17 / 26
17
しおりを挟む
「おーい!ステラー!」
ブランシュ家についた俺たちは、庭のテラスに座る人影に声をかけた。
「アレン君!それにミアさんも!いらっしゃい!」
「お邪魔致します。ステラ様」
「フェリシアが、ステラが呼んでるって言うから来たんだけど、俺に何か用?」
「…もうっ!もう少しアレン君はお話を楽しめないかなぁ。すぐに本題に入ろうとするとこ、あんまりよくないよ!」
う”…。
ぷくーっと膨れた顔をしたステラを見て、ついさっきも同じ顔の女の子に同じような事を言われたのを思い出した。髪型や雰囲気が違うから見分けがつくけど、黙ってたらフェリシアも見分けがつかないくらいそっくりなんだよなぁ。
後ろでミアが小さく笑っているのを見て、なんか恥ずかしくなってきた。あまりコミュニケーションをとる、という事が得意じゃないんだ。前世から話す人なんていなかったし、誰も俺のつまらない話なんて興味ないだろう、と思うと用件だけ話して終わりにした方がお互いのためだと思っていたから…こんな風にもっとゆっくり話してほしい、なんて言われるのは新鮮だ。
「あぁ~。…その、ごめん。フェリシアに言われてきたんだ。ステラが呼んでるって。もし今時間があったら、って、天気もいいしさ。少し一緒に話せないかな。」
「うん!いいよ!今2人のお茶を用意するから、座って待っててくれる?」
さっきとは違い、笑顔のステラはすぐ後ろにある椅子をチラッと目配せすると、読んでいた本をテーブルに置いて家の中に速足で行った。
「アレン様。女性というのはもう少し…」
「わかった、わかったよ!俺が悪かった。もう少し会話を楽しむように心がけるから!」
ミアが後ろから小さな声で言いかけたが、内容は聞かずとも分かる。俺に足りない社交辞令や会話を楽しむ貴族としてのマナーがない、という事だ。
俺は椅子に座ると、目の前のテーブルの上に広げられたノートや本を見た。魔導書のようなものと、魔術関連の書き込みだろう。かなり高度なもののようで、今の俺には理解ができない。前世で見た量販型の簡易魔法とは全く別物のようだ。
ステラは俺と同時期に学校へ行かなくなると、魔法の勉強を始めた。力がなくても、誰かを守れるようになりたい。という彼女は父、ルシアンの能力を色濃く受け継いだようで、魔導師としての才能を開花させていた。詳しい話は専門外の俺にはわからないが、12歳では異例の実力で、すでに実践レベルで強くなっているらしい。
まぁ、当の本人にその自覚がないせいか、まだ実践にも出ていないし、成果もあげていないのだが…。この魔導書やノートにある書き込みをみれば実力の高さは俺でもわかる。
「おまたせ~。お菓子もあるんだよ。ゆっくりしていってね!」
「ありがとうございます。ステラ様」
「ありがとうステラ。この魔導書はすごいね…。何が書いてあるかさっぱりわからないや」
「お父さんに教えてもらいながらたくさん勉強したからね。例えばほら、こんな事とかもできるんだよ?」
ステラは喋りながら椅子に座り、お皿に並んでいるお菓子を見ると、人差し指をたててお菓子のクッキーめがけてヒュッと指を降ろす。
次の瞬間、クッキーが急に半分にパキっと音を立てて割れた。
「どう?風魔法なんだけど、空気の刃で半分に割ったの。魔力の調整や小さい的に当てるの大変なんだからっ!」
自慢げに話すステラをよそに、俺は割れたクッキーを手に持つと、ミアに視線を送る。ミアは静かに一度だけ首を縦に動かした。
切り裂き魔の犯行と似ている。
でも、この無邪気なステラがそんなことをするのか?ただ、手口がすごい似ている。繊細な技術で誰にでもできるものでは無いということを考えると、万が一にも…という言葉が脳裏をかすめてしまう。標的をかなり離れたところから狙っているのかもしれないし、最悪フェリシアはそれを知っていてステラをかばっているのかもしれない。ここに連れてきたのは俺に何かを気づかせるためなのか?
なんで俺はここに今日呼ばれたんだ。なんでわざわざこんな切り裂き魔と同じような手口の風魔法を俺に見せた?
