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八話
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夢をみた。また悠太さんに怒られた。なぜ怒られているのか分からないけれど。とにかく周りをちゃんと確認しろと怒られた。けれど最後には何故か褒めてくれた。そして最後にお前なら大丈夫。がんばれと笑って消えていった。
「夢じゃなくて現実で指導して欲しいよな。しかも前回の夢の事をサクヤに話したことをすごく怒られたしさ。なんで僕にだけはこんなに厳しいのかな」
今日というか昨晩は無理を言って一人で寝させてもらった。そんな僕のベッドの横にエルザ用の大剣とエルナの細剣。そしてアリア用のブロードソードが並べられていた。その三本ともに、その神聖さから聖剣のような印象を受けた。
「これを三人になんて言って渡せばいいんだよ。悠太さんの事は話しちゃ駄目なんだよね」
僕は朝から頭を抱えることになった。
とりあえずその三本を空間に仕舞うと着替えをして朝の稽古をする為に砂浜へ向かった。
「ふう、どうやら一番乗りのようだ」
僕は身体をほぐし、基礎鍛錬を始めた。そして悠太さんから指摘された箇所に気を配りながら修正を施す。すると上手く自然に剣が流れるようになった。
それを忘れないよう、ひたすら繰り返しているとエルとエマが来て僕に挨拶をした。それに僕もちゃんと応える。
二人は常のように身体をほぐしてから基礎鍛錬に励んでいた。それを僕も横目で見ながら時折り、二人の誤りを指導した。
そして三人で模擬戦を始めた。僕対二人だ。まだどうにか二人同時に相手ができてはいるが近いうちにそれも出来なくなってくると思っている。彼女たちの成長は本当に著しい伸びをみせていた。僕なんかを軽く追い越せる才能を持っている。でも、そんな二人に嫉妬などせずに夢をみてしまう。この世界で先生から教えられた流派が二人の天才によって知れ渡ることを。最強の武道だと彼女たちが知らしめてくれることを期待して夢をみてしまう。
「よし、今日はここまで」
「はい!」
二人と向かい合って礼を交わす。
「あれ、今日は三人だけだったな」
「怒られてるの」
「サクヤ様に」
「何故に朝から」
「夜中にせんせーの部屋に忍び込もうとしたのー」
「見つかって怒られてるのー」
何時間怒られてるんだよ。ほんと懲りないな。
そんなことを思っていたら突然胸がチクリと痛くなった。……僕も人のことは言えないか。
二人と手を繋ぎながら家に入るとラムさんが一人で朝食の支度をしていた。
「おはようラムさん。手伝うよ」
「あ、トールさんおはよう。もう終わるから汗を流してきたら」
「はい。ではお言葉に甘えて汗を流してきます」
僕とエルとエマは汗を流しにシャワールームにいった。そして綺麗さっぱり汗を流してリビングに行くとラムさんしか居ない。四人で談笑しながら朝食を済ませた。
「ラムさん、まだみんなはサクヤに怒られてるの」
「そうみたいですね。こんなに怒られるなんて何をしたのでしょうね」
「ほんとですね」
使った食器を片してお茶を飲んでのんびり寛いでいると、サクヤを先頭にして皆がリビングに入ってきた。
「おはよう」
「おはよう」
サクヤ以外は皆、疲労が顔に出ていた。なんか気持ちげっそりしているように見えるのは僕の気のせいだろうか。
「いただきます」
その声にも元気がない。いつもと違って黙々と食事をしていた。僕の危機センサーがイエローを示していたので四人で僕の部屋で遊ぶことにした。
「せんせーリバーシなのー」
「やるのー」
「じゃあ、総当たりで勝者を決めよう」
あみだくじで対戦相手を決めた。初戦はラムさんとの戦いだった。
「あ、ラムさん何気に強いんだよなぁ」
「どうせ全員と当たるのですから順番は関係ないですよね」
「いや、初戦に勢いをつけないと」
そんな僕等の横ではエルとエマが接戦していた。よくよく考えてみれば僕が一番弱いかもしれない。
「私の勝利です」
「負けました」
