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「おーい!ステラー!」
ブランシュ家についた俺たちは、庭のテラスに座る人影に声をかけた。
「アレン君!それにミアさんも!いらっしゃい!」
「お邪魔致します。ステラ様」
「フェリシアが、ステラが呼んでるって言うから来たんだけど、俺に何か用?」
「…もうっ!もう少しアレン君はお話を楽しめないかなぁ。すぐに本題に入ろうとするとこ、あんまりよくないよ!」
う”…。
ぷくーっと膨れた顔をしたステラを見て、ついさっきも同じ顔の女の子に同じような事を言われたのを思い出した。髪型や雰囲気が違うから見分けがつくけど、黙ってたらフェリシアも見分けがつかないくらいそっくりなんだよなぁ。
後ろでミアが小さく笑っているのを見て、なんか恥ずかしくなってきた。あまりコミュニケーションをとる、という事が得意じゃないんだ。前世から話す人なんていなかったし、誰も俺のつまらない話なんて興味ないだろう、と思うと用件だけ話して終わりにした方がお互いのためだと思っていたから…こんな風にもっとゆっくり話してほしい、なんて言われるのは新鮮だ。
「あぁ~。…その、ごめん。フェリシアに言われてきたんだ。ステラが呼んでるって。もし今時間があったら、って、天気もいいしさ。少し一緒に話せないかな。」
「うん!いいよ!今2人のお茶を用意するから、座って待っててくれる?」
さっきとは違い、笑顔のステラはすぐ後ろにある椅子をチラッと目配せすると、読んでいた本をテーブルに置いて家の中に速足で行った。
「アレン様。女性というのはもう少し…」
「わかった、わかったよ!俺が悪かった。もう少し会話を楽しむように心がけるから!」
ミアが後ろから小さな声で言いかけたが、内容は聞かずとも分かる。俺に足りない社交辞令や会話を楽しむ貴族としてのマナーがない、という事だ。
俺は椅子に座ると、目の前のテーブルの上に広げられたノートや本を見た。魔導書のようなものと、魔術関連の書き込みだろう。かなり高度なもののようで、今の俺には理解ができない。前世で見た量販型の簡易魔法とは全く別物のようだ。
ステラは俺と同時期に学校へ行かなくなると、魔法の勉強を始めた。力がなくても、誰かを守れるようになりたい。という彼女は父、ルシアンの能力を色濃く受け継いだようで、魔導師としての才能を開花させていた。詳しい話は専門外の俺にはわからないが、12歳では異例の実力で、すでに実践レベルで強くなっているらしい。
まぁ、当の本人にその自覚がないせいか、まだ実践にも出ていないし、成果もあげていないのだが…。この魔導書やノートにある書き込みをみれば実力の高さは俺でもわかる。
「おまたせ~。お菓子もあるんだよ。ゆっくりしていってね!」
「ありがとうございます。ステラ様」
「ありがとうステラ。この魔導書はすごいね…。何が書いてあるかさっぱりわからないや」
「お父さんに教えてもらいながらたくさん勉強したからね。例えばほら、こんな事とかもできるんだよ?」
ステラは喋りながら椅子に座り、お皿に並んでいるお菓子を見ると、人差し指をたててお菓子のクッキーめがけてヒュッと指を降ろす。
次の瞬間、クッキーが急に半分にパキっと音を立てて割れた。
「どう?風魔法なんだけど、空気の刃で半分に割ったの。魔力の調整や小さい的に当てるの大変なんだからっ!」
自慢げに話すステラをよそに、俺は割れたクッキーを手に持つと、ミアに視線を送る。ミアは静かに一度だけ首を縦に動かした。
切り裂き魔の犯行と似ている。
でも、この無邪気なステラがそんなことをするのか?ただ、手口がすごい似ている。繊細な技術で誰にでもできるものでは無いということを考えると、万が一にも…という言葉が脳裏をかすめてしまう。標的をかなり離れたところから狙っているのかもしれないし、最悪フェリシアはそれを知っていてステラをかばっているのかもしれない。ここに連れてきたのは俺に何かを気づかせるためなのか?
