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「いたたた…ミア、頼むからもう少しだけ手加減してくれないか?」
自警団の本部へと向かう中、俺は午前の稽古でミアにボコボコにされ、腕のアザを抑えながら切実に訴えた。このままでは魔宝殿に行くまでに死んでしまう。
「アレン様は、魔法がまだ使えないのですから、剣術や身体能力という点で敵を凌駕する必要があります。それに、弱い敵を倒しても強くはなれませんよ?生きるか死ぬか、という戦いの中で強さの本質というのは見えてくるものなんですから」
「その生きるか死ぬかの戦いを繰り返してると、俺の心が先に折れちゃうっての」
「なにかいいましたか?」
「いんや、なんにも」
彼女は振り返ると意地悪なイタズラをしている少女のような笑顔を俺に向けてきた。俺の前を歩くミアの後姿はとても上機嫌だった。いつの間にか身長は同じくらいになり、気が付いたらお互い手をつないで歩くことはなくなった。むしろ、いまは手をつなぐときに緊張して勇気がいるくらいだ。今では従者、というよりも『姉のような存在』としての面が強く感じる時がある。学校に行かなくなった時あたりだろうか。ずっとミアお姉ちゃんと呼んでいたが、剣術の稽古をしていくうちにいつの間にかミア、になりそれを彼女は自然と受け入れていた。それ以来お姉ちゃんと呼ぶことはしなくなった。今ではとにかく一本取りたい。もしくはボコボコにされたくない。と必死だ。
「着いたな。ミア、…本当に悪いんだけど、呼んできてもらえないかな」
「かしこまりました」
自警団の詰め所につくと、俺はため息をついてあからさまに嫌そうにミアに副団長を呼んでくるようにお願いした。
ミアは一礼をすると自警団本部の中へ入っていった。
『おぉーーー!!』
自警団本部には歓声が上がった。ミアに対しいろいろな言葉が聞こえる。戦いもできるし、強いし、従者服は意外と可愛いし、なによりミア自身が若くてかわいい。ということもあり、ミアは自警団のアイドル的存在なのだ。副団長もこのくらいチョロければいいのだが…。
「アレン様、お連れしました」
「アレン、副団長のわたしを呼びつけるなんて、いい根性してるじゃない?」
ミアが副団長を連れて戻ってきた。彼女の後ろには銀髪のポニーテール、フェリシアがそこにいた。5年経過して可愛さはさらに引き立ち、その外見からは彼女が剣士、なんて想像もできない。
「フェリシア、ミアから聞いたんだけど、ここ最近噂の切り裂き魔の件、冒険者の投入も検討しているそうだね。そこまで大ごとにしないとダメなの?自警団だけで解決はできないか?」
「はぁ。会うなりいきなりそれ?あんたいつになっても社交辞令って言葉を知らないわね。」
ため息をつくと、呆れた顔でフェリシアは肩を落とした。そんなこと言われても、知らない仲じゃあるまいし、今更社交辞令なんて気恥ずかしくて言えるか。
俺と同じくフェリシアも学校には行っておらず、自分の将来、という点で強くなりたい。という気持ちが抑えきれず、今の将来の夢は「騎士のように強くなりたい!」らしい。ルシアンも最初は戸惑ったようだが、『ステラを守るにはもっと強くなる!』という彼女の決意は固く、昔は『みんなを守る盾の魔法使いになるんだ』と言っていたが、いつの頃からか俺と一緒にミアに稽古をつけてもらい、剣術の才能が開花したのか俺なんかよりもよっぽど強くなり今では自警団副団長、という肩書まで手に入れてしまった。
12歳の女の子が。…この自警団弱すぎだろ。
「いいだろそんなこと。今更そんなこと…知らない仲じゃないし…それで!? 自警団だけで解決はできないのか?」
「… 無理ね。相手の姿が見えない上、原因が風魔法なのか、透明化系の魔法で人間がいるのか、自然現象なのか、一体なんなのか、目的も正体も何もわかってないのよ。このまま野放しにしてて、急に狂暴化して死傷者でもでたらそれこそ大ごとになるわ。今のうちに芽を摘んでしまった方がいいのよ。それともなに?ロザンブルク期待の跡継ぎ様、アレン様が直々に解決してくださるのかしら?」
フェリシアの一件、ルシアンからの信用を得た俺は、この小さな町ではちょっとした有名人になっていた。もちろん、もともと領主の息子として有名人と言えばそれまでなんだけど、違った意味で有名になったんだ。
あれからブランシュ家と俺は親交を持っているのだけど、フェリシアはご覧の様子で、何かが面白くないらしい。
「その言い方はやめてくれ。ただ、自警団副団長殿の言い分はわかったよ。俺なんかが役に立てる自信はないけど、俺も何かできることがあるか調べてみるよ。忙しい中、わざわざすまなかったな」
まぁ、自警団には自警団のやり方や考えがあるし、フェリシアの言い分は当然だ。大きな被害が出る前に解決したいというのであれば、領主の息子としてとめる権利はないし、むしろ手伝うべきだと思う。ただ、自警団も切り裂き魔の正体を捉えていないというのは驚いた。実は目星くらいあるのかと思って足を運んだんだが…。
「アレン!」
自警団の本部から立ち去ろうとしたときにフェリシアが駆け寄ってきた。
「どうした?なにか犯人について思い出したのか?」
「はぁ~…。そうじゃない。ステラが呼んでたわ。時間ある時に来てほしい。って」
「ステラが?…わかった。帰りにでも寄ってみるよ。ありがとう」