完敗だった。ほぼ白い盤面に泣きたくなる。一方、エルとエマは僅かな差でエルが勝利していた。
そして次戦はエルが相手だ。ここまでの過去の対戦結果は互角だと思いたい。
「勝ったのー!」
「……負けました」
またもや完敗だった。その横ではラムさんさんが僅かな差で勝利していた。
僕とエマのどちらかが負ければ最下位。ここは必ず勝たなければならない。一方のラムさんとエルは勝った方がチャンピオンだ。
「せんせーに勝ったのー!」
「………負けました」
「エルも勝ったのー!」
「負けちゃいました」
一位はエル。二位はラムさん。三位はエマ。そして栄えある最下位は僕だった。
「ルキアでご褒美買ってもらうのー」
「やったなのー」
「初めてのルキア王都楽しみです」
三人は何故か着替えしに自分たちの部屋に一旦戻った。
「なぜ僕は最下位だったらルキア王都で好きな物を買ってあげるだなんて言ってしまったのか。ほんと愚かだ」
こうして三人を連れてルキア王都に行くとアクセサリーショップに連れて行かれた。
きっとたまたまなのだろうが。値札を見て驚く。そこは高級店だった。
「これがいいのー!」
エルは桜の花の形に似たピンクの髪留めを選んだ。とてもよく似合っている。
「お、とても似合っていてかわいいぞ」
満面の笑みを見せるエルにその髪留めを買ってあげた。
「エマはこれ!」
エマが選んだのはシルバーのブレスレットなのだが紅い宝石が菱形にカットされて三個嵌っていた。
「うん、エマもとても似合っていて、おしゃれさんに見えるぞ」
エルとは違い。少し大人っぽい物を選んでいた。それを僕は買ってあげる。
「私はこれに決めました」
ラムさんは銀なのか白金なのかわからないが上品な鎖のネックレスでエメラルド色の宝石が付いていた。なんか、さりげない気品さがとてもよく似合っていた。
「ラムさん、素敵ですよ」
僕はそれらを購入する事にしてかなり会計の額でビビった。
「お会計はこちらになります」
金貨十枚……だと……
「はい」
僕は努めて冷静にお金を払った。
その後、王都で有名なレストランでランチを食べて僕等は帰宅した。
本日の散財、金貨十二枚。しばらく節約生活をしようと心に誓った一日だった。
「夢じゃなくて現実で指導して欲しいよな。しかも前回の夢の事をサクヤに話したことをすごく怒られたしさ。なんで僕にだけはこんなに厳しいのかな」
今日というか昨晩は無理を言って一人で寝させてもらった。そんな僕のベッドの横にエルザ用の大剣とエルナの細剣。そしてアリア用のブロードソードが並べられていた。その三本ともに、その神聖さから聖剣のような印象を受けた。
「これを三人になんて言って渡せばいいんだよ。悠太さんの事は話しちゃ駄目なんだよね」
僕は朝から頭を抱えることになった。
とりあえずその三本を空間に仕舞うと着替えをして朝の稽古をする為に砂浜へ向かった。
「ふう、どうやら一番乗りのようだ」
僕は身体をほぐし、基礎鍛錬を始めた。そして悠太さんから指摘された箇所に気を配りながら修正を施す。すると上手く自然に剣が流れるようになった。
それを忘れないよう、ひたすら繰り返しているとエルとエマが来て僕に挨拶をした。それに僕もちゃんと応える。
二人は常のように身体をほぐしてから基礎鍛錬に励んでいた。それを僕も横目で見ながら時折り、二人の誤りを指導した。
そして三人で模擬戦を始めた。僕対二人だ。まだどうにか二人同時に相手ができてはいるが近いうちにそれも出来なくなってくると思っている。彼女たちの成長は本当に著しい伸びをみせていた。僕なんかを軽く追い越せる才能を持っている。でも、そんな二人に嫉妬などせずに夢をみてしまう。この世界で先生から教えられた流派が二人の天才によって知れ渡ることを。最強の武道だと彼女たちが知らしめてくれることを期待して夢をみてしまう。
「よし、今日はここまで」
「はい!」
二人と向かい合って礼を交わす。
「あれ、今日は三人だけだったな」
「怒られてるの」
「サクヤ様に」
「何故に朝から」
「夜中にせんせーの部屋に忍び込もうとしたのー」