「どうしたの?そんなに珍しい?風魔法?」
クッキーを見ながら考え事をしていた俺にステラが若干心配そうに話しかけてきた。そりゃそうだよな。魔法を披露しただけなのに、きっと喜ぶとか、驚くと思っていただろうに俺たちが予想外の反応をしたからだ。
「い、いや。器用なもんだなって思って。俺ならテーブルごと斬りそうだ!」
俺は自分の中にある疑心を隠すように、わざと大げさに笑ってみせた。無邪気なステラが、人を傷つけることなんてするはずないし、フェリシアがそれを隠そうとするわけもない。俺は自分の中にある疑心に目を背けた。
「あはは!アレン君には確かに無理そう!テーブルごとズバッと斬っちゃってミアさんに怒られてそう!」
「ステラ様のおっしゃる通りです。アレン様は加減が出来ませんのでこのような繊細な事は出来ないでしょう。…まぁ、魔法が使えるようになれば、の話ですが」
「え?アレン君魔法使えないの?」
ミアが一瞬ハッとした顔を見せたが、俺の方をチラッと見るなり何事もなかったかのように目を閉じた。
「ミア!その事は内緒にって言ったのに!…はぁ。そうだよ。魔法についてはミアからも教えてもらってはいるんだけど、まだ使えない。才能がないのかもしれないね」
俺はミアに抗議するが、それよりもステラが驚いたように俺の方へ視線を送ってきた方に気がいってしまったのでミアを責めるのは一旦やめた。
ステラが驚くのも無理はない。俺もなにかしらの魔法は多分使えるはずなんだ。ルシアンに前診てもらったとき、魔力は感じるから何かしらの魔法が使えるようになると思う。という話を聞いてからミアに教えてもらったり鍛錬と言うものはしているのだが…火も水も風も何の属性魔法も芽が出ない。
あまり意識していなかったけど、少しガッカリしたようにステラには見えてしまったのかもしれない。彼女は気を使うように声をかけてくれた。
「その、大丈夫だよ!わたしもこんなたくさん勉強してやっと最近魔法が使えるようになってきたんだよ?最初は失敗ばかりだったし、やっとコツを掴んだ感じがするの!」
「わかるわかる!こんなに一生懸命ノートに書き込まれているんだ。偉大な魔術士様になるんだろうなって思うよ」
全く悪気は無かったんだけど、やり場のないモヤモヤが心にあるせいで、少し言い方が悪くなってしまった。場に重たい空気が流れる。ステラも困ったような顔をしてしまった。いや、俺がさせてしまった。前世では憧れの女の子だったのに、最近はステラやフェリシアと話すことが当たり前になってきたから最近は有難みというのを忘れているのかもしれない。悪気は本当になかったんだけど、どうにかこの空気を改善しなくては…。
俺たちふたりの長い沈黙を見かねたミアが、軽くため息をつくとわざとらしく明るい口調で俺たちに話題を振ってくれた。
「アレン様、ミア様は実際に4大元素マスターの称号に今最も近い存在になりつつあるんですよ。特に、ステラ様のその見た目からは想像できませんが、使う魔術は攻撃魔法特化型で、本気を出せば王都の騎士団、一個小隊程度ならステラ様お一人でも撃破できる程の実力があるかと思われます」
「ま、マジかよ!!」
正直驚いた。こんな可愛い見た目して、補助魔法や回復系よりも攻撃魔法が得意だなんて…しかも王都の1個小隊をたった1人で撃破とか、そんな恐ろしい事できるのかよ。
「はい。このミアも、ステラ様と腕試しとなると、もう太刀打ちできません」
「そんな、私なんてまだまだですよ!もっと強くなって、もっともっとたくさん魔法を覚えていかないと!」
目の前で体をクネクネさせている可愛い少女が騎士団の一個小隊を壊滅できる魔法使い…。それがもっと強くなるって言うのだから喧嘩した瞬間に国がひとつ焼け野原になるような、デストロイヤー的存在になるのではないか?
