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巨塊討伐編 第四章:遅れてきた者
休店直下 6
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「確かにその男の言う通りだ。だがまずあんたの説明を最後まで聞きてぇな」
ギスモの喚きよりも店主の解釈にほとんどの者が関心を示す。
さらに小男は騒ぎ出すが、それ以上によく通る声で店主は再び語りだす。
「力を使う意思がないなら、力が減る理由はほかにある。それはその力を使おうとするか奪い取ったり吸い取ろうとする意思を持つ者がどこかにいるってことだ。思い当たる節はあるんじゃねぇか?」
「まさか……巨塊?」
即答する者がいた。その答えに店主は否定をしない。
「厳密にはちょっと違うかもしれねぇな。だが巨塊とやらの仕業であることは確かだと思う。石が元々石出なかったらどうかと思ってな」
「体の中心から離れた体の一部が石化する……力が体の中心に流れていけば本来の姿から衰えた姿に変わる。それが石化、そして岩石や宝石に変わるっちゅうことかの?」
「俺はそう考えてる。吸い取られるっていうより、力の出涸らしってとこか。それでも力はまだ残ってる。けどその石が持つ器の元々の大きさには見合わない力だったということだ」
店主は、チェリムが予想した答えにもほぼ同意する。
自分の頭は体程年老いてはいないことにドヤ顔しきり。
だがその直後その顔は青ざめる。
「待てぃ! 外部の者から力を奪い取られる言うとったな? 逆に言えば……」
「流石じいさんだ。伊達に年くっちゃいねぇな」
「笑いごっちゃないぞい! テンシュよ! このままじゃ……」
一人事態を把握したような顔をするチェリムに、どういうことかと周囲の冒険者達が尋ねる。
「力を残した石からも力が本体に流れる現象があるかもしれねぇし、何より本体は生命体を取り込むんだろ? 本体から遠い距離にあるなら取り込まれる心配はないだろうが……」
店主の説明が店内に焦りを充満させた。
「巨塊本体に力が取り込まれるってことは、その範囲内にいるセレナ達も……?」
「犠牲者が出たのは爆発自体の被害者じゃなくて、力……生命力を吸い取られた結果……?」
「それは違う」
狼狽えて出てきた発言に即座に否定する店主。
「だったら洞窟内で動物や虫なんぞの死骸がゴロゴロしてていいはずだ。しかもセレナは帰ってくるたびに異様に疲れたような顔をしていた。それでも調査に協力する気があったんだから気力と体力は間違いなくあった」
「すると取られたのは……魔力?」
「確かに魔力を一度にたくさん使うと疲労度は強くなるし高くなるけど……」
まだそれほど力量はないが、ウィーナとミールも経験があるらしい。
「ウィリックや他の被害者も……」
「魔力がゼロまで取られた上に体力のほとんども奪われりゃ、体調崩すどころじゃねぇよな。ましてや爆発に巻き込まれたんだろ? 妄想だったらいいなと思いつつ、現実に起きた後じゃ時間が足りねぇ。そう思ったから、力を奪われる現象に対抗できる道具を作って救助に使えねぇかと思ったんだが、それを使わせられねぇとなったら力技で引っ張ってくるしかねぇ。そうなったら最終手段はただ一つ」
その店主の言葉は誰もが聞き捨てならなかった。
力を奪われることのない道具があるという。そしてその使用を禁じたのは作った店主ではない。
「おい、ギスモ! セレナの救助に必要な道具があるっつってんぞ! 売られてなきゃここにあるか倉庫にあるんだろ! 出せよ!」
「いつまでもお前に振り回されるつもりもねぇし、つまんねぇこと言ってる場合じゃねぇんだよ!」
全員がギスモに詰め寄るが、誰にも捕まらないように隙をついて素早く移動し続ける。
「うるせぇな! だから黙って俺の指示に従えよ馬鹿共がっ! 大体俺のセレナがそんなドジ踏むわきゃねぇだろうが!」
「ダメだこいつ……早く何とかしないと……」
ウィーナがそんなギスモを見て頭を抑える。
誰もが彼女の心境だろう。一番状況を把握していないのは店主ではないことだけは全員が理解した。
