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交差点のあの子
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僕がまだ小学生の頃、
僕の家から学校は徒歩30分程で、毎日歩いて学校に行っていた。その頃の僕はあまり友達がいなくて、学校ではいつも1人で本を読んだり寝たふりをしてすごしていた。
もちろん、一緒に学校に行く友達もいるわけもなく、毎日溜息をつきながらひとり学校へと重い足を運んでいた。
そんなある日、とある交差点の隅に女の子が立っていた、何をする訳でもなくただ立っていた。僕はその子のことが気になり、柄にもなく声をかけてみた。
「そんなとこで立って何しているの?誰かを待っているの?」
女の子はとても驚いた顔で僕を見た。
しまった、やっぱり僕なんかが人に喋りかけてはいけないんだ!
と1人で勝手に考えて勝手に落ち込んでいる僕に、女の子はあたふたしながらこう言った。
「ご、ごめんね、私ここに立ってから話しかけられたことなかったからびっくりしちゃったの、あなた名前はなんて言うの?」
あぁ、よかった、別に僕にひいてた訳では無いのか。それからお互いに自己紹介をして、おしゃべりを沢山した。あまり喋るのが得意じゃない僕だが、その子とはなんだか楽しく喋ることが出来た。
「ねぇ、学校にいかなくていいの?」
そう言われて思い出した、今は登校中だったのだ、そんなことを忘れるほど、彼女との会話は明るく楽しかったのだ。会話とはこんなに楽しいものなのか。
「ほんとだ!ごめん行くね!」
「待って!」
急に呼び止められて、僕は転びそうになりながらも彼女の方を見た。
「またここでお話することができるかな?」
何故か泣きそうになりながら言う彼女に僕は、
「うん!また明日ね!」
とだけ言い残して走り去ってしまった。
その日、帰ってから親に引っ越すことを伝えられた。父が急に転勤することになったそうだ、転校先ももう決まっていると言われた。まぁ僕はそれでも別によかった、学校に友達はいないし、未練もない、ただ心残りなのはあの女の子だ。でも引っ越して落ち着いてからまた会いに行けばいいか、僕はそう思い転校した。
転校した学校はとても楽しかった。前の学校のことが嘘のように友達も沢山できたし、毎日が充実していた、あの女の子のことも、あの女の子との約束も、楽しい日々のなかで忘れてしまっていた。
時はたち、僕は大人になった。友達と遊ぶ約束をしていて、その約束の場所に向かう最中に、あの女の子と出会った交差点を通った、見覚えのある顔がそこにはあった。
遺影として。
あの子が立っていた交差点の隅の所に遺影が置かれており、そこにたくさんの花がたむけられていた。
友達との約束をほっぽり出し、その交差点で起きた事故について一日かけて調べあげた。
すると、色んなことがわかった。
あの日、あの子と会ったあの日の一週間前に、あの子は事故で死んでいた。かなりひどい事故だったらしく、一瞬で死んでしまったらしかった。
僕は次の日の朝、その子と出会った交差点に向かった。
よく考えてみたら、僕が転校してから友達と楽しく喋れたのは、あの子が僕と楽しく喋ってくれたからだ。あの子はきっと、僕にあった時にはまだ自分が死んだことには気づいていなかったのだろう、皆が自分のことを無視する、いや、いないかのように振る舞う。まだ幼い女の子だ、どうしていいか分からなかったのだろう。だからただ立ちつくしていたのだ、だから僕が彼女の存在に気づいた時に、あんなに驚き、嬉しそうに喋ってくれたのだ。そんな彼女との約束を僕は破ってしまった、彼女の泣きそうな顔を思い出し、彼女の遺影の前で泣きじゃくった。
「ごめん、ほんとうにごめん、君は僕を変えてくれた、明るく喋ることの楽しさを教えてくれた、なのに僕は、君との約束を破り、ましてや君のことも忘れて呑気にくらしていた。寂しかっただろう、さぞ寂しかっただろう、ごめんよ、ほんとうにごめんよ」僕は泣いた。
泣いてる自分の声の中に懐かしい声が響いた。
「やっと会いに来てくれた」
そんな気がした...