なんで俺はここに今日呼ばれたんだ。なんでわざわざこんな切り裂き魔と同じような手口の風魔法を俺に見せた?
「どうしたの?そんなに珍しい?風魔法?」
クッキーを見ながら考え事をしていた俺にステラが若干心配そうに話しかけてきた。そりゃそうだよな。魔法を披露しただけなのに、きっと喜ぶとか、驚くと思っていただろうに俺たちが予想外の反応をしたからだ。
「い、いや。器用なもんだなって思って。俺ならテーブルごと斬りそうだ!」
俺は自分の中にある疑心を隠すように、わざと大げさに笑ってみせた。無邪気なステラが、人を傷つけることなんてするはずないし、フェリシアがそれを隠そうとするわけもない。俺は自分の中にある疑心に目を背けた。
「あはは!アレン君には確かに無理そう!テーブルごとズバッと斬っちゃってミアさんに怒られてそう!」
「ステラ様のおっしゃる通りです。アレン様は加減が出来ませんのでこのような繊細な事は出来ないでしょう。…まぁ、魔法が使えるようになれば、の話ですが」
「え?アレン君魔法使えないの?」
ミアが一瞬ハッとした顔を見せたが、俺の方をチラッと見るなり何事もなかったかのように目を閉じた。
「ミア!その事は内緒にって言ったのに!…はぁ。そうだよ。魔法についてはミアからも教えてもらってはいるんだけど、まだ使えない。才能がないのかもしれないね」
俺はミアに抗議するが、それよりもステラが驚いたように俺の方へ視線を送ってきた方に気がいってしまったのでミアを責めるのは一旦やめた。
ステラが驚くのも無理はない。俺もなにかしらの魔法は多分使えるはずなんだ。ルシアンに前診てもらったとき、魔力は感じるから何かしらの魔法が使えるようになると思う。という話を聞いてからミアに教えてもらったり鍛錬と言うものはしているのだが…火も水も風も何の属性魔法も芽が出ない。
あまり意識していなかったけど、少しガッカリしたようにステラには見えてしまったのかもしれない。彼女は気を使うように声をかけてくれた。
「その、大丈夫だよ!わたしもこんなたくさん勉強してやっと最近魔法が使えるようになってきたんだよ?最初は失敗ばかりだったし、やっとコツを掴んだ感じがするの!」
「わかるわかる!こんなに一生懸命ノートに書き込まれているんだ。偉大な魔術士様になるんだろうなって思うよ」
全く悪気は無かったんだけど、やり場のないモヤモヤが心にあるせいで、少し言い方が悪くなってしまった。場に重たい空気が流れる。ステラも困ったような顔をしてしまった。いや、俺がさせてしまった。前世では憧れの女の子だったのに、最近はステラやフェリシアと話すことが当たり前になってきたから最近は有難みというのを忘れているのかもしれない。悪気は本当になかったんだけど、どうにかこの空気を改善しなくては…。
俺たちふたりの長い沈黙を見かねたミアが、軽くため息をつくとわざとらしく明るい口調で俺たちに話題を振ってくれた。
「アレン様、ミア様は実際に4大元素マスターの称号に今最も近い存在になりつつあるんですよ。特に、ステラ様のその見た目からは想像できませんが、使う魔術は攻撃魔法特化型で、本気を出せば王都の騎士団、一個小隊程度ならステラ様お一人でも撃破できる程の実力があるかと思われます」
「ま、マジかよ!!」
正直驚いた。こんな可愛い見た目して、補助魔法や回復系よりも攻撃魔法が得意だなんて…しかも王都の1個小隊をたった1人で撃破とか、そんな恐ろしい事できるのかよ。
「はい。このミアも、ステラ様と腕試しとなると、もう太刀打ちできません」
「そんな、私なんてまだまだですよ!もっと強くなって、もっともっとたくさん魔法を覚えていかないと!」
目の前で体をクネクネさせている可愛い少女が騎士団の一個小隊を壊滅できる魔法使い…。それがもっと強くなるって言うのだから喧嘩した瞬間に国がひとつ焼け野原になるような、デストロイヤー的存在になるのではないか?