…笑顔で国を焼け野原にするステラを想像すると背筋がゾワっと寒くなるのがわかった。彼女を敵に回すのはやめておこう…。
「ところで、アレン君。明日は何か予定あるの?」
目の前にいる大量殺戮兵器候補…もとい、ステラはモジモジして頬を赤らめながら、なにやら言いにくそうに声をかけてきた。
「明日?特にないから、いつも通りミアと特訓かなぁ。…こいつ、全然手加減してくれなくてさぁ。今日もボッコボコにされて痛いのなんのって」
腕のあざをステラに見せながらミアを軽く睨みつけた。ミアはそんなの知らないって顔で出された紅茶をすすっている。このアザと、さっきの助け舟でお互い様。とでも言いたそうな雰囲気だ。
「そ、そうなんだ。ねぇミアさん?明日の午後、アレン君とお買い物に行っちゃダメかな。できれば、2人で行きたいんだけど…」
まさかのデートイベント発生に驚いて、ミアも体が大きく揺れた。平常心を装っているが、きっと今心の中はグチャグチャだと思う。
それにしても、いつの間にかステラは俺に対する友好値MAXだったってことか!?こ、これはぜひ2人で行くべきだと思う!
「わ、私は構いませんが…。アレン様、いかがでしょうか?」
「いいんじゃないかな!ステラも強いし、俺も昔より強くなったからさ!町の中くらい、ミアがいなくても、ステラを安全にエスコートしてみせるさ!ミアが大丈夫、ってことなら問題ないでしょ。」
「…かしこまりました。アレン様」
上擦った声で喜びに震える手でクッキーを無理やり掴み頬張る。
買い物を2人でする姿を想像して完全に顔の筋肉が緩み切っているのがわかるし、それを見るミアの視線が痛いのだが、緩んだ口元が元に戻らない…。
「と、いうことで明日は大丈夫だよ」
「ほ、ほんとう?ありがとうアレン君!!明日の午後、噴水の前で待ち合わせね!約束だよ?」
ステラとデート…ステラとふたりっきり…。
正直、ミア以外の女の子と2人っきりというのは初めてだった。今も前世もなかった女の子とのデート。しかも憧れのステラと2人っきりという展開に、この時の俺は、完全にのぼせきっていた。
ブランシュ家についた俺たちは、庭のテラスに座る人影に声をかけた。
「アレン君!それにミアさんも!いらっしゃい!」
「お邪魔致します。ステラ様」
「フェリシアが、ステラが呼んでるって言うから来たんだけど、俺に何か用?」
「…もうっ!もう少しアレン君はお話を楽しめないかなぁ。すぐに本題に入ろうとするとこ、あんまりよくないよ!」
う”…。
ぷくーっと膨れた顔をしたステラを見て、ついさっきも同じ顔の女の子に同じような事を言われたのを思い出した。髪型や雰囲気が違うから見分けがつくけど、黙ってたらフェリシアも見分けがつかないくらいそっくりなんだよなぁ。
後ろでミアが小さく笑っているのを見て、なんか恥ずかしくなってきた。あまりコミュニケーションをとる、という事が得意じゃないんだ。前世から話す人なんていなかったし、誰も俺のつまらない話なんて興味ないだろう、と思うと用件だけ話して終わりにした方がお互いのためだと思っていたから…こんな風にもっとゆっくり話してほしい、なんて言われるのは新鮮だ。
「あぁ~。…その、ごめん。フェリシアに言われてきたんだ。ステラが呼んでるって。もし今時間があったら、って、天気もいいしさ。少し一緒に話せないかな。」
「うん!いいよ!今2人のお茶を用意するから、座って待っててくれる?」
さっきとは違い、笑顔のステラはすぐ後ろにある椅子をチラッと目配せすると、読んでいた本をテーブルに置いて家の中に速足で行った。
「アレン様。女性というのはもう少し…」
「わかった、わかったよ!俺が悪かった。もう少し会話を楽しむように心がけるから!」
ミアが後ろから小さな声で言いかけたが、内容は聞かずとも分かる。俺に足りない社交辞令や会話を楽しむ貴族としてのマナーがない、という事だ。
俺は椅子に座ると、目の前のテーブルの上に広げられたノートや本を見た。魔導書のようなものと、魔術関連の書き込みだろう。かなり高度なもののようで、今の俺には理解ができない。前世で見た量販型の簡易魔法とは全く別物のようだ。
