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「アレン君!ここ!この店なんだけど、いつも勇気が出なくて…一緒に入ってくれるかな…」
(ま、マジかよ…ここって)
俺はステラに連れてこられるがまま、ロザンブルクにできた冒険者ギルドの入口に立っていた。
前世ではこの建物はなかった。いや、前世ではロザンブルクという町はなく、あくまでも小さなロザーク領というくくりでしかなかったんだ。今回の人生で町が栄えたからこそ、冒険者ギルドなんかができたのだろう。
正直苦手だったんだ。前世ではほとんど関わりなかったし、痛いのが嫌な俺は喧嘩やモンスター退治とか絶対に無理だし、野蛮そうな冒険者とそもそもかかわりを持つことが嫌だった。
「こ、ここって冒険者ギルドだよね?ステラ、なにか間違えてない?」
「間違えてないよ!前お姉ちゃんと来たけど、絶対ダメ!って言われて連れ返されちゃったから今日はアレンと来たんだ!一人だとどうしても入る勇気がなくて…」
あ、これダメだ。中に入ったら後戻りできないやつだ。フェリシアは一度ここに来てダメって言ってるのを俺なんかが連れて行っていいわけがない。ブランシュ家がダメと言っているかフェリシアがダメと言っているかわからないけど、他人の僕が連れていっていい場所ではない事だけはわかる。
子供同士なら『探検ごっこの延長』で迷い込んじゃった~!とか言ってもいいのだろうけど…、俺の中身は子供じゃないし、せっかく今回の人生ではステラたちといい感じの距離感を保っているのに、これが原因でステラが何かに巻き込まれでもしたら今までのすべてが水の泡になってしまう…。少なくとも俺がそんな言い訳をしても誰も味方にはなってくれないだろう。
「うーーん…」
俺は腕を組んで進むべきか、フェリシアの意見を尊重しステラには悪いが帰るべきか悩んでいると、ステラが甘えた子猫のような顔で急に目の前をのぞき込んできた。
「アレン君…やっぱりだめ…なの?」
少し寂しそうなステラの顔が胸を締め付ける。そりゃあ俺だって、連れて行ってあげたいけど、なにか理由があってフェリシアもダメだと言ってるんだろうしなぁ…。
少し強い風が吹き抜けると、ステラの髪が俺の頬を撫でた。
その瞬間、静電気のような刺激があると、脳内に映像が流れ込んできた。
ロザンブルクではなく、前世の街並みが見えた。
風の強い日、今までは軽い怪我だけだったのに急に度を越した流血事件になったこと。
父上が領内で発生している領民が行方不明になる事件に頭を抱えていること。
この事件後、屋敷の雰囲気が変わり、いつの間にかミアもいなくなり没落が加速すること
断片的だけど、鮮明に、リアルな感覚があった。風を受けた感じ、目の前で父上が困っている場の空気、ミアがいなくなった時の空虚感、没落している事が幼いながらに理解して焦っていた内情…。すべてが生々しかった。
「・・レン君!…アレン君!!」
「っ!…あ、あぁ。どうしたの? ステラ」
「ど、どうしたの?って、アレン君が急にボーっとしちゃったから、どうしたのかすごい心配になったんだよ!」
またか…5年前のフェリシアの事件の時も急に前世の記憶が断片的に流れ込んでくるような感じだったんだよな…。でもあの時よりもかなり生々しい感覚だった。これは何か理由がある?
確かこの流血事件をきっかけにロザーク家が没落する速度が加速するのか。この事件がきっかけなのかもしれない。この切り裂き魔事件を解決しないと…ミアもまた前世と同じくどこかに行ってしまうかもしれない。
「ちょっと、聞いてる?アレン君、大丈夫?」
「うん、もう大丈夫。ごめんごめん、ステラとのお出かけに昨日緊張しちゃって寝不足でさ」
「もう、変なアレン君」
笑顔のステラを見ながらさっきの記憶のことを考える。一番気になるのは切り裂き魔と言いながらも、いつも軽度な傷だけだったのがある日を境に流血事件、失踪事件に進展しているところだ。記憶の中の日は風が強かった。
さっきも突風が吹いていたし、その風が強い日、というのは今日のことでは?
