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第十六話 正気に
しおりを挟む[楓視点]
私の名前は比高 楓。
今年で中学3年生になる。
そんな私の本当のお母さんが私が幼い頃に不幸な事故で亡くなっている。
暫くお父さんと2人で暮らしていたけど、ある時お父さんは再婚したのだ。
新しいお母さんのところには私よりも1歳上の息子がいたのだ。
私はその人のことをお兄ちゃんと呼んで、慕っていた。
今では黒歴史だけど。
私が中学1年の時にお兄ちゃんと呼んでいた人よりも凄くカッコよくて優しい人を見つけたのだ。
それから私は近所の姉のように慕っている人達と同じようにその人のことを囲むように過ごすようになる。
それから、どんどんと彼のことを分かっている女子が集まるようになり、ハーレムが作られたのだ。
私のそのハーレムの中に入られてとても嬉しかった。
何時しか、彼のことを好きになり、何でもしたいと思うようになる。
そんな時、彼からお願いされたのだ。
私の黒歴史の人を陥れたいと。
黒歴史の人を陥れるように私は嬉々として動く。
それから、黒歴史の人は学校中の嫌われ者になったのだ。
この学校は中高一貫校だから退学しない限り、ずっとのそのままだ。
私、いや、私と姉のように慕っていた人は黒歴史の人を上から見ながら嘲笑っている。
大体1年後ぐらいに黒歴史の人のとなり私達よりも可愛い外国人の女子がいたのだ。
しかもその女子は黒歴史の人の婚約者らしい。
私、いや、私達は不思議でならない。
黒歴史の人よりも断然彼の方がいいのに。
私達は彼と一緒に説得したが、彼の良さを理解してくれなかったのだ。
私はあの女子に彼の良さを知ってもらう為に色々と考えていると、突然何かが割れる音が聞こえてくる。
その割れる音と同時に私が正気に戻ったような感覚も感じる。
正気に戻った私は手に持っていたスマホを落としたのだ。
そして、今までのことを思い出し、吐き出しそうになり、トイレに向かう。
あまりの気持ち悪さでトイレで吐いてしまう。
自身の嫌悪感に襲われていると顔が真っ青になることを思い出す。
わ、私、お兄ちゃんになんて酷いことを。
そ、それにお父さんとお母さんが離婚してしまった。
わ、私のせいで。
お父さんにもつ、伝えないと。
私はお父さんがいるリビングに向かう。
リビングに到着した私は顔を真っ青にしたお父さんを見ることになる。
お父さんは真っ青な顔のまま、頭を抱えていたのだ。
「わ、私はなんてことを。暁子と離婚したのだ?」
その後、私はお父さんに駆け寄る。
直ぐにお兄ちゃんとお母さんの元に向かうとしたけど、もう夕方だ。
だから、謝るのは明日。
夜には私が姉のように慕っていた人達とその両親が私達の家にやってくる。
私の家で話し合いが行われる。
話し合いの結果、明日の昼に皆で謝罪することに決まったのだ。
見送った後、私は直ぐに自分の部屋に向かう。
そして、クローゼットの奥に置かれているダンボールから昔兄ちゃんから誕生日プレゼントとして貰った熊のぬいぐるみを取りだす。
私は熊のぬいぐるみを抱きしめる。
抱きしめながら、私は後悔し続ける。
は、早く謝りたい。
お兄ちゃんとお母さんに。
今までのことを。
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