ステラは俺と同時期に学校へ行かなくなると、魔法の勉強を始めた。力がなくても、誰かを守れるようになりたい。という彼女は父、ルシアンの能力を色濃く受け継いだようで、魔導師としての才能を開花させていた。詳しい話は専門外の俺にはわからないが、12歳では異例の実力で、すでに実践レベルで強くなっているらしい。
まぁ、当の本人にその自覚がないせいか、まだ実践にも出ていないし、成果もあげていないのだが…。この魔導書やノートにある書き込みをみれば実力の高さは俺でもわかる。
「おまたせ~。お菓子もあるんだよ。ゆっくりしていってね!」
「ありがとうございます。ステラ様」
「ありがとうステラ。この魔導書はすごいね…。何が書いてあるかさっぱりわからないや」
「お父さんに教えてもらいながらたくさん勉強したからね。例えばほら、こんな事とかもできるんだよ?」
ステラは喋りながら椅子に座り、お皿に並んでいるお菓子を見ると、人差し指をたててお菓子のクッキーめがけてヒュッと指を降ろす。
次の瞬間、クッキーが急に半分にパキっと音を立てて割れた。
「どう?風魔法なんだけど、空気の刃で半分に割ったの。魔力の調整や小さい的に当てるの大変なんだからっ!」
自慢げに話すステラをよそに、俺は割れたクッキーを手に持つと、ミアに視線を送る。ミアは静かに一度だけ首を縦に動かした。
切り裂き魔の犯行と似ている。
でも、この無邪気なステラがそんなことをするのか?ただ、手口がすごい似ている。繊細な技術で誰にでもできるものでは無いということを考えると、万が一にも…という言葉が脳裏をかすめてしまう。標的をかなり離れたところから狙っているのかもしれないし、最悪フェリシアはそれを知っていてステラをかばっているのかもしれない。ここに連れてきたのは俺に何かを気づかせるためなのか?
なんで俺はここに今日呼ばれたんだ。なんでわざわざこんな切り裂き魔と同じような手口の風魔法を俺に見せた?
「どうしたの?そんなに珍しい?風魔法?」
クッキーを見ながら考え事をしていた俺にステラが若干心配そうに話しかけてきた。そりゃそうだよな。魔法を披露しただけなのに、きっと喜ぶとか、驚くと思っていただろうに俺たちが予想外の反応をしたからだ。
「い、いや。器用なもんだなって思って。俺ならテーブルごと斬りそうだ!」
俺は自分の中にある疑心を隠すように、わざと大げさに笑ってみせた。無邪気なステラが、人を傷つけることなんてするはずないし、フェリシアがそれを隠そうとするわけもない。俺は自分の中にある疑心に目を背けた。
「あはは!アレン君には確かに無理そう!テーブルごとズバッと斬っちゃってミアさんに怒られてそう!」
「ステラ様のおっしゃる通りです。アレン様は加減が出来ませんのでこのような繊細な事は出来ないでしょう。…まぁ、魔法が使えるようになれば、の話ですが」
「え?アレン君魔法使えないの?」
ミアが一瞬ハッとした顔を見せたが、俺の方をチラッと見るなり何事もなかったかのように目を閉じた。
「ミア!その事は内緒にって言ったのに!…はぁ。そうだよ。魔法についてはミアからも教えてもらってはいるんだけど、まだ使えない。才能がないのかもしれないね」
俺はミアに抗議するが、それよりもステラが驚いたように俺の方へ視線を送ってきた方に気がいってしまったのでミアを責めるのは一旦やめた。
ステラが驚くのも無理はない。俺もなにかしらの魔法は多分使えるはずなんだ。ルシアンに前診てもらったとき、魔力は感じるから何かしらの魔法が使えるようになると思う。という話を聞いてからミアに教えてもらったり鍛錬と言うものはしているのだが…火も水も風も何の属性魔法も芽が出ない。
あまり意識していなかったけど、少しガッカリしたようにステラには見えてしまったのかもしれない。彼女は気を使うように声をかけてくれた。
「その、大丈夫だよ!わたしもこんなたくさん勉強してやっと最近魔法が使えるようになってきたんだよ?最初は失敗ばかりだったし、やっとコツを掴んだ感じがするの!」
「わかるわかる!こんなに一生懸命ノートに書き込まれているんだ。偉大な魔術士様になるんだろうなって思うよ」
