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第10話 非公式の婚約者
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辺境伯の屋敷に来ていた。そして、執事に応接室に案内された。その部屋には、辺境伯とテレスと何故か父上もいた。
「何故、父上がいるのですか」と、父上に疑問を投げかけた。
「まぁ、その理由はすぐにわかる、だから取り敢えず座りなさい」と、言ってきた。
テレスの向かい側に座ったが、テレスの顔は、少し赤かった。
「これで、全員揃いましたね」と、辺境伯が言った。
「唐突で悪いけど、まだ婚約者はいないよね」と、僕に聞いてきた。
「ええ、いませんけど、それがどうしたんですか?」と、辺境伯に返した。
「うちの娘のテレスを婚約者にしてくれないか?」と、僕に聞いてきた。
その言葉を聞いて、僕は驚いた。その時、テレスの顔は赤かった。「それは、とても嬉しいのですが、僕の爵位では婚約者になることはできませんよ」と、辺境伯に疑問を投げかけた。
「それについては、非公式の婚約ということになる。多分だが、君はもっと、功績を挙げ、爵位をあげることができると私は考えている」と、僕の問いに答えた。
僕は、その言葉を聞いてこのように考えた。テレスは、10歳からの友達で、2年間同じ屋敷で過ごし、いつも隣にいてくれて、貴族学院襲撃の際に一番最初に頭に浮かんだ。そして、テレスを婚約者にする為に功績を挙げるならば、頑張りたいと感じた。
僕は、覚悟を決め、「辺境伯、僕に貴殿の大切な娘さんのこれからも隣にいさせてください」と、辺境伯の目を見ながら、言った。
その目を見た辺境伯は、「ああ、娘をよろしく頼むぞ」と、言った。
「辺境伯、父上、テレスと一緒に少し行きたい場所があるので、行ってきてもいいですか」と、聞いた。
「「ああ、いいぞ」」と、二人共答えてくれた。
僕は、テレスの前に移動し、テレスに向かって、手を伸ばした。「テレス、一緒に来てくれるか?」と。
テレスは、その問いを顔を赤くしながら、頷いてくれた。
僕は、テレスの手を取り、テレスをお姫様抱っこした。そして、窓を開き、部屋の中にいる父上と辺境伯に行ってきますと言い、瞬足を使って窓から部屋を出た。
[綺麗な湖の近く]
僕は、目的の場所に着いた。そこは、透き通っている湖の周りに、黄色い花が一面に咲き誇っている。
テレスをお姫様抱っこから、下ろした。
テレスは、その景色を見て、「綺麗」と、感想を漏らした。
景色に見惚れているテレスに、膝をつきながら、後ろから彼女の名前を呼んだ。「テレス」と、穏やかな表情を浮かべながら。
テレスは、その声を聞くと僕の方に振り返った。振り返ったことを確認した僕は、「テレス、僕を君の婚約者にしていただけますか?」と言い、手をテレスの方に伸ばした。
テレスは、僕の手を取り、「はい、私をアレクくんの婚約者にしてください」と、どんな花よりも美しい笑顔を浮かべた。
僕は、その返答を聞き、彼女の手にキスを落とした。
この日、僕はテレスと婚約関係になった。
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