そう考えると全身に寒気が走った、この場所から離れた方がいいのでは?なにもおきないかもしれないが、最近はロザンブルク内で切り裂き魔が出ている。これは前世と同じだ。問題は場所や時間なのだが、そこまでは覚えていない。風が強い日、という事しか覚えていないが、このまま外にいては前世と同じになって流血事件、最悪ステラまで巻き込まれてしまう…。まずは風がおさまるまで一旦身を隠した方がよさそうだ…。
「ステラ、中に入ってみようか?」
「えっ!?いいの?」
「一応、立ち入り禁止、ってことではないし、もし追い出されちゃったら諦めるってことでいいんじゃないかな」
「うんうん!行ってみよう!」
僕の提案にステラはすごく驚いた顔をしていたけど、ご褒美をもらった子供みたいに急にはしゃいで中に入っていった。俺もそのあとを急いでついていく。
それにしても、なんで冒険者ギルドなんかにステラは来たかったのだろう?前世にはなかったロザンブルクという町の冒険者ギルド。俺も見るのは初めての物ばかりだ。
切り裂き魔は屋外でしか発生しない。屋内で斬られた。というのは前世でも、この世界でも聞いたことはない。ここにいればひとまず安心だろう…。そう思って意気揚々と歩くステラを追いかけた。
(ま、マジかよ…ここって)
俺はステラに連れてこられるがまま、ロザンブルクにできた冒険者ギルドの入口に立っていた。
前世ではこの建物はなかった。いや、前世ではロザンブルクという町はなく、あくまでも小さなロザーク領というくくりでしかなかったんだ。今回の人生で町が栄えたからこそ、冒険者ギルドなんかができたのだろう。
正直苦手だったんだ。前世ではほとんど関わりなかったし、痛いのが嫌な俺は喧嘩やモンスター退治とか絶対に無理だし、野蛮そうな冒険者とそもそもかかわりを持つことが嫌だった。
「こ、ここって冒険者ギルドだよね?ステラ、なにか間違えてない?」
「間違えてないよ!前お姉ちゃんと来たけど、絶対ダメ!って言われて連れ返されちゃったから今日はアレンと来たんだ!一人だとどうしても入る勇気がなくて…」
あ、これダメだ。中に入ったら後戻りできないやつだ。フェリシアは一度ここに来てダメって言ってるのを俺なんかが連れて行っていいわけがない。ブランシュ家がダメと言っているかフェリシアがダメと言っているかわからないけど、他人の僕が連れていっていい場所ではない事だけはわかる。
子供同士なら『探検ごっこの延長』で迷い込んじゃった~!とか言ってもいいのだろうけど…、俺の中身は子供じゃないし、せっかく今回の人生ではステラたちといい感じの距離感を保っているのに、これが原因でステラが何かに巻き込まれでもしたら今までのすべてが水の泡になってしまう…。少なくとも俺がそんな言い訳をしても誰も味方にはなってくれないだろう。
「うーーん…」
俺は腕を組んで進むべきか、フェリシアの意見を尊重しステラには悪いが帰るべきか悩んでいると、ステラが甘えた子猫のような顔で急に目の前をのぞき込んできた。
「アレン君…やっぱりだめ…なの?」
少し寂しそうなステラの顔が胸を締め付ける。そりゃあ俺だって、連れて行ってあげたいけど、なにか理由があってフェリシアもダメだと言ってるんだろうしなぁ…。
少し強い風が吹き抜けると、ステラの髪が俺の頬を撫でた。
その瞬間、静電気のような刺激があると、脳内に映像が流れ込んできた。
ロザンブルクではなく、前世の街並みが見えた。
風の強い日、今までは軽い怪我だけだったのに急に度を越した流血事件になったこと。
父上が領内で発生している領民が行方不明になる事件に頭を抱えていること。
この事件後、屋敷の雰囲気が変わり、いつの間にかミアもいなくなり没落が加速すること
断片的だけど、鮮明に、リアルな感覚があった。風を受けた感じ、目の前で父上が困っている場の空気、ミアがいなくなった時の空虚感、没落している事が幼いながらに理解して焦っていた内情…。すべてが生々しかった。
「・・レン君!…アレン君!!」
「っ!…あ、あぁ。どうしたの? ステラ」
「ど、どうしたの?って、アレン君が急にボーっとしちゃったから、どうしたのかすごい心配になったんだよ!」
またか…5年前のフェリシアの事件の時も急に前世の記憶が断片的に流れ込んでくるような感じだったんだよな…。でもあの時よりもかなり生々しい感覚だった。これは何か理由がある?
確かこの流血事件をきっかけにロザーク家が没落する速度が加速するのか。この事件がきっかけなのかもしれない。この切り裂き魔事件を解決しないと…ミアもまた前世と同じくどこかに行ってしまうかもしれない。
「ちょっと、聞いてる?アレン君、大丈夫?」
「うん、もう大丈夫。ごめんごめん、ステラとのお出かけに昨日緊張しちゃって寝不足でさ」
「もう、変なアレン君」
笑顔のステラを見ながらさっきの記憶のことを考える。一番気になるのは切り裂き魔と言いながらも、いつも軽度な傷だけだったのがある日を境に流血事件、失踪事件に進展しているところだ。記憶の中の日は風が強かった。
さっきも突風が吹いていたし、その風が強い日、というのは今日のことでは?
そう考えると全身に寒気が走った、この場所から離れた方がいいのでは?なにもおきないかもしれないが、最近はロザンブルク内で切り裂き魔が出ている。これは前世と同じだ。問題は場所や時間なのだが、そこまでは覚えていない。風が強い日、という事しか覚えていないが、このまま外にいては前世と同じになって流血事件、最悪ステラまで巻き込まれてしまう…。まずは風がおさまるまで一旦身を隠した方がよさそうだ…。
「ステラ、中に入ってみようか?」
「えっ!?いいの?」
「一応、立ち入り禁止、ってことではないし、もし追い出されちゃったら諦めるってことでいいんじゃないかな」
「うんうん!行ってみよう!」
僕の提案にステラはすごく驚いた顔をしていたけど、ご褒美をもらった子供みたいに急にはしゃいで中に入っていった。俺もそのあとを急いでついていく。
それにしても、なんで冒険者ギルドなんかにステラは来たかったのだろう?前世にはなかったロザンブルクという町の冒険者ギルド。俺も見るのは初めての物ばかりだ。
切り裂き魔は屋外でしか発生しない。屋内で斬られた。というのは前世でも、この世界でも聞いたことはない。ここにいればひとまず安心だろう…。そう思って意気揚々と歩くステラを追いかけた。
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