全く悪気は無かったんだけど、やり場のないモヤモヤが心にあるせいで、少し言い方が悪くなってしまった。場に重たい空気が流れる。ステラも困ったような顔をしてしまった。いや、俺がさせてしまった。前世では憧れの女の子だったのに、最近はステラやフェリシアと話すことが当たり前になってきたから最近は有難みというのを忘れているのかもしれない。悪気は本当になかったんだけど、どうにかこの空気を改善しなくては…。
俺たちふたりの長い沈黙を見かねたミアが、軽くため息をつくとわざとらしく明るい口調で俺たちに話題を振ってくれた。
「アレン様、ミア様は実際に4大元素マスターの称号に今最も近い存在になりつつあるんですよ。特に、ステラ様のその見た目からは想像できませんが、使う魔術は攻撃魔法特化型で、本気を出せば王都の騎士団、一個小隊程度ならステラ様お一人でも撃破できる程の実力があるかと思われます」
「ま、マジかよ!!」
正直驚いた。こんな可愛い見た目して、補助魔法や回復系よりも攻撃魔法が得意だなんて…しかも王都の1個小隊をたった1人で撃破とか、そんな恐ろしい事できるのかよ。
「はい。このミアも、ステラ様と腕試しとなると、もう太刀打ちできません」
「そんな、私なんてまだまだですよ!もっと強くなって、もっともっとたくさん魔法を覚えていかないと!」
目の前で体をクネクネさせている可愛い少女が騎士団の一個小隊を壊滅できる魔法使い…。それがもっと強くなるって言うのだから喧嘩した瞬間に国がひとつ焼け野原になるような、デストロイヤー的存在になるのではないか?
…笑顔で国を焼け野原にするステラを想像すると背筋がゾワっと寒くなるのがわかった。彼女を敵に回すのはやめておこう…。
「ところで、アレン君。明日は何か予定あるの?」
目の前にいる大量殺戮兵器候補…もとい、ステラはモジモジして頬を赤らめながら、なにやら言いにくそうに声をかけてきた。
「明日?特にないから、いつも通りミアと特訓かなぁ。…こいつ、全然手加減してくれなくてさぁ。今日もボッコボコにされて痛いのなんのって」
腕のあざをステラに見せながらミアを軽く睨みつけた。ミアはそんなの知らないって顔で出された紅茶をすすっている。このアザと、さっきの助け舟でお互い様。とでも言いたそうな雰囲気だ。
「そ、そうなんだ。ねぇミアさん?明日の午後、アレン君とお買い物に行っちゃダメかな。できれば、2人で行きたいんだけど…」
まさかのデートイベント発生に驚いて、ミアも体が大きく揺れた。平常心を装っているが、きっと今心の中はグチャグチャだと思う。
それにしても、いつの間にかステラは俺に対する友好値MAXだったってことか!?こ、これはぜひ2人で行くべきだと思う!
「わ、私は構いませんが…。アレン様、いかがでしょうか?」
「いいんじゃないかな!ステラも強いし、俺も昔より強くなったからさ!町の中くらい、ミアがいなくても、ステラを安全にエスコートしてみせるさ!ミアが大丈夫、ってことなら問題ないでしょ。」
「…かしこまりました。アレン様」
上擦った声で喜びに震える手でクッキーを無理やり掴み頬張る。
買い物を2人でする姿を想像して完全に顔の筋肉が緩み切っているのがわかるし、それを見るミアの視線が痛いのだが、緩んだ口元が元に戻らない…。
「と、いうことで明日は大丈夫だよ」
「ほ、ほんとう?ありがとうアレン君!!明日の午後、噴水の前で待ち合わせね!約束だよ?」
ステラとデート…ステラとふたりっきり…。
正直、ミア以外の女の子と2人っきりというのは初めてだった。今も前世もなかった女の子とのデート。しかも憧れのステラと2人っきりという展開に、この時の俺は、完全にのぼせきっていた。
24
あなたにおすすめの小説
落ちこぼれ職人、万能スキルでギルド最強になります!
たまごころ
ファンタジー
ギルド最弱の鍛冶師レオンは、仲間に「役立たず」と笑われて追放された。
途方に暮れる彼の前に現れたのは、伝説の鍛冶書と、しゃべる鉄塊(?)。
鍛冶・錬金・料理・魔道具――あらゆるクラフトスキルを吸収する《創精鍛造》を極め、万能職人へと覚醒!
