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「これは……婚約式を終えた日から書かれているのか……?」
"グランディア様が私たちの寝室へ来ることはなかった……私と夜を共にするのは嫌なのかしら"
(いやーーーー! 声に出して読まないでください! あの時は、ただ悲しくて……一緒に寝たかったとか、あの、そうではなくて!)
「違うんだ、結婚するまではと……。私はティナを大切にしたくて……」
この国では、王族との結婚を確固たるものにする為、婚約式の日が初夜となる。
けれどその日の夜、グランディア様が姿を見せることはなかった。
ずっとずっと待っていて、陽が登ってしまった時の絶望感はとても悲しいものだった。
それからまさか、部屋が別々になるとは思っていなかった。
「だが、ティナを誤解させないよう、私が部屋へ行かないことは知らせてあったはずだが……」
(え? 私、そのようなことは聞いていないわ)
そしてまたパラ、とグランディア様は日記をめくる。
"今日も会えなかった。もう一週間もグランディア様とお会いしていない"
「私が毎日ティナの寝顔を見に来ていたことは知らなかっただろうね……」
(え、毎日……来てくれていたのですか?)
"久しぶりに遠くからお見かけしたけれど、とてもお疲れのようだった。疲れのとれる飲み物とお菓子をグランディア様に渡してもらった。手紙、読んでもらえたかな"
「どういうことだ……?」
(……………)
"お手紙の返事はなかった。お忙しいから仕方ないよね……"
「手紙なんて……」
(……………)
"もうグランディア様に差し入れをするのはやめようと思う。どうやら迷惑だったみたい……。本当は甘いものがお嫌いだったなんて知らなかった"
「甘いものは好きだが……。いや、そうではなくて……ティナから差し入れが届いたことなど一度もないぞ……」
(…………え?)
「なぜだ? この日記には私に差し入れをしたと書いてある……それも、一度や二度ではない」
(私の差し入れはグランディア様に届いていなかったのですか? でも、私はたしかに侍女に頼んだわ)
"もう三週間もお会いしていない……。今日も、断られてしまったわ"
"もう一度だけ、グランディア様に時間がとれるか確認してみよう"
"少しでいいからお会いしたい、寂しい"
"知らない間にグランディア様は隣国に行かれてしまった。せめてその前に一目だけでもお会いしたかったのに"
「これも……どういうことだ?」
グランディア様は私の頬を優しく撫でる。
感触が分からないのがとても残念だわ……。
「ティナ、君は私に会いに来てくれていたのか?」
(何回も会いに行きました。でも、忙しいから会えないとずっと断られていたではないですか)
「なぜだ、ティナ。なぜ私に会いに? 私とは一緒に食事をしたくないほど会いたくなかったのだろう……?」
(そんなことありません! 私はずっと、ずっと待っていました……)
"今日はとても嬉しい日だった。グランディア様と一緒にお散歩をすることができた"
"久しぶりのグランディア様との夕食だった"
"グランディア様は遠くからでも分かるほどとても素敵な方だわ"
"三日も続けてお会いできた。ずっとこんな日が続けばいいのに"
"こんな会いたいのに、どうして会えないのだろう"
「ティナ、君の日記は私のことばかりなんだな……」
(うぅ、殿下……もう許してくださいませっ。このままでは恥ずかしくて本当に心臓がとまってしまいます……)
"グランディア様が私たちの寝室へ来ることはなかった……私と夜を共にするのは嫌なのかしら"
(いやーーーー! 声に出して読まないでください! あの時は、ただ悲しくて……一緒に寝たかったとか、あの、そうではなくて!)
「違うんだ、結婚するまではと……。私はティナを大切にしたくて……」
この国では、王族との結婚を確固たるものにする為、婚約式の日が初夜となる。
けれどその日の夜、グランディア様が姿を見せることはなかった。
ずっとずっと待っていて、陽が登ってしまった時の絶望感はとても悲しいものだった。
それからまさか、部屋が別々になるとは思っていなかった。
「だが、ティナを誤解させないよう、私が部屋へ行かないことは知らせてあったはずだが……」
(え? 私、そのようなことは聞いていないわ)
そしてまたパラ、とグランディア様は日記をめくる。
"今日も会えなかった。もう一週間もグランディア様とお会いしていない"
「私が毎日ティナの寝顔を見に来ていたことは知らなかっただろうね……」
(え、毎日……来てくれていたのですか?)
"久しぶりに遠くからお見かけしたけれど、とてもお疲れのようだった。疲れのとれる飲み物とお菓子をグランディア様に渡してもらった。手紙、読んでもらえたかな"
「どういうことだ……?」
(……………)
"お手紙の返事はなかった。お忙しいから仕方ないよね……"
「手紙なんて……」
(……………)
"もうグランディア様に差し入れをするのはやめようと思う。どうやら迷惑だったみたい……。本当は甘いものがお嫌いだったなんて知らなかった"
「甘いものは好きだが……。いや、そうではなくて……ティナから差し入れが届いたことなど一度もないぞ……」
(…………え?)
「なぜだ? この日記には私に差し入れをしたと書いてある……それも、一度や二度ではない」
(私の差し入れはグランディア様に届いていなかったのですか? でも、私はたしかに侍女に頼んだわ)
"もう三週間もお会いしていない……。今日も、断られてしまったわ"
"もう一度だけ、グランディア様に時間がとれるか確認してみよう"
"少しでいいからお会いしたい、寂しい"
"知らない間にグランディア様は隣国に行かれてしまった。せめてその前に一目だけでもお会いしたかったのに"
「これも……どういうことだ?」
グランディア様は私の頬を優しく撫でる。
感触が分からないのがとても残念だわ……。
「ティナ、君は私に会いに来てくれていたのか?」
(何回も会いに行きました。でも、忙しいから会えないとずっと断られていたではないですか)
「なぜだ、ティナ。なぜ私に会いに? 私とは一緒に食事をしたくないほど会いたくなかったのだろう……?」
(そんなことありません! 私はずっと、ずっと待っていました……)
"今日はとても嬉しい日だった。グランディア様と一緒にお散歩をすることができた"
"久しぶりのグランディア様との夕食だった"
"グランディア様は遠くからでも分かるほどとても素敵な方だわ"
"三日も続けてお会いできた。ずっとこんな日が続けばいいのに"
"こんな会いたいのに、どうして会えないのだろう"
「ティナ、君の日記は私のことばかりなんだな……」
(うぅ、殿下……もう許してくださいませっ。このままでは恥ずかしくて本当に心臓がとまってしまいます……)
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