が走り、うめき声が漏れてしまった。昨日の夜、確かに勉強した。ずっと昔の記憶が、つい最近の事のように鮮明に蘇ってきた。昨夜の事、ミアにいろいろと教えてもらいながら夜更かしをしてしまった事。昨日の学校の様子、クラスメイトやうろ覚えだったステラちゃんのことまでも、今は白銀のやわらかいウェーブの髪まで鮮明に思い出せる。
「アレン様!?大丈夫ですか……?そこまで強く叩いたつもりはなかったのですが……ごめんなさい!」
「だ、だいじょうぶだよ、ミアお姉ちゃん……。……僕のほうこそ、ごめんね。なんだか変な夢を見ていたのかも。お母様たちが待っているし、早く支度しないとね……」
思い出した。俺は、小さい時に何の取り柄もない普通の子供で、喧嘩も当然弱い。俺なんて言う言い方はしない。常に僕、だった。今は怪しまれるわけにはいかない。子供のアレンらしく振舞うべきだ。
ベッドから立ち上がり鏡を見てみると、そこには体の小さくなった自分が映し出されていた。子供だ。どういうわけか、死を覚悟していたのに、子供時代に俺はいる。この体があの不健全な体に20年したらなるんだ。不思議なものだな。
「あ……アレン様?えっと……今日は、どうされたのですか……?」
着替えを用意してくれたミアは膝をついて、なにか気まずそうにゆっくりと俺の服を脱がし始めた。小さい頃、朝起きるとミアが毎日こうやって鏡の前で着替えさせてくれて、寝癖を直したり学校の持ち物をチェックしてくれていたっけ。
「なぁに?ミアお姉ちゃん。どうかした?」
「その…なんと申したらいいのか」
いつもそんな敬語を俺に使わないくせに、急にどうしたんだ?…まさか、俺の中身が大人だってことがバレたのか!?
「いいからちゃんと言って!どうしたの!?」
俺はミアの前に立って彼女の両肩を子供なりの精一杯の力で掴んだ。もし、俺の正体がバレているならこのまま彼女を部屋の外へ出してしまうのは危険だ。俺自身、今の状況に理解ができていないのにこれ以上余計なトラブルは避けなければいけない。
「ご、ごめんなさい!!!あ、あ、…アレン様もご立派な男の子なんだって思って、従者の分際で恥を捨てきれず、お、己なんかをアレン様がお求めになっていただけているのかと思うと、どどどど、どうしたらいいかわからなくなってしまって、お応えするにはどうしたらよいでしょうか!!」
よくわかんない言葉で一生懸命説明して、目を回しながらクラクラになって、真っ赤になった顔を両手で伏せながらも、指の隙間からチラチラっと見えるミアの視線は、僕の股間を見つめていた。
大人になってからは気にもとめなかったが、寝起きという事と、朝から胸が強調された従者服、しかも抱きつかれていい匂いのせいもあり、子供アレンの理性は限界を振り切っていたようだった。
「きょ、今日はいいから!!自分で着替えるからでていってよぉぉーー!!!」
俺はミアの手をつかむと全力でドアの向こうへ放り出した。
聞きなれない声が耳に入ってきた。
…温かい。肌障りのいい布団が気持ちいい。
「アレン様。御父上と皆さまをお待たせするわけには参りません。さあ、早く支度をいたしましょう。」
朝の惰眠を貪っていたが、いつもと様子が違う事に気が付きハッと目を覚まし勢いよく起き上がった。
周囲を見渡してみると、従事服姿の若い女、20歳程度か?
手には子供が来そうな服…部屋はさっきの廃屋とは違い綺麗に整頓された机、本棚、テーブルに小さめのソファーがあり、割れたはずの窓は透き通るほど綺麗に掃除が行き届いていて、窓の向こうからは暖かな陽光が差し込んでくる。
「だ、だれだ!」
聞きなれない声が耳の中に木霊する。声変わり前の子供のような、高い声。
それに慌てて再び周囲へキョロキョロと視線を送るも、ここには俺と目の前の若い女しかいないようだ。
「えっ……?だ、だれだと……申されましても……。ミアです、アレン様の専属の従者……ミア・ルーリエです。
毎日ご一緒しているのに……本当に、覚えておられないのですか……?」
陽光に照らされ、明るい栗色の髪を指先でいじりながら困ったような、少し呆れたような笑みを浮かべている。
ミア…。ミア・ルーリエ。
思い出した。子供のころに俺の世話役をしてくれた従者だ。従者のクセにやたら気が強くて、なんか妙に生意気で、俺を舐めてるみたいで嫌いだった。しかもどこにいてもすぐに俺を見つけて追いかけてくるから嫌気がさして、担当を変えてもらったんだ。
「み…ミア・ルーリエ。ほ、ほんものか?なぜこんなところに…ここはどこだ!?」
ベッドから立ち上がろうとした俺の両肩をつかむと、そのまままたベッドへ無理やり座らせられた。驚いた俺の顔を見ると、間髪容れずミアは俺の頭を軽くポカン、とゲンコツで叩いた。
「こらっ!アレン様っ!年上の方に向かって呼び捨ては許されません!主従の関係があっても、敬意を持つべきです。……アレン様は、そういうお優しい方ですから、きっとわかってくださいますよね?」
叩かれた頭を押さえながら、ミアが言っている意味が理解できなかった。俺が主。ミアは従者。なぜそこに敬意を払う必要がある?従者なのだから黙って従っていればいいのではないか?