…笑顔で国を焼け野原にするステラを想像すると背筋がゾワっと寒くなるのがわかった。彼女を敵に回すのはやめておこう…。
「ところで、アレン君。明日は何か予定あるの?」
目の前にいる大量殺戮兵器候補…もとい、ステラはモジモジして頬を赤らめながら、なにやら言いにくそうに声をかけてきた。
「明日?特にないから、いつも通りミアと特訓かなぁ。…こいつ、全然手加減してくれなくてさぁ。今日もボッコボコにされて痛いのなんのって」
腕のあざをステラに見せながらミアを軽く睨みつけた。ミアはそんなの知らないって顔で出された紅茶をすすっている。このアザと、さっきの助け舟でお互い様。とでも言いたそうな雰囲気だ。
「そ、そうなんだ。ねぇミアさん?明日の午後、アレン君とお買い物に行っちゃダメかな。できれば、2人で行きたいんだけど…」
まさかのデートイベント発生に驚いて、ミアも体が大きく揺れた。平常心を装っているが、きっと今心の中はグチャグチャだと思う。
それにしても、いつの間にかステラは俺に対する友好値MAXだったってことか!?こ、これはぜひ2人で行くべきだと思う!
「わ、私は構いませんが…。アレン様、いかがでしょうか?」
「いいんじゃないかな!ステラも強いし、俺も昔より強くなったからさ!町の中くらい、ミアがいなくても、ステラを安全にエスコートしてみせるさ!ミアが大丈夫、ってことなら問題ないでしょ。」
「…かしこまりました。アレン様」
上擦った声で喜びに震える手でクッキーを無理やり掴み頬張る。
買い物を2人でする姿を想像して完全に顔の筋肉が緩み切っているのがわかるし、それを見るミアの視線が痛いのだが、緩んだ口元が元に戻らない…。
「と、いうことで明日は大丈夫だよ」
「ほ、ほんとう?ありがとうアレン君!!明日の午後、噴水の前で待ち合わせね!約束だよ?」
ステラとデート…ステラとふたりっきり…。
正直、ミア以外の女の子と2人っきりというのは初めてだった。今も前世もなかった女の子とのデート。しかも憧れのステラと2人っきりという展開に、この時の俺は、完全にのぼせきっていた。
ブランシュ家についた俺たちは、庭のテラスに座る人影に声をかけた。
「アレン君!それにミアさんも!いらっしゃい!」
「お邪魔致します。ステラ様」
「フェリシアが、ステラが呼んでるって言うから来たんだけど、俺に何か用?」
「…もうっ!もう少しアレン君はお話を楽しめないかなぁ。すぐに本題に入ろうとするとこ、あんまりよくないよ!」
う”…。
ぷくーっと膨れた顔をしたステラを見て、ついさっきも同じ顔の女の子に同じような事を言われたのを思い出した。髪型や雰囲気が違うから見分けがつくけど、黙ってたらフェリシアも見分けがつかないくらいそっくりなんだよなぁ。
後ろでミアが小さく笑っているのを見て、なんか恥ずかしくなってきた。あまりコミュニケーションをとる、という事が得意じゃないんだ。前世から話す人なんていなかったし、誰も俺のつまらない話なんて興味ないだろう、と思うと用件だけ話して終わりにした方がお互いのためだと思っていたから…こんな風にもっとゆっくり話してほしい、なんて言われるのは新鮮だ。
「あぁ~。…その、ごめん。フェリシアに言われてきたんだ。ステラが呼んでるって。もし今時間があったら、って、天気もいいしさ。少し一緒に話せないかな。」
「うん!いいよ!今2人のお茶を用意するから、座って待っててくれる?」
さっきとは違い、笑顔のステラはすぐ後ろにある椅子をチラッと目配せすると、読んでいた本をテーブルに置いて家の中に速足で行った。
「アレン様。女性というのはもう少し…」
「わかった、わかったよ!俺が悪かった。もう少し会話を楽しむように心がけるから!」
ミアが後ろから小さな声で言いかけたが、内容は聞かずとも分かる。俺に足りない社交辞令や会話を楽しむ貴族としてのマナーがない、という事だ。
