ホームレスは転生したら7歳児!?気弱でコミュ障だった僕が、気づいたら異種族の王になっていました

たぬきち

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15 前回の話から5年後

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「アレン様!朝でございます!」

「あぁ。おはようミア。今日も時間ピッタリだね」

 いつもの俺の部屋へ、今日もピッタリおなじ時間にミアは俺を起こしに来た。毎日毎日出来るんだから尊敬する。
 アレン・ロザーク。12歳。フェリシアの事件から5年が経過した。あれからこの町、ロザンブルクでは目立つ事故や事件はなく、平和に時間は過ぎていった。この世界にも慣れてきたし、今は学校に行くこともなく、ミアと剣術の修行や魔法学などを学んでいる。
 5年の月日の間に、領地が大きくなって、いつまでもロザーク領、という言い方では不便だという事で今はロザンブルクという名前になった。人口も増え、小さな商業都市になったのは驚きだ。良くも悪くも、フェリシア事件以来自警団が強化されてこの辺りは治安が良くなり、そこに移民が多くやってきたせいかもしれない。
 治安がいいと言えば、人さらいはあの後現れることはなかった。自警団の見回り強化、父上が警備の強化を促し、定期的に付近の森や山などにも冒険者を近くの町から派遣してもらって魔獣の討伐も行っているおかげで、本当に穏やかな時間が過ぎていた。

「本日はなにをされますか?」

 ミアは楽しそうに笑顔でカーテンを開ける。明るい光が眩しい。

「そ、そうだな…。剣術の鍛錬…。かな。少しでもミアに追いつきたい」

「かしこまりました!早くアレン様が魔宝殿まほうでんに行けるよう、ミアも全力でサポートいたします!」

「あはは、お手柔らかに頼むよ」

 魔宝殿。2年前にこの世界に現れた迷宮だ。世界中に無数に点在していて、ここからも馬車で3日程度で行けるところに一つある。中には魔獣や、見たこともないようなモンスターが徘徊していて何階層にもなっているらしい。この2年で魔宝殿を踏破したものがいるという話は聞いたことがない。中には何があるのか?どこに繋がっているのか?未知の迷宮だ。
 この魔宝殿という呼び方はいつの間にか浸透していたが、少なくとも前世にはなかった。この世界に来て初めて見るもので、どのようなものなのか全く見当がつかない。
 5年前に人さらいの計画を阻止したこと、ルシアンに魔道具の開発を辞めるように言ったこと。この2つが何かしら影響している、としか思えない。大きな未来の改変には細心の注意が必要らしい。

「父上たちは?」

「旦那様たちは本日もお帰りにならないようです。お忙しいようで、アレン様の身の回りのことは私を含め一部の従者が独断で行ってよい。という指示をいただいております」

 今日もいないのか…。この1年、父上たちは忙しそうにして屋敷を空けることが多くなった。前世でもこのようなことがあったような…気がする。でも、それは今だったか?もう少し後だった気がする。前世通りなら15歳のどこかでこの家は没落する。…はず。前世の記憶がハッキリしているわけではないし、改変してしまったせいで少しずつ起きるはずの現象に変化があって、最近は自信がなくなってきてしまった。
 例えば2年前。俺が10歳の時に黒い猫を拾うはずだったんだ。それが拾えなかった。猫がいた場所にいってもいなかったんだ。5年前に未来改変をしたせいで、出会うはずの猫にも何らか影響があったようだ。

「そういえば…アレン様はもう聞いていらっしゃいますか?切り裂き魔のこと」

「切り裂き魔?」

 また聞いたことない名前を…。前世ではそんなやつはいなかったし、聞いたこともなかったぞ。人も増えたし、変なトラブルは勘弁してほしいのが本音だ。

「はい。領内…失礼しました。ロザンブルクの町で最近よく発生している事案でして、なんでも誰もいないのに急に腕や足なんかを軽くスパっと切られたような、引っかかれたような傷ができるという事件が多発しているようです」

「…そんなの、風魔法か何かによるイタズラじゃないのか?」

「自警団も当初は質の悪いイタズラとしてみていたのですが、怪我人があまりにも多くて本腰を入れて捜査を始めたという事です。冒険者の投入も検討されているようですよ」

「そこまでするようなことなのか? 被害は小さいのだろう? いずれ犯人も捕まりそうじゃないのか?」

 たかだか通り魔的な犯行で、しかも引っ掻かれたような傷程度で、自警団が冒険者を雇ってまで解決するような事なのか?と疑問を抱いたが、ミアの一言で納得してしまった。

が、これ以上犯罪者を野放しにはできない…と」

「やっぱりかぁ~…。仕方ない。朝の稽古が終わったら一度話を聞きに行ってみるか。お昼時ならいくら副団長殿でも多少時間は取れるだろう」

「かしこまりました。お供させていただきます」

 このロザンブルクの町は5年前から変わらず『自警団』があり、街の治安を有志達が守っている。冒険者はその都度報酬を払わないといけないのだが、自警団は給料方式なので費用がかかるが、冒険者を雇うのと違い能力ややる気の有無などに当たり外れがないし、冒険者のランクや腕前で金額が変わる、という事もない。なにより、町の者で構成されているだけあって民の受けが良い。
 俺はその副団長殿が苦手だ。嫌い、というわけではないのだが、ウマが合わないというべきか。稽古の前だというのに、頭が痛くなる。
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