素材採取から戦闘まで、すべて自作で挑む“ものづくり異世界成り上がり譚”が今、始まる。
裏切った元仲間? 今さら後悔しても遅いぞ!
RPGのストーリー開始前に殺されるモブに転生した俺、死亡フラグを回避してラスボス助けたら女主人公が現れてなぜか修羅場になった。
白波 鷹(しらなみ たか)【白波文庫】
ファンタジー
――死亡フラグのあるモブに転生した。なぜか男主人公の姿で。
王国に孤児院の子供達を殺された少女ミュライトがラスボスのRPG『プリテスタファンタジー』。
物語後半でミュライトと主人公は互いに孤児院出身であることが分かり、彼女を倒した主人公がその死を悲しむ絶望的なエンディングからいわゆる「鬱ゲー」と呼ばれているゲームでもある。
そして、そんなゲームの物語開始前にミュライトと同じ孤児院に住んでいた子供に転生したが…その見た目はなぜか男主人公シュウだった。
原作との違いに疑問を抱くものの、このままストーリー通りに進めば、ミュライトと主人公が戦って悲惨なエンディングを迎えてしまう。
彼女が闇落ちしてラスボスになるのを防ぐため、彼女が姉のように慕っていたエリシルの命を救ったり、王国の陰謀から孤児達を守ろうと鍛えていると、やがて男主人公を選んだ場合は登場しないはずの女主人公マフィが現れる。
マフィとミュライトが仲良くなれば戦わずに済む、そう考えて二人と交流していくが―
「―あれ? 君たち、なんか原作と違くない?」
なぜか鉢合わせた二人は彼を取り合って修羅場に。
こうして、モブキャラであるはずのシュウは主人公やラスボス達、果ては原作死亡キャラも助けながらまだ見ぬハッピーエンドを目指していく。
※他小説投稿サイトにも投稿中
異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
俺は農家の4男だぞ?
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す
紅月シン
ファンタジー
七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。
才能限界0。
それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。
レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。
つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。
だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。
その結果として実家の公爵家を追放されたことも。
同日に前世の記憶を思い出したことも。
一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。
その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。
スキル。
そして、自らのスキルである限界突破。
やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。
※小説家になろう様にも投稿しています
地味スキル「ためて・放つ」が最強すぎた!~出来損ないはいらん!と追い出したくせに英雄に駆け上がってから戻れと言われても手遅れです~
かくろう
ファンタジー
【ためて・放つ】という地味スキルを一生に一度の儀式で授かってしまった主人公セージ。
そのせいで家から追放され、挙げ句に異母弟から殺されかけてしまう。
しかしあらゆるものを【ためる】でパワフルにできるこのスキルは、最高ランクの冒険者すらかすんでしまうほどのぶっ壊れ能力だった!
命からがら魔物の強襲から脱したセージは、この力を駆使して成り上がっていく事を決意する。
そして命の危機に瀕していた少女リンカニアと出会い、絆を深めていくうちに自分のスキルを共有できる事に気が付いた。
――これは、世界で類を見ない最強に成り上がっていく主人公と、彼の元へ集まってくる仲間達との物語である。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
最凶と呼ばれる音声使いに転生したけど、戦いとか面倒だから厨房馬車(キッチンカー)で生計をたてます
わたなべ ゆたか
ファンタジー
高校一年の音無厚使は、夏休みに叔父の手伝いでキッチンカーのバイトをしていた。バイトで隠岐へと渡る途中、同級生の板林精香と出会う。隠岐まで同じ船に乗り合わせた二人だったが、突然に船が沈没し、暗い海の底へと沈んでしまう。
一七年後。異世界への転生を果たした厚使は、クラネス・カーターという名の青年として生きていた。《音声使い》の《力》を得ていたが、危険な仕事から遠ざかるように、ラオンという国で隊商を率いていた。自身も厨房馬車(キッチンカー)で屋台染みた商売をしていたが、とある村でアリオナという少女と出会う。クラネスは家族から蔑まれていたアリオナが、妙に気になってしまい――。異世界転生チート物、ボーイミーツガール風味でお届けします。よろしくお願い致します!
大賞が終わるまでは、後書きなしでアップします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる