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第三十三話 真っ黒な空間
しおりを挟む衆議院議場の扉の前に到着する。
私は何も躊躇せずにその扉を開ける。
衆議院議場の中の入ると帰還者達の視線が私に集まる。
そして、明らかに警戒を露わにしていたのだ。
「お、お前は」
私が声をした方を向くと、見たことがある者がいたのだ。
あれは確か魔王を倒していたときに地面に倒れていた高校生の1人か。
見た感じ、1人だけのようだ。
「知り合いか?」
「あ、はい。私と同じように異世界に召喚された男です」
「ほぉ」
そう言い、テレビ局に送られてきた映像で喋っていた男が私の方を向いてくる。
「そうか、お前も帰還者か。もしかして、あの映像を見てここに来たのか?」
「残念ながら、違うな」
「そうか。なら、俺達に教えてくれないか?何故、お前は俺達のことを優遇しない国に不満を持ってないんだ?」
「それは簡単な話だ。私は異世界で婚約者を見つけ、こちらの世界に帰還した。質問の解答としてはそれ以外を望んでないからだ」
「異世界人の婚約者か。確かにそれなら国に不満を持たないな。じゃあ、何してに来た?」
「質問を返すようで悪いが。何故、衛視達を殺したのだ?気絶で済ませることも出来た筈だ」
「俺達の力を世間にみせつける為だ」
見せつける為だと?
そんな理由で、命懸けで職務を忠実に果たした者達を殺したのか。
ふざけるなよ。
身勝手な連中が。
「そうか。だが、見せつけてどうなる?いくら、ファンタジー的な力を持っていたとしても国家権力に踏み潰されるぞ?」
「それは大丈夫だ。ある者から大量に武器を仕入れているから、何も問題ない」
そう言い、男は親指である場所を指差す。
指差した先には大量の武器が山積みにされていたのだ。
山積みにされていた大量の武器は普通ではない。
中には銃みたいな物もあるが普通では無く無く、架空銃だ。
他にもこの現代社会にはあり得ないような武器ばかり。
あんな武器何処から仕入れたんだ?
それに、ある者ね。
まぁ、いいか。
後で、聞き出せばいい。
まずは制圧しよう。
私は正拳突きの構えをとる。
すると、高校生が騒ぎ始める。
「注意してくれ。あの男は訳の分からない武術を使う。使わせる前に無力化」
私が正拳突きを放つ前に男が黒い何かを取り出す。
その黒い何かを握り潰すと私の視界は真っ黒に塗り潰されたのだ。
視界が晴れると見知らぬ場所にいる。
また何も無い空間か。
まぁ、今回は真っ白な空間では無く、真っ黒な空間だがな。
うーん。
今回は何を修行しようか?
あ、やばいな。
ラナとの約束を破ってしまうかもしれないな。
もし、破ってしまっていたら、謝らないとな。
まぁ、それは後々だな。
今回は空手と基礎体力だな。
勿論、正拳突きも修行し続けるが、それは錆びない程度だ。
さて、今回は何年修行し続けるのだろう。
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