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第三十四話 理不尽な不満
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俺は異世界で英雄となり、現代日本に帰還した者だ。
帰還した俺は英雄になった事実を嬉々として語ったが、周りの者は信じられないという表情を浮かべていた。
なんで、俺の武勇伝が信じられないんだ?
その後、俺は頭が狂ったと言われ、精神病院に強制的に入院させられてしまう。
1週間ぐらいで退院できたが、全てを失った。
職を家族を恋人を。
そんな俺は酒に溺れるようになる。
貯金も直ぐに底をつき、金融会社に借金するようになった。
借金も直ぐに膨れ上がり、取り立てに追われ、アパートも追い出されてしまう。
俺はホームレスになるしか無くなったのだ。
河川敷沿いにダンボールで作った小さな小屋に住んでいる。
食料は市民団体がやっている炊き出しだけが主だ。
それ以外は殆ど小さな小屋の中で過ごしている。
なんでだ?
俺は異世界で悪を倒し英雄になっただぞ。
なのに、なのに、こんな惨めなことになっているんだよ。
そうか、分かったぞ。
今の日本が悪いんだ。
日本に要求すればいいのか。
俺には魔法がある。
それを使って、脅せば。
「それでは甘い。今の政府に不満を持つならば、私が武器が提供しよう」
突然の声が聞こえてくる。
入り口の方を向くと、黒いローブに身を包んだ者が立っていたのだ。
その者は闇の武器商人と名乗る。
闇の武器商人?
なんか怪しいな。
そんなことを思っていたが、闇の武器商人が何かの武器を渡してきたのだ。
その武器はこんな現代社会には存在しないファンタジー的な武器だ。
この武器があれば、日本に要求することが出来る。
それから俺は闇の武器商人から情報を仕入れ、理不尽な状況にある帰還者をかき集めたのだ。
ファンタジー的な武器をちらつかせ、不満を爆発させる。
不満を爆発させた中には未成年者もいたが、関係ない。
人手はいるだけいい。
そう言えば、帰還者の高校生内1人しか参加しなかった。
まぁ、いいか。
その後、俺達は計画を立てて、準備を始める。
そして、ついに決行当日になったのだ。
俺達は車で国会議事堂に向かう。
国会議事堂の正面に車を止め、闇の武器商人から購入したファンタジー的な武器を取り出す。
そのファンタジー的な武器を使って、衛視達を殺した。
衛視達は盾などのお粗末な武器で攻撃してきたので、魔法で蹂躙してやったな。
まぁ、俺達の力を見せつける意味もあったが。
国会議事堂の衆議院議場を制圧した俺達はテレビ局に映像を送る。
俺達の要求したことが認めれるまで、占領した衆議院議場で待機しているといきなり扉が開いたのだ。
扉のところに立っていたのは高校生ぐらいの男だった。
警戒していると仲間の1人が声を上げる。
どうやら、知っているようだ。
そうか、あれが。
闇の武器商人から注意されていた。
1人の帰還者に注意しろと。
その帰還者の対策として私はある物を貰っている。
俺はそれをいつでも出せるようにしておく。
危険視した帰還者が正拳突きの構えをとる同時にある物を握り潰す。
すると、危険視していた帰還者は黒い何かに包まれてこの場から姿を消したのだ。
これで、大丈夫だろう。
闇の武器商人から貰ったのは使用した者を何も無い真っ黒な空間に100年間閉じ込めることができる魔法具だ。
何も無い真っ黒な空間だ。
そんなところで100年間閉じ込められば精神が狂うだろう。
さて、政府から返事はきているか?
もう死んだも同然の帰還者のことなど忘れ、他のことを気にし始める。
身勝手な不満だというのに、帰還者達はそんなことを思ってない。
それが正当な不満だと信じているからだ。
武力で国会議事堂を占領し、衛視を殺した殺人犯でもあり、反逆者でもあるのにも関わらず。
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