少し呆れたような、がっかりしたような顔で手を振るフェリシアを後に、ブランシュ家へミアと向かうことにした。
自警団の本部へと向かう中、俺は午前の稽古でミアにボコボコにされ、腕のアザを抑えながら切実に訴えた。このままでは魔宝殿に行くまでに死んでしまう。
「アレン様は、魔法がまだ使えないのですから、剣術や身体能力という点で敵を凌駕する必要があります。それに、弱い敵を倒しても強くはなれませんよ?生きるか死ぬか、という戦いの中で強さの本質というのは見えてくるものなんですから」
「その生きるか死ぬかの戦いを繰り返してると、俺の心が先に折れちゃうっての」
「なにかいいましたか?」
「いんや、なんにも」
彼女は振り返ると意地悪なイタズラをしている少女のような笑顔を俺に向けてきた。俺の前を歩くミアの後姿はとても上機嫌だった。いつの間にか身長は同じくらいになり、気が付いたらお互い手をつないで歩くことはなくなった。むしろ、いまは手をつなぐときに緊張して勇気がいるくらいだ。今では従者、というよりも『姉のような存在』としての面が強く感じる時がある。学校に行かなくなった時あたりだろうか。ずっとミアお姉ちゃんと呼んでいたが、剣術の稽古をしていくうちにいつの間にかミア、になりそれを彼女は自然と受け入れていた。それ以来お姉ちゃんと呼ぶことはしなくなった。今ではとにかく一本取りたい。もしくはボコボコにされたくない。と必死だ。
「着いたな。ミア、…本当に悪いんだけど、呼んできてもらえないかな」
「かしこまりました」
自警団の詰め所につくと、俺はため息をついてあからさまに嫌そうにミアに副団長を呼んでくるようにお願いした。
ミアは一礼をすると自警団本部の中へ入っていった。
『おぉーーー!!』
自警団本部には歓声が上がった。ミアに対しいろいろな言葉が聞こえる。戦いもできるし、強いし、従者服は意外と可愛いし、なによりミア自身が若くてかわいい。ということもあり、ミアは自警団のアイドル的存在なのだ。副団長もこのくらいチョロければいいのだが…。
「アレン様、お連れしました」
「アレン、副団長のわたしを呼びつけるなんて、いい根性してるじゃない?」
ミアが副団長を連れて戻ってきた。彼女の後ろには銀髪のポニーテール、フェリシアがそこにいた。5年経過して可愛さはさらに引き立ち、その外見からは彼女が剣士、なんて想像もできない。
「フェリシア、ミアから聞いたんだけど、ここ最近噂の切り裂き魔の件、冒険者の投入も検討しているそうだね。そこまで大ごとにしないとダメなの?自警団だけで解決はできないか?」
「はぁ。会うなりいきなりそれ?あんたいつになっても社交辞令って言葉を知らないわね。」
ため息をつくと、呆れた顔でフェリシアは肩を落とした。そんなこと言われても、知らない仲じゃあるまいし、今更社交辞令なんて気恥ずかしくて言えるか。
俺と同じくフェリシアも学校には行っておらず、自分の将来、という点で強くなりたい。という気持ちが抑えきれず、今の将来の夢は「騎士のように強くなりたい!」らしい。ルシアンも最初は戸惑ったようだが、『ステラを守るにはもっと強くなる!』という彼女の決意は固く、昔は『みんなを守る盾の魔法使いになるんだ』と言っていたが、いつの頃からか俺と一緒にミアに稽古をつけてもらい、剣術の才能が開花したのか俺なんかよりもよっぽど強くなり今では自警団副団長、という肩書まで手に入れてしまった。
12歳の女の子が。…この自警団弱すぎだろ。
「いいだろそんなこと。今更そんなこと…知らない仲じゃないし…それで!? 自警団だけで解決はできないのか?」
「… 無理ね。相手の姿が見えない上、原因が風魔法なのか、透明化系の魔法で人間がいるのか、自然現象なのか、一体なんなのか、目的も正体も何もわかってないのよ。このまま野放しにしてて、急に狂暴化して死傷者でもでたらそれこそ大ごとになるわ。今のうちに芽を摘んでしまった方がいいのよ。それともなに?ロザンブルク期待の跡継ぎ様、アレン様が直々に解決してくださるのかしら?」
フェリシアの一件、ルシアンからの信用を得た俺は、この小さな町ではちょっとした有名人になっていた。もちろん、もともと領主の息子として有名人と言えばそれまでなんだけど、違った意味で有名になったんだ。
あれからブランシュ家と俺は親交を持っているのだけど、フェリシアはご覧の様子で、何かが面白くないらしい。
「その言い方はやめてくれ。ただ、自警団副団長殿の言い分はわかったよ。俺なんかが役に立てる自信はないけど、俺も何かできることがあるか調べてみるよ。忙しい中、わざわざすまなかったな」
まぁ、自警団には自警団のやり方や考えがあるし、フェリシアの言い分は当然だ。大きな被害が出る前に解決したいというのであれば、領主の息子としてとめる権利はないし、むしろ手伝うべきだと思う。ただ、自警団も切り裂き魔の正体を捉えていないというのは驚いた。実は目星くらいあるのかと思って足を運んだんだが…。
「アレン!」
自警団の本部から立ち去ろうとしたときにフェリシアが駆け寄ってきた。
「どうした?なにか犯人について思い出したのか?」
「はぁ~…。そうじゃない。ステラが呼んでたわ。時間ある時に来てほしい。って」
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