グランディア様、読まないでくださいっ!〜仮死状態となった令嬢、婚約者の王子にすぐ隣で声に出して日記を読まれる〜

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「グランディア、落ち着きなさい」

「落ち着いてなどいられるものですか! 私の大切なティナによくもこのようなことを……今すぐこの城にいるもの全員を……」

「そこはすでに手は打ちました。兄上たちに任せなさい。あなたが今すべきことはティナのそばにいてやることです」

「兄上たちが……? それなら必ず犯人を捕まえてくれるでしょう。処分は私自ら行うとお伝えください。あぁ、ティナ……」

(え、あの、ちょっと待ってください! 私、死んでいません! 生きています!)

「そこでグランディア、あなたに見せたいものがあります」

「……なんでしょうか?」

 カタン、と何かが開けられた音がする。
 そして王妃様は殿下へと何かを渡したようだ。

「これは毎日ティナがつけていた日記です」

「日記、ですか……?」

(え、? えぇ!? 私の日記がなぜそこにあることを知っておられるのです!? ちょ、まさか王妃様……!? その日記をどうされるおつもりで……!?)

「グランディア、この日記を読んでみるといいでしょう」

「ですが、ティナの日記を勝手に見ることなどできません」

(そうです、見てはいけません! 恥ずかしいです!)

「ティナが毎日何を想い、暮らしていたのかあなたは知るべきです。きっとティナも気付いて欲しかったことでしょう」
 
「ですが……」

「………あ。そうだわ、ティナはもし自分が死んでしまったら、この日記をグランディアに見て欲しいと言っていました。えぇ、そう、確かに言っていました」

「ティナが……?」

(王妃様!? 私はそのようなことは言っておりません!)

「そうです。ティナの願いを聞いてあげるべきです。私はもう行きますから、ゆっくり読むといいでしょう」

 そう言い残し、王妃様は部屋から出て行った。

(待って、待って! 王妃様、なぜ嘘をつかれたのです……。私は日記を書いているとお話はしましたがまさか、そんな)

「ティナの日記、か……。なぁ、ティナ。私がこれを見てもいいのだろうか……?」

(いやいや、だめです! ぜったいにだめです! いいわけないですよ!?)

「そうか、許してくれるのか……ティナはやはり優しいのだな」

 グランディア様は私の頭を撫でながら勝手な解釈をする。

(いやいや私は許してません!)

 パラ、とグランディア様が日記を開いた。

(あーー!やめてくださいませ!)

 私の叫びなど届くはずもなく、グランディア様は日記を読み始める。
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