僕の家から学校は徒歩30分程で、毎日歩いて学校に行っていた。その頃の僕はあまり友達がいなくて、学校ではいつも1人で本を読んだり寝たふりをしてすごしていた。
もちろん、一緒に学校に行く友達もいるわけもなく、毎日溜息をつきながらひとり学校へと重い足を運んでいた。
そんなある日、とある交差点の隅に女の子が立っていた、何をする訳でもなくただ立っていた。僕はその子のことが気になり、柄にもなく声をかけてみた。
「そんなとこで立って何しているの?誰かを待っているの?」
女の子はとても驚いた顔で僕を見た。
しまった、やっぱり僕なんかが人に喋りかけてはいけないんだ!
と1人で勝手に考えて勝手に落ち込んでいる僕に、女の子はあたふたしながらこう言った。
「ご、ごめんね、私ここに立ってから話しかけられたことなかったからびっくりしちゃったの、あなた名前はなんて言うの?」
あぁ、よかった、別に僕にひいてた訳では無いのか。それからお互いに自己紹介をして、おしゃべりを沢山した。あまり喋るのが得意じゃない僕だが、その子とはなんだか楽しく喋ることが出来た。
「ねぇ、学校にいかなくていいの?」
そう言われて思い出した、今は登校中だったのだ、そんなことを忘れるほど、彼女との会話は明るく楽しかったのだ。会話とはこんなに楽しいものなのか。
「ほんとだ!ごめん行くね!」
「待って!」
急に呼び止められて、僕は転びそうになりながらも彼女の方を見た。
「またここでお話することができるかな?」
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「うん!また明日ね!」
とだけ言い残して走り去ってしまった。
その日、帰ってから親に引っ越すことを伝えられた。父が急に転勤することになったそうだ、転校先ももう決まっていると言われた。まぁ僕はそれでも別によかった、学校に友達はいないし、未練もない、ただ心残りなのはあの女の子だ。でも引っ越して落ち着いてからまた会いに行けばいいか、僕はそう思い転校した。
転校した学校はとても楽しかった。前の学校のことが嘘のように友達も沢山できたし、毎日が充実していた、あの女の子のことも、あの女の子との約束も、楽しい日々のなかで忘れてしまっていた。
時はたち、僕は大人になった。友達と遊ぶ約束をしていて、その約束の場所に向かう最中に、あの女の子と出会った交差点を通った、見覚えのある顔がそこにはあった。
遺影として。
あの子が立っていた交差点の隅の所に遺影が置かれており、そこにたくさんの花がたむけられていた。
友達との約束をほっぽり出し、その交差点で起きた事故について一日かけて調べあげた。
すると、色んなことがわかった。
あの日、あの子と会ったあの日の一週間前に、あの子は事故で死んでいた。かなりひどい事故だったらしく、一瞬で死んでしまったらしかった。
僕は次の日の朝、その子と出会った交差点に向かった。
よく考えてみたら、僕が転校してから友達と楽しく喋れたのは、あの子が僕と楽しく喋ってくれたからだ。あの子はきっと、僕にあった時にはまだ自分が死んだことには気づいていなかったのだろう、皆が自分のことを無視する、いや、いないかのように振る舞う。まだ幼い女の子だ、どうしていいか分からなかったのだろう。だからただ立ちつくしていたのだ、だから僕が彼女の存在に気づいた時に、あんなに驚き、嬉しそうに喋ってくれたのだ。そんな彼女との約束を僕は破ってしまった、彼女の泣きそうな顔を思い出し、彼女の遺影の前で泣きじゃくった。
「ごめん、ほんとうにごめん、君は僕を変えてくれた、明るく喋ることの楽しさを教えてくれた、なのに僕は、君との約束を破り、ましてや君のことも忘れて呑気にくらしていた。寂しかっただろう、さぞ寂しかっただろう、ごめんよ、ほんとうにごめんよ」僕は泣いた。
泣いてる自分の声の中に懐かしい声が響いた。
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