戸惑う俺の脳内に、靄に包まれたような記憶が浮かび上がってきた。
「ミア…お姉ちゃん」
脳内に浮かんだ映像の中で、俺はなぜか楽しそうにミアをそう呼んでいた。
「はいっ!よくできました、アレン様!あれあれ、寝ぼけてますか?ここはロザーク家のお屋敷で、アレン様のお部屋です。今日は学校に行く日ですし、昨日も寝る前に『テスト勉強しよう』って私と一緒に頑張ったじゃないですか。それに、アレン様の従者はこの屋敷で私だけです。……本物も何も、アレン様の従者は私一人ですよ!」
ミアは喋りながら俺の隣に座ると、叩いた頭を優しくなでてくれた後、ぎゅう、っと抱きしめてくれた。
女のいい匂いがする…。やわらかい肌。いい匂いがする髪。耳元で聞こえる息遣い…。すべてが心地よくて安心する。こんな感覚、ずっと忘れていた。次の瞬間だったー。
「う”ぅ…」
頭に激痛が走り、うめき声が漏れてしまった。昨日の夜、確かに勉強した。ずっと昔の記憶が、つい最近の事のように鮮明に蘇ってきた。昨夜の事、ミアにいろいろと教えてもらいながら夜更かしをしてしまった事。昨日の学校の様子、クラスメイトやうろ覚えだったステラちゃんのことまでも、今は白銀のやわらかいウェーブの髪まで鮮明に思い出せる。
「アレン様!?大丈夫ですか……?そこまで強く叩いたつもりはなかったのですが……ごめんなさい!」
「だ、だいじょうぶだよ、ミアお姉ちゃん……。……僕のほうこそ、ごめんね。なんだか変な夢を見ていたのかも。お母様たちが待っているし、早く支度しないとね……」
思い出した。俺は、小さい時に何の取り柄もない普通の子供で、喧嘩も当然弱い。俺なんて言う言い方はしない。常に僕、だった。今は怪しまれるわけにはいかない。子供のアレンらしく振舞うべきだ。
ベッドから立ち上がり鏡を見てみると、そこには体の小さくなった自分が映し出されていた。子供だ。どういうわけか、死を覚悟していたのに、子供時代に俺はいる。この体があの不健全な体に20年したらなるんだ。不思議なものだな。
「あ……アレン様?えっと……今日は、どうされたのですか……?」
着替えを用意してくれたミアは膝をついて、なにか気まずそうにゆっくりと俺の服を脱がし始めた。小さい頃、朝起きるとミアが毎日こうやって鏡の前で着替えさせてくれて、寝癖を直したり学校の持ち物をチェックしてくれていたっけ。
「なぁに?ミアお姉ちゃん。どうかした?」
「その…なんと申したらいいのか」
いつもそんな敬語を俺に使わないくせに、急にどうしたんだ?…まさか、俺の中身が大人だってことがバレたのか!?
「いいからちゃんと言って!どうしたの!?」
俺はミアの前に立って彼女の両肩を子供なりの精一杯の力で掴んだ。もし、俺の正体がバレているならこのまま彼女を部屋の外へ出してしまうのは危険だ。俺自身、今の状況に理解ができていないのにこれ以上余計なトラブルは避けなければいけない。
「ご、ごめんなさい!!!あ、あ、…アレン様もご立派な男の子なんだって思って、従者の分際で恥を捨てきれず、お、己なんかをアレン様がお求めになっていただけているのかと思うと、どどどど、どうしたらいいかわからなくなってしまって、お応えするにはどうしたらよいでしょうか!!」
よくわかんない言葉で一生懸命説明して、目を回しながらクラクラになって、真っ赤になった顔を両手で伏せながらも、指の隙間からチラチラっと見えるミアの視線は、僕の股間を見つめていた。
大人になってからは気にもとめなかったが、寝起きという事と、朝から胸が強調された従者服、しかも抱きつかれていい匂いのせいもあり、子供アレンの理性は限界を振り切っていたようだった。
「きょ、今日はいいから!!自分で着替えるからでていってよぉぉーー!!!」
俺はミアの手をつかむと全力でドアの向こうへ放り出した。
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