「見つかって怒られてるのー」
何時間怒られてるんだよ。ほんと懲りないな。
そんなことを思っていたら突然胸がチクリと痛くなった。……僕も人のことは言えないか。
二人と手を繋ぎながら家に入るとラムさんが一人で朝食の支度をしていた。
「おはようラムさん。手伝うよ」
「あ、トールさんおはよう。もう終わるから汗を流してきたら」
「はい。ではお言葉に甘えて汗を流してきます」
僕とエルとエマは汗を流しにシャワールームにいった。そして綺麗さっぱり汗を流してリビングに行くとラムさんしか居ない。四人で談笑しながら朝食を済ませた。
「ラムさん、まだみんなはサクヤに怒られてるの」
「そうみたいですね。こんなに怒られるなんて何をしたのでしょうね」
「ほんとですね」
使った食器を片してお茶を飲んでのんびり寛いでいると、サクヤを先頭にして皆がリビングに入ってきた。
「おはよう」
「おはよう」
サクヤ以外は皆、疲労が顔に出ていた。なんか気持ちげっそりしているように見えるのは僕の気のせいだろうか。
「いただきます」
その声にも元気がない。いつもと違って黙々と食事をしていた。僕の危機センサーがイエローを示していたので四人で僕の部屋で遊ぶことにした。
「せんせーリバーシなのー」
「やるのー」
「じゃあ、総当たりで勝者を決めよう」
あみだくじで対戦相手を決めた。初戦はラムさんとの戦いだった。
「あ、ラムさん何気に強いんだよなぁ」
「どうせ全員と当たるのですから順番は関係ないですよね」
「いや、初戦に勢いをつけないと」
そんな僕等の横ではエルとエマが接戦していた。よくよく考えてみれば僕が一番弱いかもしれない。
「私の勝利です」
「負けました」
完敗だった。ほぼ白い盤面に泣きたくなる。一方、エルとエマは僅かな差でエルが勝利していた。
そして次戦はエルが相手だ。ここまでの過去の対戦結果は互角だと思いたい。
「勝ったのー!」
「……負けました」
またもや完敗だった。その横ではラムさんさんが僅かな差で勝利していた。
僕とエマのどちらかが負ければ最下位。ここは必ず勝たなければならない。一方のラムさんとエルは勝った方がチャンピオンだ。
「せんせーに勝ったのー!」
「………負けました」
「エルも勝ったのー!」
「負けちゃいました」
一位はエル。二位はラムさん。三位はエマ。そして栄えある最下位は僕だった。
「ルキアでご褒美買ってもらうのー」
「やったなのー」
「初めてのルキア王都楽しみです」
三人は何故か着替えしに自分たちの部屋に一旦戻った。
「なぜ僕は最下位だったらルキア王都で好きな物を買ってあげるだなんて言ってしまったのか。ほんと愚かだ」
こうして三人を連れてルキア王都に行くとアクセサリーショップに連れて行かれた。
きっとたまたまなのだろうが。値札を見て驚く。そこは高級店だった。
「これがいいのー!」
エルは桜の花の形に似たピンクの髪留めを選んだ。とてもよく似合っている。
「お、とても似合っていてかわいいぞ」
満面の笑みを見せるエルにその髪留めを買ってあげた。
「エマはこれ!」
エマが選んだのはシルバーのブレスレットなのだが紅い宝石が菱形にカットされて三個嵌っていた。
「うん、エマもとても似合っていて、おしゃれさんに見えるぞ」
エルとは違い。少し大人っぽい物を選んでいた。それを僕は買ってあげる。
「私はこれに決めました」
ラムさんは銀なのか白金なのかわからないが上品な鎖のネックレスでエメラルド色の宝石が付いていた。なんか、さりげない気品さがとてもよく似合っていた。
「ラムさん、素敵ですよ」
僕はそれらを購入する事にしてかなり会計の額でビビった。
「お会計はこちらになります」
金貨十枚……だと……
「はい」
僕は努めて冷静にお金を払った。
その後、王都で有名なレストランでランチを食べて僕等は帰宅した。
本日の散財、金貨十二枚。しばらく節約生活をしようと心に誓った一日だった。
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