俺は椅子に座ると、目の前のテーブルの上に広げられたノートや本を見た。魔導書のようなものと、魔術関連の書き込みだろう。かなり高度なもののようで、今の俺には理解ができない。前世で見た量販型の簡易魔法とは全く別物のようだ。
ステラは俺と同時期に学校へ行かなくなると、魔法の勉強を始めた。力がなくても、誰かを守れるようになりたい。という彼女は父、ルシアンの能力を色濃く受け継いだようで、魔導師としての才能を開花させていた。詳しい話は専門外の俺にはわからないが、12歳では異例の実力で、すでに実践レベルで強くなっているらしい。
まぁ、当の本人にその自覚がないせいか、まだ実践にも出ていないし、成果もあげていないのだが…。この魔導書やノートにある書き込みをみれば実力の高さは俺でもわかる。
「おまたせ~。お菓子もあるんだよ。ゆっくりしていってね!」
「ありがとうございます。ステラ様」
「ありがとうステラ。この魔導書はすごいね…。何が書いてあるかさっぱりわからないや」
「お父さんに教えてもらいながらたくさん勉強したからね。例えばほら、こんな事とかもできるんだよ?」
ステラは喋りながら椅子に座り、お皿に並んでいるお菓子を見ると、人差し指をたててお菓子のクッキーめがけてヒュッと指を降ろす。
次の瞬間、クッキーが急に半分にパキっと音を立てて割れた。
「どう?風魔法なんだけど、空気の刃で半分に割ったの。魔力の調整や小さい的に当てるの大変なんだからっ!」
自慢げに話すステラをよそに、俺は割れたクッキーを手に持つと、ミアに視線を送る。ミアは静かに一度だけ首を縦に動かした。
切り裂き魔の犯行と似ている。
でも、この無邪気なステラがそんなことをするのか?ただ、手口がすごい似ている。繊細な技術で誰にでもできるものでは無いということを考えると、万が一にも…という言葉が脳裏をかすめてしまう。標的をかなり離れたところから狙っているのかもしれないし、最悪フェリシアはそれを知っていてステラをかばっているのかもしれない。ここに連れてきたのは俺に何かを気づかせるためなのか?
なんで俺はここに今日呼ばれたんだ。なんでわざわざこんな切り裂き魔と同じような手口の風魔法を俺に見せた?
「どうしたの?そんなに珍しい?風魔法?」
クッキーを見ながら考え事をしていた俺にステラが若干心配そうに話しかけてきた。そりゃそうだよな。魔法を披露しただけなのに、きっと喜ぶとか、驚くと思っていただろうに俺たちが予想外の反応をしたからだ。
「い、いや。器用なもんだなって思って。俺ならテーブルごと斬りそうだ!」
俺は自分の中にある疑心を隠すように、わざと大げさに笑ってみせた。無邪気なステラが、人を傷つけることなんてするはずないし、フェリシアがそれを隠そうとするわけもない。俺は自分の中にある疑心に目を背けた。
「あはは!アレン君には確かに無理そう!テーブルごとズバッと斬っちゃってミアさんに怒られてそう!」
「ステラ様のおっしゃる通りです。アレン様は加減が出来ませんのでこのような繊細な事は出来ないでしょう。…まぁ、魔法が使えるようになれば、の話ですが」
「え?アレン君魔法使えないの?」
ミアが一瞬ハッとした顔を見せたが、俺の方をチラッと見るなり何事もなかったかのように目を閉じた。
「ミア!その事は内緒にって言ったのに!…はぁ。そうだよ。魔法についてはミアからも教えてもらってはいるんだけど、まだ使えない。才能がないのかもしれないね」
俺はミアに抗議するが、それよりもステラが驚いたように俺の方へ視線を送ってきた方に気がいってしまったのでミアを責めるのは一旦やめた。
ステラが驚くのも無理はない。俺もなにかしらの魔法は多分使えるはずなんだ。ルシアンに前診てもらったとき、魔力は感じるから何かしらの魔法が使えるようになると思う。という話を聞いてからミアに教えてもらったり鍛錬と言うものはしているのだが…火も水も風も何の属性魔法も芽が出ない。
あまり意識していなかったけど、少しガッカリしたようにステラには見えてしまったのかもしれない。彼女は気を使うように声をかけてくれた。
