美女エルフの異世界道具屋で宝石職人してます

網野ホウ

文字の大きさ
122 / 290
巨塊討伐編 第四章:遅れてきた者

休店直下 5

しおりを挟む
 爆発事故の現場調査に向かった者達が意識不明に陥った。セレナもその一人。
 救助活動を起こそうとするが、予測不能の事態にその意見もまとまらない。
 集まったほとんどの者に面識のない店主がワイアットに無理矢理連れて来られるも、その作戦を提言した。
 ところがその内容は、誰にとっても青天の霹靂であった。

「理由はある。だがその前に、俺が作った道具が使えりゃそれこそ実力者の頼みたいところだ。だがその小男が使わせねぇっつんならそれは無理だ」

「ちょっといいだろうか」

 落ち着いた口調で店主の説明の途中で口を挟む男が近寄る。

「我々は天流法国の勅命を受けてきた者だが、その道具とやらの代わりになる物を使えばどうだろうか? より速やかに救出作業に入りたいのだが」

 礼儀正しくも、高い目線からの言動が目に付くその男は店主と同じ人間のようだ。そしてその男の後ろに控える者達は、別の種族のようだが、同じ背広のような服装にネクタイと言う同じ姿をしている。
 だからと言って店主は畏まるわけでもない。

「代わりの物が使えるかどうかなんて知らねぇな。作戦立案に合わせた道具なのか、道具に合わせた作戦立案なのかってことだ。俺が呼ばれたってことは俺に助けてもらいてぇってことだろ? ならなんで俺の考えた作戦に合わせた道具を使わせねぇ?」

「その前にお前がセレナの詳しい状況聞かされてねぇだろ。俺達もお前の事なんざ知らねぇよ。そこの小男の言うことに似てるようで癪に障るが、それは事実だからな」
 店主と面識のない冒険者の一人から出た、店主に対する意見にほとんどの者達が同意する。

 頼りになる人が危険な状況に晒されている。誰だってその人の救助に、どこの誰ともわからないものに託したくはない。

「セレナ達が意識不明になった現場は、『爆発』が起きた現場って聞いた。あいつらはその現場の調査に向かった。その現場までの道に埋まってる石や岩の一部を何度か持ってきてもらった。それらを見て状況は大体把握できてる。把握できた上でのこの人選だ」

 店内はざわつく。いきなり現れた男が事実を知ろうとせずにいきなり現場の事は理解していると言う。
 うざったい小男よりはマシだろうが、それでもそんなことを口にする者を信頼するわけにはいかない。

「つーか、なんで俺が選ばれたのか理由を聞かせてくれねぇか? みんなが納得出来りゃ指示通りに動けるだろうが、今のままじゃ何とも動きようがねぇ」
 ワイアットの質問はもっともである。ましてや選ばれた者の一人で、他に選ばれた者達が所属するチームのリーダーの立場でもある。

 店主は眉間にしわを寄せながら、渋々その疑問に答え始めた。

「……人や物には、いろんな力が込められている。その力の違いはもちろんある。だがもともと持っている力よりも小さい器のモンはいねぇ。その力の大きさに合わせた器を持ってるってことだ」

「コップの中に水が入ってるようなものね」
 ヒューラーが合いの手を入れるが、その解釈は若干違ったようだ。

「いや、コップに例えるなら、その容量目一杯に水が入ってるってことだ。それはどんな人でもどんな物でもそう。そして力が衰えて来ると、その器も衰えた力に合わせちまう」

「コップの大きさが力の量に合わせて変わるってことか。空気が抜けてく風船みてぇだな」

「しかもその風船は、空気が抜けてもシワシワにはならない。常に膨らんでいる状態、つまりパンパンになったまま小さくなっていくってことだ」
 エンビーの解釈は概ね合っていた。しかしセレナの救助の話を聞きたい者達はその回りくどい説明にじれる思いを強くする。

「ところがセレナが持ってきた石の中には、その女が言うように、コップの中に水が入ってるような物が何個かあった。水が目いっぱい入っていないコップってわけだ」

「どういう意味だ? 力が減ってるだけのことだろ?」

 質問してくるブレイドを正面にし、逆に質問で返す店主。

「なぜ減るんだ? 減る理由はどこにある? お前らは例えば魔法や魔術を使うと、その分魔力が減るんじゃないか? 力仕事をすると疲れるだろ? 蓄えられた力を使って減ったからだ」

「その力を持った石だって同じなんじゃないのか?」
「石には、持ってる力を使おうとする意思はないだろう。石と意思をひっかけたわけじゃない。そこんとこにはツッこむんじゃねぇ」

 周囲からの疑問への店主の答えに、全員が言われてみればそうだと頷く。

「石に力があるだとか、その力が減ってるだとか、そんなの俺らに分かるわきゃねぇだろうが! 勝手なこと抜かすなや! だからお前はここじゃ役立たずなんだよ! 出てけっつったろうが!!」

 今まで静かになっていた小男が騒ぎ出す。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記

ノン・タロー
ファンタジー
 ごく普通の女子高生である「武久 佳奈」は、通学途中に突然異世界へと飛ばされてしまう。  これは何の特殊な能力もチートなスキルも持たない、ただごく普通の女子高生が、自力で会得した魔法やスキルを駆使し、元の世界へと帰る方法を探すべく見ず知らずの異世界で様々な人々や、様々な仲間たちとの出会いと別れを繰り返し、成長していく記録である……。 設定 この世界は人間、エルフ、妖怪、獣人、ドワーフ、魔物等が共存する世界となっています。 その為か男性だけでなく、女性も性に対する抵抗がわりと低くなっております。

平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。 そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。 カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。 やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。 魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。 これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。 エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。 第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。 旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。 ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

35年ローンと共に異世界転生! スキル『マイホーム』で快適5LDK引きこもり生活 ~数学教師、合気道と三節根で異世界を論破する~

月神世一
ファンタジー
紹介文 「結婚しよう。白い壁の素敵なお家が欲しいな♡」 そう言われて35年ローンで新築一戸建て(5LDK)を買った直後、俺、加藤真守(25歳)は婚約者に捨てられた。 失意の中、猫を助けてトラックに轢かれ、気づけばジャージ姿の女神ルチアナに異世界へと放り出されていた。 ​「あげるのは『言語理解』と『マイホーム』でーす」 ​手に入れたのは、ローン残高ごと召喚できる最強の現代住宅。 電気・ガス・水道完備。お風呂は全自動、リビングは床暖房。 さらには貯めたポイントで、地球の「赤マル」から「最新家電」までお取り寄せ!? ​森で拾った純情な狩人の美少女に胃袋を掴まれ、 罠にかかったポンコツ天使(自称聖騎士)が居候し、 競馬好きの魔族公爵がビールを飲みにやってくる。 ​これは、借金まみれの数学教師が、三節根と計算能力を武器に、快適なマイホームを守り抜く物語。 ……頼むから、家の壁で爪を研ぐのはやめてくれ!

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

処理中です...