しかしまだ店主から話を全て聞いてはいない。
そのことに気付いたのはギースだった。
ギスモの喚きよりも店主の解釈にほとんどの者が関心を示す。
さらに小男は騒ぎ出すが、それ以上によく通る声で店主は再び語りだす。
「力を使う意思がないなら、力が減る理由はほかにある。それはその力を使おうとするか奪い取ったり吸い取ろうとする意思を持つ者がどこかにいるってことだ。思い当たる節はあるんじゃねぇか?」
「まさか……巨塊?」
即答する者がいた。その答えに店主は否定をしない。
「厳密にはちょっと違うかもしれねぇな。だが巨塊とやらの仕業であることは確かだと思う。石が元々石出なかったらどうかと思ってな」
「体の中心から離れた体の一部が石化する……力が体の中心に流れていけば本来の姿から衰えた姿に変わる。それが石化、そして岩石や宝石に変わるっちゅうことかの?」
「俺はそう考えてる。吸い取られるっていうより、力の出涸らしってとこか。それでも力はまだ残ってる。けどその石が持つ器の元々の大きさには見合わない力だったということだ」
店主は、チェリムが予想した答えにもほぼ同意する。
自分の頭は体程年老いてはいないことにドヤ顔しきり。
だがその直後その顔は青ざめる。
「待てぃ! 外部の者から力を奪い取られる言うとったな? 逆に言えば……」
「流石じいさんだ。伊達に年くっちゃいねぇな」
「笑いごっちゃないぞい! テンシュよ! このままじゃ……」
一人事態を把握したような顔をするチェリムに、どういうことかと周囲の冒険者達が尋ねる。
「力を残した石からも力が本体に流れる現象があるかもしれねぇし、何より本体は生命体を取り込むんだろ? 本体から遠い距離にあるなら取り込まれる心配はないだろうが……」
店主の説明が店内に焦りを充満させた。
「巨塊本体に力が取り込まれるってことは、その範囲内にいるセレナ達も……?」
「犠牲者が出たのは爆発自体の被害者じゃなくて、力……生命力を吸い取られた結果……?」
「それは違う」
狼狽えて出てきた発言に即座に否定する店主。
「だったら洞窟内で動物や虫なんぞの死骸がゴロゴロしてていいはずだ。しかもセレナは帰ってくるたびに異様に疲れたような顔をしていた。それでも調査に協力する気があったんだから気力と体力は間違いなくあった」
「すると取られたのは……魔力?」
「確かに魔力を一度にたくさん使うと疲労度は強くなるし高くなるけど……」
まだそれほど力量はないが、ウィーナとミールも経験があるらしい。
「ウィリックや他の被害者も……」
「魔力がゼロまで取られた上に体力のほとんども奪われりゃ、体調崩すどころじゃねぇよな。ましてや爆発に巻き込まれたんだろ? 妄想だったらいいなと思いつつ、現実に起きた後じゃ時間が足りねぇ。そう思ったから、力を奪われる現象に対抗できる道具を作って救助に使えねぇかと思ったんだが、それを使わせられねぇとなったら力技で引っ張ってくるしかねぇ。そうなったら最終手段はただ一つ」
その店主の言葉は誰もが聞き捨てならなかった。
力を奪われることのない道具があるという。そしてその使用を禁じたのは作った店主ではない。
「おい、ギスモ! セレナの救助に必要な道具があるっつってんぞ! 売られてなきゃここにあるか倉庫にあるんだろ! 出せよ!」
「いつまでもお前に振り回されるつもりもねぇし、つまんねぇこと言ってる場合じゃねぇんだよ!」
全員がギスモに詰め寄るが、誰にも捕まらないように隙をついて素早く移動し続ける。
「うるせぇな! だから黙って俺の指示に従えよ馬鹿共がっ! 大体俺のセレナがそんなドジ踏むわきゃねぇだろうが!」
「ダメだこいつ……早く何とかしないと……」
ウィーナがそんなギスモを見て頭を抑える。
誰もが彼女の心境だろう。一番状況を把握していないのは店主ではないことだけは全員が理解した。
しかしまだ店主から話を全て聞いてはいない。
そのことに気付いたのはギースだった。
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