「その、大丈夫だよ!わたしもこんなたくさん勉強してやっと最近魔法が使えるようになってきたんだよ?最初は失敗ばかりだったし、やっとコツを掴んだ感じがするの!」
「わかるわかる!こんなに一生懸命ノートに書き込まれているんだ。偉大な魔術士様になるんだろうなって思うよ」
全く悪気は無かったんだけど、やり場のないモヤモヤが心にあるせいで、少し言い方が悪くなってしまった。場に重たい空気が流れる。ステラも困ったような顔をしてしまった。いや、俺がさせてしまった。前世では憧れの女の子だったのに、最近はステラやフェリシアと話すことが当たり前になってきたから最近は有難みというのを忘れているのかもしれない。悪気は本当になかったんだけど、どうにかこの空気を改善しなくては…。
俺たちふたりの長い沈黙を見かねたミアが、軽くため息をつくとわざとらしく明るい口調で俺たちに話題を振ってくれた。
「アレン様、ミア様は実際に4大元素マスターの称号に今最も近い存在になりつつあるんですよ。特に、ステラ様のその見た目からは想像できませんが、使う魔術は攻撃魔法特化型で、本気を出せば王都の騎士団、一個小隊程度ならステラ様お一人でも撃破できる程の実力があるかと思われます」
「ま、マジかよ!!」
正直驚いた。こんな可愛い見た目して、補助魔法や回復系よりも攻撃魔法が得意だなんて…しかも王都の1個小隊をたった1人で撃破とか、そんな恐ろしい事できるのかよ。
「はい。このミアも、ステラ様と腕試しとなると、もう太刀打ちできません」
「そんな、私なんてまだまだですよ!もっと強くなって、もっともっとたくさん魔法を覚えていかないと!」
目の前で体をクネクネさせている可愛い少女が騎士団の一個小隊を壊滅できる魔法使い…。それがもっと強くなるって言うのだから喧嘩した瞬間に国がひとつ焼け野原になるような、デストロイヤー的存在になるのではないか?
…笑顔で国を焼け野原にするステラを想像すると背筋がゾワっと寒くなるのがわかった。彼女を敵に回すのはやめておこう…。
「ところで、アレン君。明日は何か予定あるの?」
目の前にいる大量殺戮兵器候補…もとい、ステラはモジモジして頬を赤らめながら、なにやら言いにくそうに声をかけてきた。
「明日?特にないから、いつも通りミアと特訓かなぁ。…こいつ、全然手加減してくれなくてさぁ。今日もボッコボコにされて痛いのなんのって」
腕のあざをステラに見せながらミアを軽く睨みつけた。ミアはそんなの知らないって顔で出された紅茶をすすっている。このアザと、さっきの助け舟でお互い様。とでも言いたそうな雰囲気だ。
「そ、そうなんだ。ねぇミアさん?明日の午後、アレン君とお買い物に行っちゃダメかな。できれば、2人で行きたいんだけど…」
まさかのデートイベント発生に驚いて、ミアも体が大きく揺れた。平常心を装っているが、きっと今心の中はグチャグチャだと思う。
それにしても、いつの間にかステラは俺に対する友好値MAXだったってことか!?こ、これはぜひ2人で行くべきだと思う!
「わ、私は構いませんが…。アレン様、いかがでしょうか?」
「いいんじゃないかな!ステラも強いし、俺も昔より強くなったからさ!町の中くらい、ミアがいなくても、ステラを安全にエスコートしてみせるさ!ミアが大丈夫、ってことなら問題ないでしょ。」
「…かしこまりました。アレン様」
上擦った声で喜びに震える手でクッキーを無理やり掴み頬張る。
買い物を2人でする姿を想像して完全に顔の筋肉が緩み切っているのがわかるし、それを見るミアの視線が痛いのだが、緩んだ口元が元に戻らない…。
「と、いうことで明日は大丈夫だよ」
「ほ、ほんとう?ありがとうアレン君!!明日の午後、噴水の前で待ち合わせね!約束だよ?」
ステラとデート…ステラとふたりっきり…。
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