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"グランディア様はどうして私と婚約したのかな"

"もう私のことなど、どうでもいいのかしら"

"私の前であまり笑わなくなってしまった"

「ティナ、私は初めて会った時、君に一目惚れをしたんだよ。好きだから結婚したいと思ったんだ……。だから君に婚約者の話がきてしまう前に、私から父上に無理を言って早く婚約をしたいと頼んだんだ」

(グランディア様が私に一目惚れを……? それは私との婚約を望んで……?)

「笑わなくなった……のは、そうだな……すまなかった……。君が私との結婚を嫌がっていると思ったらどう接したらいいか分からなくなってしまったんだ。でも私は君がいないことに耐えられない……」

(私は嫌などと思ったことは一度もありません……!)


 
「次は……少し日付がとんだな」

"聖女様が宮殿に住むと聞いた。どうやらグランディア様と恋に落ちてしまったらしい"

「な、なんだと!?」

"今日もグランディア様は聖女様とご一緒だった"

"私との食事の時間よりも、聖女様との時間の方が大切みたい"

"聖女様とこっそり二人で消えることがあるらしい……"

"グランディア様は聖女様がお好きなんだわ"

「そんな、誤解だよ……ティナ」

(誤解、とは何がでしょうか……)

"グランディア様に会いたいのに、会うのが怖い"

"次に会った時に冷たくされたらどうしよう"

"さみしい……"

"グランディア様の口から他の女性を愛してるなんて聞きたくない"

"婚約破棄なんてしたくない、こんなにも好きなのに"

「好き……? ティナが、私を……? そんなこと、一度だって……」

(恥ずかしくてずっと手紙に書いていたから……。でもその手紙が渡っていなかったのね……)

"グランディア様に好きだと言われたことがない"

"私はここにいる必要があるのかな……?"

"つらい、帰りたい"

"もう嫌、我慢できない"

「そんな、ティナ……君ともっと話をするべきだった……」

(グランディア様……)

「ちゃんと口で伝えるべきだった。言わなくても伝わっているなどと私の思い上がりのせいで君に悲しい思いを……。こんなにもティナが好きなのに、どうして君にもっと伝えることができなかったのだろう……」

(殿下が……私を好き、って)

「ティナ……すまなかった、こんなに悲しい思いをさせていたなんて知らなかった。私の配慮が足りなかった……。もっと、君の気持ちに配慮するべきだったのに」

(配慮とは、私を想ってのことだったのね)

「すまない、ティナ……」

殿下は泣いていた。
ポタ、ポタ、と涙が私の手に落ちる。
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